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角運動量の合成とウィグナーの 3j 記号

ドキュメント内 量子力学3-2013 (ページ 106-122)

第 3 章 回転群とその表現 79

3.2 シュウィンガーボゾンによる回転群の記述

3.2.8 角運動量の合成とウィグナーの 3j 記号

の対応を示す。

更に、

σ1σ2σ3 = 1σ2σ3u=uiu=iE2

また、

σ1σ2σ3 = QQQσασβσγ

= ∑

γ

[ ∑

α(=β)

(QQ)Qσγ+∑

α̸

QQQσασβσγ

]

= ∑

(α,β,γ)=P(123)

QQQσασβσγ

= ∑

(α,β,γ)=P(123)

QQQiE2ϵαβγ

= iE2detQ よって

detQ = 1

とこれらは角運動量の交換関係を満たす。また、

[J1+,J+] = [a+a, ab] = [a+a, ab] =a+[a, a]b=a+b [J2+,J+] = [b+b, ab] = [b+b, a+b+] =a+[b+, b+]b =−a+b よって J =J1+J2 として

[J+,J+] = 0

([J+,J+]) = [J, J] = 0

[J1+,J] = [a+a, ba] = [a+a, b+a+] =b+[a+, a+]a =−b+a [J2+,J+] = [b+b, ba] = [b+b, ba] =b+[b, b]a=−b+a よって

[J+,J] = 0

([J+,J]) = [J+, J] = 0 [J1z,J+] = 1

2[na+−na−, ab] = 1

2[na+−na−, a+b++ab]

= 1

2[na+, a+b+]1

2[na−, ab] = 1

2(a+b+−ab) [J2z,J+] = 1

2[nb+−nb, ab] = 1

2[nb+−nb, a+b++ab]

= 1

2[nb+, a+b+] 1

2[nb, ab] = 1

2(−a+b++ab) よって

[Jz,J+] = 0

([Jz,J+]) = [Jz,J] = 0 続いて

[Jz,Jz] = 1

4[n+−n, na−nb] = 0 [J1+,Jz] = 1

2[a+a, na−nb] = 1

2[a+a, a+a++aa] = 1

2[a+a, a+a+] + 1

2[a+a, aa]

= = 1

2a+[a+, a+]a+ 1

2a+[a, a]a= 0 [J2+,Jz] = 1

2[b+b, na−nb] =1

2[b+b, b+b++bb] =1

2[b+b, b+b+]1

2[b+b, bb]

= = 1

2b+[b+, b+]b+ 1

2b+[b, b]b= 0

よって

[J+,Jz] = 0

([J+,Jz]) = [J−,Jz]) = 0 以上から

[Ji,Jj] = 0

2J1·J2 = 1

2aαaβbγbδ(2δαδδβγ −δαβδγδ)

= aαaβbβbα 1

2aαaαbγbγ

= aαaβ(bαbβ −δαβ) 1

2aαaαbγbγ

= aαbαbβaβ−na 1 2nanb

= J+J−na 1 2nanb よって

J2 = 1 2na(1

2na+ 1) +1 2nb(1

2nb + 1) +J+J−na 1 2nanb

= 1

2(na+nb)−na+ 1

4(n2a+n2b 2nanb) +J+J

= 1

2(na−nb)−na+1

4(na−nb)2+J+J

= J+J+Jz(Jz1)

= JJ++Jz(Jz+ 1) 一方、J =y =

(

0 1

1 0 )

として

K+ = aJbe =a+b−ab+ = [ab] K = K+= [ab]

K3 = 1

2(aa+bb) + 1 = 1

2(na+nb) + 1 = 1 2n+ 1

として

[K+,K] = [a+b−ab+, ba+−b+a]

= [a+b, ba+][a+b, b+a][ab+, ba+] + [ab+, b+a]

= [a+b, ba+] + [ab+, b+a]

= b[a+, a+]b+a+[b, b]a++b+[a, a]b++a[b+, b+]a

= −bb−a+a+−b+b+−aa

= (na+nb+ 2) =2Kz

[Kz,K+] = 1

2[na+nb, a+b−ab+]

= 1 2 [

[na, a+b] + [nb, a+b][na, ab+][nb, ab+] ]

= 1 2 [

[a+a+, a+b] + [bb, a+b][aa, ab+][b+b+, ab+] ]

= 1

2(a+b+ba+−ab+−ab+) = a+b−ab+

= K+

[Kz,K] = −K

また

K+K = (a+b−ab+)(ba+−b+a)

