通 常 の 活 性 炭 の細 孔 構 造 は表 面 にマ ク ロ孔 が 開 き、 そ の奥 に メ ソ孔 が 、 そ の 奥 に マ イ ク ロ孔 が 開 い た構 造 を とって い る 。吸 着 はマ イ ク ロ孔 で起 こ る ため に、 吸 着 質 分 子 は マ ク ロ孔 や メ ソ孔 内を拡 散 しな けれ ば な らず 吸着 速 度 が 遅 くな る。 一 方 、繊 維 状 活 性 炭 は繊 維 表 面 に い き な りマ イ ク ロ孔 が 開 いて い る た め に拡 散 距 離 が短 くな り吸 着 速 度 が 速 い 。
ヒノキ 木 炭 が 吸着 速 度 も速 くな った理 由を 明 らか にす るた め に走 査 電 子 顕 微 鏡 写真 を撮 りFig.5に 示 す 。 比較 の ため に広 葉樹 木 炭で あ るカ シ木 炭の 写 真 も示 す 。
還 拶
a)Japanesecypresscnarcoa]、 鐙
縛 騨麟 ・ ダ
ヒノキ 木 炭 は 厚 み が約2μm程 度 の非 常 に薄 い 壁 に囲 ま れ た空 間 だ らけ の構 造 を して お り、 水 溶 液 との 接 触 効 率 が 高 い と推 測 され る。繊 維 状 活 性 炭 も1本 の 繊 維 径 が 細 い た め に 接 触 効 率 が 高 い と推 定 で き る が 、実 際 の繊 維 径 は10〜20μmで
あ る。 した が って 、 ヒノ キ 木 炭 の 孔 壁 の 方 が 薄 く接 触 効 率 に優 れ て い る と推 測 さ れ る。 ま た こ の 壁 面 に多 くの マ イ ク ロ孔 が 開 口 して い る と推 測 され る 。 一 方 、 カ シ木 炭 の孔 壁 は 非 常 に厚 く、水 溶 液 との 接 触 効率 が悪 く、 吸着 速 度 が 遅 い こ とが 推 測 で き る。
ま た 、 除 草 剤 で あ る シ マ ジ ンの 吸 着 等 温 線 をFig.6に 示 す 。 環 境 水 質 基 準 値 0.003mg/1に お け る吸着 量 は ヒノ キ 木 炭 で27mgと な り、十 分 利 用 可 能 で あ る こ
とが わ か った 。
●:[G】;■:[H】.
界 面 活性 剤 で あ るDBSの 吸着 等 温線 を 測定 した結 果 をFig.7に 示す 。 有 機 塩 素 化 合 物 や農 薬 の 吸 着 に優 れ て い た針 葉 樹 木炭 はDBSの 吸 着 量 が か な り低 い もの と な っ た。 これ はDBSの 分 子 サ イ ズ が ク ロ ロホル ム な ど と比 べ る と大 き い た め に 針 葉 樹 木 炭 の よ うな 細 孔 径 が小 さい 吸着 剤 は分 子 ふ る い効 果 が 生 じ るた め吸 着 し に
く くな っ た と考 え られ る 。
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4.ま と め
水 道 水 や 環 境 水 の 浄化 に木 炭 を利 用 で き るか ど うか 調 べ る た め に 、 ク ロ ロ ホ ル ム や トリク ロ ロエ チ レ ンの よ うな有 機 塩 素 化 合 物 や 農 薬 シマ ジ ン、 界 面 活 性 剤 の 極 低 濃 度 で の 吸 着 実 験 を行 っ た。 その 結 果 、以 下 の こ とが わ か った 。
(1)広 葉 樹 で あ る カ シ木 炭 とナ ラ木 炭 の有 機 塩 素 化 合 物 に対 す る平 衡 吸 着 量 は 脱 色 用 塩 化 亜 鉛 賦 活 活 性 炭 よ り も大 き くな った が 、 そ の 他 の 活 性 炭 よ りは 低 い もの とな った 。
