地方創生
大都 市に 住む 高齢 者が 住み 替え
、地 域貢 献や 生涯 学習 をし なが ら健 康時 から 介護 時ま で安 心し て暮 らせ る住 宅 コミ ュニ ティ ー﹁ 日本 版C CR C︵ContinuingCare
﹂︶ が注 目さ れて いる
。元 気な う
RetirementCommunity
ちに 多世 代が 集う コミ ュニ ティ ーに 参加 して 充実 した 人
生を 送り
、健 康寿 命を 可能 なか ぎり 伸ば すと とも に、 要 介護 状態 にな って も継 続的 な医 療・ 介護 サー ビス が受 け られ る点 も特 徴の 一つ であ る。 CC RC 発祥 の地 であ るア メリ カで は約 二〇
〇〇 カ所 のコ ミュ ニテ ィー があ り、 計七
〇万 人ほ どが 居住 して い る。 市場 規模 はじ つに 約三 兆円
。C CR Cで 見ら れる の は、 担い 手と なり 生き がい をも って 暮ら す元 気な 高齢 者
︵ア クテ ィブ シニ ア︶ の姿 であ る。 現在
、わ が国 でも
﹁日 本版 CC RC
﹂を 根付 かせ るべ く、 国や 地方 で議 論が 進め られ てい る。 政府 は一 昨年
、
﹁日 本版 CC RC 構想 有識 者会 議﹂
︵座 長・ 増田 寛也 元総
Voice May, 2017 132
務相 を︶ 設置
。全 国で 約二 三〇 の地 方自 治体 が、 推進 意 向を 示し てい る。 同会 議委 員の 主要 メン バー であ る松 田 智生 氏に
、﹁ 日本 版C CR C﹂ 構想 の展 望と 課題 を聞 い た。
﹁人 生二 期作
﹂と
﹁人 生二 毛作
﹂
﹁日 本版 CC RC
﹂は
、ア クテ ィブ シニ アの 住み 替え だけ でな く、 地域 住民 と交 流し なが ら健 康的 で自 立 した 生活 を送 り、 医療 や介 護の 安心 が備 わっ た地 域づ く りを めざ すと いわ れて いま す。 そも そも アク ティ ブシ ニ アと は、 どう いう 人の こと を指 すの でし ょう か。 松田
アク ティ ブシ ニア とは
﹁W IL L︵ やり たい こ と︶
﹂と
﹁C AN
︵で きる こと
﹂︶ が明 らか にな って いる 人た ちと いえ るで しょ う。 たと えば 仕事 一筋 の人 が、 リタ イア した 途端 に無 気力 状態 にな って しま うこ とは 多々 あり ます
。ま た、 組織 で 細分 化さ れた 一部 の専 門性 しか ない にも かか わら ず、 仕 事全 般を マス ター して いる と勘 違い して いる 人も いる
。 つま り﹁ 自分 は何 がし たく て、 何が でき るの か﹂ をわ か って いな いシ ニア は意 外に 多い ので す。 大企 業の 役員 や 部長 だっ た人 でも
、い ざリ タイ アし たら 自分 のW IL L
やC AN が何 一つ 発見 でき ない とい う事 態に なっ てし ま う。 そう なら ない よう に、
﹁や りた いこ と﹂
﹁で きる こと
﹂ を明 確に 描け るの がア クテ ィブ シニ アに なる とい うこ と です ア 。 クテ ィブ シニ アの もう 一つ のキ ーワ ード は、
﹁き ょ うよ う﹂
﹁き ょう いく
﹂で す。 つま り﹁ 今日 用= 今日 用 事が ある
﹂と
﹁今 日行 く= 今日 行く 場所 があ る﹂ こと で す。 たと えば 早起 きし て農 園に 通い
、日 中は 大学 で栄 養 学を 学び
、地 元の 特産 品の 販路 拡大 を話 し合 う。 夜は ホ スト
・フ ァミ リー の留 学生 と食 事を し、 ジャ ズバ ーで 音 楽仲 間と 談笑
。こ んな 一日 も夢 では あり ませ ん。 羨ま しい ほど 充実 した 生活 です が、 実際 こう した 暮ら しを 行な うア クテ ィブ シニ アは 存在 する ので しょ う か。 松田
たと えば 大手 出版 社に 勤め てい た方 で、 リタ イ ア後
、高 知市 に移 住し た例 があ りま す。 漫画
﹃釣 りバ カ 日誌
﹄︵ 小学 館︶ の初 代編 集担 当で
、主 人公
﹁ハ マち ゃ ん﹂ のモ デル で大 の釣 り好 き。 高知 で釣 り三 昧の 日々 を 楽し みな がら
、編 集者 だっ た経 験を 活か して 農業 や観 光 や移 住の アド バイ ザー とし て活 躍中 です
。現 役時 代の 強
133 アクティブシニアで地方創生
みを 存分 に発 揮し た﹁ 人生 二期 作﹂ です ね。 さら に、 最 近は 高知 大学 の特 任教 授と なり
、新 たな キャ リア の﹁ 人 生二 毛作
﹂も 始め てい ます
。 リタ イア した シニ アに とっ て寂 しい のが
