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IV、 イントネーション
1. はじあに
本章では,独話の共通資料のイントネーションを分析調査して,その実態を 賜らかにするとともに,「話しことばの文型」のために,イントネーションが 積極的に果たす役割りはどのようなものか,また,消極的にどのような参与を しているものかを,述べようとする。このような分析調査のためには,もとよ り,イントネーションに関する基本的な考えかたを定めなければならないか
ら,「認しことばの文型(1)」にひきつづき,基本的な諸問題についての考究をおこない,それにともなって前報告書の考えかたを改めたところがある。調査 対象は,独話共通資料に限定されるが,基本的な問題については,臨時の用例
をひくことがある。2. イントネz一シaンのつかまえかた 2d アクセントとイントネーション
音調を,アクセントとイントネーションとにわける。アクセントは,2段観 でとらえられた高低配置の形と型とし,イントネーションは,アクセントを帯 びた形式が,話し手の判断や情意の表現のために受けるところの,上がり下が
りの変容の形と型とする。たとえば,
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可ン・ネーシ・膿::::::。需鑑/(野縁,/,
したがって,アクセントとイントネーションの2っの型を表記するには,た 一A一 一 とえば,「ハナガ サイタ/」のようにする。Kントネーションの分類とその
表記法については,以下に詑す。2・2老隼:アクセントとイントネーション
イントネーションの当面の調査対象は,東京アクセントと認められる資料に 限定したから,部分的に,他の方書アクセントがあらわれたときは対象外とし た。したがって,アクセントの認定は,だいたい客観的にできるけれども,い わゆる準アクセントの問題もあるから,アクセントとイントネーションとの弁 別については,あらかじめ,はっきりさせておかなければならない。ここで は,つぎのように考えた。すなわち,語(単語)以上の形式のアクセントにつ いて,つぎの4種のアクセントを認める。
(D 語連続のアクセント ……(例)アラシガ,タルト,(「嵐が」,「来ると」)
(2)語結合のアクセント ……(例) デラシガ,ジルト,(「嵐が」,「来ると」〉
(3):文節連続のアクセント …(例) アラシガクルト,(「嵐が来ると」)
(4)文節結合のアクセント ・・ (例)ヲラシガクルト,(「嵐が来ると」)
これらのアクセントの形が文において用いられるならば,そのまま文の音調
として通用すると認められる。しかし,これらのすべてが,文の音調として,平静かっ無表情に,特別の意味を加えることなく使われるとは限らない。この
うちの(1)のアクセントの形が,文の音調として実現したとすれば,それは特携な強調の意味の表現にあずかると認められる。つまり,「アラシガ」や「クル 下」などは,アクセント論での見かたによっては,アクセントの2っの形の結 びついたものと奪われるけれども,それはアクセント論としての体系の問題に 属することであって,もしそれが文の音調として実現すれば,そのま敦文のな
かで,平静で無表情な音調として使われることはないのではないかと考える。文のなかで,平静で無表情な音調として使われるときは, 「アラシガ……」
「タルト……」などのように,あとのほうの高い部分は,ごく低くなってしま
って,2段観の低いほうに見られる音調となるのが普通である。つまり,語結 合のアクセントの形をとるのが普通である。もし,「アラシガ……jとか
「タルト……」などのように,助詞がはっきり高く発音されれば,それは,文 の音調としては,何らかの強調率立の気持の表現にあずかるものと思われる。
それは,後に述べる「卓立表環のイントネ…シesン」になってしまうと考える。
(「ガ」や「ト」などはともかくとして,「ラレル」「vaウダ」「パカリ」その他,アク セント論上の語の認定とからみ,細部には,なお問題がある。一部,後に述べる。)
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2・3 イントネーションの分類と表記法
為書に扱うイントネーシeンは,つぎの2種に限定する。(イントネーシ。ン
に関する例文の表記だけは,すべてカタカナの表音式とし,「 」に入れた。)(O 意図表現のイントネーション
「アラシガ クルヨ\」,「アラシガクルヨ\」
「ハナガ サイタネ/」,「ハナガサイタネ/」
このイントネーションは,\ および ノ であらわす。これは,文末述 語の末尾の音節について,話し手の判断叙述や質問などの意図表現に参与す るものである。それぞれのイントネーションの形そのものは,ピッチレコー ダーによってもそのままではあらわれてこないものだが,それを,聞きとり
で解釈し抽象化して折線であらわし,「ii;LZZzlt 乃ヒ三」 「アラシガクルヨ」「アラシガクルヨJ
rPt壷、…ナガサイタ、, r」・ナガサイ」
のように表記する。ただし,つねに折線で表記することは,印劉の便宜上,
