第三章 森吉山における樹氷と新雪の化学成分
3.2 方法
3.2.1 ラ イ ム と 新 雪 の 採 取 法
ラ イ ム と 新 雪 の 採 取 地 点 は ,秋 田 県 中 央 部 に 位 置 す る 独 立 峰 の 森 吉 山( 位 置 : 39°58 N, 140°32 E, 標 高 :1,454 m) の 樹 氷 平 ( 西 側 標 高 1,200m) で 2004年 2 月 5 日 ~25 日 の 間 に 5 回 実 施 し た 。 ラ イ ム に 関 し て は , ア イ ス モ ン ス タ ー が 形 成 さ れ て い る 場 所 に PTFE 製 の ネ ッ ト を 巻 き 付 け た ポ リ カ ー ボ ネ ー ト チ ュ ー ブ 設 置 ( 図 3.2) し , 図 3.3 に 示 す PTFE 製 の ネ ッ ト に 形 成 さ れ た ラ イ ム を 清 浄 な 500mLの ポ リ エ チ レ ン 製 ボ ト ル に 採 取 し た 。な お ,PTFE製 の ネ ッ ト を 巻 き つ け た ポ リ カ ー ボ ネ ー ト チ ュ ー ブ は 10m 間 隔 で ,2 本 設 置 し た 。 新 雪 は , ラ イ ム を 採 取 し た 周 辺 か ら 清 浄 な 500mL の ポ リ エ チ レ ン 製 ボ ト ル に 採 取 し た 。 図 3.4 に は ラ イ ム の 採 取 す る 様 子 を ,表 3.1 に は ラ イ ム と 新 雪 を 採 取 し た 日 と ,ラ イ ム の 形 成 の 概 要 を 示 し た 。
図 3.1 森 吉 山 の ア イ ス モ ン ス タ ー
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図 3.3 PTFE 製 ネ ッ ト に 形 成 さ れ た ラ イ ム 図 3.2 PTFE製 の ネ ッ ト を 巻 き つ け た ポ リ カ ー ボ ネ ー ト チ ュ ー ブ
35 Sampling date
The rime is believed to have formed on 9 February given the weather conditions. The direction of the rime formation is northwest.
The rime is believed to have formed in association with a monsoon from the northwest with a wind velocity of 20 m/sec or more on 15 February. The direction of the rime formation is northwest.
Outline of the rime samples
All of the rime that adhered to the trees had fallen as of 22 February. The rime is believed to have formed on 26-27 February given the weather conditions beginning 22 February. The direction of the rime formation is south, which is opposite that heretofore.
5 February 2004
8 February 2004
11 February 2004
16 February 2004
29 February 2004
The rime collector was set up on 1 February 2004, but there was still no rime adhered to it as of 3 February. The rime is believed to have formed on 4 February given the weather conditions. The direction of the rime formation is northwest.
The rime is believed to have formed in association with a monsoon from the northwest with a wind velocity of 10 m/sec or more on 7 February. The direction of the rime formation is northwest.
表 3.1 ラ イ ム 及 び 新 雪 の 採 取 日 と ラ イ ム 形 成 の 概 要 図 3.4 ラ イ ム の 採 取 す る 様 子
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3.2.2 不 溶 解 性 元 素 成 分 及 び 溶 解 性 イ オ ン 成 分 の 分 析 法
