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第 3 章 高校生における自律度別学習者が認識する英語教師の動機づけ方略の

3.1.8 結果

まず、教師の動機づけ方略29項目に関して、全員の回答を対象に因子分析を行った(最 尤法・プロマックス回転)。因子は、3因子解、4因子解、5因子解を比較し、その中か ら最も解釈しやすい3因子解を採用した。3因子抽出後の累積寄与率は50.90%であった。

因子分析結果表については、負荷量 .250以上を示してある(表3-1)。

第1因子で負荷量の高い項目は「リラックスができる教室づくりを心がけてくれる」

「生徒と良い人間関係を築いてくれる」「活動をどのように行うかについてわかりやす く説明してくれる」「先生自身がお手本になる行動をしてくれる」「英語学習において、

間違えることは自然なことであると生徒に話してくれる」などの項目であった。したが って、英語教師が学習者の立場を理解し、お互いが良い人間関係を築くことができるた めの教師の方略と解釈し、「生徒の立場の尊重」因子と命名された。

第2因子で負荷量の高い項目は「新しい内容を取り入れて、好奇心を引き出してくれ る」「英語を実際に使った活動を行ってくれる」「生徒自身に関わりのある内容を授業に 取り入れてくれる」「生徒に英語の必要性を伝えてくれる」「今までの個人成績をグラフ などで教えてくれる」などの項目であった。したがって、英語教師が学習者に関わりの ある内容を授業に取り入れ、工夫のある授業展開をしてくれる教師の方略と解釈し、「授 業内容の工夫」因子と命名された。

第3因子で負荷量の高い項目は「学習方法を具体的に説明してくれる」「学習目標を 明確に示してくれる」「家庭学習の方法を明確に示してくれる」「生徒の能力に応じて 対応してくれる」「適度に難しく、挑戦したくなるような学習を取り入れてくれる」な どの項目であった。したがって、英語教師が学習活動に関して学習方法を明確に示し、

その達成法を明示してくれる教師の方略と解釈し、「目標とその達成法の明示」因子と 命名された。このように、英語学習意欲が高くなる教師の動機づけ方略に関する項目は、

「生徒の立場の尊重」「授業内容の工夫」「目標とその達成法を明示」の3因子から構 成されていることが明らかになった。2

得られた結果を基にして、それぞれの因子に関して平均値(標準偏差)および、α 係 数を算出した。その結果、生徒の立場の尊重因子(12項目)がM = 3.70,SD = .749,α = .933、

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授業内容の工夫因子(8項目)がM = 3.21, SD = .704, α = .850、目標とその達成法の明示 因子(9項目)がM = 3.53, SD = .708, α = .888であった。したがって、十分に高い内的一 貫性を示していることが明らかになった。今回分析を実施するにあたり全ての統計分析 は、PASW Statistics 18によって行った。

次に、高自律度群(n = 162)、中自律度群(n = 161)、低自律度群(n = 162)の3群 の違いによって、最も効果的であると考えられる教師の動機づけ方略に差があるかどう かを検証するために、独立変数を自律度群(3水準)と動機づけ方略(3水準)、従属変 数を学習者の回答とする混合計画・2 要因分散分析を行った(3×3 の分散分析)。その 結果、Mauchlyの球面性検定において有意確率がp = .002であったため、球面性の仮定 が 棄 却 さ れ た 。 し た が っ て 、 動 機 づ け 方 略 要 因 の 被 験 者 内 検 定 に つ い て は

Greenhouse-Geisserの自由度の修正を行った。分散分析の結果、自律度群要因の主効果お

よび、動機づけ方略要因の主効果、さらに交互作用が有意であった(順にF (2, 482)=

17.35, p < .001, partial η2 = .067; F (1.95, 940.50)= 239.62, p < .001;partial η2 = .332; F

(3.90, 940.50)= 6.24, p < .001, partial η2 = .025)。この結果に基づき、まず、動機づけ方 略要因の各水準における自律度群要因の単純主効果の検定を行ったところ、すべての水 準において有意な単純主効果が認められた(F1;F(2, 964)= 78.24, p < .001, partial η2