避けなければならないから,簡略表記として,2っの型 \ および ノ に限ることを原則とする。このような解釈によれば,質問のばあいの上がる 音調だけが,他と対立するから,他は上がらない音調と見られる。前者を
「上昇調」と称し,後者を,これと対立的な意味で「下降調」と称し,それぞれ / \ であらわした。「下降調」の概念は,「話しことばの文型(1)」での 「平調」の概念とほぼ対応する。この名称の問題については,後に触れる。(2)卓立表現のイントネーション
「アラシガ クルヨJ,「と願サイタネ,fの「ガ」の高い音調,
「アラシが列ヒ戸」,「ハナガサイタネ」の「ヨ」「ネ」の高い音調等,
これらは,いずれも,何らかの 強調 的な気持を話し手が表環するため
の4ントネーションであって,文の音調に変化を与える。意図表現イントネ ーションが知的内容の表現のためのイントネーシeンであるのに対して,こ れは強調的情意の表現のためのイントネーションである。多くは,とくに高
められる音調であるが,まれには,とくに低められる音調もある。これを,それぞれ「高調」「低調」と称し,それぞれ,〈 v であらわす。
以上をまとめて一覧すればつぎのとおりである。
アクセント
不意
;i烈
シ表 ヨ現 ンイ 付ン 加ト
卓立表現イント ネーション付目加
形 の 例
「一列と旦
アラシガクルヨ
ラ藩論勉
t>iii『ガサイタネ
アラシガヲ雄
7巨シガクルヨ
施シが死グ」
iL]ewサイタネ
,iSXtti編
アラシが列蝿
IFI2−2:一Labr mp 酔アラシガクルヨ
アラシガラ助
∠施:緬 es砺、
形の抽象蓑記例
アラシガ クルヨ アラシガクルヨ アラシガ クルカ ハナガ サイタネ ハナガサイタネ アラシガ クルヨ \ ララシガクルヨ\
ブラシガ ーグルカ/
ハチガ サイタネ\
ハナガ サイタネ/
ム
アラシガ クルヨ\
ム ララシガ クルヨ\
_ ム アラシガクルヨ\
ム
アラシガ .グルカ/
ヘム ハナガ サイタネ\
ノ ハナガ サイタネ/
型の表記例
<この表記は 当面不要〉
アラシガ クルヨ\
アラシガクルヨ\
アラシガ クルカ/
ハナガ サイタネ\
ハナガ サイタネ/
ムアラシガ クルヨ\
ム アラシガ クルヨ\
ム アラシガクルヨ\
ムアラシガ クルカ/
ム ハナガ サイタネ\
ムハナガ サイタネ/
意
︵
味)
(嵐が来るよ)
(嵐が来るよ)
(嵐が来るか)
(花が咲いたね)
(花が咲いたね)
t
(嵐が来るよ。)
(嵐が来るよ。)
(嵐が来るか?)
(花が咲いたね。)
(1{Eカミゆミ㌧Nfo2a?)
(嵐が来るよ。)
:器凝:一
(嵐が来るか〜)
1
(花が咲いたね。)i
(花が咲いたね?)
以上,本書に扱うイントネーションの概要を述べたが,これらのイントネー
ション1,C類する文の音調は,まだほかにもあり,考えかたによっては,それも文の音調として,広義イントネーーションに含められるのではないかと言われ
る。たとえば,噺 リョーミンワ カンコノコエオモッテコレオムカエ…」
(「沿線の良日は 歓呼の声を以って これを調え……」)
田「雁 ワガコーソコーソー クニオハジムルコト認一エンユ……:
(「朕思うに・ わが皇祖皇家 国を肇むること宏遠に……」)
・し
回げ ハト 盛エ医……」 (「花紅蓮 桝・…・・
ほ ロ ロ
などの朗読調あるいはそれに準ずるふしまわしである。また,たとえば,
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「1}Fljデハナサカジイサンノ オハナシオ シテアゲマスカラ・・… 」
「ワタクシワ藤織2)mpユ1スコトガ盈ゴ、
など,文節ごとに,またはいくつかの文節のまとまりごとに,末尾の音節を高
く言う調子もある。これは,1っずつでは卓立表現のイントネーーションであるり り
が,全体として1っのふしまわしになっているという印象を与える。また,子
どものダダコネ調と言われる,「盈盈 ボクノウチーーカエルンダイ」
などは,文節または文節群ひとまとまりの末尾から2音節鼠が高められるよう である。また,「いやだ」という意味の「イヤーン」ということばは,特定の
アクセントをきめにくく,いろいろな音調で,「蝦二≧」, 「胴≧」,「梱『セ」 「不モ『≧」, r不砲3
などと言う。こういう感動詞類は,、どれがアクセントだとも,卓立表現のイントネーションだとも言いがたい。
コ ロ の ロ
これら,さまざまなふしまわしは,当面の独話資料にはほとんど出て来なか ったけれども,イントネーションの範囲に入れるかどうか問題であり,俗に言
ロ つ サ
うイントネーションには,こういうふしまわしも含められているようである。
本書では,これらは,当面扱うところのイントネーションの範囲には入れない
でおくことにした。理由の1っは,これらの多くが,アクセントにとらわれず,その場面での話
し手の情緒の表現のためにとられるふしまわしであって,極端なばあいに恩,
浪繭の歌う調子のようなものにもなりうる。さらには,歌曲のメロディーにも,
通じる性質のものであろう。これらは種々雑多な音調として,個携的・情緒的 であって,ことばの内容よりは,より多く感情の直接的表現にあずかるものと 考えられる。理由の第2は,イントネーションは「文」の音調であるが,こう
ロ ロ