Ë 50 ("') 30 包 40
:::; 20 M-l ----M-3 生成活性の大部分はいずれも2B subfamily P450で触媒されていることが明確
になった。
110
100 �- Fig.31 Effect of anti-P45ÜGP-l IgG on the formation of three metabolites of PCB 153
with liver microsomes of PB-treated dogs.
Broken line represents the effect of preimmune IgG
イヌ肝ミクロソームにおけるM-l ----M-3 生成活性はP450G引抗体の添加により濃度依 存的に阻害され、 最大85 ---- 1 üO%まで限害された。 以上の結果、 ミクロソームでの
10
。 。
o 2 4 6 8 10
IgG added
(mglmg Ms protein)
o 2 4 6 8 10
IgG added
(mglmg Ms protein)
第7節 考察 Fig. 30 Effect of anti-CYP3A 12 IgG on the formation of three metabolites of PCB 153
with liver microsomes of PB- treated dogs.
Broken line represents the effect of preirrunune IgG
本章では著者が見出したPCB1 53 代謝物の生成に関与するP450分子種を明らかにする 目的でモルモットおよびイヌ肝臓より数種類のP450分子種を精製し、 再構成系およびミ クロソームにおける抗体阻害実験を行った。 その結果、 3種すべての代謝物の生成 に 2B subfamily P450が関与することが明らかとなった。 本検討は、 P450 の反応機構 について幾つかの重要な示唆を与える。 第一にPCBの脱塩素水酸化反応がP450の 触媒する反応によって生成すること を明確に示した点である。 先にも記したように 第4節に記したように3A subfamily P450は再構成が難しいP450分子種としてよく知
られているため、 その薬物代謝における関与を言及するには3A subfamily P450抗体を用 いた抗体阻害実験か、 それが入手できない場合同P450の特異的阻害剤として知られてい る出acetylo1eandomycin 113)を用いた阻害実験が必須である。 本検討の結果、 少なく
- 54 - phu Fhu
PCBのin v ivo代謝物にしばしば脱塩素水酸化代謝物が検出されることはかなり以前から 知られていたが、 その生成機構は未解明のままであった。 著者はこの成績体がin v itro 代謝によっても生成すること、 また NADP H非存在下では生成しないことから加水分解 的な脱塩素化反応ではなくP450の触媒する反応の成績体であると確信していたが、 今回 精製P450によっても生成することを初めて明らかにすることができた。 その反応機構 についてはさらに検討が必要であるが、 つい最近 Hirobe らはP450 化学モデル系を用い てP450の新規代謝様式として lpSO 型置換反応が起こりえることを示し、 これが肝ミク ロソーム系でも P450依存性に起こりえることを報告したl附15)0 ipso 置換型代謝反 応様式とは、 例えば一般のひ脱メチル化反応がひメチル基の水酸化による不安定なヘミ アセタールの生成とその後の非酵素的HCHO脱離で起こると考えられているのに対し、
メトキシ基全体が酸化活性種由来の酸素原子とipso位(官能基が置換している位置 )で置 換され脱離する反応をいう。 PCBの脱塩素水酸化反応も一種のlpSO型置換反応である と考えられるが、 著者と異なり Hirobe のグループでは反応中間体として 訂ene oxide中
間体は考えておらず、 他の機構で進行している可能性を推察しているようである。
第二にラットの精製P450では、 lA subfamily P450は訂ene oxide中間体生成を、 2B sub
family P450 は直接水酸化を触媒するという役割分担があると考えられていた100)のに対 し、 動物種が異なるとそのような分担的説明は必ずしも当てはまらないことが示された 点である。
