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まとめ

ドキュメント内 目次 (ページ 122-173)

第6章 評価と比較

6.5 まとめ

6 比較と評価

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第 6 章

比較と評価

6.1 はじめに

本章では、第 4 章と第 5 章で説明した対角圧縮試験と実大架構実験の結果に基づいて、

比較と評価を行う。

6.2節「対角圧縮試験」では、試験を行った5つの試験体の差異について記述する。

6.3節「実大架構実験」では、既往研究4の試験体#1と本研究の試験体との差異について 記述する。

6.4節「復元力の評価」では、硬質ウレタンフォームの材料試験と対角圧縮試験の結果に 基づき、実大架構試験体をブレース置換し、復元力の評価を記述する。

6.5節「まとめ」では、本章のまとめを行う。

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6.2 対角圧縮試験

試験を行った5つの試験体について比較する。

6.2.1 破壊性状

表6.2.1にそれぞれの破壊性状を示す。

構造用合板は変形率2-3%で釘のめり込みが発生し、7-9%で上部と下部に浮きが確認され た。その後、全ての釘でめり込みや破壊が観察された。

硬質ウレタンフォームは 2-3%で引張側の両接合部の隅角部で木材との境界から剥がれ始

め、4-5%以降は上下の両接合部の隅角部で押し潰されるように変形した。その後、損傷が拡

大していきました。

表6.2.1 破壊性状

変形率 #1 #2 #3 #4 #5 1%

2% × ×, +, ◎ ◎ ×, ◎ ×, ◎

3% ×

4% ◇

5% ◇ ◇ ◇

6%

7% ▲ ▲ ▲ ▼ ▲

8% ▼ ▲ ▼

9% ▼

10% ▼

11%

12%

13%

14%

凡例

×:釘のめり込み開始 ▲:合板上部浮き ◎:ウレタン剥がれ開始

+:合板の割れ ▼:合板下部浮き ◇:ウレタン押し潰れ開始

6 比較と評価

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6.2.2 試験値

表6.2.2に試験結果を、図6.2.1に試験体#1と試験体#2~#5のそれぞれの骨格曲線を、図

6.2.2に試験体#1~#5の5つの骨格曲線を示す。

すべての試験体で硬質ウレタンフォームを吹付ける厚さが増すことにより、最大垂直荷 重が向上し、硬質ウレタンフォームを吹付けることによって耐力が向上することが確認さ

れた。(表6.2)変形率が7%以前は硬質ウレタンフォームの充填によって耐力の向上がみら

れ、変形率 7~8%で硬質ウレタンフォームの付着している構造用合板が完全に脱落するこ とで耐力が急激に下がり、その後の変形率8%以降の耐力はほぞと硬質ウレタンフォームの 圧縮に対する抵抗力によるものであると考えられる。(図6.2.1)

また、それぞれの試験体の最大垂直荷重とその時の変形率を比較すると、試験体#2 と試 験体#3,4,5では明らかに違いがあり、硬質ウレタンフォームの充填厚さが25mm程度の場合 は効果が得られなかったが、50mmを超えると最大せん断力が向上することが確認でき、充 填厚さを柱梁の径と同程度にすることで最大せん断力が約3割向上した。(図6.2.2)

変形率 10%以降で試験体#1の耐力が比較的低いのは硬質ウレタンフォームの影響もある

が、上部のほぞが根元から完全に損傷したからであると考えられる。

表6.2.2 試験結果

試験体名 #1 #2 #3 #4 #5 ウレタン厚(mm) 0 25 50 75 100 最大垂直荷重(kN) 9.28 9.38 10.48 10.44 11.84

