4..1 まとめ
本研究において、高磁場中での酵母の活動に影響があるかどうかを検証する 為に、温度と磁場強度の二観点から実験を行った。まず、磁場を発生させずに 培養環境のみ磁場発生時と同様にして実験を行った際は、マグネット内の試料a と対照 b において違いは皆無だった事を先に述べる。この事を踏まえた上で、
今回の実験を通して二つの結論に達した。
●まず、培養温度が高い場合、酵母の増殖活動の要因である温度依存が強い為、
磁場効果が見えにくくなった。その為、培養温度は酵母活動の影響に支障が無 い程度に低く抑えると最も磁場効果は表れる事が分かった。本実験においては、
10 T中20℃下において、磁場印加試料の方が対照に比べて増殖期における酵母 数が最大で0.7倍抑えられた。
●酵母の増殖期での磁場強度による効果の違いについて、0~5 T間でのある磁 場の強さまでは、磁場印加試料の方が対照に比べて増殖が抑えられた。この効 果は磁場が強くなるにつれて顕著になっていくが、効果のピークを過ぎればそ れ以上での強い磁場を印加しても効果は期待できない。
また、安定期においては1 T中25℃下で最大0.7倍増殖が抑えられ、その効 果が顕著に表れた。よって、酵母活動の各ステージにおいて磁場の影響がそれ ぞれ違ってくる可能性がある。
本実験において、全条件において一様に言える事は、酵母の増殖期において 磁場を印加すると増殖活動が抑えられるという点である。この事に関しては全 ての実験において効果は表れ、再現性も高いと考えられる。しかし、磁場強度 依存における磁場効果を立証する為には、さらに磁場強度条件を細かく割り振 り、実験を重ねて再現性がある事を述べる必要がる。
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4..2 今後の課題
磁場を印加した事で、酵母内のどの細胞に影響を及ぼしたのか、またその原 因については特定していない。原因究明に当たり、遺伝子操作によって作られ た酵母変異株を用いる事により、特定の細胞での効果を検証する価値がある。
また、日本酒を造るといった実用段階においては、本実験では日本酒酵母で はなく実験酵母の使用や、酒造は15℃程度で行われるが実験期間の短縮化を狙 い25℃前後での実験も行った。これらの培養条件の変更により、磁場の影響が また違ってくる可能性は十分考えられる。また、一度に磁場を印加できる量に 限りがある為、酒造する際においてはなんらかの工夫や装置の開発が必要であ るが、マグネット径内容積以上の磁場酒製造は困難な為、酵母のどの成長段階 で影響が顕著か、磁場の印加時間との因果関係等を付きとめ、できるだけ短期 間で試料を入れ替えて酒造する方法や、マグネット外程度の磁場の強さでも十 分影響が現れるならば、装置周辺での酒造を検討するといった事が必要である。
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謝辞
本研究は私一人の力では到底行う事はできませんでした。各分野のエキスパ ートの方々の指導、助言といった温かく見守って下さる環境下で初めて、研究 を行う事ができました。多大な御指導、助言をして下さった九州工業大学の 松下照男先生、木内勝先生。私の研究と人生を導いて下さった小田部荘司先生。
生物学の観点から多大な御指導と、毎回の試料の準備をして下さった仁川純一 先生。失敗の実験でさえ価値がある事を教えて下さった福岡大学の松本泰國先 生。麹汁を作って頂いた福岡県工業技術センターの大場孝宏先生。酵母の実験 方針にアドバイスを下さった福岡国税局鑑定官の木曽邦明先生。装置のサポー トをして下さったアルバック九州株式会社の瀬戸氏に深く感謝致します。また、
松下・小田部研究室の皆様や、福岡大学での実験を応援してくれた両親に感謝 致します。
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