第 3 章 回転群とその表現 79
3.2 シュウィンガーボゾンによる回転群の記述
3.2.8 角運動量の合成とウィグナーの 3j 記号
の対応を示す。
更に、
σ′1σ′2σ′3 = uσ1′σ2′σ′3u†=uiu†=iE2
また、
σ′1σ′2σ′3 = Q1αQ2βQ3γσασβσγ
= ∑
γ
[ ∑
α(=β)
(Q1αQ2α)Q3γσγ+∑
α̸=β
Q1αQ2αQ3γσασβσγ
]
= ∑
(α,β,γ)=P(123)
Q1αQ2αQ3γσασβσγ
= ∑
(α,β,γ)=P(123)
Q1αQ2αQ3γiE2ϵαβγ
= iE2detQ よって
detQ = 1
とこれらは角運動量の交換関係を満たす。また、
[J1+,J+] = [a†+a−, a†b] = [a†+a−, a†−b−] =a†+[a−, a†−]b−=a†+b− [J2+,J+] = [b†+b−, a†b] = [b†+b−, a†+b+] =a†+[b†+, b+]b− =−a†+b− よって J =J1+J2 として
[J+,J+] = 0
([J+,J+])† = [J−, J−] = 0
[J1+,J−] = [a†+a−, b†a] = [a†+a−, b†+a+] =b†+[a†+, a+]a− =−b†+a− [J2+,J+] = [b†+b−, b†a] = [b†+b−, b†−a−] =b†+[b−, b†−]a−=−b†+a− よって
[J+,J−] = 0
([J+,J−])† = [J+, J−] = 0 [J1z,J+] = 1
2[na+−na−, a†b] = 1
2[na+−na−, a†+b++a†−b−]
= 1
2[na+, a†+b+]−1
2[na−, a†−b−] = 1
2(a†+b+−a†−b−) [J2z,J+] = 1
2[nb+−nb−, a†b] = 1
2[nb+−nb−, a†+b++a†−b−]
= 1
2[nb+, a†+b+]− 1
2[nb−, a†−b−] = 1
2(−a†+b++a†−b−) よって
[Jz,J+] = 0
([Jz,J+])† = −[Jz,J−] = 0 続いて
[Jz,Jz] = 1
4[n+−n−, na−nb] = 0 [J1+,Jz] = 1
2[a†+a−, na−nb] = 1
2[a†+a−, a†+a++a†−a−] = 1
2[a†+a−, a†+a+] + 1
2[a†+a−, a†−a−]
= = 1
2a†+[a†+, a+]a−+ 1
2a†+[a−, a†−]a−= 0 [J2+,Jz] = 1
2[b†+b−, na−nb] =−1
2[b†+b−, b†+b++b†−b−] =−1
2[b†+b−, b†+b+]−1
2[b†+b−, b†−b−]
= = 1
2b†+[b†+, b+]b−+ 1
2b†+[b−, b†−]b−= 0
よって
[J+,Jz] = 0
([J+,Jz])† = −[J−,Jz]) = 0 以上から
[Ji,Jj] = 0
2J1·J2 = 1
2a†αaβb†γbδ(2δαδδβγ −δαβδγδ)
= a†αaβb†βbα− 1
2a†αaαb†γbγ
= a†αaβ(bαb†β −δαβ)− 1
2a†αaαb†γbγ
= a†αbαb†βaβ−na− 1 2nanb
= J+J−−na− 1 2nanb よって
J2 = 1 2na(1
2na+ 1) +1 2nb(1
2nb + 1) +J+J−−na− 1 2nanb
= 1
2(na+nb)−na+ 1
4(n2a+n2b −2nanb) +J+J−
= −1
2(na−nb)−na+1
4(na−nb)2+J+J−
= J+J−+Jz(Jz−1)
= J−J++Jz(Jz+ 1) 一方、J =iσy =
(
0 1
−1 0 )
として
K+ = a†Jbe† =a†+b†−−a†−b†+ = [a†b†] K− = K†+= [ab]
