本研究では、労働条件(支援制度、勤務条件)、職場環境(仕事に対する意識、勤務先に 対する意識)が、仕事満足度、生活満足度およびワーク・ライフ・バランス満足度に与え る影響を明らかにした。また、東北と全国を比較し、東北の特徴についても明らかにした。
その際、雇用状況別・子どもの年齢階層別の分析を行った。分析方法として、クロス分析、
分散分析、重回帰分析を用いた。
以下、仮説検証の結果をまとめ、結果についての考察を行う。
1.仮説検証の結果
1)支援制度と仕事満足度との関係に関する仮説検証の結果
支援制度と仕事満足度との関係に関する仮説検証の結果を表6-1に示す。分析した 5 つ の支援制度において、「制度があり、利用あり」グループの仕事満足度の平均値が高く、「制 度がなく、対応なし」グループの仕事満足度の平均値が低いという仮説(1-1~1-5)において、
非正規雇用者では、「始業・終業時刻の繰り上げ繰り下げ制度」に対する仮説 1-3 と「所定 外労働の免除制度」に対する仮説 1-4 が支持された。子どもの年齢階層別に見た場合、非正 規雇用者の「0~3 歳」では、「フレックスタイム制度」に対する仮説 1-2、「始業・終業時 刻の繰り上げ繰り下げ制度」に対する仮説 1-3、「所定外労働の免除制度」に対する仮説 1-4 が支持された。制度があり、利用することで仕事満足度が高くなると推察できる。正規雇 用者では、すべての仮説が当てはまらなかった。
0~3歳 4~6歳 小学生 0~3歳 4~6歳 小学生
1-1
「短時間労働制度」ついて、「制度があり、利用あり」
グループの仕事満足度が最も高く、「制度がなく、対 応なし」グループの仕事満足度が最も低い
1-2
「フレックスタイム制度」ついて、「制度があり、利用 あり」グループの仕事満足度が最も高く、「制度がな く、対応なし」グループの仕事満足度が最も低い
○
1-3
「始業・終業時刻の繰り上げ繰り下げ制度」ついて、
「制度があり、利用あり」グループの仕事満足度が 最も高く、「制度がなく、対応なし」グループの仕事 満足度が最も低い
○ ○
1-4
「所定外労働の免除制度」ついて、「制度があり、利 用あり」グループの仕事満足度が最も高く、「制度が なく、対応なし」グループの仕事満足度が最も低い
○ ○
1-5
「子どもの病気の時の休暇制度」ついて、「制度があ り、利用あり」グループの仕事満足度が最も高く、
「制度がなく、対応なし」グループの仕事満足度が最 も低い
表6-1 支援制度と仕事満足度との関係に関する仮説検証
仮 説 正規
正規
非正規
非正規
※〇:支持された仮説
177
次に、仕事満足度の平均値に差がみられ、その差が有意であった結果を表 6-2 に示す。
仮説検証の結果、仮説が支持されなかった(以下、棄却とする)中で、特徴がある支援制 度を取り上げる。ここでは、正規雇用者に注目する。「短時間労働制度」、「始業・終業時刻 の繰り上げ繰り下げ制度」、「所定外労働の免除制度」において、「制度がなく、対応あり」
の平均値が最も高く、「制度がなく、対応なし」の平均値が最も低かった。制度の有無によ らず、職場内において仕事時間の短縮や仕事を始める時間の調整が可能な職場であると、
仕事満足度を高めるのに有効的であると考えられる。一方、前に示したように、非正規雇 用者は、「始業・終業時刻の繰り上げ繰り下げ制度」、「所定外労働の免除制度」において、「制 度があり、利用あり」では、仕事満足度が最も高かった。これらの 2 つの制度は、制度があ る割合が 3 割弱と少ないことが本研究で確認されているが、制度を利用したい時に利用す ることを選択できるように、制度の整備が必要であると考えられる。
2)支援制度と生活満足度との関係に関する仮説検証の結果
支援制度と生活満足度との関係に関する仮説検証の結果を表6-3に示す。各々の支援制 度において、「制度があり、利用あり」グループの生活満足度の平均値が高く、「制度がな く、対応なし」グループの生活満足度の平均値が低いという仮説(1-6~1-10)において、正 規雇用者では「短時間労働制度」に対する仮説 1-6、「フレックスタイム制度」に対する仮 説 1-7、「始業・終業時刻の繰り上げ繰り下げ制度」に対する仮説 1-8 が支持された。
子どもの年齢階層別にみた場合、正規雇用者の「4~6 歳」では、「短時間労働制度」に対 する仮説 1-6 が支持された。「小学生」では、「子どもの病気の時の休暇制度」に対する仮
0~3歳 4~6歳 小学生 0~3歳 4~6歳 小学生
制度があり、利用あり
制度があり、利用なし ●
制度がなく、対応あり ● ● ● ●
制度がなく、対応なし 〇 〇 〇 〇 〇
制度があり、利用あり ●
制度があり、利用なし
制度がなく、対応あり ●
制度がなく、対応なし 〇 〇
制度があり、利用あり ● ●
制度があり、利用なし
制度がなく、対応あり ● ●
制度がなく、対応なし 〇 〇 〇 〇
制度があり、利用あり ● ●
制度があり、利用なし 制度がなく、対応あり ●
制度がなく、対応なし 〇 〇 〇
制度があり、利用あり
制度があり、利用なし ●
制度がなく、対応あり ●
制度がなく、対応なし 〇 〇
表6-2 支援制度の有無・利用の有無別の仕事満足度の差
【仕事と生活の両立のための支援制度と仕事満足度との関係】
注2:●は仕事満足度の平均値がもっとも高いグループ。〇は仕事満足度の平均値がもっとも低いグループ
非正規
