となる。すなわち
dsnu
du = cnudnu
である。特に
k = 0なら、周知の
(sinu)′ = cosuである。さらに、
dcnu du = d
du
√(1−sn2u) = −2 snu 2√
1−sn2u dsnu
du
=−snudnu
(k = 0
のときは
(cosu)′ =−sinu) ddnudu = d du
√1−k2sn2u= −2k2snu 2√
1−k2sn2u dsnu
du
=−k2snucnu
が得られる。公式としてまとめて書いておこう。
定理 3.1 (ヤコビの楕円関数の微分)
(snu)′ = cnudnu (cnu)′ =−snudnu (dnu)′ =−k2snucnu
問題 3.8 snu, cnu, dnu
について
u = 0, u =±Kでの導関数の値を求 めよ。これから周期関数として拡張した関数の滑らかさが確かめられる。
問題 3.9 d2snu
du2 , d2cnu
du2 , d2dnu
ることができる。次のように計算する。
(cnu)′ =−snudnu
=−√
1−x2√
1−k2(1−x2) (here, x= cnu) dx
du =−√
1−x2√
1−k2(1−x2)
=−√
1−x2√
k′2+k2x2 (wherek′2 = 1−k2) u=−
∫ x
1
√ dx
(1−x2)(k′2+k2x2)
(
積分の下端
x= 1は
u= 0のとき
x= cn 0 = 1であるから
) u=∫ 1
x
√ dx
(1−x2)(k′2 +k2x2)
と計算できる。また、dn
2u= 1−k2sn2uより
sn2u= 1k2(1−dn2u) cn2u= 1−sn2u= 1
k2(dn2u+k2−1)
= 1
k2(dn2u−k′2) (here, k′2 = 1−k2)
なので、(dn
u)′ =−k2snucnuより
dxdu =−k21 k
√1−x21 k
√
x2−k′2
=−√
(1−x2)(x2−k′2) (wherex= dnu) u=−
∫ x 1
√ dx
(1−x2)(x2 −k′2)
(
積分の下端
x= 1は
u= 0のとき
x= dn 0 = 1であるから
)=
∫ 1 x
√ dx
(1−x2)(x2−k′2)
と計算できる。積分表示をまとめておこう。
定理 3.2 (楕円関数の逆関数の積分表示) sn−1(x, k) =
∫ x 0
√ dx
(1−x2)(1−k2x2) cn−1(x, k) =
∫ 1 x
√ dx
(1−x2)(k′2+k2x2) dn−1(x, k) =
∫ 1 x
√ dx
(1−x2)(x2−k′2) (wherek′2 = 1−k2)
第
1種楕円積分
F(k, φ) =
∫ φ 0
√ dφ
1−k2sin2φ
は、変数変換
u= sinφにより、
du= cosφ dφなので
F(k, φ) =
∫ u
0
√ du
1−u2√
1−k2u2
と表された。すなわち、
F(k, φ) = sn−1u
であり、第
1種楕円積分は
snuに他ならない。第
2種、第
3種楕円積分 についてはどうだろうか?
第
2種楕円積分
E(k, ϕ) =
∫ ϕ 0
√
1−k2sin2ϕ dϕ
において
sinϕ = snuと変換すると、cos
ϕ= cnuに注意して
cosϕ dϕ= cnudnu duなので
dϕ= dnu du
である。また、
√
1−k2sin2ϕ=√
1−k2sn2u= dnu
より
E(k, ϕ) =
∫ u 0
dn2u du
が得られる。ここで、積分の上端
uは
sinϕ= snuにより定まっている。
ここに現れた
ε(u) =
∫ u 0
dn2u du
をヤコビのエ
(イ)プシロン関数という。第
3種楕円積分
π(k, n, φ) =
∫ φ 0
dz (1 +nz2)√
(1−z2)(1−k2z2)
については
z = snu
とおくと
dz = cnudnu du=√
1−z2dnu du 1
(1 +nz2)√
(1−z2)(1−k2z2) = 1 (1 +nsn2u)√
1−z2dnu
より
π(k, n, φ) =
∫ u
0
du 1 +nsn2u
と表される。
まとめておこう。
定理 3.3 (楕円積分の表示式)
F(k, ϕ) = sn−1u (第1
種楕円積分)
E(k, ϕ) =
∫ u
0
dn2u du (第2
種楕円積分)
π(k, n, φ) =∫ u
0
du
1 +nsn2u (第3
種楕円積分) 楕円
x2 a2 + y2
b2 = 1 (a≧b >0)
に戻って、楕円関数を用いてその性質を調べよう。
パラメータ
ϕを用いて、この楕円を
x=asinϕ, y=bcosϕ
とパラメータ表示する。パラメータの意味は次の図のようになっている。
ϕ= am(u, k)
とおくと
x=asin(am(u, k)) =asn(u, k) y=bcos(am(u, k)) = bcn(u, k)
と表される。 ここで母数
0≦k <1は任意である。微分については
dx=acnudnududy=−bsnudnudu
なので、弧長の線素は
ds=√
a2cn2u+b2sn2udnudu
となる。特に
k2 = a2−b2a2
と選ぶと
ds=a√
1− a2−b2
a2 sn2udnudu