K3 = 1
2(a†a+b†b) + 1 = 1
2(na+nb) + 1 = 1 2n+ 1
として
[K+,K−] = [a†+b†−−a†−b†+, b−a+−b+a−]
= [a†+b†−, b−a+]−[a†+b†−, b+a−]−[a†−b†+, b−a+] + [a†−b†+, b+a−]
= [a†+b†−, b−a+] + [a†−b†+, b+a−]
= b−[a†+, a+]b†−+a†+[b†−, b−]a++b+[a†−, a−]b†++a†−[b†+, b+]a−
= −b−b†−−a†+a+−b+b†+−a†−a−
= −(na+nb+ 2) =−2Kz
[Kz,K+] = 1
2[na+nb, a†+b†−−a†−b†+]
= 1 2 [
[na, a†+b†−] + [nb, a†+b†−]−[na, a†−b†+]−[nb, a†−b†+] ]
= 1 2 [
[a†+a+, a†+b†−] + [b†−b−, a†+b†−]−[a†−a−, a†−b†+]−[b†+b+, a†−b†+] ]
= 1
2(a†+b†−+b†−a†+−a†−b†+−a†−b†+) = a†+b−−a†−b+
= K+
[Kz,K−] = −K−
また
K+K− = (a†+b†−−a†−b†+)(b−a+−b+a−)
= a†+a+b†−b−−a†−a+b†+b−−a†+a−b†−b++a†−a−b†+b+
= nanb−a†+a+b†+b+−a†−a−b†−b−−a†−a+b†+b−−a†+a−b†−b+
= nanb−a†αaβb†βbα よって
2J1·J2 = a†αaβb†βbα− 1 2nanb
= −K+K−+ 1 2nanb
J2 = 1 2na(1
2na+ 1) + 1 2nb(1
2nb+ 1)− K+K−+1 2nanb
= 1
2(na+nb) + 1
4(n2a+n2b + 2nanb)− K+K−
= 1 2n+1
4(na+nb)2 − K+K−
= 1 2n(1
2n+ 1)− K+K−
= (Kz−1)Kz− K+K−
= (Kz+ 1)Kz− K−K+
ここでJ2, Jz, Jz,Kz は可換なので、その同時固有状態として J2|jmµν⟩ = j(j+ 1)|jmµν⟩
Jz|jmµν⟩ = m|jmµν⟩ Jz|jmµν⟩ = µ|jmµν⟩ Kz|jmµν⟩ = ν|jmµν⟩
としたとき、まず、
µ = j1−j2 ν = j1+j2+ 1 逆に
j1 = µ+ν−1 2 j2 = −µ+ν−1
2 と(j1, j2)⇄(µ, ν) が対応する。
ここで、Jzは通常の角運動量であり
−j ≤µ≤j これより
|j1−j2| ≤j
K については K+K− は半正定値だから
−j(j+ 1) +ν(ν−1) ≥ 0 ν ≥ j+ 1 j1+j2 ≥ j
KzK±|jmµν⟩ = (ν±1)K±|jmµν⟩ より
K±|jmµν⟩ = Cν±|jmµν±1⟩ であるが、規格化因子は
|Cν±|2 = ⟨jmµν|K∓K±|jmµν⟩
= ⟨jmµν|[(Kz±1)Kz−j(j + 1)]|jmµν⟩
= ν(ν±1)−j(j+ 1)
= (ν+j)(ν−j)±(ν∓j)
= (ν∓j)(ν±j±1) よってCν− = 0, ν=j+ 1だから
K−|jmµj+ 1⟩ = 0 これが最小のν であり、
Cν+ = √
(ν−j)(ν+j + 1) ととって、
|jmµj + 2⟩ = 1
√1·(2j+ 2)K+|jmµj + 1⟩
|jmµj + 3⟩ = 1
√1·2·(2j+ 3)(2j+ 2)K2+|jmµj + 1⟩ ...
|jmµν⟩ =
√
(2j+ 1)!
(ν−j−1)!(j+ν)!K+ν−j−1|jmµj + 1⟩
= ωjν(K+)|jmνj+ 1⟩
ここで
ωjν(λ) =
√
(2j+ 1)!