変形率(%) 3.9 3.6 5.4 6.3 5.9

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図6.2.1 試験体#1との比較

図6.2.2 骨格曲線比較

(a) 試験体#2

(c) 試験体#4

(b) 試験体#3

(d) 試験体#5

6 比較と評価

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6.3 実大架構実験

本研究の試験体と既往研究の試験体#1について比較する。

6.3.1 破壊性状

表6.3.1にそれぞれの試験体の構造用合板の破壊性状を示す。

損傷を確認する変形角に違いがあったが、試験体#2の負側の1/8radで柱W側下部のホー ルダウン金物に損傷がみられた以外に大きな違いはみられなかった。

表6.3.1 層間変形角別の破壊性状

層間変形角 試験体#1 試験体#2

1/75rad

釘の傾き、めり込み、

引き抜けが確認でき始めた

1/50rad 損傷が拡大 めり込みが

確認でき始めた

1/30rad 端が剥がれ始めた 端に浮きが確認

めり込みが拡大

1/20rad 損傷が拡大 端の浮きが拡大

めり込み拡大

1/15rad

間柱#2E・W以外の全ての釘に めり込みや破壊が観察された ほとんど端に浮きがみられた 1/10rad

1/8rad

柱W側下部のホールダウン金物 に損傷がみられた

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6.3.2 実験値

図6.3.2に本研究の履歴曲線とそれぞれの骨格曲線を示す。

既往研究では、最大水平荷重が正側18.36kN(1/30rad)、負側14.52kN(1/50rad)に達し、

変形角が1/8radになるまで加力を行ったと論じている。

硬質ウレタンフォームを吹付けることにより、最大水平荷重は正側20.4kN(1/30rad)、負

側16.3kN(1/50rad)に達し、正負ともに1割程度の耐力の向上がみられた。硬質ウレタン

フォームを吹付けることによって耐力が向上することが確認されたが、正側では構造用合 板の縁の浮きが全方向で確認された 1/15rad 以降は既往研究の試験値を下回り、負側では

1/50rad 以降は既往研究とほとんど変わらない実験値を示した。以上より、構造用合板の縁

の浮きが全方向で確認されるまでであれば、硬質ウレタンフォームによる耐力の向上が見 込めることが分かった。

図6.3.2 既往研究との比較

6 比較と評価

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6.4 復元力の評価

6.4.1 ブレース置換

架構が水平力を受ける際に働く力の図式化を図6.4.1に示す。式(1)に構造用合板をトラ ス置換した際の許容引張耐力算定式(2018原島ら)を示す。

構造用合板をトラスバネでブレース置換し、構造用合板が受けるせん断力をブレースの 引張耐力Nとして与える。ヤング係数は式(1)より得られる。

N = (EA/L)・δcosθ (1)

なお、構造用合板が許容せん断耐力に達したときの変形角は 1/100rad とする。ここでブ レース長さをL、ブレースの断面積をA、ブレースの角度をθ、架構頂部変位をδとする。

図6.4.1 ブレース置換

δ N

θ

E,A,L

θ

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6.4.2 硬質ウレタンフォームの抵抗力

第 3 章の材料試験、第 4 章の対角圧縮試験で得られた試験値を用いて、実大架構で働く 硬質ウレタンフォームの抵抗力について示す。

硬質ウレタンフォームが受けるせん断力Q として与え、式(2)より得られる。

ここで、最大水平加力時の層間変形角をθ、最大水平加力時の硬質ウレタンフォームのせ ん強度をσθ、硬質ウレタンフォーム充填厚さをx、架構断面の長さをLとする。

硬質ウレタンフォームが受ける接着力Bとして与え、式(3)より得られる。

ここで、硬質ウレタンフォームの接着強度をσb、構造用合板との付着面積をSとする。

Q = σθ ( x・L ) (2)

B = σb・S (3)