(2)針 葉 樹 の ヒノ キ材 を900℃ で 炭 化 製 造 した ヒノキ 木炭 の 有 機 塩 素 化 合 物 に 対 す る平 衡 吸 着 量 は 驚 異 的 な値 を 示 し、市 販 の 活 性炭 や 木 炭 よ り も大 き く な った 。
(3)針 葉 樹 木 炭 は 吸着 力 が 非 常 に強 い極 微 細 孔 か ら構 成 され て い る 。 (4)針 葉 樹 木 炭 の 吸着 速 度 は速 い。
(5)針 葉 樹 木 炭 は水 溶 液 との 接 触 効 率 が 良 い構 造 を して い る。
(6)針 葉 樹 木 炭 は シマ ジ ンの 吸着 除去 に利 用で き る 。
(7)木 炭 は分 子 サ イ ズ の 大 き な界 面 活 性剤 の吸 着 除 去 に適 して い な い 。
針 葉 樹 木 炭 は ク ロ ロホル ムな どの比 較 的分 子 サ イ ズ の小 さな 化 合 物 の希 薄 溶 液 か らの 吸 着 除 去 に 驚 異 的 な効 果 を 発 揮 す る ことが判 明 した 。 針 葉 樹 木 炭 は 単 に 木 材 を炭 化 す る だ けで 製 造 で き、 浄 水 器 用 の 吸着 剤 と して 、 さ らに地 下 水 を 汚 染 し
て い る有 機 塩 素 化 合 物 の 吸 着 除 去 に今 後 大 い に利 用 され る と期 待 され る。
文 献
1}
2) 3)
4}
5)
6)
安 部 郁 夫,人 見 充 則,幾 田 信 生,川 舟 功 朗,計 良 善 也,炭 素,投 稿 中
1.Abe,Chem..rExpress,7,97‑100(1992).
R.W.CranstonandF.A.Inkley,Adv.inCatalysis9, 146‑154(1957}.
丹 保 憲 仁,"水 道 と ト リ ハ ロ メ タ ン",技 報 堂 出 版,P.64(1983).
S.J.Gregg,K.S.W.Sing,"Adsorption,SurfaceAreaand Porosity",AcademicPress,1967.
近 藤 精 一 ・,石 川 達 雄,安 部 郁 夫,"吸 着 の 科 学",丸 善,1991,p.136.
総 括
木 質 系 廃 棄 物 の有 効 な処 理 方 法 と して 、 木質 系 廃 棄 物 か ら木 炭 を製 造 し、 木 炭 を 吸 着 剤 と して 利 用 す るた め の基 礎 的 な デー タ を得 る 目的 で 、 細 孔 構 造 と吸着 特 性 を 調 べ る と と もに 、 吸着 剤 と して 性 能 の優 れ た木 炭 の製 造 条 件 お よ び そ の応 用 の 可 能 性 につ い て 総 合 的 に 研 究 した結 果 、次 の よ うな こ とが 明 らか とな った 。
気 相 、 液 相 にお け る木 炭 類 の 吸 着速 度 は活 性 炭 に 比 べ て 非 常 に遅 くな った 。 特 に高 温 で 炭 化 され た カ シが 遅 く、 イ タ ヤ カ エデ 、 ミツ マ タ 、 ス ギ 、 ヒノキ な ど が 比較 的速 くな っ た 。 液 相 に お け る ヨウ素 吸着 法 に よ り測定 した 木 炭 の 比 表 面 積 は ほ とん ど の もの が300〜400m2/9で あ った 。高 温 で 炭 化 され た カ シの 表 面 積 は 小 さ く、 ス ギ や ヒノ キ な どの 針 葉 樹 か ら製 造 した 木 炭 の表 面 積 は 比 較 的大 き くな っ た 。 以 上 の結 果 よ り、 広 葉 樹 か ら製 造 した木 炭 よ り も針 葉 樹 か ら製 造 した木 炭 の 方 が 表 面 積 や 吸 着 速 度 の 点 で 吸 着剤 に適 して い る傾 向 が見 られ た。