= a+a+bb−aa+b+b−a+abb++aab+b+

= nanb−a+a+b+b+−aabb−aa+b+b−a+abb+

= nanb−aαaβbβbα よって

2J1·J2 = aαaβbβbα 1 2nanb

= −K+K+ 1 2nanb

J2 = 1 2na(1

2na+ 1) + 1 2nb(1

2nb+ 1)− K+K+1 2nanb

= 1

2(na+nb) + 1

4(n2a+n2b + 2nanb)− K+K

= 1 2n+1

4(na+nb)2 − K+K

= 1 2n(1

2n+ 1)− K+K

= (Kz1)Kz− K+K

= (Kz+ 1)Kz− KK+

ここでJ2, Jz, Jz,Kz は可換なので、その同時固有状態として J2|jmµν⟩ = j(j+ 1)|jmµν⟩

Jz|jmµν⟩ = m|jmµν⟩ Jz|jmµν⟩ = µ|jmµν⟩ Kz|jmµν⟩ = ν|jmµν⟩

としたとき、まず、

µ = j1−j2 ν = j1+j2+ 1 逆に

j1 = µ+ν−1 2 j2 = −µ+ν−1

2 と(j1, j2)⇄(µ, ν) が対応する。

ここで、Jzは通常の角運動量であり

−j ≤µ≤j これより

|j1−j2| ≤j

K については K+K は半正定値だから

−j(j+ 1) +ν(ν−1) 0 ν j+ 1 j1+j2 j

KzK±|jmµν⟩ = (ν±1)K±|jmµν⟩ より

K±|jmµν⟩ = Cν±|jmµν±1 であるが、規格化因子は

|Cν±|2 = ⟨jmµν|KK±|jmµν⟩

= ⟨jmµν|[(Kz±1)Kz−j(j + 1)]|jmµν⟩

= ν(ν±1)−j(j+ 1)

= (ν+j)(ν−j)±∓j)

= (ν∓j)(ν±j±1) よってCν = 0, ν=j+ 1だから

K|jmµj+ 1 = 0 これが最小のν であり、

Cν+ = √

−j)(ν+j + 1) ととって、

|jmµj + 2 = 1

√1·(2j+ 2)K+|jmµj + 1

|jmµj + 3 = 1

√1·2·(2j+ 3)(2j+ 2)K2+|jmµj + 1 ...

|jmµν⟩ =

(2j+ 1)!

−j−1)!(j+ν)!K+νj1|jmµj + 1

= ω(K+)|jmνj+ 1

ここで

ω(λ) =

(2j+ 1)!

(ν+j)!(ν−j−1)!λνj1 またこれは次のようにも書ける。4

[(2j+ 1)!]1/2

ν=j+1

χ(λ)|jmµν⟩ = eλK+|jmµj+ 1

χ(λ) = λν−j−1

(j +ν)!

−j−1)!

特にν =j+ 1に関してはν =j1+j2+ 1だからj =j1+j2 であり、j1−j2 =µ より

j1 = j+µ 2 j2 = j−µ

2

さらにj =mとすれば,j1+j2 =m1+m2 つまり、j1 =m1,j2 =m2。よって

|jjµj+ 1 = (a+)j1+m1(b+)j2+m2

√(j1+m1)!(j2+m2)!|0

= (a+)j+µ(b+)jµ

√(j+µ)!(j−µ)!|0

これを座標変換した形で書き直して

|jjµj+ 1 = (a′†+)j+µ(b′†+)jµ

√(j+µ)!(j−µ)!|0 としたものを元の座標で書けば、

√(2j)!∑

m

|jmµj+ 1⟩ϕjm(x) = (xa)j+µ(xb)jµ

√(j+µ)!(j−µ)!|0 (: Schwinger(3.18))

4

[(2j+ 1)!]1/2

ν=j+1

λνj1

(j+ν)!

j1)!|jmµν =

ν=j+1

1

j1)!K+)νj1|jmµj+ 1

= eλK+|jmµj+ 1

ϕ(ξ) を掛けて µで和をとれば

√(2j)!∑

|jmµj + 1⟩ϕjm(x)ϕ(ξ) = 1 (2j)!

µ

+ax)j+µbx)jµ (2j)!

