3-3 滋賀県のチョウ類の分布(種別解説)
その後 11 月頃まで数回発生する。9月頃から 11 月にかけて出 現した秋型はそのまま成虫で越冬する。 『滋賀県レッドデータ
99. オオヒカゲ
Ninguta schrenckii schrenckii
【分布】滋賀県では大津市国分から田上以南、甲賀市、日野町、
東近江市、米原市、長浜市に断続的に分布する。場所によって は普通に産する。国内では北海道、本州に分布する。
【生息環境・植生・その他】主に山裾の休耕田や湿地帯に見ら れる。スゲ類各種を食する。年1回、県内では6月下旬から発 生し、10 月まで見られる。湿地帯のスゲ類に依存しているため、
乾燥化と埋め立てによって分布域は狭められている。 『滋賀県 レッドデータブック 2005 年版』では「分布上重要種」である。
(細井正史)
ジャノメチョウ科
100. ジャノメチョウ Minois dryas bipunctata
【分布】滋賀県では県内各地に分布する。国内では北海道、 本州、
四国、九州に分布する。
【生息環境・植生・その他】草地さえあれば住宅地を含む平地 から山間部(鈴鹿山脈・比良山地・伊吹山地等)まで分布する。
イネ科、カヤツリグサ科各種を食する。年1回の発生で県内で は6月中旬から発生し、9月まで見られる。明るい草原を好み、
各種の花で吸蜜する。
(細井正史)
琵博研報 2011 No.27 71 ジャノメチョウ科
101. ウスイロコノマチョウ Melanitis leda leda
【分布】滋賀県では、大津市及び東近江市で少数の記録がある。
現在では土着していない。国内では、屋久島以南と小笠原諸島 に分布する。
【生息環境・植生・その他】県内では、偶産と思われる。
(細井正史)
ジャノメチョウ科
102. クロコノマチョウ Melanitis phedima oitensis
【分布】滋賀県では、1990 年代から目立ち始め、現在では県内 各地で記録がある。国内では本州、四国、九州に分布する。
【生息環境・植生・その他】平地から山地帯まで広く分布する。
食草としてジュズダマ、ススキが知られているが、県内では後 者の場合が多い。年2回、県内では夏型は6月中旬から、秋型 は 10 月頃から発生し、そのまま成虫で越冬する。昼間は薄暗 い林間の下草で静止しているが、夕方は活発に飛び、住宅地に も姿を現わすときがある。樹液や腐った果実に訪れる。
(細井正史)
琵博研報 2011 No.27 72
ジャノメチョウ科
103. クロヒカゲ Lethe diana diana
【分布】 滋賀県では県内各地に普通に分布する。国内では北海道、
本州、四国、九州に分布する。
【生息環境・植生・その他】雑木林に多く、山地帯でも見られ る。イネ科のササ属を食する。5月中頃から 10 月まで見られる。
昼間はヒカゲチョウと共に樹液を訪れているか、林間の葉上に 止まることが多い。夕刻は活発に活動する。
(細井正史)
ジャノメチョウ科
104. ヒカゲチョウ Lethe sicelis
【分布】滋賀県では県内各地に普通に広く分布する。国内では 本州、四国、九州に分布する。
【生息環境・植生・その他】県下の平野部や低山地に普遍的に 見られる。イネ科のササ属、 メダケ属を食する。年2回の発生で、
5月中旬から 10 月まで見られる。樹液を訪れ、訪花性はない。
(細井正史)
琵博研報 2011 No.27 73 ジャノメチョウ科
105. クロヒカゲモドキ Lethe marginalis
【分布】滋賀県では大津市(膳所以南)の地域と東近江市永源 寺周辺に分布する。産地は局限される。国内では本州、四国、
九州に分布する。
【生息環境・植生・その他】山間部に棲息し、局地的である。