= .139; F2;F(2, 964)= 42.36, p < .001, partial η2 = .080; F3;F(2, 964)=131.77, p < .001,

partial η2 = .214)。各水準に対してBonferroniの方法による多重比較を行ったところ、生

徒の立場の尊重因子における高自律度群と中・低自律度群の間には有意な差が見られた

(いずれも p < .001)。しかし、中自律度群と低自律度群の間には有意な差は見られな かった(p > .05)。授業内容の工夫因子における低自律度群と中・高自律度群の間には 有意傾向が見られたが(p < .05; p < .001)、中自律度群と高自律度群の間には有意な差 は見られなかった(p > .05)。最後に目標とその達成法の明示因子では、高自律度群と 中・低自律度群の間には有意な差が見られ(いずれも p < .001)、低自律度群と中自律 度群の間には有意な差は見られなかった(p > .05)。

次に、自律度群要因の各水準における動機づけ方略要因の単純主効果の検定を行った ところ、全ての水準において有意な単純主効果が認められた(低自律度群;F (2, 482)

= 19.03, p <.001, partial η2 = .073; 中自律度群;F(2, 482)= 8.68, p < .001, partial η2 = .034;

高自律度群;F(2, 482)= 18.49, p < .001, partial η2 = .071)。各水準に対してBonferroni の方法による多重比較を行ったところ、高・中・低自律度群それぞれにおいて、3 つの 方略全ての間で有意であった(全てp < .05)。

これらの結果を基に、高・中・低自律度群における教師の動機づけ方略3因子(生徒 の立場の尊重・授業内容の工夫・目標とその達成法の明示)の平均得点を図3-1に示す。

45 表3-1

英語の動機づけ方略の因子分析結果(N=485) 渡辺(2015) 項目番号 項目内容 F1 F2 F3 生徒の立場の尊重 (12

2. リラックスができる教室づくりを心がけてくれる .922 4. 生徒と良い人間関係を築いてくれる .877 3. 活動をどのように行うかについてわかりやすく説明してくれる .784

1. 先生自身がお手本になる行動をしてくれる .738 .262 -.266 5. 英語学習において間違えることは自然なことであると生徒に話してくれる .619

13. 生徒の立場を認め、気を配ってくれる .587

14. 努力とその結果を認めてくれる .544 .258 15. 生徒の質問や提案を快く受け入れてくれる .522 .275

11. 工夫のある授業をしてくれる .422

7. 生徒の自主的な学習を尊重してくれる .421 .275 6. 生徒の興味を引く活動を選んでくれる .416 .271 12. 先生が生徒の成長について関心を示してくれる .411 .357 授業内容の工夫 (8

17. 新しい内容を取り入れて、好奇心を引き出してくれる .861 16. 英語を実際に使った活動を行ってくれる .791 19. 生徒自身に関わりのある内容を授業に取り入れてくれる .552 18. 生徒に英語の必要性を伝えてくれる .552 8. 今までの個人成績をグラフなどで教えてくれる .486 9. 生徒それぞれに具体的な目標を立てさせてくれる .469 .271 10. 学んでいる言語の文化的背景について教えてくれる .292 .424

26. みんなの前で褒めてくれる .264

目標とその達成法の明示(9

24. 学習方法を具体的に説明してくれる .824

23. 学習目標を明確に示してくれる .822

21. 家庭学習の方法を明確に示してくれる .735

22. 生徒の能力に応じて対応してくれる .613

25. 適度に難しく、挑戦したくなるような学習を取り入れてくれる .485 27. 生徒が間違えた場合は、理由と改善策を示してくれる .321 .464 29. 学習仲間を持つことの重要性を教えてくれる .422 28. 試験問題を前もってみんなに知らせてくれる .324 .347 20. 生徒に対して献身的で、熱心な姿勢を示してくれる .274 .290

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図3-1 自律度群による教師の動機づけ方略を評価した回答の平均

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