• 検索結果がありません。

アーティストの権利とお金の流れを知ろう!

ドキュメント内 FOR ARTISTS AND PRODUCTIONS (ページ 54-60)

この講座は当初10回で終える予定で したが、スタッフの 大変好評なのでぜひ 連載を続けてください との甘言につられ、

また、10回では伝えきれないこともあった ので、当分の間継続することにしました。

引き続きご愛読くださるようお願いいたし ます。

さて今回は、アーティストが自作または 他人の作品をコンサート会場やライブハ ウスなどで演奏するとき、著作権の処理 はどうしたらいいのか、また、自作の楽曲 が演奏されたときに発生した著作権使用 料を確実に受領するにはどうすればいい のかなど、演奏とその著作権使用料にま つわる話をします。

1. 著作権の処理が必要な演奏とは アーティストのみなさんは、音楽を演奏

するときには著作権の処理(著作権者の 許諾を得て、必要に応じて著作権使用料 を支払うこと)が必要だということはご存 知だと思います。しかし、すべての演奏行 為について著作権の処理が必要になる わけではありません。著作権法上の「演奏 権」という権利が働く場合にのみ著作権 の処理を行えばいいのです。では、どのよ うな場合に演奏権が働くのでしょうか。

「演奏権」とはどういう権利か

まず、「演奏権」とはどういう権利なのか 説明します。演奏権は財産権としての著 作権を構成する支分権のひとつで、その 意味を一言でいえば、「著作物を演奏の 方法によって利用することを許諾する権 利」あるいは、「無断で演奏されない権利」

なのですが、これを著作権法の規定に沿

庁のホームページから入手できます)によ れば、「ケースによって異なると思います が、一般には『50人を超えれば多数』と言 われています」とのことです。

次に、「公に」(つまり、「公衆に直接見 せ又は聞かせることを目的とすること」)の 解釈ですが、著作権法の解説書によれば、

「公に」には、聴衆のいる前で聴衆に聞か せるために演奏する場合はもちろんのこ と、聴衆のいない場所での演奏を別の場 所にいる聴衆向けに同時に流すような場 合にもあてはまります。また、結果としてお 客が1人も入らなかった演奏会でも、演 奏会と銘打って行う以上は「公に」に該当 し、ストリートライブをやったけど誰も人が 通りかからなかった場合でも公に演奏し たことになります。

以上のことから、演奏権の対象となら ないケースを整理すると、電話で歌う、家 で家族の前で歌う、コンサートのリハーサ ルで演奏するといった場合は、特定少数 の者にしか聞かせていないので演奏権は 働かず、また、家で演奏を楽しんでいたら、

外で通行人がこれを聞いていたというよ うなケースについても、結果としては不特 定の人が聞いていたものの、公衆に聞か せることを目的としていないので、演奏権 は働かないことになります。

許諾を得ないで演奏できるケースもある 著作権法には演奏権を制限する規定 があり、演奏権の対象となるような演奏 であっても、一定の条件を満たせば、公 表された著作物を例外的に著作権者の 許諾を得ないで演奏することができるケ って詳しく見ていきます。

著作権法では22条で、「著作者は、そ の著作物を、公衆に直接見せ又は聞か せることを目的として(以下「公に」という。) 上演し、又は演奏する権利を専有する。」 として、「演奏権」と「上演権」を規定して います。演奏には歌唱を含むと規定され ているので(2条1項16号)、楽器による演 奏のほか、歌うことも含まれます。また、

生演奏だけでなく、レコードに収録されて いる音楽を再生して聞かせることも演奏 に該当します。いずれにしても、「演奏」と いう利用行為は、音楽の著作物に特有 のものです。

一方、「上演」とは、演奏以外の方法に よって著作物を演じることをいうので(2条 1項16号)、演劇・落語・漫才などによって 著作物を演じることがこれに該当します。

演奏権の対象とならない演奏もある 演奏権の対象になるのは、22条にある ように、「公衆に直接見せ又は聞かせるこ とを目的として」行う演奏に限られます。

まず「公衆」の意味ですが、著作権法で は「特定かつ多数」の者も公衆に含まれ ますので(2条5項)、「不特定多数」「不特 定少数」「特定多数」という概念が公衆に 該当し、「特定少数」だけが公衆の範疇か ら除かれることになります。したがって、特 定少数の者を前にして演奏する場合は演 奏権が働きません。

では、何人以上が「多数」なのでしょう か。これについて著作権法上には定めが ありませんが、文化庁作成の「著作権テ キスト〜初めて学ぶ人のために〜」(文化

ースを認めています(38条1項)。その条 件とは次の3つです。

①営利を目的としていないこと(非営利)