6 比較と評価

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6.4.3 評価結果

それぞれの試験体の水平荷重-層間変形角関係の実験結果と評価結果の比較を図6.4.3に 示す。

試験体#1は、解析では1/40radで最大水平荷重20.8kNに達した。実験では1/30radで最大

水平荷重18.36kNに達しており、解析と実験で最大値は約11%の差異を示した。初期剛性と

負勾配に関しては概ね一致している。

試験体#2は、解析では1/40radで最大水平荷重24.0kNに達した。実験では1/30radで最大

水平荷重20.4kNに達しており、解析と実験で最大値は約15%の差異を示した。初期剛性と

負勾配に関しては概ね一致している。

図6.4.3 復元力の評価

(a) 試験体#1

(b) 試験体#2

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6.5 まとめ

本章では、第 4 章と第 5 章で説明した対角圧縮試験と実大架構実験の結果に基づいて、

比較と評価を行った。

6.2節「対角圧縮試験」では、試験を行った5つの試験体について記述した。以下に知見 を示す。

1) 最大せん断力は硬質ウレタンフォームの充填厚さが増す程、高い値を示した。また、

吹付け厚さの変化によって耐力が向上することが確認された。

2) 変形率が7%以前は硬質ウレタンフォームの充填によって耐力の向上がみられ、変形

率 7~8%で硬質ウレタンフォームの付着している構造用合板が完全に脱落すること

で耐力が急激に下がり、それ以降の耐力はほぞと硬質ウレタンフォームの圧縮に対 する抵抗力によるものであると考えられる。

3) 扱った寸法の試験体に限定すると、硬質ウレタンフォームの充填厚さが 25mm 程度 の場合は効果が得られなかったが、50mmを超えると最大せん断力の向上が確認でき、

充填厚さを柱梁の径と同程度にすることで最大せん断力が約3割向上した。

6.3節「実大架構実験」では、既往研究4の試験体#1と本研究の試験体との差異について 記述した。以下に知見を示す。

1) 硬質ウレタンフォーム充填架構は、正負ともに最大水平抵抗力が非充填架構より約1 割向上した。

2) 最大水平抵抗力に到達以降の抵抗力は硬質ウレタンフォームの有無に影響を受けな いことが確認された。

3) 構造用合板の破壊性状にあまり大きな違いは観察されなかった。

6.4節「復元力の評価」では、材料試験・対角圧縮試験の結果に基づき、実大架構試験体 をブレース置換し、復元力の評価を記述した。

1) 解析と実験で最大水平荷重は試験体#1で約11%、試験体#2で約15%の差異が生じた。

2) 両試験体で初期剛性と負勾配に関しては概ね一致している。

7 結論

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第 7 章 結論

7.1 本論文のまとめ

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第 7 章 結論

7.1 本論文のまとめ

本論文では、硬質ウレタンフォームの現場吹付け工法に伴う構造躯体に与える影響の把 握を目的とし、材料試験、対角圧縮試験、および、実大架構試験を行った。また、これらの 結果を踏まえて硬質ウレタンフォームを充填した架構の最大水平抵抗力の簡易評価式を提 案した。

第1章では、本研究の背景と目的を示すとともに、硬質ウレタンフォームの概要について 述べた。また、調査した既往研究について述べ、本論文の構成を示した、

第2章では、それぞれの試験の計画を示した。材料試験では、ウレタンの材料特性を把握 するための圧縮試験・圧縮繰返し加力試験・2面せん断試験を設計した。対角圧縮試験では、

ウレタンを充填した木造平面壁の力学特性を把握するための要素試験体を用いた試験を設 計した。実大架構実験では、架構を用いた静的加力試験を設計した。

また、使用する加力装置、計測機器の概要を述べ、加力スケジュールを示した。

第3章では、材料試験で得られた結果を示した。試験片の破壊性状、復元力特性、強度、

弾性率を求め、詳述した。また、硬質ウレタンフォームの材料特性を把握した。

第4章では、対角圧縮試験で得られた結果を示した。全5体の試験体の破壊性状、復元力 特性、接合部回転角、部材軸力、部材曲げモーメントを求め、詳述した。また、ウレタンを 充填した木造平面壁の力学特性を把握した。

第5章では、実大架構試験で得られた結果を示した。試験体の破壊性状、復元力特性、接 合部回転角、柱脚軸力、柱の曲げモーメントを求め、詳述した。

第6章では、第4章と第5章で得られた試験結果を比較・考察した。また、第3章と第4 章で得られた試験結果を踏まえてウレタンを充填した架構の最大水平抵抗力の簡易評価式 を提案した。

ドキュメント内 目次 (ページ 122-173)

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