(j+µ)!(j−µ)!|0

= 1

(2j)!(ξ+ax+ξbx)2j|0 さらにj で足して

√(2j)!∑

jmµ

|jmµj+ 1⟩ϕjm(x)ϕ(ξ) = eξ+(xa)+ξ(xb)|0

これにeλK+ =eλ[ab] を作用させれば eλ[ab]+ξ+(xa)+ξ(xb)|0 = √

(2j)!∑

jmµ

eλK+|jmµj+ 1⟩ϕjm(x)ϕ(ξ)

= √

(2j)!∑

jmµν

1

(2j+ 1)!|jmµν⟩ϕjm(x)ϕ(ξ)χ(λ)

= 1

2j+ 1

jmµν

|jmµν⟩ϕjm(x)ϕ(ξ)χ(λ) (Schwinger(3.35))

また、上記(*)にω(K+)を作用させて、

√(2j)!∑

m

|jmµν⟩ϕjm(x) = √

(2j + 1)! [ab]νj1(xa)j+µ(xb)jµ

√(ν+j)!(ν−j−1)!(j+µ)!(j−µ)!|0

ここで表示をµ=j1−j2, ν =j1+j2+ 1を使って(j1, j2)に変えると以下の様に なる。

m

|j1j2jm⟩ϕjm(x) =

[ 2j + 1 (j+j1+j2+ 1)!

]1/2

[ab]j1+j2j(xa)j+j1j2(xb)jj1+j2

√(j1+j2−j)!(j+j1−j2)!(j−j1+j2)!|0

ここで

|j1j2jm⟩ = |jmµν⟩ である。x+ →z, x → −z+, と書いて

(xa) = x+a++xa =za+−z+a = [az] (xb) = [bz]

m

|j1j2jm⟩ϕjm( (

z

−z+ )

) = [ 2j+ 1

(j +j1 +j2 + 1)!

]1/2

[ab]j1+j2j[az]j+j1j2[bz]jj1+j2

√(j1+j2−j)!(j +j1 −j2)!(j −j1+j2)!|0 これと

m1m2

|j1m1j2m2⟩ϕj1m1(x)ϕj2m2(y) = e(xa)+(yb)|0

との内積をj =j3, m =−m3 として書けば5 6 7

m1m2m3

⟨j1j2j3−m3|j1m1j2m2()j3+m3ϕj1m1(x)ϕj2m2(y)ϕj3m3(z)

= ()j1+j2−j3

[ 2j3+ 1 (j3+j1+j2+ 1)!

]1/2

[yx]j1+j2j3[xz]j3+j1j2[yz]j3j1+j2

√(j1+j2−j3)!(j3+j1−j2)!(j3−j1+j2)!

5

[ab] = a+bab+

[ab] = ba+b+a =[ba]

6

ϕjm( ( z

z+

)

)) = (z)j+m(z+)jm

(j+m)!(jm)!)= ()jm (z+)jm(z)j+m

(j+m)!(jm)!)= ()jmϕjm(z)

7

0|[ba]j1+j2j3[az]j3+j1j2[bz]j3j1+j2e(xa)+(yb)|0 = 0|[ba]j1+j2j3[az]j3+j1j2[

∂bz]j3j1+j2e(xa)+(yb)|0

= 0|[ba]j1+j2j3[az]j3+j1j2[yz]j3j1+j2e(xa)+(yb)|0

= 0|[ba]j1+j2j3[xz]j3+j1j2[yz]j3j1+j2e(xa)+(yb)|0

= [yx]j1+j2j3[xz]j3+j1j2[yz]j3j1+j20|e(xa)+(yb)|0

= [yx]j1+j2j3[xz]j3+j1j2[yz]j3j1+j2

ここでクレブシュ・ゴルダン係数の定義を思い出して

⟨jm|j1m1j2m2 = ⟨j1j2jm|j1m1j2m2

2j + 1()j1j2+mX(j1j2j;m1m2−m)

2j + 1()j1j2+m {

j1 j2 j m1 m2 −m

}

によりX記号 ならびに ウィグナーの3j記号 を定義すれば

m1m2m3

X(j1j2j3;m1m2m3j1m1(x)ϕj2m2(y)ϕj3m3(z)

= 1

√(j1+j2+j3+ 1)!

[yx]j1+j2j3[xz]j3+j1j2[yz]j3j1+j2

√(j1+j2−j3)!(j3+j1−j2)!(j3−j1+j2)!

= 1

√(j1+j2+j3+ 1)!

[yz]j3j1+j2[zx]j3+j1j2[xy]j1+j2j3

√(j1+j2−j3)!(j3+j1−j2)!(j3−j1+j2)!