県内ではイネ科のススキを食する。年1回の発生で、6月中旬 から9月まで見られる。大津市石山千町での観察では、昼間は 不活発で、クロコノマチョウと共に薄暗い林間の葉上で静止し ている個体が多い。ここではクロヒカゲと混生しない。大津市 大石では、昼間はシイタケのほたぎに止まる個体も見られる。
近年、個体数は激減している。 『滋賀県レッドデータブック 2005 年版』では「分布上重要種」である。
(細井正史)
ジャノメチョウ科
106. ヒメキマダラヒカゲ
Zophoessa callipteris callipteris
【分布】滋賀県では県内の山地帯、 山間部に分布する。国内では、
北海道、本州、四国、九州に分布する。
【生息環境・植生・その他】主に山地帯のササの分布する地域 で見られる。イネ科のササ属を食する。年1回の発生で県内で は6月中旬から発生し、9月まで見られる。高島市朽木での観 察では林床にササが分布する薄暗い所に棲息し、各種の花で吸 密する。飛翔は緩やかである。
(細井正史)
琵博研報 2011 No.27 74
ジャノメチョウ科
107. サトキマダラヒカゲ Neope goschkevitschii
【分布】滋賀県では各地に普通に分布する。国内では北海道、
本州、四国、九州に分布する。
【生息環境・植生・その他】平地、低地、住宅地等に見られる。
イネ科のメダケ属を食する。年2回の発生で、県内では4月下 旬から9月まで見られる。樹液を訪れる個体が多い。
(細井正史)
ジャノメチョウ科
108. ヤマキマダラヒカゲ Neope niphonica niphonica
【分布】滋賀県では県内の山間部に分布する。国内では屋久島 以北に分布する。
【生息環境・植生・その他】ササが分布するやや明るい林縁に 見られる。イネ科のササ属を食する。年2回の発生で、県内で は5月中旬から7月まで見られる。
(細井正史)
琵博研報 2011 No.27 75 マダラチョウ科
109. アサギマダラ
Parantica sita niphonica
【分布】滋賀県内では低地から山地帯まで見られる。国内では、
北海道から九州、沖縄まで分布する。
【生息環境・食性・その他】主に山間地の草原や樹林周辺で見 られる。特に8月頃には比良山系の尾根や山頂付近に多数の個 体が飛翔する。食草はガガイモ科植物。マーキング調査により、
渡りをするチョウとして一般に知られるようになった。長距離 を移動することがわかり、捕獲個体がマスコミで取りあげられ ることがある。移動途中の個体が都会でも観察されることがあ るが、移動の理由はわかっていない。
(中川 優)
セセリチョウ科
110. アオバセセリ
Choaspes benjaminii japonica
【分布】滋賀県内では、伊吹山系、鈴鹿山系、野坂山系、比良 山系等の低山地から山地帯にかけての林縁や渓流沿いで見られ ることが多いが、大津市大鳥居町や富川町のような低標高地に も産する。これは食草を同じくするタテハチョウ科のスミナガ シにも言えることである。国内では、本州、四国、九州、沖縄 県に分布する。
【生息環境・食性・その他】ブナやミズナラが優占する山地帯 から、クヌギやアベマキが優占する里山環境の雑木林にかけて 生息する。二次林にも自然林にも見られる。成虫の飛翔は早い が、ウツギの花で吸蜜しているのをよく見かける。路上で吸水 するほか獣糞等にも集まる。県内では年2化のようで5月~6 月と7月~8月に見ることができる。アワブキ科のアワブキ、
ミヤマハハソを食し、幼虫は葉を綴った特徴のある巣を作る。
(遠藤眞樹)
琵博研報 2011 No.27 76
セセリチョウ科
111. タイワンアオバセセリ Badamia exclamationis
【分布】滋賀県内では浅井町北池での1雄の採集記録があるの みである。国内では沖縄県に分布する。
【生息環境・食性・その他】偶産種と考えられる。
