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まとめ

ドキュメント内 令和 2年 9月 (ページ 62-65)

2. 鉛プラグ入り積層ゴムの繰返し加力試験

2.5 まとめ

φ500mmのLRBを用いた繰返し加力試験を実施した。繰返し加力試験では、最大せん断ひず み量、最大加力速度、面圧をパラメータとした正弦波加力、最大せん断ひずみを200%に基準化し た4種類の地震応答波加力および引張領域を跨ぐ水平方向・鉛直方向の2方向同時加力を行い、

試験体内部の温度変化とLRBの力学特性を計測した。本試験から得られた知見を以下に示す。

1) 試験体内部に鉛プラグ中央部を含む7個の熱電対を設置し、殆どの試験ケースにおいて試験体 内部の詳細な温度変化を計測することが出来た。また、熱電対の抜出し量を計測することで、

再現解析の精度向上に資する記録を取得した。

2) 試験体内部の温度記録を使用し、試験体各部における熱エネルギーの総和と履歴吸収エネルギ ーを比較することで、鉛プラグの発熱範囲が連結鋼板間の鉛プラグ全体となること、鉛プラグ の発熱は主として半径方向の積層ゴム部に伝導していることを確認した。

3) LRBの温度-降伏応力度関係において、せん断ひずみ、加力速度および面圧の依存性が無いこ

とを確認した。但し、鉛プラグの降伏応力における速度依存性から、既往の提案式およびメー カー式には加力速度の適用範囲があることを確認した。

4) 降伏応力度算出時の鉛プラグ温度に発熱範囲の平均温度を使用することで、動的加力時では既 往の提案式、静的加力時ではメーカー式の温度―降伏応力度関係を用いて鉛プラグの履歴曲線 を安全側に評価できることを確認した。また、鉛プラグの平均温度を使用して発熱範囲の熱エ ネルギーを評価することで、履歴吸収エネルギーとの釣合いが取れることからも、降伏応力度 算出時の鉛プラグ温度に平均温度を使用することは適当であると考えられる。

5) 4)において、試験結果の温度-降伏応力度関係は、200℃程度まで既往の提案式と同様の傾向を

示しているが、200℃から融点に近い 300℃程度まで温度上昇した際には、試験結果の鉛プラ グの降伏応力度は約4N/mm2に収束するのに対し、既往の提案式は鉛プラグの温度の上昇に伴 い降伏応力度を漸減させており、提案式は試験結果を再現できていない。よって、鉛プラグの 降伏応力度を約4N/mm2に収束した温度-降伏応力度関係を用いることで、長周期・長時間地 震動などの過大な繰返し変形による温度上昇が生じる際、降伏応力度が必要以上に低下し、免 震装置の応答が増大することを防ぐことで、合理的な設計が期待できる可能性がある。

6) 入力条件が異なる繰返し加力を受けたLRB の加力後温度変化は概ね一致しており、繰返し加 力により熱物性値は変化せず、鉛プラグと積層ゴム部における境界面の接触状態は加力条件に 依らず同じになるものと考えられる。

7) 単位体積吸収エネルギー量と降伏応力度低下率の関係について、評定式は試験結果を安全側に 包絡できることを確認したものの、広い範囲でLRB の放熱影響や降伏応力度の低下による吸 収エネルギー量の減少影響を安全側に考慮しているため、精算法を使用した方が合理的な設計 が可能であると考えられる。

8) 50mを超える累積変形を受けた場合や鉛プラグに300℃程度の発熱温度が生じた場合であって

も、プラグ温度が常温まで低下することで力学特性が同じとなること、また、水平方向に線形 限界ひずみ相当の繰返し変形を、鉛直方向に引張領域と圧縮領域を横断する繰返し変形を与え た同時加力試験においても、LRBが適切に動作することを確認し、従来、実験的に確認されて いない熱・荷重状態におけるLRB の力学特性を把握することで、装置の健全性確認範囲を拡

充した。

【2章 参考文献】

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3) 日本電気協会:原子力発電所免震構造設計技術指針 JEAG4614-2019, 2019年6月 4) 日本規格協会:建築免震用積層ゴム支承-第2部:試験方法 JIS K 6410-2, 2015年10月 5) オイレス工業:鉛プラグ挿入型積層ゴム支承LRB 認定番号: MVBR-0355, 2011年1月 6) Ioannis V. Kalpakidis, Michael C. Constantinou:Effects of Heating on Behavior of