短時間労働制度
フレックスタイム制度
始業・終業時刻の 繰り上げ繰り下げ制度
所定外労働の 免除制度
子どもの病気の時の 休暇制度
支援制度 選択肢 正規 非正規 正規
注1:各グループの仕事満足度の平均値に差があり、その差が有意であるものを示した
178 説 1-10 が支持された。
非正規雇用者では、すべての仮説が当てはまらなかった。
次に、生活満足度の平均値に差がみられ、その差が有意であった結果を表 6-4 に示す。
仮説が棄却された制度のうち、正規雇用者の「小学生」に注目する。「短時間労働制度」、「フ レックスタイム制度」、「始業・終業時刻の繰り上げ繰り下げ制度」と「所定外労働の免除制 度」の場合、「制度があり、利用あり」の平均値が最も高く、「制度があり、利用なし」の平 均値が最も低かった。
小 1 の壁ともいわれ、延長保育が受けられなくなる時期でもあり、仕事と生活を両立す るために、支援制度を求めているとも考えられる。特に小学校の子を持つ母親は、行事や PTAの仕事など、休暇を取らなければならないこともある。その際、労働時間の短縮や 始業時間の調整が可能な制度があっても利用ができないと、生活満足度につながらないと 推察する。
しかし、厚生労働省「平成 26 年度雇用均等基本調査(確報)」 によると、仕事と生活の 両立のための制度がある事業所の割合が、小学校就学前が 47.9%、小学校が 7.6%と、子ど もの年齢が上がるにつれて減少する。このような背景からも、「小学生」の子を持つ母親の、
支援制度の整備および利用が可能な環境づくりが求められる。
0~3歳 4~6歳 小学生 0~3歳 4~6歳 小学生
1-6
「短時間労働制度」ついて、「制度があり、利用あり」
グループの生活満足度が最も高く、「制度がなく、対 応なし」グループの生活満足度が最も低い
○ ○
1-7
「フレックスタイム制度」ついて、「制度があり、利用 あり」グループの生活満足度が最も高く、「制度がな く、対応なし」グループの生活満足度が最も低い
○
1-8
「始業・終業時刻の繰り上げ繰り下げ制度」ついて、
「制度があり、利用あり」グループの生活満足度が 最も高く、「制度がなく、対応なし」グループの生活 満足度が最も低い
○
1-9
「所定外労働の免除制度」ついて、「制度があり、利 用あり」グループの生活満足度が最も高く、「制度が なく、対応なし」グループの生活満足度が最も低い
1-10
「子どもの病気の時の休暇制度」ついて、「制度があ り、利用あり」グループの生活満足度が最も高く、
「制度がなく、対応なし」グループの生活満足度が最 も低い
○
表6-3 支援制度と生活満足度との関係に関する仮説検証
仮 説 正規 非正規
正規 非正規
※〇:支持された仮説
179
3)支援制度とワーク・ライフ・バランス満足度との関係に関する仮説検証の結果
支援制度とワーク・ライフ・バランス満足度との関係に関する仮説検証の結果を表 6-4 に示す。各々の支援制度において、「制度があり、利用あり」グループのワーク・ライフ・
バランス満足度の平均値が高く、「制度がなく、対応なし」グループのワーク・ライフ・バ ランス満足度の平均値が低いという仮説(1-11~1-15)についてまとめる。正規雇用者では、
「短時間労働制度」、「フレックスタイム制度」、「始業・終業時刻の繰り上げ繰り下げ制度」、
「所定外労働の免除制度」の 4 項目の支援制度において仮説(1-11~1-14)が支持された。
制度の整備と利用が可能であるとワーク・ライフ・バランス満足度が高いことが考えられ る。
非正規雇用者では、「始業・終業時刻の繰り上げ繰り下げ制度」に対する仮説 1-13 のみ が支持された。
子どもの年齢階層別にわけてみると、「小学生」では、「短時間労働制度」に対する仮説 1-11、「フレックスタイム制度」に対する仮説 1-12、「所定外労働の免除制度」に対する仮説 1-14、「子どもの病気の休暇制度」に対する仮説 1-15 が支持された。
子どもの年齢階層別の非正規雇用者では、「4~6 歳」と「小学生」において、「始業・終 業時刻の繰り上げ繰り下げ制度」に対する仮説 1-13 のみが支持された。
0~3歳 4~6歳 小学生 0~3歳 4~6歳 小学生
制度があり、利用あり ● ● ●
制度があり、利用なし 〇 ●
制度がなく、対応あり ● ●
制度がなく、対応なし 〇 〇 〇 〇 〇
制度があり、利用あり ● ●
制度があり、利用なし ● 〇
制度がなく、対応あり ●
制度がなく、対応なし 〇 〇 〇
制度があり、利用あり ● ● ●
制度があり、利用なし 〇 〇 ○
制度がなく、対応あり ●
制度がなく、対応なし 〇
制度があり、利用あり ●
制度があり、利用なし 〇
制度がなく、対応あり ● 制度がなく、対応なし 〇
制度があり、利用あり ●
制度があり、利用なし 制度がなく、対応あり
制度がなく、対応なし 〇
表6-4 支援制度の有無・利用の有無別の生活満足度の差
注1:各グループの生活満足度の平均値に差があり、その差が有意であるものを示した
【仕事と生活の両立のための支援制度と生活満足度との関係】
子どもの病気の時の 休暇制度
支援制度 選択肢 正規 非正規 非正規
短時間労働制度
フレックスタイム制度
始業・終業時刻の 繰り上げ繰り下げ制度
所定外労働の 免除制度
正規
注2:●は生活満足度の平均値がもっとも高いグループ。〇は生活満足度の平均値がもっとも低いグループ