木 炭 の マ ク ロ孔 分 布 は木 材 の マ ク ロ孔 分 布 を 反 映 して お り、 樹 種 に よ って 大 き く変 化 した 。 同 じ樹 種 の とき高 温 で炭 化 され た 木 炭 の細 孔 容 積 は 低 温 で 炭 化 さ れ た木 炭 の そ れ よ り も小 さ くな った 。全 細 孔 容 積 は広 葉 樹 木 炭 よ り も針 葉 樹 木 炭 の 方 が 大 き か っ た 。 しか し針 葉 樹 木炭 で あ って も加 圧 成 型 され た オ ガ 炭 の全 細 孔 容 積 は 小 さ くな った 。 カ シ木 炭 や ヤ シ殻 木 炭 の硬 度 が 高 い こ とは 、 これ らの 全 細 孔 容 積 が 小 さい こ とか ら も理 解 で きた。 ヤ シ殻 木 炭 と ヤ シ殻 活 性 炭 の マ ク ロ孔 分 布 が ほ とん ど同 じ こ とか ら、 水 蒸 気 賦 活 は マ ク ロ孔 分 布 に変 化 を与 え な い こ とが わ か った 。 大 孔 径 の細 孔 の 容 積 が 大 きな木 炭 ほ ど全 細 孔 容 積 が 大 き くな った 。 以 上 の結 果 か ら微 生 物 を 利 用 した水 処 理 には マ ク ロ孔 容 積 の大 き な針 葉 樹 木 炭 が 適 し て い る と考 え られ た 。
間伐 材 と して 豊 富 に存 在 す る ス ギ や ヒ ノキ を400〜1000℃ の範 囲 で 炭 化 温 度 を変 え て木 炭 を製 造 した 。 炭化 温度 が高 くなる ほ ど木 炭 の 収率 、 揮発 分 は低 下 し、
固 定 炭 素 、 灰 分 、 電 気 伝 導 度 は上 昇 した 。 スギ 木 炭 と ヒノキ 木 炭 の細 孔 径 分 布 は 類 似 して お り、 と も に マ イ ク ロ孔 分布 は ヤ シ殻 活 性 炭 に類 似 して 平 均 細 孔 直 径 が 小 さ くな った 。 比 表 面 積 は炭 化 温 度 の 上 昇 と と もに大 き くな り、900℃ 炭 化 の ヒ ノキ 木 炭 は641m2/gと な り、 市 販 木 炭 の約2倍 、 市 販 活 性 炭 の7割 近 くに な っ た 。 気 相 に お け る 吸 着 性 能 は炭 化 温度 の 上 昇 と と も に向上 した が 、 ベ ンゼ ン蒸 気 吸着 量 は500℃ と600℃ の 間 と800℃ と900℃ の 間 で 大 き く増 加 した 。 ま た ス ギ 木 炭 よ り も ヒ ノキ 木 炭 の方 が優 れ て い た 。液 相 吸 着 性 能 と して ヨ ウ素 吸 着 量 を 測 定 したが 、400〜900℃ の 間 で炭 化 温度 の上 昇 と と もに直 線 的 に増 加 した 。1000
℃ で 炭 化 した 木 炭 は細 孔 の熱 収 縮 が起 こ り吸 着量 が 低 下 した 。 ま た ス ギ 木 炭 と ヒ ノキ 木 炭 は ほ ぼ 同 じ吸着 量 を 示 した 。吸着 速度 は炭化 温 度 の上 昇 とと もに速 くな っ
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た 。 木 炭 の表 面 化 学 特 性 を 調 べ るた め に 酸 や アル カ リの 吸 着量 を 測 定 した結 果 、 炭 化 温 度 が 低 い と き表 面 は 酸 性 が強 く、 炭 化 温度 が 高 くな る とア ル カ リ性 が 強 く
な る こ とが わ か っ た。
木 炭 を製 造 す る と きの 高 温 と くに900℃ に おける保 持 時 間 の影響 を 調 べ た結 果 、 900℃ で 保 持 して い る 間 に炭 化 容 器 に微 量 混 入 した空 気 中 の 酸 素 に よ り賦 活 反 応 が 起 こ り重量 減 少 が 見 られ た 。 重 量 減 少 の ほ とん どは マ イ ク ロ孔 の 生 成 に起 因 し