より
ds=adn2udu
となる。これを用いると弧長は
s=a
∫ u
0
dn2u du
=aε(u) = aE(k, ϕ)
と表される。楕円の弧長を求めようとして楕円積分、楕円関数の考察を はじめたのであったことを思い起こすと、当然の結果であるといえる。
楕円のパラメータ表示
x=asn(u, k), y =bcn(u, k)
において
k2 = a2−b2a2
とする。このとき
k=√a2−b2
a =e
を離心率
(eccentricity)という。
0≦e <1である。
e= 0のときが円、
e
が大きくなるに従って楕円は長く伸びて行く。
2
点
S(ae,0), S′(−ae,0)を楕円の焦点
(focus)という。
図の記号を用いる。
BS =√
a2e2+b2 =√ a2 =a OS =ae
である。
P(x, y)を楕円上の点とすると
P S2 = (OS−x)2 +y2= (ae−asnu)2+b2cn2u
=a2(e−snu)2+b2(1−sn2u)
=a2(e−snu)2+a2(1−e2)(1−sn2u)
=a2(1−2esnu+e2sn2u)
であるから
P S2 =a2(1−esnu)2
である。また、
P S′2 = (OS+x)2 +y2
=a2(e+ snu)2+a2(1−e2)(1−sn2u)
=a2(1 + 2esnu+e2sn2u)
であるから
P S′2 =a2(1 +esnu)2
である。これより
P S+P S′ =a(1−esnu) +a(1 +esnu)
= 2a :一定
が得られる。楕円の最も基本的な性質である。
次の図を見てほしい。
ℓ
を
Sを通る
OAに垂直な半径とする。
OB =b=a√
1−e2 =ae′ (where e′ =k′ =√
1−e2)
である。
P S⊥OSとなる楕円上の点
P(x, y)について
x=asnu=OS =ae
より
e= snuであるから
ℓの長さは
P S =ℓ =y=bcnu=ae′√
1−sn2u
=ae′2
と求められる。
次の図を見ながら、原点から接線への距離
(接線におろした垂線の長さ)を求めよう。
円のときと異なり、楕円上の点
P(x, y)での接線に原点からおろした垂線 の足は
Pとは一致しない。
x =asnu, y =bcnuと表されているので、
接線の傾きは
dy
dx = dy/du dx/du =−b
a snu
cnu =−e′snu cnu
であり、接線の方程式は
y−bcnu=−e′snu
cnu(x−asnu) bcnu+ae′sn2u
cnu = ae′
cnu(cn2u+ sn2u)
= ae′ cnu
より
y=−e′snu
cnux+ ae′ cnu
となる。一般に直線
y =px+qへの原点からの距離は
√|q|1 +p2
であっ たから
ℓ2 =
a2e′2 cn2u
1 +e′2 sncn22uu
= a2e′2 cn2u+e′2sn2u
= a2e′2
1−(1−e′2) sn2u = a2e′2 1−e2sn2u
= a2e′2
dn2u (note that k2 =e2)
と計算できて、
ℓの長さは
ℓ = ae′ dnu
と求められる。
ところで、焦点を「焦点」と呼ぶ理由を知っているだろうか?図を見 ながら計算しよう。
いつもの通り、楕円上の点を
P(x, y)とし、パラメータ表示
x = asnu, y=bcnuを用いる。先ほど計算したように
dy
dx =−e′snu cnu
である。これより
法線の傾き:
cnue′snu = tanθ0 SP
の傾き
: bcnuasnu−ae = e′cnu
snu−e = tanθ+
S′P
の傾き
: bcnuasnu+ae = e′cnu
snu+e = tanθ−
と求められるので
tan(θ0−θ±) = tanθ0−tanθ± 1 + tanθ0tanθ±
= snucnu∓ecnu−e′2snucnu e′snu(snu∓e) +e′cn2u
= (1−e′2) snucnu∓ecnu e′∓ee′snu
= ecnu(esnu∓1)
e′(1∓esnu) =∓e e′ cnu
である。すなわち、
S,S′は
Pでの法線の両側の等しい角度の上にある。
従って、
Sから出て
Pに達した光はここで反射して
(入射角と反射角が 等しい)、
S′に達する
(vice versa)。これが「焦点」と呼んだ理由である。注意: (ここからの小さい文字の部分は、時間があれば話すことにする。)
例題 3.1 (ザイフェルト10の球面螺旋) 半径Rの球面上の点を極座標で(R, θ, φ) と表す。
x=Rsinθcosφ y=Rsinθsinφ z=Rcosθ である。
球面上の曲線 s(t) は
s(t) = (Rsinθ(t) cosφ(t), Rsinθ(t) sinφ(t), Rcosθ(t)) と表される。線素は
( ds)2= ( dx)2+ ( dy)2+ ( dz)2
= (Rcosθcosφdθ−Rsinθsinφdφ)2 + (Rcosθsinφdθ+Rsinθcosφdφ)2 +R2sin2θ( dθ)2
=R2sin2θ(dφ)2+R2( dθ)2 と求められる。r =Rsinθ と書くと
10Seifert (??—??)
