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DLTMA によるヤング率の決定 DLTMA ( Dynamic Load TMA )は、

7. エラストマーの TMA 、 DMA 測定

なため、弱い物理的転移、もしく は、化学反応の評価に優れていま す。図

42

は、充填物質であるカ ーボンブラックがヤング率に及ぼ す影響を示したものです。

25

℃、

圧縮モードにおいて、

0.05 N

1 N

の力を交互に加えて測定しまし た。

サンプルの厚みの相対変化が、図 の上部に時間の関数として示して あります。下部には、カーブから求 めたヤング率の値が示してありま す。これらの値はエラストマーの 典型的な大きさです。そして、カー ボンブラックの含有率が高くなる ほど、変位は小さくなり、ヤング率 が大きくなることがわかります。

液体中での膨潤

液体中でのエラストマーの膨潤 挙動も重要なアプリケーション です。

TMA

膨潤測定では、特定 の温度でサンプルの温度と厚み を平衡化します。その後、

TMA

の 加熱炉を短時間開け、サンプル が入った容器に注射器を用いて 液体を充填します。そして、テス トピースの厚みの変化を測定し ます。

43

は、トルエン中における

EPDM

FPM

の膨潤挙動です。

両カーブは初期厚みで正規化さ れています。

FPM

の場合、膨潤し たのは

2%

だけなので、トルエン に対して耐性があることがわかり ます。すなわち、トルエン、もしく は、トルエンに類似した液体と接 することが見込まれるガスケット の材料として、

FPM

は使用可能で す。

一方、

EPDM

の挙動は大きく異

なり、トルエン中で

25 %

以上 膨潤しています。つまり、トルエン と接するガスケットの材料として

EDPM

を使用することは不適当と

いえます。

動的粘弾性測定(

DMA

エラストマーの機械的特性は、温 度と周波数に依存します。よって

DMA

はエラストマーの特徴を明 確できる重要な手段です。

典型的な使用用途は次のとおり です:

a.

ガラス転移、結晶化、融解、加 硫反応、応力緩和、流動挙動 といった熱挙動

b.

ガラス転移点の周波数依存性

c.

機械的特性に対する充填剤、

加硫、周波数の影響、線形挙 動

d.

減衰挙動

e.

マスターカーブ(機械的周波 数スペクトル)

ガラス転移点の決定

ガラス転移の際、エラストマーの 粘弾性の大きさは何桁も変化す るため、

DSC

または

TMA

ではガ ラス転移が確認できない場合で

43 トルエン中で EPDM FPM の膨潤挙動(

形状;円柱 直 2 mm×厚み 2.5 mm30℃で 測定)。

44 未加硫 SBR DMA 測定の結 果。

あっても、

DMA

を用いることによ りガラス転移を検出することがで きます。すなわち、

DMA

は種々の 熱分析手法の中で最も感度よく ガラス転移を検出できる測定技 術といえます。

44

は、フィラーなしの未

加硫

SBR

2

回加熱したと

きの

DMA

カーブです。それぞ

れ、

1st run

2nd run

におけ る貯 蔵 弾 性 率(

G

′)、損 失 弾 性率(

G

″)、および 損 失 係 数

tan

δ)です。

小さな弾性率領域での変化をよ り確実に表示できるよう、縦軸は 通常、対数で表示します。

Elastomers

DMA

カーブでは、ガラス転移は

G

′の下降ステップとして、あるい は、

G

″と

tan

δ のピークとして 確認できます。そのため、ガラス 転移点は

G

′のオンセット温度、も しくは、

G

″、

tan

δ のピーク温度 で表わされます。

1st run

では、ガラス転移におい て

G

′は

10

9

Pa

から

10

6

Pa

へ と

3

桁減少しています。

その後のゴム状領域では

G

′は ほぼ一定の

1  Mpa

であり、続い てゆっくりと減少しています。この 減少は

G

″のわずかな増加とリン クし、さらに、約

40

℃ ぐらいか ら融解が始まっています。

一方、

2nd run

では、ガラス転移 の下降ステップの大きさは

1.5

桁 です。その後、

-30

℃ から

80

℃ まで

G

′はブロードに減少し、一 方、

tan

δ は増加しています。

1st run

においてサンプルには架橋、

もしくは加硫反応が起こっている ため、流動性を示していません。

ガラス転移の周波数依存性 ガラス転移はポリマー内での分 子単位(ユニット)の協調的な動 きであるため、ガラス転移点は 周波数依存性を示します。この 現象は、さまざまな周波数ごと に温度スキャンをすることで調 べられます。そして、スキャンに は次の