(遠藤眞樹)
セセリチョウ科
112. キバネセセリ
Buraras aquilina chrysaeglia
【分布】滋賀県内では湖北地域(米原市、長浜市)の山地帯に 生息する。大津市での古い記録もある。国内では、 北海道、 本州、
四国、九州に分布する。
【生息環境・食性・その他】北方系の種で、広葉樹林の林縁や 沢沿いの林道を素早く飛ぶのが観察できる。獣糞や、死骸にも 集まる。年1回、7月頃に羽化する。若齢または中齢幼虫で越 冬する。食樹はウコギ科のハリギリである。 『滋賀県レッドデー タブック 2005 年版』では「希少種」である。
(遠藤眞樹)
琵博研報 2011 No.27 77 セセリチョウ科
113. ダイミョウセセリ Daimio tethys tethys
【分布】滋賀県内では各地に広く分布する。国内では、北海道、
本州、四国、九州に分布する。
【生息環境・食性・その他】県内では里山環境の雑木林に多く 生息し、素早く飛ぶ。雄は占有行動をとる。ヒメジョオン、イ ボタ等の花で吸蜜し、獣糞にも集まる。4月から 10 月にかけ て、年3回発生するものと思われる。越冬態は終齢幼虫。食草 はヤマノイモ科のヤマノイモ、オニドコロ、ナガイモ等である。
この種は滋賀県付近を境として、東側では後翅に不明瞭な白帯 をもつ関東型が、西側では明瞭な白帯をもつ関西型がみられる。
県内は主として関西型であるが,中間的な形態を持つ個体も見 受けられる。
(遠藤眞樹)
セセリチョウ科
114. ミヤマセセリ
Erynnis montanus montanus
【分布】滋賀県内では各地に広く分布する。国内では、北海道、
本州、四国、九州に分布する。
【生息環境・食性・その他】県内では里山環境の雑木林の周辺 に多く生息する。林縁を活発に飛翔し、枯葉や石の上で翅を開 いて止まる。年1回の発生で3月下旬から見られ、4月が最盛 期となる。タンポポやスミレ類で吸蜜する。終齢幼虫で越冬す る。幼虫の成長は大変遅く、日本の蝶では高山蝶を除いて、幼 虫期間の最も長い種であると考えられる。食樹はブナ科のコナ ラ、クヌギ等である。
(遠藤眞樹)
琵博研報 2011 No.27 78
セセリチョウ科
115. ギンイチモンジセセリ Leptalina unicolor
【分布】滋賀県内では、伊吹山、甲賀市と三重県伊賀市との県 境に産するだけで、他に生息地は知られていない。国内では、
北海道、本州、四国、九州に分布する。
【生息環境・食性・その他】伊吹山ではススキが一面に生える スキー場の一角に生息するが、最近はほとんど見ることができ ない。甲賀市では軌道敷周辺の草地に生息する。県境近くのゴ ルフ場や公園整備の環境アセスにはこの種が記録されているの で、この付近には広く分布していたもの思われる。緩やかに飛 び、タンポポ類等で吸蜜する。発生回数は、伊吹山では年1回 で5月~6月、甲賀市 ( 隣接する三重県での観察例 ) では年2 回と思われ、4月~9月に見られる。越冬態は亜終齢幼虫(5 齢) 。食草はイネ科のススキ、チガヤ、オオアブラススキ。 『滋 賀県レッドデータブック 2005 年版』では「希少種」である。
(遠藤眞樹)
セセリチョウ科
116. ホソバセセリ
Isoteinon lamprospilus lamprospilus
【分布】滋賀県内では各地で見られる。国内では、本州、四国、
九州に分布する。
【生息環境・食性・その他】雑木林の林床の草地や林縁で生息 する。アザミ類やオカトラノオ等で吸蜜する。年1回の発生で、
県内では6月末から8月に出現する。越冬態は中齢幼虫。食草 はイネ科のススキ、チガヤ等。
(遠藤眞樹)
ドキュメント内
lbm27.indb
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