( ds)2 = (rdφ)2+ (Rdθ)2 であり、r の定義から
dr=Rcosθdθ なので
( dr)2 =R2cos2θ( dθ)2
=R2(1−sin2θ)( dθ)2
= (R2−r2)( dθ)2 となり
( ds)2 = (rdφ)2+ (Rdr)2 R2−r2 と書き直せる。
この球面上で、弧の長さ s(t)が φに比例するスパイラルを考える。
Rφ(t) =ks(t) と表される。
k は比例定数で、
k= 0 のとき φ(t) = 0 だからこれは x 軸の上にある子午線である k= 1 のとき s(t) は大円の弧長に等しい
k <0は k >0 と対称である
という性質があるから、考えるべきk の範囲は 0≦k≦1 である。曲線を微分の形で表すと
dφ= k Rds なので、線素の表現から
(ds)2 = k2r2
R2 ( ds)2+ (Rdr)2 R2−r2 (ds)2 = R4
(R2−r2)(R2−k2r2)(dr)2 ( ds)2
R2 = R2( dr)2 (R2−r2)(R2−k2r2) となる。ここで、
x= r R
とおく。( dr)2=R2( dx)2 に注意すると ( ds)2
R2 = R4( dx)2 (R2−r2)(R2−k2r2)
= ( dx)2 (1−x2)(1−k2x2) であるから、 θ= 0 (極) から積分して
s R =
∫ x
0
√ dx
(1−x2)(1−k2x2) である。逆関数をとると
(x) = r
R = sn s R であり、また、
z2 =R2−r2 =R2cn2 s R なので
z
R = cn s R dn s
R =
√
1−k2sn2 s R =
√
1−k2r2 R2
=
√R2−k2r2 R と求められる。
幾何学的な様子がよく分かるようにk を消去したい。線素の式より R4
(dr ds
)2
= (R2−r2)(R2−k2r2) Rdr
ds =√
R2−r2
√R2−k2r2 R であり、また、球面上の線素の式より
dr dθ =√
R2−r2 である。したがって
Rdr ds =
√R2−k2r2 R
dr dθ Rdθ
ds =
√R2−k2r2 R となる。
Rdθ
ds は半径 R の球面上の極からみた角 θ を曲線に沿って微分したものであ る。図のように
α を曲線と子午線の交わる角度とすると Rdθ
ds = cosα と表される。したがって
sn s R = r
R cn s
R = z R dn s
R = cosα
とすべてスパイラルの幾何学的量で表すことができた。
4 なわとびのひも
準備として、楕円関数のグラフで定まる曲線 y =bsnx
c の長さを計算する。
b,cを定数として関数 y=bsnx
c を考える。
dy dx = b
ccnx c dnx
c
である。弧長 sについては、 ( ds)2 = ( dx)2+ ( dy)2 より (ds
dx )2
= 1 + (dy
dx )2
= 1 + (b
c )2
cn2 x cdn2x
c (cn2u= 1−sn2u= 1− 1
k2(1−dn2u)) (dn2u= 1−k2sn2u≧1−k2)
= 1− (b
c )2
1−k2 k2 dn2 x
c + (b
c )2
1 k2dn4 x
c と計算できる。ここで特に、b= 2k
1−k2cととると (ds
dx )2
= 1− 4
1−k2 dn2x c +
( 2 1−k2
)2
dn4 x c となる。符号に注意すると
ds
dx = 2
1−k2dn2 x c −1 が得られる。原点からの弧長は
s=
∫ x
0
ds dxdx
=
∫ x
0
( 2
1−k2dn2 x c −1
) dx
= 2 k′2
∫ x
0
dn2 x
c dx−x (where k′2= 1−k2) と表せる。もう少し準備の計算を続ける。
ε(u) =
∫ u
0
dn2u du
で、積分の変数変換
sinϕ= snu を考える。
√
1−k2sin2ϕ= dnu
cosϕ dϕ= cnudnu du cosϕ=
√
1−sin2ϕ=√
1−sn2u= cnu であるから
dϕ= dnu du である。これより
ε(u) =