、交 わす 名刺 が無 くな るこ とだ そう です
。そ の意 味で は、 大学 の特 任 教授 の名 刺が ある のは 嬉し いこ とだ と思 いま す。
﹁い まが 人生 でい ちば ん幸 せ﹂ 首都 圏勤 務だ った 人が
、急 に地 方に 移住 する のは ハー ドル が高 いよ うに も思 えま すが
。 松田
この 高知 移住 の方 がい うに は、
﹁田 舎暮 らし
﹂ はす ぐに 飽き てし まう そう です
。地 方の 中心 市街 地な ら、 病院 や学 校、 お洒 落な バー やイ タリ アン だけ でな く、 赤ち ょう ちん やス ナッ クも 充実 して いま す︵ 笑︶
。 もう 一人 の例 は、 早期 退職 制度 でリ タイ アし て佐 世保 市︵ 長崎 県︶ に移 住し た大 手ビ ール 会社 の役 員。 この 方 は長 崎支 社長 を四 年半 務め
、﹁ 第二 の故 郷で もあ る長 崎 に恩 返し をし たい
﹂と 移住 を決 めま した
。学 生時 代に 六 大学 野球 で活 躍し てい た腕 前を 活か し、 大学 野球 部の コ ーチ を務 めて いま す。 彼の ケー スも
﹁人 生二 毛作
﹂モ デ ルで すね
。
企業 戦士 時代 は、 大企 業の
﹁鎧よろ
﹂い
を身 に着 けて いる よ うな 厳し いイ メー ジで した が、 現在 は真 っ黒 に日 焼け し た顔 でマ イル ドな 印象 で、
﹁い まが 人生 でい ちば ん幸 せ﹂ だそ うで す。 この 方は 移住 した 際、 地元 の人 から
﹁お 帰り なさ い﹂ とい われ たの が何 より 嬉し かっ たそ うで す。 たし かに 知 らな い土 地よ り、 知人 がい て思 い入 れの ある 場所 のほ う がよ いで しょ う。 彼の よう な﹁ 転勤 族の 恩返 し型
﹂も
、 CC RC の理 想的 なか たち とい えま す。 説明 を聞 いて いる だけ で、 元気 で明 るい 高齢 者の 姿を イメ ージ でき ます
。彼 らは 普段
、何 をモ チベ ーシ ョ ンの 源泉 とし てい るの でし ょう か。 松田
アク ティ ブシ ニア は、 貢献 欲求 と承 認欲 求が 満 たさ れて いま す。 誰か に貢 献し てい る、 誰か に承 認さ れ てい ると いう 実感 は、 生き るた めの 原動 力に なり ます
。 さら に、 自分 と違 う世 代を 含め た他 者と の﹁ 深い 話し 合い
﹂も
、モ チベ ーシ ョン の大 きな 要素 なの です
。地 域 の未 来に つい て住 民と 真剣 に議 論す るよ うな
﹁青 臭い 議 論﹂ が、 心の 健康 に繫 がっ てい くの でし ょう
。 アク ティ ブシ ニア は現 在、 高齢 者の およ そ何 割が 該当 しま すか
。
134
松田
個人 的な 感覚 です が、
﹁二
:六
:二 の法 則﹂ で いう 上位 二割 の方 が﹁ アク ティ ブ層
﹂で
、一 方、 下位 二 割は
、病 気や 介護 の﹁ 対処 層﹂
。中 間の 六割 を占 める シ ニア は、 何か を始 めた いと 思っ てい るけ れど
、一 歩を 踏 み出 せな い﹁ 潜在 アク ティ ブ層
﹂で す。
﹃V oi ce
﹄の 読者 にも
、老 後の 生き 方や 趣味 の本 を 読ん では みた もの の﹁ 実際
、ど う始 めた らい いか わか ら ない
﹂と いう 方が いる かも しれ ない
。そ の一 歩を 踏み 出 すた めの 仕組 みが
、C CR Cの 暮ら しに あり そう です
。 日本 版C CR Cは
、こ の六 割の 中間 層を 将来
、対 処層 に 向か わせ ず、 アク ティ ブ層 に移 行さ せる
﹁対 処か ら予 防﹂ の一 助に なる と考 えて いま す。 夫婦 の﹁ ほど よい 距離 感﹂ が保 たれ る 六割 の中 間層 をア クテ ィブ 層に 引き 上げ るた め に、 日本 版C CR Cに どん な仕 組み が求 めら れま すか
。 松田
必要 なの は、 一定 のイ ンセ ンテ ィブ
︵報 奨︶ と 少し の強 制力
、つ まり
﹁ア メと ムチ
﹂で しょ う。 たと え ば、 CC RC で五 十時 間働 けば
、そ の時 間は 将来 の自 分 の介 護に 使え る、 ある いは その 時間 を地 域通 貨と して 使 える よう なア イデ ィア です
。
ある いは
﹁第 二義 務教 育﹂ は、 五十 歳や 六十 歳に なっ たら 再び 学校 に通 うア イデ ィア です
。学 校で 地域 の歴 史 や課 題を 学び
、体 育の 時間 は転 倒防 止運 動を しま す。 そ こで 幼馴 染み と再 会し たり
