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まとめ

ドキュメント内 平成13年11月20日 (ページ 30-43)

  当取引所は、投資者の保護及び市場機能の適切な発揮の観点から、上場会社の企業行動 に対して適切な対応をとることを、上場制度の整備における基本方針の一つとしており、

従来より、買収防衛策の導入に係る尊重事項を企業行動規範に定めているほか、詳細な開 示事項を定めるなど、買収防衛策の導入時または導入後において、株主及び投資者の正当 な権利を保護するために必要と考えられる事項を整備してきたところである。

当取引所では、現行の我が国の法制度の下において、買収防衛策自体を一律に否定する ものではないが、議論の対象は企業一般ではなく上場会社の買収防衛策であることから、

資本市場の視点を重視する必要がある。その意味でも、今回、買収防衛策の導入そのもの を歓迎しない旨の投資家コメントが数多く寄せられたことについては、真摯に受けとめる 必要があると考える。そこで、当取引所としては、買収防衛策が株式市場において投資者 に与えうるネガティブな側面を上場会社に発信していくこととしたい。

また、このような投資家意見の背景には、投資者の権利への配慮が不十分な買収防衛策 の導入や、実際の買収局面において、防衛策の発動や第三者割当て等の敵対的買収に対す る対抗措置により、投資者が株式を売却する機会が奪われたり制約を受けたりするような 企業行動が現実に見られることがあるように思われ、当取引所としても、投資者の保護及 び市場機能の適切な発揮の観点から、あらためて市場開設者として何ができるかについて、

早急かつ重点的に具体的方策を打ち出していくこととしたい。

<資料編>

上場会社による買収防衛策の導入状況の分析

M&A活動の活発化に伴い、企業側では買収リスクの高まりから買収防衛策の導入が進 み、また、買収に係る係争案件について司法判断に至った事例も出てきている。当取引所 上場会社では2008年7月末現在において約500社が買収防衛策を導入済みである。

そのほとんどが事前警告型の買収防衛策であり、現在の我が国においては、この種類の買 収防衛策が主流となっている。その他としては、信託型ライツプランを導入している会社 がごく少数見られるが13、いずれも昨年までに導入されたものあり、今年に入ってからは1 件の導入例もない14。これは一般的に、事前警告型の買収防衛策に比べて、信託型ライツプ ランは費用面において信託銀行が介在することによるコストが発生することなどから、導 入を見合わせる会社が多いといわれている。

【図表1 導入段階】

8 3

総会 決議不要

1.9%

(3社)

総会 普通決議

93.0%

(146社)

総会 特別決議

5.1%

(8社)

また、最近の傾向を分析したところ15、買収防衛 策の導入については、ほぼ株主総会決議を経る形 をとっている(図表1参照)一方、発動については その検討プロセスの中に第三者委員会を設けるパ ターンが多く(図表2参照)、その勧告を最大限尊重 する形で取締役会が判断するものと、株主総会決 議によるものがほぼ半々の割合となっている(図表 3参照)

【図表2 第三者委員会の設置】

設置なし10 6.8%

(10社)

設置あり 93.2%

(147社)

【図表3 発動段階】

83

1

取締役会 決議 52.9%

(83社)

総会 普通決議

46.5%

(73社)

総会 特別決議

0.6%

(1社)

13 2008年7月末現在、当取引所上場会社で信託型ライツプランを導入している会社は7社ある。

14 逆に今年に入って、信託型ライツプランを廃止し、その代わりに事前警告型の買収防衛策を導入した会 社が1社ある。

15 当取引所上場会社のうち買収防衛策の新規導入又はスキームの変更を行った継続案件について2008 年3月14日から7月末日までに公表した157社を対象としている。

安易な買収防衛策の導入や過剰防衛ともうつる我が国の動きは、外国人投資家を中心と して日本市場の閉鎖性を一層強く印象付けてしまっている向きがある一方で、最近は、経 営者が自らの立場を守るために買収防衛策を導入しているのではないかとの批判もあり、

導入した買収防衛策を廃止する動きも見られている16

16 2008年7月末現在、当取引所上場会社のうち7社が、いわゆる平時に買収防衛策を廃止した実績が ある。

買収防衛策に関する当取引所のルール

買収防衛策を導入する場合、適法性やいわゆる企業価値基準(企業価値を向上させる買 収を排除せず、企業価値を毀損する買収は忌避できるような買収防衛策の在り方)に照ら した妥当性等を十分に検討のうえ行われるべきであるが、当取引所では、市場開設者の立 場から、これらに加え、上場会社は買収防衛策の導入時点の株主のみでなく、潜在的投資 者を含む幅広い投資者層の投資対象であり、投資者保護の観点から買収防衛策に関して十 分な配慮が求められるものと考えている。

当取引所では、こうした観点から、国際的な動向を踏まえつつ、上場規則において企業 行動規範(有価証券上場規程442条)や上場廃止基準(有価証券上場規程601条1項17号)な どを定めている17

【企業行動規範】

企業行動規範において買収防衛策の導入に係る尊重事項として以下の項目を規定し、尊重 していない場合は公表措置を実施することができる(有価証券上場規程5084項)