∫ u
0
dn2u du=
∫ u
0
dnudnu du
=
∫ ϕ
0
√
1−k2sin2ϕ dϕ=E(k, ϕ)
と第2種楕円積分を用いて計算できる。(同じ計算をすでにしたような気がする。) 積分の端点と積分変数の混乱を避けて
∫ x
0
dn2 ξ cdξ と表すと
ξ
c =u, dξ=c du ξ: 0→x, u: 0→ x
c
から ∫ x
0
dn2 ξ cdξ=c
∫ x/c
0
dn2u du=cε (x
c )
となる。これより、先ほどの弧長について s= 2c
k′2ε (x
c )−x
と表せることがわかる。
x= 0 の次に曲線が x 軸と交わる点をx= 2aとする。
x= 2a⇔snu= 0
⇔u= 2K(k)
と対応しているので
x c = 2a
c = 2K(k)
である。ただし、K(k)は第1種完全楕円積分である。したがって 1
c = K(k) a が成り立ち、変数の対応は
x: 0→2a⇔u: 0→2K(k)
⇔ϕ: 0→π (by sinϕ= snu) となっているので、第2種楕円積分は
E=E(k) =
∫ π/2
0
√
1−k2sin2ϕ dϕ
=
∫ K
0
dn2u du=ε(K) である。よってx=0から x= 2aまでの弧長の全長は
ℓ= 2c
k′22E−2a
= 4aE Kk′2 −2a と求められる。
話題を変える。質点が
x(t) =rcosωt y(t) =rsinωt に従って運動しているとする。
x2+y2 =r2: 定数 ω: 定数
であるから、この運動は等速円運動である。ω を角速度という。また 振幅: r, 周期: T = 2π
ω , 振動数: ν = ω 2π である。この運動の速度は
v(t) = (x′(t), y′(t))
= (−rωsinωt, rωcosωt)
=rω(−sinωt,cosωt)
と求められ、方向は円の接線方向、速度の大きさがrω である。また、この質点 に働く加速度は
f =v′(t) =−rω2(cosωt,sinωt) であり、円の中心に向かう方向で大きさrω2 である。
質点に働く力は(質量)×f で求められる。これを向心力という。その反作用 が遠心力で、円の中心から外側に向かう方向に、大きさ(質量)×rω2 で働く。
なわとびのロープの形を考える。両端を固定し、その両端を結ぶ直線をx 軸 としてロープが一定の角速度で回転しながら、常に平面内にあるとする。回転し ている平面内のロープの形を考えることで単純化されたなわとびを考えている。
固定端を結ぶ直線をx 軸、固定端をx = 0,x = 2aとする。ロープの線密度を ρとし、角速度 ω で回転しているとする。
ロープの各点に働く力のつり合いを考える。各点に働く力は次の通りである。
張力 T: これは接線方向に働く
遠心力: これは今の仮定から y 軸方向に働く ロープに働く重力は考えないものとする。
これらがx 軸方向、y 軸方向でそれぞれつり合っている。
x 軸方向のつり合い:
弧長パラメータsを用いてロープの曲線は(x(s), y(s))と表され、(x′(s), y′(s)) は単位接ベクトルになっている。従って
Tcosψ=Tdx ds
が張力 T のx 方向の成分になっている。ロープは回転のみで x 方向には変化 しないので、力のつり合いは
d
ds(Tcosψ) = d ds
( Tdx
ds )
より
Tcosψ=Tdx
ds =一定≡T0 となる。
y 軸方向のつり合い:
ロープの長さ dsの小さな部分に働く遠心力は、質量がρ ds,半径 y なので f =ρω2y ds
である。
長さ ds の小部分に働く張力の y 成分は、その左端では −Tdy
ds で、右端では Taylor展開の第1項までをとって
Tdy ds + d
ds (
Tdy ds
) ds である。
この張力が遠心力とつり合うので ρω2y ds=−d
ds (
Tdy ds
) ds より
d ds
( Tdy
ds )
+ρω2y= 0
となる。y を未知関数とする微分方程式が得られたように見えるが、T も未知 なので、このままでは解けない。
d ds
( Tdy
dx dx ds
)