(ν+j)!(ν−j−1)!λν−j−1 またこれは次のようにも書ける。4
[(2j+ 1)!]−1/2
∑∞ ν=j+1
χjν(λ)|jmµν⟩ = eλK+|jmµj+ 1⟩
χjν(λ) = λν−j−1
√
(j +ν)!
(ν−j−1)!
特にν =j+ 1に関してはν =j1+j2+ 1だからj =j1+j2 であり、j1−j2 =µ より
j1 = j+µ 2 j2 = j−µ
2
さらにj =mとすれば,j1+j2 =m1+m2 つまり、j1 =m1,j2 =m2。よって
|jjµj+ 1⟩ = (a†+)j1+m1(b†+)j2+m2
√(j1+m1)!(j2+m2)!|0⟩
= (a†+)j+µ(b†+)j−µ
√(j+µ)!(j−µ)!|0⟩
これを座標変換した形で書き直して
|jjµj+ 1⟩′ = (a′†+)j+µ(b′†+)j−µ
√(j+µ)!(j−µ)!|0⟩ としたものを元の座標で書けば、
√(2j)!∑
m
|jmµj+ 1⟩ϕjm(x) = (xa†)j+µ(xb†)j−µ
√(j+µ)!(j−µ)!|0⟩ (∗: Schwinger(3.18))
4
[(2j+ 1)!]−1/2
∑∞ ν=j+1
λν−j−1
√
(j+ν)!
(ν−j−1)!|jmµν⟩ =
∑∞ ν=j+1
1
(ν−j−1)!(λK+)ν−j−1|jmµj+ 1⟩
= eλK+|jmµj+ 1⟩
ϕjµ(ξ) を掛けて µで和をとれば
√(2j)!∑
mµ
|jmµj + 1⟩ϕjm(x)ϕjµ(ξ) = 1 (2j)!
∑
µ
(ξ+a†x)j+µ(ξ−b†x)j−µ (2j)!
(j+µ)!(j−µ)!|0⟩
= 1
(2j)!(ξ+a†x+ξ−b†x)2j|0⟩ さらにj で足して
√(2j)!∑
jmµ
|jmµj+ 1⟩ϕjm(x)ϕjµ(ξ) = eξ+(xa†)+ξ−(xb†)|0⟩
これにeλK+ =eλ[a†b†] を作用させれば eλ[a†b†]+ξ+(xa†)+ξ−(xb†)|0⟩ = √
(2j)!∑
jmµ
eλK+|jmµj+ 1⟩ϕjm(x)ϕjµ(ξ)
= √
(2j)!∑
jmµν
1
(2j+ 1)!|jmµν⟩ϕjm(x)ϕjµ(ξ)χjν(λ)
= 1
√2j+ 1
∑
jmµν
|jmµν⟩ϕjm(x)ϕjµ(ξ)χjν(λ) (Schwinger(3.35))
また、上記(*)にωjν(K+)を作用させて、
√(2j)!∑
m
|jmµν⟩ϕjm(x) = √
(2j + 1)! [a†b†]ν−j−1(xa†)j+µ(xb†)j−µ
√(ν+j)!(ν−j−1)!(j+µ)!(j−µ)!|0⟩
ここで表示をµ=j1−j2, ν =j1+j2+ 1を使って(j1, j2)に変えると以下の様に なる。
∑
m
|j1j2jm⟩ϕjm(x) =
[ 2j + 1 (j+j1+j2+ 1)!
]1/2
[a†b†]j1+j2−j(xa†)j+j1−j2(xb†)j−j1+j2
√(j1+j2−j)!(j+j1−j2)!(j−j1+j2)!|0⟩
ここで
|j1j2jm⟩ = |jmµν⟩ である。x+ →z∗−, x− → −z∗+, と書いて
(xa†) = x+a†++x−a†− =z−∗a†+−z+∗a†− = [a†z∗] (xb†) = [b†z∗]
∑
m
|j1j2jm⟩ϕjm( (
z−∗
−z+∗ )
) = [ 2j+ 1
(j +j1 +j2 + 1)!