②聴衆から料金を受け取らないこと(無料)

③実演家に報酬を支払わないこと(無報酬)

①は主催者等の売上や広告・宣伝に 結びつく演奏会でないことを意味し、② は料金の名目を問わず、演奏を聞くため の対価が発生しないことをいいます。また、

③については、実演家(出演者)に弁当 代やお車代などの名目で金銭を支払うこ とは報酬の支払いにあたらないとされて いますが、金額によっては報酬とみなされ ることがあります。

これら3条件を満たす演奏としては、学 校の行事で生徒らが行う演奏会、音楽 サークルの発表会などが該当するでしょ う。ストリートライブの場合は、(社)日本 音楽著作権協会(JASRAC)の話では、

原則としては著作権使用料を要求しない そうですが、プロ・アマを問わず、聴衆か らの「投げ銭」を受け取る場合は、小額 ではあるものの使用料が発生するとのこ とです。

また、38条の規定によって著作物を利 用する場合は、著作物を原作品のまま利 用することが条件となっていますので、原 曲を翻訳したり編曲したりして演奏する場 合は、翻訳や編曲の許諾が必要になりま す。

しかし、この場合の編曲は二次的著作 物としての新たな創作性を有する編曲を いいますので、原曲のキーやバックの楽

器編成を自分たちのバンド用に変えたり する程度のことは、著作権法上の編曲に 当たらないと思います。しがたって、許諾 を得る必要はないと考えます。

翻訳については、どのような翻訳であ れ二次的著作物を創作する行為につな がると考えられるので、許諾が必要でしょ う。なお、すでに原作の著作権者の許諾 を得て翻訳され、公表されている訳詞を そのまま使う場合は、改めて許諾を得る 必要はありません。

以上のことを整理し、著作権の処理が 必要となる演奏とそうでない演奏の見分 け方をフローチャートで表すと、図1のよ うになります。

2. 著作権の処理はどこで行うのか 次に、著作権の処理はどのように行え ばいいのか説明します。

日 本 で 演 奏される 楽 曲 の 大 半 は J A S R A C が 演 奏 権を管 理しています。

JASRAC以外の著作権等管理事業者で 実際に演奏権の管理を実施しているの は、(株)アジア著作協会くらいだと思いま す。この会社は韓国の楽曲を専門に管理 しているようです。

したがって、演奏権の処理を行う場合 は、一部の韓国楽曲を除きJASRACに 利用申請すれば足りると考えていいでし ょう。全国に22あるJASRACの支部が演 奏権の管理を行っていますので、演奏す る地域を管轄する支部で利用の手続き を行うことになります。なお、東京地区に は支部がいつくかありますが、このうちコ ンサートや音楽を伴うイベントに関しては

な意味での利用者(利用主体)は音楽会 などの主催者です。実演家は主催者の 求めに応じて実演を提供しているに過ぎ ません。ただし、アーティストが自分で企 画・運営して行うコンサートは、当然アー ティスト自身が利用者となります。

また、ライブハウスや音楽喫茶など音 楽の鑑賞を主たる目的とする施設を運営 していれば、その法人または経営者が音 楽の利用者となります。

アーティスト自身が利用者であって、自 分(自分たち)が創作した楽曲(自作楽曲)

を演奏する場合でも、それがJASRACに 信託されている曲であれば、原則として著 作権使用料を支払わなければなりませ ん。ただし、JASRACの信託者であるア ーティストが、日本国内において自作楽曲 のプロモーションのために行う場合で、演 奏する楽曲の関係権利者全員(その楽曲 西新宿にある「東京イベント・コンサート

支部」が一括して担当し、都内にあるほか の支部はカラオケ店やスナックなどでの 演奏について担当しています。

また、JASRACは著作権法27条の権 利(翻訳権・翻案権等)は管理していない ので、原曲を翻訳・編曲・翻案して演奏す る場合は、その楽曲を管理している音楽 出版社(音楽出版社がついていない楽曲 の場合は著作者やその権利承継者)から 許諾を得る必要があります。

3. 著作権使用料は誰が支払うのか 著作権の処理は当然著作物の利用者 が行うのですが、では、演奏という利用方 法に関しては、誰が利用者になるのでし ょうか。演奏そのものは実演家が行うの で実演家が音楽を利用しているように考 えがちですが、そうではありません。法的

ドキュメント内 FOR ARTISTS AND PRODUCTIONS (ページ 54-60)

関連したドキュメント