2

つの方法があります。

45 1 Hz10 Hz, 100 Hz1000 Hz で測定したフィラ ーなし、未加硫 SBR DMAカ ーブ。

46

2 phr の硫黄で加 硫された充填され ていない SBR 周波数測定。

その

1

つは、

1

2

5

10

という 固定比率を用いる「マルチ・フリ ークエンシー(

Multi Freqency

)」

という方法です。例えば、周波数 として初めに

1 Hz

を選択した ら、その後は

1

2

5

10 Hz

で 同時測定します。

2

つめの方法は、最大で

10

個 の周波数を選択することのできる

「シリーズ周波数測定法 (

Fre-quency Series

)」です。最高周波 数から優先的に始めます。

45

は、

2K/min

の昇 温速度において周波数

1Hz

10 Hz

100 Hz

1000 Hz

で測定したフィラーなし、未加 硫

SBR

DMA

カーブです。

明確な周波数依存性が観察で き、周波数がより高くなるにつ れ、ガラス転移点はより高温側へ とシフトしています。一般に、周 波数が一桁大きくなるとガラス転 移点は約

5

℃シフトします。

そのため、

DMA

を用いてガラス 転移点を求めた場合、実験条件 と並んで使用した周波数も表示 する必要があります。

異なる温度における周波数依存 性のさらなる評価は、フォーゲ ル・フルッヒャー方程式、もしく はウィリアムズ・ランデル・フェリ ー;

WLF

Williams, Landel and

Ferry

)方程式を用いて行うこと

ができます。

ガラス転移には周波数依存性が あるため、等温下で周波数を変 化させながら測定を行うことに より応力緩和に関する情報を得 ることができます。

46

は、

2 phr

parts per hun-dred

)の硫黄で加硫した、フィラ ーなしの

SBR

について

1 mHz

から

1000 Hz

まで周波数スキ ャンした結果です。

SBR

の弾性率は周波数と共に 変化し、緩和領域では、貯蔵弾 性率はステップ 状に変化しま

す。高周波数領域の貯蔵弾性率 は低い周波数領域での値より高 く、サンプルは見かけ上固くなり ます。

低い周波数領域では、外部ストレ スに対応するための分子の再配 列が可能になり、その結果、サン プルは柔らかくなります。損失係 数は、緩和領域では

54 Hz

の周 波数で最大となります。損失係数 のピーク形状は緩和時間の分布 に相当し、これは分子間、もしく は分子内部構造に基づきます。

マスターカーブ

粘弾性材料の機械的特性は、周 波数と温度に依存します。一般 に、緩和過程において周波数に 対する変 化と温 度に対する変 化との間には呼応関係がありま す。

この現象は、時間

温度重ね合 わせ原理(

Time-Temperature Superposition principle : TTS

) として知られており、一連の等温 での周波数スキャンからある温 度におけるマスターカーブを作 成する作業は、この原理を利用 しています。

このように、マスターカーブは広 い周波数領域における機械的応 力緩和挙動を表します。

周波数スキャンは、

DMA

で直接 測定が可能な周波数領域で行い ます(図

46

参照)。マスターカー ブを作成するためには、参照温 度よりも低い温度で測定したカー ブ、高い周波数のカーブに重ね合 わせて重なり部分が最善の状態 でオーバーラップするよう水平に 移動させます。

これと同じ要領で、参照温度より も高い温度で測定したカーブを 低い周波数のカーブに重ねます。

これによって、図

47

のグラフ画 像が得られます。

マスターカーブは、直接測定が 可能な範囲よりも広い範囲を網 羅します。そのため、広い周波数

47

未加硫SBRの貯蔵 弾性率および損失 弾性率のマスター カーブ(せん断モー ドで測定、参照温 -10℃)。

領域におけるサンプルの機械的 特性を概観することができます。

47

は、参照温度

-10

℃におけ るフィラーなし、未加硫

SBR

の貯 蔵弾性率および損失弾性率のマ スターカーブです。

低周波数領域では、貯蔵弾性率 も損失弾性率もほぼ同じ

30 kPa

で、このときサンプルは流動領域 にあります。例えば、

10

-6

Hz

にお ける損失弾性率のピークは、流動 緩和によるものです。

そして、

10

-5

Hz

から

10

-2

Hz

までの 間、

1 Mpa

よりやや小さな貯蔵弾 性率のゴム状領域がみられます。

10

-5

Hz

から

10

-2

Hz

までの間 その後、損失弾性率のピークと 共に、貯蔵貯性率は約

3

桁のス テップで増加しています。これは

応力緩和、もしくは、ガラス転移 によるものです(実際、損失弾性 率(

G

″)のピークが最大値を取っ ています)。これより高い周波数 では貯蔵弾性率はほぼ

800 MPa

で、一定です。

7.3

熱挙動とアプリケーショ ンの概要

4

は、熱分析装置を用いて評 価できる、エラストマーの典型的 な現象をまとめたものです。

7.4

結論

前章と本章では

DSC,TGA,TMA,

および

DMA

を用いてエラストマ ーの特性を評価するためのさま ざまな手段を解説しました。

エラストマーにとって重要で典型 的な現象とそのアプリケーショ ン(応用方法)として、

EPDM

4:さまざまな熱 分析手法によって 評価できる現象。

現象 DSC TGA TMA DMA

ガラス転移 x x x

加硫とキネティック x

組成 x x

熱安定性/組成 x

充填材と添加剤 x x

粘弾性 xDLTMA x

クリープ x

溶媒中での膨潤 x

マスターカーブ x

融解、結晶化 x x

互換性 x x

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