]1/2
[a†b†]j1+j2−j[a†z]j+j1−j2[b†z]j−j1+j2
√(j1+j2−j)!(j +j1 −j2)!(j −j1+j2)!|0⟩ これと
∑
m1m2
|j1m1j2m2⟩ϕj1m1(x)ϕj2m2(y) = e(xa†)+(yb†)|0⟩
との内積をj =j3, m =−m3 として書けば5 6 7
∑
m1m2m3
⟨j1j2j3−m3|j1m1j2m2⟩(−)j3+m3ϕj1m1(x)ϕj2m2(y)ϕj3m3(z)
= (−)j1+j2−j3
[ 2j3+ 1 (j3+j1+j2+ 1)!
]1/2
[yx]j1+j2−j3[xz]j3+j1−j2[yz]j3−j1+j2
√(j1+j2−j3)!(j3+j1−j2)!(j3−j1+j2)!
5
[a†b†] = a†+b†−−a†−b†+
[a†b†]† = b−a+−b+a− =−[ba]
6
ϕjm( ( z−
−z+
)
)) = (z−)j+m(−z+)j−m
√(j+m)!(j−m)!)= (−)j−m (z+)j−m(z−)j+m
√(j+m)!(j−m)!)= (−)j−mϕj−m(z)
7
⟨0|[ba]j1+j2−j3[az]j3+j1−j2[bz]j3−j1+j2e(xa†)+(yb†)|0⟩ = ⟨0|[ba]j1+j2−j3[az]j3+j1−j2[ ∂
∂b†z]j3−j1+j2e(xa†)+(yb†)|0⟩
= ⟨0|[ba]j1+j2−j3[az]j3+j1−j2[yz]j3−j1+j2e(xa†)+(yb†)|0⟩
= ⟨0|[ba]j1+j2−j3[xz]j3+j1−j2[yz]j3−j1+j2e(xa†)+(yb†)|0⟩
= [yx]j1+j2−j3[xz]j3+j1−j2[yz]j3−j1+j2⟨0|e(xa†)+(yb†)|0⟩
= [yx]j1+j2−j3[xz]j3+j1−j2[yz]j3−j1+j2
ここでクレブシュ・ゴルダン係数の定義を思い出して
⟨jm|j1m1j2m2⟩ = ⟨j1j2jm|j1m1j2m2⟩
≡ √
2j + 1⟩(−)j1−j2+mX(j1j2j;m1m2−m)
≡ √
2j + 1⟩(−)j1−j2+m {
j1 j2 j m1 m2 −m
}
によりX記号 ならびに ウィグナーの3j記号 を定義すれば
∑
m1m2m3
X(j1j2j3;m1m2m3)ϕj1m1(x)ϕj2m2(y)ϕj3m3(z)
= 1
√(j1+j2+j3+ 1)!
[yx]j1+j2−j3[xz]j3+j1−j2[yz]j3−j1+j2
√(j1+j2−j3)!(j3+j1−j2)!(j3−j1+j2)!
= 1
√(j1+j2+j3+ 1)!
[yz]j3−j1+j2[zx]j3+j1−j2[xy]j1+j2−j3
√(j1+j2−j3)!(j3+j1−j2)!(j3−j1+j2)!
となる。
これを展開して各次数を比べることでX 係数の具体的な形を定めよう。(J = j1+j2+j3) まず右辺は
∑
m1m2m3
X(j1j2j3;m1m2m3)ϕj1m1(x)ϕj2m2(y)ϕj3m3(z)
= ∑
m1m2m3
X(j;m) 1
∏3
i=1[(ji+mi)!(j1−mi)!]xj+1+m1xj−1−m1y+j2+m2y−j2−m2z+j3+m3zj−3−m3 次に左辺は
√ 1
(j1+j2+j3+ 1)!
[yz]j3−j1+j2[zx]j3+j1−j2[xy]j1+j2−j3
√(j1+j2 −j3)!(j3+j1−j2)!(j3−j1+j2)!
