\11111ノ F}一 一一
4.3 アルミニウム錯体蒸着膜の移動度
アルミニウム錯体は一般的な有機EL素子構成材料の一つである. 特にTangらによっ て報告されたAlq3 は発光層材料であるが, それ自身電子輸送特性を有しているため電子 輸送層としても使われる40). 細川らはTPD/Alq3積層構造の発光遅れを利用してAlq3の 電子移動度を求めた42) また, KeplerらはAlq3蒸着膜の電子移動度およびホール移動度 をTOF法により求めている43). 電界強度4 X 105 V /cmにおける移動度の値はそれぞれ
1.4 X 10-6, 2 X 10-8 cm2/Vsであると報告している . しかし, Alq3のホール移動度につい
てLinらは2つのホール輸送材料に挟まれた1rv3nmと非常に薄いAlq3薄膜の時間解析に よって10-6 rv 10-5 CH12/VSという高いホール移動度を報告している89). またCampbellと SmithはAlq3単層構造素子の電流-電圧特性のシミュレーションによってLinらと同程度の ホール移動度を決定している90) もしAlq3のホール移動度が電子移動度と同等であるなら ば, Alq3内での電子ーホール再結合は十分なキャリヤ注入の条件下では膜全体で起こること になるので興味深く, 確認が必要である.
Fig.4.6にAlq3,tris(8-phenant hri仁linolate) alunlÍnum
(III)
(Alph3) 91)およびtris(4-methyl-8-quinolinolato) alurninunl(III)
(Almq3) 92,93)の分子構造を示す. Alph3は明るい黄色発光 を示す発光材料として有効である. また, Almq3を発光層として使用した有機EL素子は非 常に高い発光効率を示すことが知られている. このようなAlq3およびAlq3とは異なる配位 子を持つアルミニウム錯体の移動度を測定した.4.3.1
アルミキノリノール錯体蒸着膜の移動度
Fig. 4.7 (0)にAlq3蒸着肢において, 得られた電子の過渡光電流波形を示す. 電界強度は
7.3 X 106 V /cmである. 得られた波形は, Keplerらの結果と同様に分散型波形を示した43)
従って, Fig. 4.7 (b)に示すようにScher-Ì\lontroll法に従い, log 1 -log tプロットを行った.
このプロットにより明確な屈曲点が得られ, その周曲点前後の直線の交点から過渡時間を決 定した. この結果からAlq3蒸着膜内では電子は広い分散を持って移動していると考えられ る. 得られた電子移動度は3.4 X 10-6 cm2/V-sであった.
Fig. 4 .8にAlq3蒸着膜において, 得られたホールの過渡光電流波形を示す. Alq3におい
第4章有機EL材料のキャリヤ移動度 75
Alq3
A1ph3
Almq3
FIG. 4.6. Nlolccular山uctures of aluminum complexes under study. TOP: tris(8-quinoli
nolato) aluminum (III) (Alq3)' Middle: tris(8-phenanthridinolate) aluminum (III) (Alph3) Bottom: tris( 4-methylふquinolinolato) aluminum (III) (Almq3)
30 I 1
ε〈 20
I I 7.3x105 V/cm
l悦司
。
Time
t(msec) (α)
2 3
ny nu 咽Bi F「dハU唱Ei
10-4
t
(scc) (b)
司、dnu 'Ei
FIG.
4.7.
Typical transient photocurrent profiles measured at298
K and for an elect.ric field of 3 x 105 V jcm. Sample thickness of Alq3 was9.6μrn.
Data are plotted in both (α) double-linear and (b) double-logarithmic representations第 4章有機EL材料のキャリヤ移動度
tロヨE
..0 討
.胸、a
。 0.1
Time
t(sec)
5xl05 V/ClTI
77
0.2
FIG.
4.8. Typical transient photocurrcnt profiles measured at
298 Kand for an clectric field
of
5 x 105 V/
C111.Salnple thickness of Alq3
was9.6μm
ては典担的な非分散型の波形を示した. しかしKeplerらはAlq3のホールに対する過渡光電 流は分散型を示すと報告している43). このようにKeplerらの結果と一致しない埋由として は成膜条件の違いが影響しているのではないかと考えている. 本実験において蒸着レートは 5rv10 nm/sと速いのに対し, Keplerらは0.5 nm/sであり, この成膜条件がAlq3の膜構造 を変化させたためであると推測される. 速い蒸着レートで成膜することは実質的に高真空下 で成膜することと同様の効果が期待できる. これにより蒸着過程における不純物の混入が小 さくなること, または蒸着中はAlq3が非常に速く供給されるため基板上でのAlq3のマイ グレーションが制限され, アモルファス膜を作りやすいためであると考えられる. l\laginと Borsenbergcrは結晶化しやすいペリレン誘導体のTOF測定において, 冷却基板上に成膜す ることでアモルファス膜を得, 非分散型の波形を得ることに成功している94) Alq3のホー
ル移動度は5 X 105 V /nlの電界強度において, 3 X 10-8 crn2/V.sであった.