採 取 し た ラ イ ム と 新 雪 は 冷 蔵 庫 内 で ゆ っ く り 溶 解 し , ま ず pH と 電 気 伝 導 度
(EC) を 測 定 し た 。 次 に , ポ リ カ ー ボ ネ ー ト フ ィ ル タ (Ncuclepore, diameter: 25 mm, pore size: 0.2 m) を 用 い て , 不 溶 解 性 成 分 と 溶 解 性 成 分 を 分 離 し た 。 ポ リ カ ー ボ ネ ー ト フ ィ ル タ に 捕 集 し た 不 溶 解 性 成 分 ,つ ま り 粒 子 は PIXE法 を 用 い て 多 元 素 同 時 分 析 を し た 。 溶 解 性 成 分 は イ オ ン ク ロ マ ト グ ラ フ ィ ー 法 に よ る イ オ ン 成 分 の 分 析 を し た 。
PIXE 分 析 で は ,不 溶 解 性 成 分 を 捕 集 し た ポ リ カ ー ボ ネ ー ト フ ィ ル タ を Mylar® の タ ー ゲ ッ ト フ レ ー ム に 貼 り 付 け , こ れ を 照 射 試 料 と し た 。PIXE 分 析 は ( 社 ) 日 本 ア イ ソ ト ー プ 協 会 仁 科 記 念 サ イ ク ロ ト ロ ン セ ン タ ー(NMCC)で 行 っ た 。ス モ ー ル サ イ ズ の サ イ ク ロ ト ロ ン か ら の 2.9MeV の プ ロ ト ン ビ ー ム を 真 空 チ ャ ン バ ー 内 で 照 射 試 料 に 照 射 し , こ れ に よ り 発 生 し た 特 性 X 線 を 低 エ ネ ル ギ ー 用 と 高 エ ネ ル ギ ー 用 の 2 台 の Si(Li)検 出 器 で 同 時 に 測 定 し て ス ペ ク ト ル を 得 た 。こ れ ら の ス ペ ク ト ル を 収 得 し た 際 の ビ ー ム 電 流 は 10~40 nA, 電 荷 量 は 4~57 C,
ま た 照 射 時 間 は 6~18 分 で あ っ た 。 ス ペ ク ト ル か ら 検 出 元 素 の ピ ー ク 面 積 を 解 析 す る に は 解 析 プ ロ グ ラ ム”SAPIX”7 ), ピ ー ク 面 積 か ら 定 量 値 を 求 め る に は Nuclepore-Br法 8 )を 用 い た 。
溶 解 性 成 分 の イ オ ン ク ロ マ ト グ ラ フ ィ ー 分 析 で は , 分 析 対 象 の イ オ ン 成 分 は 陰 イ オ ン と し て F–,Cl–,NO2–,Br–,NO3–,PO4
3 –及 び SO4
2 –, 陽 イ オ ン と し て Na+,NH4
+,K+,Mg2 +及 び Ca2 +と し た 。 分 析 に 用 い た イ オ ン ク ロ マ グ ラ フ は Metrohm 製 の Compact IC 761( 陰 イ オ ン カ ラ ム :Shodex IC SI-90 4E, 陽 イ オ ン カ ラ ム:Shodex IC YK-421)で ,分 析 試 料 の 注 入 量 は 200 Lで あ る 。溶 離 液 は , 陰 イ オ ン で は NaHCO3 (1.7 mmol/L) + Na2CO3 (1.8 mmol/L), 陽 イ オ ン で は H3PO4
(4 mmol/L) + 18 -Crown-6 (0.15 mmol/L)と し た 。 イ オ ン 種 の 定 量 に 用 い た 標 準 液 は 和 光 純 薬 製 の 1000 mg/L で , 陰 イ オ ン と 陽 イ オ ン そ れ ぞ れ に つ い て 超 純 水 で 希 釈・混 合 し て 100 mg/L の 濃 度 に 調 整 し た 。こ の 混 合 調 整 標 準 液 を 0.005,0.01, 0.05,0.1,0.5,1及 び 2 mg/Lの 濃 度 に 超 純 水 で 希 釈 し て , こ れ ら を 用 い て 検 量 線 を 作 成 し た 。 検 量 線 の 作 成 は , そ れ ぞ れ の 濃 度 を 5回 測 定 し て 行 っ た 。
37 3.2.3 不 溶 解 性 成 分 の 形 態 観 察 法
不 溶 解 性 成 分 の 形 態 観 察 に つ い て は , 不 溶 解 性 成 分 を 捕 集 し た ポ リ カ ー ボ ネ ー ト フ ィ ル タ の 一 部 を 走 査 型 電 子 顕 微 鏡 用 の ア ル ミ ニ ウ ム 製 試 料 台 に 載 せ , カ ー ボ ン 蒸 着 し て 形 態 観 察 試 料 を 作 成 し た 。 形 態 観 察 に は ,X 線 分 析 装 置 付 き 走 査 型 電 子 顕 微 鏡 (SEM: JEOL, EM-ASID 10, EDX: KEVEX-7000J) を 用 い , 加 速 電 圧 10kV で 10×10mmの 範 囲 を 走 査 し た 。ま た ,特 徴 的 な 粒 子 は X 線 分 析 装 置 に よ り 元 素 組 成 分 析 を し た 。