= ∑
n1n2n3
1
[(J+ 1)!(J −2j1)!(J −2j2)!(J −2j3)!]1/2
× (
J−2j1 n1
) (
J −2j2 n2
) (
J−2j3 n3
)
×(y+z−)J−2j1−n1(−y−z+)n1(z+x−)J−2j2−n2(−z−x+)n2(x+y−)J−2j3−n3(−x−y+)n3
= ∑
n1n2n3
(−)n 1 [(J+ 1)!]1/2
∏3 i=1
[(J−2ji)!]1/2 (J −2ji−ni)!ni!
xJ+−2j3−n3+n2xJ−−2j2−n2+n3yJ+−2j1−n1+n3yJ−−2j3−n3+n1zJ+−2j2−n2+n1zJ−−2j1−n1+n2 (∗∗)
ただし、n =n1+n2+n3。次にx+ のべきを比べて
j1+m1 = J−2j3−n3+n2 =j1+j2−j3−n3+n2
書き直して
n2 −n3 = m1−j2+j3
同様に全てを書けば
n2 −n3 = m1−j2+j3
n3 −n1 = m2−j3+j1 n1 −n2 = m3−j1+j2 この条件下で
X(j;m) = ∑
n1n2n3
(−)n 1 [(J+ 1)!]1/2
∏3 i=1
[(ji+mi)!(ji−mi)!(J−2ji)!]1/2 (J −2ji−ni)!ni!
X記号の定義式を以下の様に書いて
∑
m
X(j;m)ϕj1m1(x)ϕj2m2(y)ϕj3m3(z) = [yz]J−2j1[zx]J−2j2[xy]J−2j3
√(J + 1)!(J−2j1)!(J−2j2)!(J−2j3)!
以下のように定義するΦj1j2j3(αβγ)をかけてj1j2j3 で和をとれば、(J−2j1) + (J− 2j2) + (J−2j3) = J に注意して
Φj1j2j3(αβγ) = √
(J+ 1)! αJ−2j1βJ−2j2γJ−2j3
√(J−2j1)!(J−2j2)!(J−2j3)!
∑
jm
X(j;m)ϕj1m1(x)ϕj2m2(y)ϕj3m3(z)Φj1j2j3(αβγ)
= ∑
j1j2j3
(α[yz])J−2j1(β[zx])J−2j2(γ[xy])J−2j3 (J−2j1)!(J−2j2)!(J−2j3)!
=∑
J
∑
j1′+j2′+j3′=J
(α[yz])j1′(β[zx])j′2(γ[xy])j3′ (j1′ +j2′ +j3′)!
=∑
J
(α[yz] +β[zx] +γ[xy])J J!
=eα[yz]+β[zx]+γ[xy]
右辺がX記号の母関数を与える。
これからX記号、ウィグナーの3j記号の対称性は容易にみちびかれる。まず、
右辺は(j1, j2, j3), (m1, m2, m3), (α, β, γ), (x, y, z)の巡回置換に対して不変なので、
(
j1 j2 j3 m1 m2 m3
)
= (
j2 j3 j1 m2 m3 m1
)
= (
j3 j1 j2 m3 m1 m2
)
次に例えばj1 ⇄ j2, m1 ⇄ m2, α ⇄ −β, γ ⇄ −γ, x ⇄ y, に対して右辺は不変、
またΦj2j1j3(−β,−α,−γ) = (−)JΦj1j2j3(α, β, γ)であるから (
j2 j1 j3
m2 m1 m3 )
= (
j3 j2 j1
m3 m2 m1 )
= (
j1 j3 j2
m1 m3 m2 )
= (−)J (
j1 j2 j3
m1 m2 m3 )
また、x+ → x−, y+ → y−, z+ → z−, α → −α, β → −β, γ → −γ に対して [xy]→ −[xy]などとなるので右辺は不変、Φj1j2j3(−α,−β,−γ) = (−)JΦj1j2j3(αβγ), ϕjm →ϕj−mだから
(
j1 j2 j3
−m1 −m2 −m3 )
= (−)J (
j1 j2 j3 m1 m2 m3
)
特にm1 =m2 =m3 = 0 として (