Alq3におけるホールの過渡光電流波形は非分散型を示し, 電子の過渡光電流波形は分散型 を示すことから, Alq3膜では分子問距離のばらつきは小さく, 電子に対するトラップが存在 するのではないかと考えられる95).
Fig. 4.9にAlq3蒸着膜での電子およびホール移動度の電界強度依存性を示す. 図より電子,
ホールの移動度とも電界強度の上昇と共に増加しており, 電界強度Eの1/2乗と電子移動 度の対数log μはよい線形関係を示す.
有機非品固体中のキャリヤ移動は有機分子をホッピングサイトとしたホッピング伝導であ るといわれている. キャリヤ移動度の電界依存性には様々な議論があるが, 多くの化合物に おいて広く受け入れられているものにPool-Frenke 1機構がある. これはホッピングサイトの エネルギー障壁を電界が低下させるとして説明される96) 以上のことから, このときのキャ リヤ移動度は
( E0- ß E& \
μ(E, T)
=附xpl - -U ki - ) (4 .
8)
で表される. ここでE。はホッピングサイトの活性化エネルギーであり, kはボルツマン定 数である. ßはエネルギー分布の分散とホッピングサイト間距離の分散により決定される定 数である.
このPool Frenkel機構が適用できるならば log μ_ El/2プロットにおいて線形関係が認め られることとなる.
第4章有機EL材料のキャリヤ移動度
79
•
•
•
。。0 0 0 O B
•
• ロ: Kepler ef al.
0: experiment
•
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•
•
A『nu --aA
バU
っ,
ハu
nu 'Ei
唱'i (∞〉\NEQ)ユkpz五cg一口OH]υo日
nxu ハU'Ei F「dAU 'Ei ハunu nv 唱EEム
400 600 800 E1/2 (V/cm)1/2 nu --EA QJ ハU 200
Logarithmic electron and hole mobilitics of Alq3 (circIes) compared with that of 4.9.
G F
Alq3 (sq uares )叫)rcsent the results repo巾d by Kepler et al.7 versus square root of clcctric
field.
Alq3蒸着膜における電子およびホール移動度の電界依存性はlogμ_ E1/2プロット が線 形関係を持つことから , Po ol-Frenkel機構に基づく可能性が考えられる が,移動j交の温度依 存性の測定などさら なる検討が必要である. さらに , 得られ た移動度の電界強度依存性を Keplerらのグルーフによって求められ た移動度の電界強度依存性43)と共にプロットすると,
ほぼ同じ直線上にプロットできることからAlq3蒸着膜の キャリヤ移動度は膜厚, 作製方法 には依存しないことを示す.
4.3.2
アルミニウム錯体蒸着膜のホール移動度
Alq3のホール移動度に関しては,4.3.1で示 したのでここでは説明を省略する- Fig.4.10に Alq3, Alph3およびAlmq3のホールに対する過渡光電流波形 を示す- Alq3' Alph3, Almq3 の膜厚はそれぞれ 9.6, 11.6, 12.8μmであった.
Al ph3 ' Almq3では分散型の波形を示し, リニアプロットでは過渡時間は決定でき な かっ た. Fig.4.11にこれらの過渡光電流の雨対数プロット を示す. Alph�, Ahnq3の過渡光電流 波形において明確な屈曲点が得られ, その胤出点前後の直線の交点から過渡時間を 決定し
た- Alph3のホール移動度は3 X 105 Y /mの電界強度において, 3 X 10-9 cm2/Y'8であり,
Almq3のホール移動度は5 X 105 Y /mの電界強度において, 9 X 10-10 cln2/Y-8であった.
過渡時間前後の近似直線からEq. (4.5)における分散パラメータが求まる. しか しその屈曲 点前後の 分散パラメータはAlph3において, α7・二0.6,αf二0.1 であり,Almq3において,
αi = 0.5,αf二0.3 であった. またすべての電界強度において屈曲点前後のαυの値は異なっ た. 分散パラメータαi,fは
内iJ
- 竿 ( ln J2; 7E r 2 ( 1土 j hL斗 (4.9)
で表される8R) ここで式中の(+)はαi, (-)はαfを示す. また ,μcはキャリヤ移動度,ァは トラップでの寿命を示す. Lebedevらは p oly(p-phenylenevinylene)(PPY)においてμァとし て10ー11 cm2/y, およびσとして0.1 rv 0.2 eVを得ている88) 例としてFig.4.12にAlmq3 におけるαzの電界依存性とEq. (4.9 )において,μT = 3.5 X 10-9 cm2/Y,およびσ= 0.32 eY を仮定したときの計算結果を破線で示す. 未知数が多いため一概には言えないが,計算結果 は実験結果をよく表し,Almq3におけるHOMO準位が比較的大き な状態密度 分布を持つ可
第4章有機EL材料のキャリヤ移動度
。
: 111
4司
2
.蜘暗
。
。