となる。

これを展開して各次数を比べることでX 係数の具体的な形を定めよう。(J = j1+j2+j3) まず右辺は

m1m2m3

X(j1j2j3;m1m2m3j1m1(x)ϕj2m2(y)ϕj3m3(z)

= ∑

m1m2m3

X(j;m) 1

3

i=1[(ji+mi)!(j1−mi)!]xj+1+m1xj1m1y+j2+m2yj2m2z+j3+m3zj3m3 次に左辺は

√ 1

(j1+j2+j3+ 1)!

[yz]j3j1+j2[zx]j3+j1j2[xy]j1+j2j3

√(j1+j2 −j3)!(j3+j1−j2)!(j3−j1+j2)!

= ∑

n1n2n3

1

[(J+ 1)!(J 2j1)!(J 2j2)!(J 2j3)!]1/2

× (

J−2j1 n1

) (

J 2j2 n2

) (

J−2j3 n3

)

×(y+z)J2j1n1(−yz+)n1(z+x)J2j2n2(−zx+)n2(x+y)J2j3n3(−xy+)n3

= ∑

n1n2n3

()n 1 [(J+ 1)!]1/2

3 i=1

[(J2ji)!]1/2 (J 2ji−ni)!ni!

xJ+2j3n3+n2xJ2j2n2+n3yJ+2j1n1+n3yJ2j3n3+n1zJ+2j2n2+n1zJ2j1n1+n2 (∗∗)

ただし、n =n1+n2+n3。次にx+ のべきを比べて

j1+m1 = J−2j3−n3+n2 =j1+j2−j3−n3+n2

書き直して

n2 −n3 = m1−j2+j3

同様に全てを書けば

n2 −n3 = m1−j2+j3

n3 −n1 = m2−j3+j1 n1 −n2 = m3−j1+j2 この条件下で

X(j;m) =

n1n2n3

()n 1 [(J+ 1)!]1/2

3 i=1

[(ji+mi)!(ji−mi)!(J2ji)!]1/2 (J 2ji−ni)!ni!

X記号の定義式を以下の様に書いて

m

X(j;m)ϕj1m1(x)ϕj2m2(y)ϕj3m3(z) = [yz]J2j1[zx]J2j2[xy]J2j3

√(J + 1)!(J2j1)!(J2j2)!(J2j3)!

以下のように定義するΦj1j2j3(αβγ)をかけてj1j2j3 で和をとれば、(J2j1) + (J 2j2) + (J2j3) = J に注意して

Φj1j2j3(αβγ) = √

(J+ 1)! αJ2j1βJ2j2γJ2j3

√(J2j1)!(J2j2)!(J2j3)!

jm

X(j;m)ϕj1m1(x)ϕj2m2(y)ϕj3m3(z)Φj1j2j3(αβγ)

= ∑

j1j2j3

(α[yz])J−2j1(β[zx])J−2j2(γ[xy])J−2j3 (J2j1)!(J2j2)!(J2j3)!

=∑

J

j1+j2+j3=J

(α[yz])j1(β[zx])j2(γ[xy])j3 (j1 +j2 +j3)!

=∑

J

(α[yz] +β[zx] +γ[xy])J J!

=eα[yz]+β[zx]+γ[xy]

右辺がX記号の母関数を与える。

これからX記号、ウィグナーの3j記号の対称性は容易にみちびかれる。まず、

右辺は(j1, j2, j3), (m1, m2, m3), (α, β, γ), (x, y, z)の巡回置換に対して不変なので、

(

j1 j2 j3 m1 m2 m3

)

= (

j2 j3 j1 m2 m3 m1

)

= (

j3 j1 j2 m3 m1 m2

)

次に例えばj1j2, m1m2, α−β, γ−γ, xy, に対して右辺は不変、

またΦj2j1j3(−β,−α,−γ) = (−)JΦj1j2j3(α, β, γ)であるから (

j2 j1 j3

m2 m1 m3 )

= (

j3 j2 j1

m3 m2 m1 )

= (

j1 j3 j2

m1 m3 m2 )

= ()J (

j1 j2 j3

m1 m2 m3 )

また、x+ x, y+ y, z+ z, α → −α, β → −β, γ → −γ に対して [xy]→ −[xy]などとなるので右辺は不変、Φj1j2j3(−α,−β,−γ) = (−)JΦj1j2j3(αβγ), ϕjm →ϕjmだから