+ρω2y= 0 と書けることと、Tdx
ds =T0 より d ds
(dy dx
) +ρω2
T0 y = 0 である。ここで
p= dy dx と未知関数をとりかえると
dp ds = dp
dy dy ds = dp
dy dy dx
dx ds =pdp
dy dx ds pdp
dy dx ds +ρω2
T0
y= 0
であり、また ( ds dx
)2
= ( dx)2+ ( dy)2
(dx)2 = 1 +p2 であることから
√ p 1 +p2
dp
dy =−ρω2 T0
y
が得られる。これがロープの形を決める微分方程式である。未知関数はp(y) で ある。
この微分方程式は変数分離形なので
∫ p
√1 +p2 dp=−ρω2 T0
∫ y dy
√1 +p2 =−ρω2
2T0y2+C
が得られる。 C は任意定数であるが、 p = 0となるときが dy
dx = 0となると き、すなわち極大点(y の最高点)なので、これを b として
C = 1 +ρω2 2T0b2
ととると √
1 +p2 = 1 +ρω2
2T0(b2−y2) である。方程式としてはこれで解けたことになるが、p
(
= dy dx
)
がy で表され ているのでロープの形はこの式からは分からない。
もう少し計算する。
1 +p2= 1 + ρω2 T0
(b2−y2) +ρ2ω4
4T02(b2−y2)2 より
p2 = ρω2 T0
(b2−y2) {
1 +ρω2 4T0
(b2−y2) }
である。この右辺を
b2
c2(1−η2)(1−k2η2)
の形にまとめたい。そのためには
k2 =
ρω2b2 4T0
1 +ρω4T2b2
0
(then 0< k <1) 1
c =
√ ρω2
T0 (
1 +ρω2b2 4T0
)
η = y b とおくとうまくできて
dx
c = dη
√(1−η2)(1−k2η2) 1
c = 2k
k′2b (k′ =√
1−k2) が得られる。
問題 4.1 これらの関係式を確かめよ。
これより
η= sn (x
c )
すなわち
y=bsn (x
c )
である。定数の間に
b= 2k k′2c
が成立しているので、先に弧長の計算を行っておいた関数と同じである。
両端の距離2aと定数 c には 1
c = K(k) a の関係があったから
y= sn (Kx
a )
がロープの形を表している(両端の距離を表す a とパラメータk で表されたの で)。sn関数が現れている。また、その全長は
ℓ= 4a k′2
E K −2a
である(これを計算しておいたのである)。完全楕円積分が現れている。
現実のなわとびは、ロープの長さ ℓ と両端の距離 2aが定まっているもので ある。この立場からパラメータを点検してみよう。
ℓ= 4a k′2
E(k) K(k)−2a によりℓ から母数k が定まる。ロープの最大高さbは
b= 2k k′2c, 1
c = K(k) a により定まる。次に
1 c =
√ ρω2
T0 (
1 +ρω2b2 4T0
)
により、張力のx成分 T0 が定まる。さらに回転数 ω
2π が決まるとT0 が具体的 に定まる。(速くまわすと強く引っ張られる。)
両端でロープが x 軸となす角ψ0 は tanψ0= dy
dx
x=0
= b ccnx
c dnx c
x=0
= b c によって定まる。ロープの張力のx 軸成分は両端で
Tcosψ0 =T0
であるから、ロープの張力は
T = T0 cosψ0
=T0
√b2
c2 + 1 =T0
√(2k k′2
)2
+ 1
と定まる。このように ℓ と 2a (なわとびを始める時の状態)から、最高点の高 さやロープを回す手の感覚(張力)が得られる。
なわとびのロープは、遠心力の位置エネルギーが最小になる形になっている。
これは
“運動はエネルギーを最小にするように実現される” という変分原理(variational principle)によっている。
なわとびのロープの形を変分原理で述べると
長さ i.e.,
∫ ds=
∫ √ 1 +
(dy dx
)2
dx: 一定
のもとで ∫
y2ds=
∫ y2
√ 1 +
(dy dx
)2 dx