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震装置の仕様決定のためのパラメータ解析, 日本建築学会学術講演梗概集(北陸), pp.1135-1136, 2010年9月

9) 人見泰義, 加治木茂明, 荒井芳和:鉛プラグ入り積層ゴムの速度依存性と繰り返し依存性

10) 清水弘, 山本知史, 古川茂, 島本龍, 佐藤邦彦:次世代軽水炉の免震技術の開発(その 2)免 震技術の設計条件, 日本建築学会学術講演梗概集(北陸), pp.1133-1134, 2010年9月 11) 国土交通省国土技術政策総合研究所, 建築研究所:2015 年版 建築物の構造関係技術基準解

説書, 2015年6月

12) 建築性能基準推進協会HP:https://www.seinokyo.jp/jsh/top/(2020年5月参照)

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(2020年5月参照)

14) 建築研究所 HP:https://www.kenken.go.jp/japanese/contents/topics/lpe/index.html(2020 年5月参照)

15) 和田章, 木下雅彦:MSSモデルを用いた柱降伏型の建物の立体振動解析(その1), 日本建築 学会学術講演梗概集(東海), pp.313-314, 1985年10月

16) 平井秀男, 廣谷勉, 清水弘, 朝倉伸治, 中川進一郎, 島本龍:原子力施設の免震技術の開発(そ

の2)実規模免震装置の鉛直方向ソフトニング試験, 日本建築学会学術講演梗概集(北海道),

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17) 可児長英, 岩部直征, 高山峯夫, 森田慶子, 和田章:天然ゴム系・高減衰型・鉛プラグ入り積 層ゴム入り積層ゴムのオフセットせん断―引張特性試験(その1)試験計画の概要, 日本建築 学会大会学術講演梗概集(中国), pp.559-560, 1999年9月

18) 池田正樹, 今岡哲男, 金澤健司, 薮内耕一, 山本知史, 神保雅一, 梅木芳人:原子力施設の免震 技術の開発(その25)実規模免震装置の破断試験(破断曲面に関する詳細評価), 日本建築 学会大会学術講演梗概集(九州), pp.1343-1344, 2016年8月

19) 西村拓也, 山本祥江, 黒澤到, 菊地優, 甲斐義郎, 仲村崇仁:天然ゴム系積層ゴムの水平鉛直 同時加力時の大変形挙動特性に関する研究, 日本建築学会構造工学論文集, Vol.55B, pp.517-525, 2009年3月

20) 内藤伸幸, 松田泰治, 宇野裕恵, 川神雅秀:鉛プラグ入り積層ゴム支承(LRB)のMullins効 果とハードニングが耐震性に及ぼす影響, 土木学会論文集A1, Vol.73 No.4, pp.499-510, 2017 年

21) 和氣知貴, 菊地優, 石井建, 黒嶋洋平, 仲村崇仁:繰り返し加力を受ける鉛プラグ入り積層ゴ ム支承の降伏荷重評価法に関する研究, 日本建築学会構造系論文集, 第 83 巻 第 750 号, pp.1105-1115, 2018年8月

22) 近藤明洋, 竹中康雄, 高岡栄治, 引田真規子, 北村春幸, 宮崎充:大振幅繰返し変形を受ける 積層ゴム支承の熱・力学的連成挙動に関する研究(その 10 鉛入り積層ゴムにおける鉛温度

~降伏応力関係の提案), 日本建築学会大会学術講演梗概集(中国), pp.399-400, 2008年9 月

23) 金子修平, 西村拓也, 山本祥江, 仲村崇仁:多数回繰返し変形による特性変動を考慮した鉛プ ラグ入り積層ゴムの復元力モデルの構築 その1: 鉛プラグ入り積層ゴムの多数回繰返し加 振実験, 日本建築学会大会学術講演梗概集(東海), pp.385-386, 2012年9月

24) 建築研究所:免震部材の多数回繰り返し特性と免震建築物の地震応答性状への影響に関する 研究, 建築研究資料,No.170, 2016年4月

25) 近藤明洋, 竹中康雄, 矢口友貴, 古橋剛, 菊地優, 飯場正紀:長周期地震動に対する免震建築 物の簡易応答評価法 その1: 鉛プラグ入り積層ゴム, 日本建築学会大会学術講演梗概集(北 海道), pp.765-766, 2013年8月

26) ブリヂストン:長周期地震動に対する免震材料の性能変化(ブリヂストン鉛プラグ挿入型積層 ゴム支承), 日本建築センター, 評定書, BCJ 評定-IB0012-01, 2017年5月

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