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まとめ

ドキュメント内 第 1 部モニタリング手法の開発 (ページ 80-83)

干潟から採取したアサリの軟体部中PFOSとΣPBDEsは ,浄化飼育期間中に半減することが 確認された。移植アサリの PFOS 濃度は,実験期間中には平衡とはならず,また,PFOA とΣ

PBDEsの蓄積濃度は上昇しなかった。 これらの化学物質に一定の蓄積傾向がみられなかった

理由として,移植した干潟環境中濃度が低いこと,物質の性状によりアサリに蓄積されにく い可能性などが考えられた。 今後,濃度がより高い干潟への移植を試みたり,自生アサリに おける濃度変化を明らかにして,それら新規化学物質のモニタリングの可能性をさらに検討 する必要がある。

A干潟においては移植アサリのΣPCBsおよびOTs濃度は自生アサリとほぼ同じレベルに達し たが,B干潟においては移植アサリの濃度は自生アサリのレベルに達しなかった。 B干潟に おいて移植アサリの蓄積濃度が上昇しなかった理由として,B 干潟の生息環境の悪化が推察 され,アサリの生息環境も考慮した移植実験の検証が必要であろう。

アサリはスルメイカ肝臓,マサバ,ブリとは異なるPCB組成を示した。干潟環境中には6塩

化物ともに7塩化物濃度が高い特徴を有すると考えられた。日本では1972年に生産が中止さ れるまで主に4つのPCB製品(KC300,KC400,KC500,KC600)が生産され,そのうち6,7塩 化物の組成比が高い製品はKC600である(二宮・倉林,2002)。このKC600は船舶用塗料に使 用されていたことから,船舶塗料由来のPCBが干潟の底質に蓄積した可能性が考えられた。

アサリ生息水域近傍のムラサキイガイ軟体部中のΣPCBs 濃度(3.77ng/g-wet)および干潟 移 植 後 42 日 目 の ム ラ サ キ イ ガ イ の ΣPCBs 濃 度 は ア サ リ の 値(0.81ng/g-wet お よ び 0.91ng/g-wet)よ り 高 く , ム ラ サ キ イ ガ イ の 軟 体 部 中 TBT 濃 度(1.3ng/g-wet お よ び 4.6ng/g-wet)はアサリの値(12.3ng/g-wetおよび9.3ng/g-wet)より低かった。以上の干潟環 境中の結果より,PCBsはムラサキイガイがアサリより蓄積傾向が強く,TBTはアサリがムラ サキイガイより蓄積する傾向が強いと考えられた。

ム ラサキ イガ イの TPT 蓄積濃 度に ついて は, アサリ 生息 水域近 傍で の採取 時の 値 (1.1ng/g-wet)はアサリ(1.4ng/g-wet)より低く,干潟移植42日後の値(3.7ng/g-wet)はアサ リ(2.7ng/g-wet)より高かった。これより実験海域においてはアサリが生息する干潟はムラサ キイガイの生息する干潟沖合水域よりTPT濃度が高いこと,そしてムラサキイガイはアサリ

よりもTPTを蓄積する傾向が強いことが示唆された。

今後はアサリ体内蓄積量により干潟環境中化学物質濃度の推定法の開発に繋るために,ア サリの体内蓄積量と底質濃度の関係や海水中の餌物質としての植物プランクトンやデトリタ ス中の化学物質との関係を検討する必要があろう。

引用文献

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池田 譲・桜井泰憲・島崎健二(1991b).雌スルメイカの成熟にともなう卵巣および付属生 殖器官の発達について,日本水産学会誌,57,2243-2247.

海洋生物環境研究所(2009). 水産庁委託事業,平成20年漁場環境・生物多様性保全総合対 策委託事業,漁場環境化学物質影響総合評価事業報告書.

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ドキュメント内 第 1 部モニタリング手法の開発 (ページ 80-83)

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