j1 j2 j3
0 0 0
)
= 0 : J =j1+j2+j3 = odd クレブシュ・ゴルダン係数に関して
⟨jm|j2m2, j1m1⟩ = √
2j+ 1(−)j2−j1+m (
j2 j1 j m2 m1 −m
)
= √
2j+ 1(−)j2−j1+m+J (
j1 j2 j m1 m2 −m
)
= (−)j1+j2−j√
2j+ 1(−)j1−j2+m (
j1 j2 j m1 m2 −m
)
= (−)j1+j2−j⟨jm|j1m1, j2m2⟩
さらにθを任意の実数としてx± →x±e±iθ,y±→y±e±iθ,z±→z±e±iθに対して右 辺は自明に不変で左辺は e2iθ(m1+m2+m3) だけ余分な因子がつくので、
(
j1 j2 j3 m1 m2 m3
)
= 0 : m1+m2+m3 ̸= 0
付 録 ディラックのブラケット 記法
以下 ディラックのブラケット記法 についてまとめよう。
A.1 関数空間でのブラケット記法
関数 f とはある数xにある数yを対応させる規則であり,これを f :x 7→ y
y = f(x)
と書く。同様に 演算子 A とは関数 f に関数 g を対応させる規則で A:f 7→ g
g = Af g(x) = (Af)(x)
などと書く。なお 汎関数I とは関数 f に値 yを対応させる規則であり次のように 書かれる。
I :f 7→ y y = I[f(x)]
ここで関数に対する演算子の作用をコンパクトに記述する方法が ディラックのブラケット記法 であるが、これを以下説明しよう。
区間 [a, b] で定義される関数 ψ(x)をベクトルとみて ψ(x) ⇄ |ψ⟩ ψ∗(x) ⇄ ⟨ψ|
119
と書き,⟨ψ|を ブラベクトル,|ψ⟩を ケットベクトル とし,ψ(x)とφ(x)との関数 としての 内積 (ψ, φ)を
(ψ, φ) =
∫
dx ψ∗(x)φ(x)≡ ⟨ψ|φ⟩
と表現する。つまり,ブラとケットはこの内積に関してお互いに共役である。こ れを以下のように書く。
(|ψ⟩)†
= ⟨ψ| (⟨ψ|)†
= |ψ⟩ 更に,演算子Aの関数ψ(x)への作用を
Aψ(x) ⇄ |Aψ⟩=A|ψ⟩ と書く。演算子Aの エルミート共役A† は
(ψ, Aφ) = (A†ψ, φ) であるが
⟨A†ψ| = (
|A†ψ⟩)†
=(
A†|ψ⟩)†
=⟨ψ|(A†)† =⟨ψ|A より
⟨ψ|Aφ⟩ = ⟨A†ψ|φ⟩=⟨ψ|A|φ⟩ と整合的である。くりかえすと
⟨ψ|A|φ⟩ = ⟨ψ|(A|φ) = (⟨ψ|A)|φ⟩ のいずれとみても良いが,
⟨ψ|A = (A†|ψ⟩)† であることに留意する。なお
(⟨ψ|A|φ⟩)∗ = (⟨ψ|Aφ⟩)∗ = (⟨A†ψ|φ⟩)∗ =
∫ dx(
A†ψ(x))
φ∗(x) = ⟨φ|(A†ψ⟩)
= ⟨φ|A†|ψ⟩ である。
また、デルタ関数 に対応するケットベクトルを
|δ(x−a)⟩ = |a⟩ と書けば、一般の関数ψ(x)に対して
⟨a|ψ⟩ =
∫
dx(δ(x−a))∗ψ(x) = ψ(a) よってブラケット記法で関数ψ(x)は次のように表記される
ψ(x) = ⟨x|ψ⟩
特にψ(x) =δ(x−a)の場合,上の定義に従えば|ψ⟩=|a⟩と書いたので
⟨x|a⟩ = δ(x−a) となる。これはケットベクトル|x⟩ の 規格直交性
⟨x|y⟩ = δ(x−y) と理解できる。
規格直交化された関数列{φn(x)} に対してその規格直交性は
⟨φn|φm⟩ = δnm と書け、完全性
∑
n
φn(x)φ∗n(y) = δ(x−y) は
∑
n
⟨x|φn⟩⟨φn|y⟩ = ⟨x|y⟩ となる。よって
∑
n
|φn⟩⟨φn| = 1 がブラケット記法による 完全性 の関係式である。
ここでは,議論をわかり安くするために1次元で議論したが,多次元への拡張 は自明であろう。