第三に一部重複する可能性は否定できないが、 主に生成機構が異なると考えられてい たM-2とM・3が同ーのP450タンパク質によって生成することから、 反応中間体として の tetrahedral中間体生成の可能性が示唆された点である。 即ちイヌおよびモルモット の2B subfamily P450はいずれも同ーの tetrahedral中間体を生成する反応を触媒し、 この ものはP4500L-2(CYP2Bll)とP450GP-lの内部環境の相違に従って2次中間体である arene oxideあるいはketo体へ移行、 ついで転移あるいは異性化する。 P4500L-2内で2,3-訂ene oxideに閉環したものはこの後SH化合物によって非酵素的あるいは酵素的にフェノール 体への異性化が妨げられ、 keto体に転移したものはSH化合物の影響はほとんど受けな いものと考えられる。 精製 酵素を用いた検討によってミクロソームで見られたイヌ とモルモットの代謝物生成活性の差は、 P4500L-2とP450GP-l自身の活性の差に起因してい ることが明らかになった。 仮に第四章で見出した3,4-arene oxide中間体経由の反応 も、 P450GP-lで触媒されると考えた場合、 本酵素ではP4500L-2 との内部環境の差によって
tetrahedral中間体は 3,4-arene oxide中間体へも閉環するものと解釈される。 このよう
に基質の酵素活性中心に対する配向がずれたと考える場合、 両者で主代謝物生成の絶対 活性に差がでることはむしろ当然のことであると推察される。
あるいは以下のような考察も可能である。 仮にP4500L-2とP450GP-lがいずれも 同程度
の tetrahedral中間体生成を触媒しているとしても、 それ以降の反応の相違のため両P450 分子種の活性が異なる可能性が考えられる。 たとえば訂ene oxide中間体はそのオキ シラン環の位置で生体高分子との結合に基づく 毒性が異なることが知られている。 す なわち bromobenzene においてはortho-meta (2,3 )-arene oxide は解毒代謝物であるのに対 し、 meta-paraθ,4)- arene oxide は肝壊死をもたらす毒性代謝物であると報告されている 116)0 PCBでも、 Matthewsら1川およびSchnel l mannら判)は、 3,4-arene oxide中間体経由 で容易に代謝される2,3ム2' ,3' , 6' -hexachlorobiphenyl (PCB 136 )は著しく 生体高分子へ結合 することを報告している。 PCB153の場合は代謝され難いため、 PCB136と比較した 場合、 生体高分子への結合はほとんどないと報告されているが州117)、 PCB153を主に3,4-紅ene oxide中間体経由で代謝すると思われるラットにおいては核タンパク質やDNA に
対する結合が証明されているのも事実である11% これらの知見は、 モルモット肝に おいては多量に生成した 3,4-arene oxide中間体が生体高分子と結合するために極性代謝 物の回収が少ない可能性を示唆しているのかもしれない。
以上のように単一のP450が複数の代謝物を生成しうる機構としては tetrahedral中間体 が介在するという考え方もあるが、 基質が結合部位において flip-fl op や rotation等の flexibleな挙動をとるため、 多数箇所の水酸化が可能であるとする考え方もある。 実 際単一の中間体からの転位や異性化反応では説明しきれない離れた位置の水酸化を単一 のP450が触媒する例が明らかとなっておりl問、 本研究で見出した代謝物がそうした反応 機構で生成している可能性も否定できない。 また、 両動物種の2B subfamily P450の 絶対活性の差を必ずしも酵素活性中心への基質の配向の相違や紅ene oxide中間体の転位 方向の違いで説明する必要はない。
異なる可能性も充分考えられる。
興味深いことにイヌ P4500u (CYP2B 1 1 ) の代謝活性はDuignan らの報告と一致して cytochrome bs添加により増加したのに対し、 モルモットP450GP-lの代謝活性は影響され なかった。 最近ラットCYP2Blと cytochrome b5 の結合にはCYP2BlのLys-122および Arg-125残基が重要で、あることが示された120)。 一方、 当研究室のMiseは今年に入って より単純にPCB153の両P450に対する親和性が
- 56ー Fhd ゥ,
「ーー -
-------"--___"...,.. ーー 一一一一一一一一一一一一一一一 _. 園
モルモットP450GPlのcDNAcloningに成功した121)。 その結果CYP2Bl lとP450GP-lの 第VI章 ヒト2Bsubfamily P450による検討 122 および 12 5番目のアミノ酸残基はいずれもLy sおよびAr g で保存されていることか
らCYP2Bl1とP450GP-lはcytochrome bsとの結合活性には大差はないものと推察される。
C ytochrome bs はP450に結合すると、P450タンパク質分子の立体構造変化 を誘起するこ とが知られており122)、 このことがP450の基質結合部位と基質との相互作用に影響する可 能性は大きいものと考えられる。 したがって活性 増強の認められるCYP2Bl1ではcy