た。 マ イ ク ロ孔 や メ ソ孔 の 細 孔 径 分 布 曲 線 は市販 活 性炭 の それ に類 似 し、 保 持 時 間 が 長 くな る とメ ソ孔 が 発 達 した 。900℃ で 保持 して い る間 の マ ク ロ孔 領 域 の 細 孔 径 分 布 の変 化 は半 径500nm付 近 の 細 孔 が 減 少 し、1500nm付 近 の 細 孔 が 増 加 し た が 、 これ らの変 化 は 重 量 減 少 を 伴 って いな か った 。保 持 時 間 を長 くす る と市 販 活 性 炭 と同程 度 の 吸着 性 能 を有 す る もの が得 られ た。
空 気 の影 響 を 調 べ る た め に収 率 、細 孔 構 造 、 吸着 特 性 と空 気 に よ る賦 活 温 度 、 賦 活 時 間、 空 気 流 量 の 関 係 を 調 べ た 結 果 、 木 炭 の 重 量 減 少 率 は 賦 活 時 間 の 増 加 と と も に ほ ぼ 直 線 的 に 増 加 し た 。 賦 活 温 度 が 高 くな る ほ ど効 率 よ く吸 着 能 力 を 有 す る 細 孔 を 生 成 し た 。 重 量 減 少 率 が 約95%以 上 に な る と吸 着 性 能 が 低 下 す る 傾 向 が 見 られ た 。 空 気 流 速 が 遅 くな る ほ ど 効 率 よ く細 孔 を 生 成 さ せ た 。 賦 活 温 度 と空 気 流 速 が 同 じ で あ れ ば 、 賦 活 時 間 が 長 く な る ほ ど 比 表 面 積 が 大 き くな り平 均 細 孔 直 径 が 大 き くな っ た 。 同 じ比 表 面 積 で あ っ て も賦 活 温 度 が 高 く な る ほ ど 平 均 細 孔 直 径 が 小 さ くな っ た 。 重 量 減 少 率 が 増 加 す る と平 均 細 孔 直 径 は 大 き くな っ た 。
これ まで 調 べ て き た木 炭 の 吸 着 特 性 が どの よ うな分 野 で 利用 す る こ とが 可 能 な の か 検 討 した 。気 相 にお け る応 用 と して 、木 炭 の 脱臭 性 能 と住 宅 の調 湿 剤 と し て の 性 能 を 調 べ た結 果 、400℃ で炭 化 した ヒノキ木 炭 や ス ギ木 炭 の ア ンモ ニ ア に 対 す る脱 臭 性 能 は市 販 の ヤ シ殻 活 性 炭 よ り も高 く、 ま た一 度 脱 臭 に 使 用 した 木 炭 を 180℃ で3時 間加 熱 再 生 した 木 炭 で も新 炭 と 同程 度 の ア ンモニ ア脱 臭 能 が あ り、
何 度 も使 用 で き る こ とが わ か った 。
多 孔 性 炭 素 は表 面 が 疎 水 性 で あ る ため に水 蒸気 吸 着 量 は低 湿 度 で 少 な く、 高 湿 度 で 多 くな る 。 したが って 高 湿 度 の 時 に水 蒸 気 を 吸着 し湿 度 を 低 下 させ 、 晴 天 の 低 湿 度 時 に 吸 着 して い た 水 蒸 気 を脱 着 し再 生 され る 。 湿 度 が90%と55%で の 水 蒸 気 吸 着 量 の 差 を 調 湿 能 力 と定 義 す る と、市 販 木 炭 は20〜30mg/9と な り市 販 活 性炭 よ り も小 さな 値 で あ っ た。 塩 化 亜 鉛 賦 活 活性 炭 の 調 湿 能 力 は 水 蒸 気 賦 活 活 性 炭 よ り も大 き く、 ヤ シ殻 活 性 炭 の調 湿 能 力 はオ ガ屑 や 石炭 か ら製 造 され た活 性 炭 よ り も低 くな った 。 多 孔 性 炭 素 の調 湿 能 力 は細 孔 容 積 の 増 加 と と も に増 大 した 。 飲 料 水 中 に微 量 の ク ロ ロ ホル ム や トリク ロ ロエ チ レ ンな どの発 癌 性 物質 が 混 入 した り、農 薬 な どで 環境 水 域 が汚 染 され た りして 大 きな社 会問題 とな って い る が 、