(

j1 j2 j3

−m1 −m2 −m3 )

= ()J (

j1 j2 j3 m1 m2 m3

)

特にm1 =m2 =m3 = 0 として (

j1 j2 j3

0 0 0

)

= 0 : J =j1+j2+j3 = odd クレブシュ・ゴルダン係数に関して

⟨jm|j2m2, j1m1 = √

2j+ 1()j2−j1+m (

j2 j1 j m2 m1 −m

)

= √

2j+ 1()j2j1+m+J (

j1 j2 j m1 m2 −m

)

= ()j1+j2j

2j+ 1()j1j2+m (

j1 j2 j m1 m2 −m

)

= ()j1+j2j⟨jm|j1m1, j2m2

さらにθを任意の実数としてx± →x±e±,y±→y±e±,z±→z±e±に対して右 辺は自明に不変で左辺は e2iθ(m1+m2+m3) だけ余分な因子がつくので、

(

j1 j2 j3 m1 m2 m3

)

= 0 : m1+m2+m3 ̸= 0

付 録 ディラックのブラケット 記法

以下 ディラックのブラケット記法 についてまとめよう。

A.1 関数空間でのブラケット記法

関数 f とはある数xにある数yを対応させる規則であり,これを f :x 7→ y

y = f(x)

と書く。同様に 演算子 A とは関数 f に関数 g を対応させる規則で A:f 7→ g

g = Af g(x) = (Af)(x)

などと書く。なお 汎関数I とは関数 f に値 yを対応させる規則であり次のように 書かれる。

I :f 7→ y y = I[f(x)]

ここで関数に対する演算子の作用をコンパクトに記述する方法が ディラックのブラケット記法 であるが、これを以下説明しよう。

区間 [a, b] で定義される関数 ψ(x)をベクトルとみて ψ(x)|ψ⟩ ψ(x) ⇄ ⟨ψ|

119

と書き,⟨ψ|を ブラベクトル,|ψ⟩を ケットベクトル とし,ψ(x)とφ(x)との関数 としての 内積 (ψ, φ)を

(ψ, φ) =

dx ψ(x)φ(x)≡ ⟨ψ|φ⟩

と表現する。つまり,ブラとケットはこの内積に関してお互いに共役である。こ れを以下のように書く。

(|ψ⟩)

= ⟨ψ| (⟨ψ|)

= |ψ⟩ 更に,演算子Aの関数ψ(x)への作用を

Aψ(x)|Aψ⟩=A|ψ⟩ と書く。演算子Aの エルミート共役A

(ψ, Aφ) = (Aψ, φ) であるが

⟨Aψ| = (

|Aψ⟩)

=(

A|ψ⟩)

=⟨ψ|(A) =⟨ψ|A より

⟨ψ|Aφ⟩ = ⟨Aψ|φ⟩=⟨ψ|A|φ⟩ と整合的である。くりかえすと

⟨ψ|A|φ⟩ = ⟨ψ|(A|φ) = (⟨ψ|A)|φ⟩ のいずれとみても良いが,

⟨ψ|A = (A|ψ⟩) であることに留意する。なお

(⟨ψ|A|φ⟩) = (⟨ψ|Aφ⟩) = (⟨Aψ|φ⟩) =

dx(

Aψ(x))

φ(x) = ⟨φ|(Aψ⟩)

= ⟨φ|A|ψ⟩ である。

また、デルタ関数 に対応するケットベクトルを

|δ(x−a)⟩ = |a⟩ と書けば、一般の関数ψ(x)に対して

⟨a|ψ⟩ =

dx(δ(x−a))ψ(x) = ψ(a) よってブラケット記法で関数ψ(x)は次のように表記される

ψ(x) = ⟨x|ψ⟩

特にψ(x) =δ(x−a)の場合,上の定義に従えば|ψ⟩=|a⟩と書いたので

⟨x|a⟩ = δ(x−a) となる。これはケットベクトル|x⟩ の 規格直交性

⟨x|y⟩ = δ(x−y) と理解できる。

規格直交化された関数列n(x)} に対してその規格直交性は

⟨φnm = δnm と書け、完全性

n

φn(x)φn(y) = δ(x−y)

n

⟨x|φn⟩⟨φn|y⟩ = ⟨x|y⟩ となる。よって

n

n⟩⟨φn| = 1 がブラケット記法による 完全性 の関係式である。

ここでは,議論をわかり安くするために1次元で議論したが,多次元への拡張 は自明であろう。

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