、新 たな 友人 がで きる でし ょ う。 単身 同士 で恋 が芽 生え るか もし れま せん
。給 食も 提 供さ れれ ば、 独居 老人 の食 事は 助か りま す。 こう した シ ニア の背 中を 後押 しす る制 度設 計が 必要 でし ょう
。 そう いえ ば、 退職 後に 夫婦 で過 ごす 時間 が長 くな ると
、奥 さん の家 事の 負担 が増 し、 夫婦 間に スト レス が 増え るこ とを よく 聞き ます
。C CR Cに 住め ば、 食事 や 洗濯 とい った 家事 の負 担は 軽減 され ます ね。 松田
集っ て住 む﹁ 集住
﹂と いう 暮ら しは
、主 婦の 家 事の 軽減 だけ でな く、 男同 士で ゴル フに 行き
、女 同士 で フラ ダン スを して
、食 事は 気の 合う 夫婦 同士 で一 緒に と いう よう に、
﹁ほ どよ い距 離感
﹂が 保た れま す。 妻は 首都 圏に 残り
、夫 が地 方に 単身 移住 する とい うケ ース もあ りま す。 私は
﹁ハ ッピ ー別 居﹂ と呼 びま すが
、 彼ら に話 を聞 くと
、﹁ 以前 より 関係 が良 好に なっ た﹂ と いう
。S NS で密 に近 況報 告を 行な い、 久し ぶり に自 宅 に帰 り、 妻の つく る味 3汁 のお いし さに 気付 いた とい う 男性 もい まし たよ
。
135 アクティブシニアで地方創生
年賀 状に 書き たく なる よう な暮 らし 方 現在
、地 方創 生の 主要 政策 とし て、 すで に全 国で 約二 三〇 の地 方自 治体 が日 本版 CC RC の推 進意 向を 示 して いま す。 とこ ろが CC RC の案 は議 論さ れて も、 な かな か実 現段 階に 至ら ない のは なぜ でし ょう か。 松田
CC RC への 誤解 や先 入観 がま だ多 いこ とで す。 これ は主 語の 問題 です
。た とえ ば﹁ 首都 圏の 介護 が 大変 だか ら地 方の CC RC に移 住﹂ とい えば
、地 方は
﹁姥 捨て 山か
﹂と 面白 くな いし
、シ ニア も積 極的 な住 み 替え の動 機に はな らな いで しょ う。 しか し、 主語 を﹁ 私 が輝 くた めに セカ ンド ライ フは どう ある べき か﹂
﹁わ が 街が 輝く ため にア クテ ィブ シニ アと どう 連携 する か﹂ と いう よう に、 私主 語、 わが 街主 語に すれ ば、 前向 きな 議 論に なり ます
。つ まり CC RC は、 私た ち自 身の
﹁こ れ から
﹂の 物語 なの です
。そ れに は﹁ ワク ワク 感﹂ を示 す こと です
。 リタ イア 後、 シニ アが 寂し いの は年 賀状 に書 くこ とが 無く なる こと だそ うで す。 そし て男 性は 老後 の年 賀状 と いう とな ぜか
﹁そ ば打 ち﹂ に走 る傾 向が ある ので すが
、 そば 打ち だけ では 非常 にも った いな い。 CC RC の近 隣
の大 学で 好き な幕 末の 歴史 を学 び、 学生 のキ ャリ アア ド バイ ザー をし て、 地元 の特 産品 の販 路開 拓に 汗を 流す
。 そん な年 賀状 に書 きた くな るよ うな 暮ら し方 を示 すこ と では ない でし ょう か。 日本 版C CR Cは 地方 にハ コモ ノ をつ くる こと では ない ので す。
﹁ワ クワ ク感
﹂を 感じ るC CR Cと いう のは
、具 体的 にど んな イメ ージ でし ょう か? 松田
たと えば 好き な美 術館 や博 物館 の近 くに CC R Cを つく る﹁ 美術 館・ 芸術 連携 型﹂ や、 好き なプ ロ野 球 チー ムの ファ ン同 士が 住む
﹁プ ロ野 球連 携型
﹂。 宝塚 フ ァン が集 うモ デル やテ ーマ パー クの 近く で家 族三 世代 が 楽し める モデ ルも ある でし ょう
。 また
、﹁ 企業 城下 町連 携型
﹂は
、豊 田を はじ め日 立や 釜石
、長 崎な どの 企業 城下 町で のモ デル です
。今 後、 団 塊世 代以 降の リタ イア によ り、 企業 城下 町の 衰退 が懸 念 され ます
。そ こで 地元 に愛 着を もつ 企業 OB
・O Gの 移 住を 募り
、企 業城 下町 の施 設、 人材
、情 報を フル 活用 し て、 新た な街 づく りに 挑ん でも らう ので す。 一方
、﹁ シン グル マザ ー連 携型
﹂は
、C CR Cで 彼女 たち に向 けた 雇用 をつ くり
、さ らに 居住 者の 家賃 の一 部 が彼 女た ちの 子供 の奨 学金 にな るア イデ ィア です
。最 近
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