  公表措置の実施事例なし

・開示の十分性18 

・透明性 

・流通市場への影響 

・株主の権利の尊重

【上場廃止基準】

上場廃止に関する規定として以下の項目を規定しており、6か月以内に当該状態が解消さ れない場合は上場廃止とする(有価証券上場規程施行規則601条12項1号)。         

→  上場廃止基準への該当事例なし

・随伴性のないライツプランの導入

・デッドハンド型のライツプランの導入

・拒否権付種類株式の発行(株主及び投資者の利益を侵害するおそれが少ない場合は除く)

・重要事項についての議決権を制限する種類株式への変更

  ・議決権の多い株式の発行(株主及び投資者の利益を侵害するおそれが大きい場合に限る)

公表措置や上場廃止の措置をとるか否かの判断にあたっては、投資者保護の観点から、

個別の事案ごとの内容や開示の状況に応じた柔軟な対応を行う必要があるため、個別の事

17 なお、上場制度上の買収防衛策は、上場会社が資金調達などの事業目的を主要な目的とせずに、新株又 は新株予約権の発行を行うこと等により当該上場会社に対する買収の実現を困難にする方策のうち、経営 者にとって好ましくない者による買収が開始される前に導入されるものをいい(有価証券上場規程280 号)、いわゆる平時導入の買収防衛策を想定している。

18 開示事項については、適時開示ガイドブックにおいて、留意事項が公表されている。例えば、発動・廃 止等の判断主体やその判断基準について詳細な開示のほか、買収防衛策の合理性を高めるための工夫(例 えば、導入に際しての意思決定プロセス、全株式・全現金買収の場合には消却するといった客観的な廃止 条件の設定、独立社外者のチェックが機能する仕組みの導入、サンセット条項(定期的に買収防衛策の内 容や導入の是非を株主総会などで見直す条項)などの定期的な見直し条項、取締役の選解任要件及び任期 等)について分かりやすく説明することを求めている。

案ごとの内容や開示の状況を総合的に勘案することとしている(上場管理等に関するガイドライ ンⅢ8.等)。そこで、このような柔軟な上場管理を当取引所が円滑に実施できるよう、上場 会社においては、買収防衛策の導入の決定、公表に先立ち、十分な時間的余裕を持った事 前相談を寄せていただくことをお願いしているところである。

なお、当取引所では、買収防衛策の発動に係る有事の局面においては、特段のルールを 定めているわけではないが、流通市場への影響等を考慮して、例えば、買収者が出現した 場合に、買収者に関する情報、買収提案に関する内容、会社の当該買収提案に対する考え 方、今後の対応方針といった事項を開示することや、買収防衛策を発動又は廃止する場合 に、当該決定に至った経緯及び理由、今後の手続・日程、株主・投資者に与える影響とい った事項を開示することを求めている。

買収防衛策に関して寄せられた投資家の声

1.東証上場会社のコーポレート・ガバナンスに関する投資家向け意見募集19に対して寄せ られた意見概要 

◎:同様の意見が10件以上だったもの  ○:同様の意見が4〜9件だったもの

●:同様の意見が3件以下だったもの

a  買収防衛策の導入に関して寄せられた意見 

【当該テーマに関する現状の評価】 

● 利害関係者の利益を侵害するものであり、すべての買収防衛策に強く反対。

● 買収防衛策の激増に対して懸念している。これらの買収防衛策は、株主の利益を 守るために使われているのではなく、一般株主の犠牲のもとに経営陣を守るために 使われている。

● 買収、開示に関する法令、規制は更新され、新しいTOBルールなど会社のM&

Aのための公平な仕組みは作られた。買収防衛策は企業価値を守るために必要では なく、株主の利益にも合致しない。

【買収防衛策導入の目的】 

◎ 買収防衛策の目的は、成果を出していない取締役会・経営陣を保護することでは ない。

○ 買収防衛の目的は株主が可能な限り良い価格を得ることができるようにすること である。

● 買収防衛策は、買収が適正な価格(すなわち買収者が利益を上げることができる 価格で、かつ、買収に応じた既存の株主が適切に補償されるような価格)で行われ るように入念に設計されなければならない。

【買収防衛策導入の手続き】 

◎ 買収防衛策の導入にあたっては、「株主価値向上に資するのか」「取締役の保身目 的ではない仕組みか」等について株主に対して徹底的な説明がされるべき。

◎  買収防衛策の導入にあたっては、株主の承認を得るものとするべき。

○ 株主が、毎年の定時株主総会において、買収防衛策について見直すことができる ようにするべき。

● 手続きの公正さを確保するため、取締役の構成は、独立社外取締役が過半数を占 めるべき。

● 買収防衛は、株主の利益に寄与する機能を果たすことができるが、潜在的な濫用 を防ぐための適切な対策が必要だ。独立取締役が取締役会にいることは基本的な対

19 東証上場会社のコーポレート・ガバナンスに関する投資家向け意見募集として、2008年6月26日

から7月25日まで実施されたもの(http://www.tse.or.jp/news/200806/080626_g.html)

ドキュメント内 平成13年11月20日 (ページ 30-43)

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