tochrome bs結合に伴うconforma tion変化 がPCB153のP450の活性 中心における酸素添加
第1節 概要
反応により適した配向をもたらすのかもしれない。 あるいは cytochrome bsによる
これまで 極めて多くのPCB代謝研究がなされているが、 ヒトにおけるPCB代謝研究 はほとんど行われてお らず、PCB混合物に暴露された油症患者や工場労働者の血中未変 化体濃度推移や残留代謝物パターンの研究 が大部分を占める。 In vitroにおける代謝研 究は唯一 Schnellmann らがヒト肝ミクロソームで お こなった PCB15, PCB 153 お よび PCB136の検討のみである斜)125)。 したがって現在まで ヒトにおいて精製酵素レベル の研 究は皆無であり、 ヒトではいずれの subfamily のP450 分子種 がPCBの代謝に関与する かは全く明らかとなっていない。 Schnellmannらの報告では本研究の主題である PCB153 はヒト肝ミクロソームで全く代謝されなかったとされている判。
前章 まで の検討から、 少なくとも現在までに検討された動物種ではPCB153はいずれ も 2B subfamily P450によって 代謝されることが明らかとなった。 ヒトにおいて 2B
subfamily P450は肝臓に常在的に発現している分子種であると言われているが、 その発現 量には個人差が激しくま た含量も極めて低い126)。 このことがおそらくSchnellmannら がヒト肝ミクロソームにおいてPCB153の代謝物検出に成功しなかった理由であろう と 推察される。 このヒト 2B subfamily P450 (CYP2B6)はこれまでにヒト肝ミクロソーム よ り精製が試み られているものの、 現在まで単一の精製標品を得ることは成功していな い。 しかし、cDNAはすでにクローニングされており、 つい最近になって CYP2B6 cDNAをヒトBリンパ芽球様細胞由来の培養細胞系に導入し安定的に発現させた細胞株
あるいはそれから調製したミクロソームが市販されるようになった。 ヒトP450発現 系は現在のところよう や く商品化にこぎ付けた段階であるため、CYP2 D6を除き大量の P450の発現には 成功しておらず、ロットによって含量にかなりのバラツキがあるが、 ほ とんどのミクロソーム製品の活性はヒト肝ミクロソームで 認められる活性に匹敵すると P450触媒活性 の増強機構は NADPH等の電子供与体からP450への電子伝達の促進と効
率化によるところが大きいと考えられているが、P450分子中の電子の通路となっている アミノ酸残基あるいは高次構造は現在のところ充分には解明されておらず、CYP2Bl1と P450GP-,間で異なるためにcytochrome bsの効果が違う 可能性 も考えられる。 しかしな がらP450 とcytochrome bs間の相互作用は極めてデリケートであり、 同一のP450 と bs を使用しでもなお、 再構成系に添加する順序やP450/bs比等で 変化することが知られてお り123) in vivoにおける cytochrome bs の関与は当教室のM a tsusueらが行ったように cyto ch rome bsに対する抗体を用いた検討が必要である124)。
以上のようにイヌおよびモルモットでは著者が見出 した新規代謝反応は、 いずれも2B subf釦世lyP450によって触媒されることが明らかとなった。 Dui gnanらは代謝物や 反応 機構については全く触れていないが、 ラット の2B subfamily P450 の一つ CYP2Bl にや はりPCB153代謝活性 があることを報告している問。
精製酵素レベルでPCB153の代謝が検討されているのはこれら動物種で全てであるが、
反応機構は異なると考えられるもののいずれの動物種においても2B subfamily P450で 代 謝される点から、 ヒトにおいても2B subfamily P450によって本PCBが代謝される可能 性が考えられる。 そこで次章ではヒト2B subfamily P450を用いてPCB153の代謝を検
討することにした。 言われている。
前述したように本年になって当研究室のMiseらによってモルモット2B subfamily P450
であるP450GP-lのcDNAがクローニングされ、 その結果興味ある事実が明らかになって きた。 Fig. 32はMiseらが各動物種における2Bsubfamily P450のみに着目し、 既知の 塩基配列から平均距離(UPGMA)法に基づいて作成した分子系統樹である。 その結 果、 晴乳類の 2B subfamily P450は、 ヒト CYP2B6、 イヌCYP2Bll、 ウサギCYP2B4 お
- 58ー FHU 門司d