つの村の多彩のコンテンツが多様な顧客志向に 対応できること、②伝統的な農家住宅を改造し たことで、顧客に「郷愁
jを提供するとともに、
既存物件の有効利用にもなっていること、③広 大な駐車スペースにより週末のマイカ一利用に も対応できること、@花井市場が世界的に有名 であるため、外国人観光客の取り込みが可能で あること、である。
第
2に、脅威によって強みが相殺されない戦 略が必要である。すなわち、①当地に食用の地 場産品が少ないことから、周辺地域の食材を利 用して、飲食業務を工夫する必要があること、
②区域内の街路が外部者にとって複雑に感じら
[研究翁文]九州共立大学総合研究所紀要第3号 2010年3月 J
∞
m凶ofK四 加K)'oritsuUniversity R総 匂 眠hOεnlttNo.3!¥‑larch 2010では、開発前にパラ農家主して得た収入が年間
1万元であったのが、
f農家楽
J経営を始めた現 在では年間
10万元以上の収入がある k いう。
このように、一部ではあるが地元農家の中に
f農 家楽
J経営を成功させているケースも存在して いるため、このようなケースを精力日させる取組 を行うことによって、当地においては「内発的 発展
Jが実現される可能性がある。
つぎに、 2点目であるが、政府資金が枯渇し た場合の対応については、当地が「官主導型」
の開発であることから、これを脱却することは 相当な労力を要すると思われる。しかしながら、
逆手にとってみれば、最も資金を要する初期投 資の段階で行政からの大きな支援が得られたと いうことを有利な点在して捉え、今後の運営に おいては「行政からの支援
jを想定しない資金 計画を検討することが必要であろう。そのため にも、 1点目と同様の結論になるが、 I 地元農家 から有能な経営者を輩出する
jことにより「内 発的発展
Jという状況を生み出す必要がある。
4.
まとめ
これまで、中国型グリーン・ツーリズムの典型 として「農家楽
Jを取り上げ、形成過程の異な る「農家楽
j地域(すなわち、「民主導型」と I 官 主導型
J)における
SWOT分析によるマーケテ イング環境の把握と経営戦略の検討を行ってき れることから、週末のマイカー誘導のためのシ た 。
ステム構築が必要であること、である。
第
3に、機会によって弱みを克服する戦絡が 必要である。ここでは大きく
2点挙げておきた い。すなわち、①地元農家から有能な経営者を 輩出するための工夫が必要であること、②政府 資金が枯渇した時の対応を検討する必要がある こと、である。
まず、 1点巨であるが、雁栖鎮と同様に当地 においても「農家楽
j経営者における外部参入 者の割合は約
80%であるという
1針。このため、
観光価値が相対的に低下した場合に外部資本が 撤退することが考えられ、当地域のグリーン・
ツーリズム運営が持続できなくなる危険性があ る。しかしながら当地では、
2003年に政府から 地元農民に対して開発の提案がなされたとき、
38
戸の農家が自ら
f農家楽
j経営を行うことを 表明した。これらの農家のうち、直接聴き取り 調査を行うことができた
S氏(花郷農居に所属)
これらのポイントを整理すると以下のように なろう。
まず、両者に共通する点は、積極的事象とし て、①地域資源の有効利用、②観光事業導入に あたっての外部参入者の受け入れ、の
2点によ る「農家楽
j事業を軸とした農村地域活性化の 実現が挙げられる。しかし、消短的事象として は、「農家楽
jにおける地元農民による経営が少 ないことにより運営の持続性が保証できないこ とが挙げられる。
つぎに、両者の異なる点は、民主導型におい ては自然発生的にグリーン・ツーリズム運営が 活性化されている一方、官主導型においては、
政府の財政投入がなければグリーン・ツーリズ
ム運営が実現されたかった可能性が高いという
点である
o中国においては、民主導型の「農家
楽
jが一般的な存在であり、官主導型は特殊な
存在であるという。このことから、大部分の民
【研究論文]九州共立大学総合研究所紀蔓第3雪 2010年3F!
!ournal ofK}u伽 KyoritsuUn問 問tyRe民 町hC制ef"No̲3出 品 叩10
主導型「農家楽J地域においては、自然発生的 注 な開発が行き過ぎないために、行政が早いうち から秩序ある開発を誘導する取経(有効な規制 と助成)を行う必要がある。また、官主導型「農 家楽j地域においては、政府資金が枯渇した場 合の対応を早いうちから地域内において検討し ておく必要がある。
ところで、三塁花郷のケーススタディから、
グリーン・ツーリズム導入時における「農村振 興・農業振興jを目的とした政策的意図による 公的資金の導入は、それ自体は f導入のきっか けjとしては大きな意味が存在することが確認 できた。しかしながら、これらの組織がそれ自 体による自律的運営が実現されなければ、持続 的な発展は実現しない。そのためには、グリー ン・ツーリズム組織自体は、①明確なコンセプ トの設定、②そのコンセプトに員.1)りながら、観 光客に魅力を感じさせる多彩なコンテンツの整 備が必要である。そして、そのうえで持続的な 運営を可能にするために、経営能力の高い人的 資源を持続的に確保する取組が必要である。こ のことを実現するためには、有能な人的資源を 内部から輩出するための経営システムの構築が 不可欠であると言える。とのようななかで、三 聖花郷にみられる農村内部からの有能な「農家 楽」経営者の出現は、農村地域における内発的 発展の萌芽的存在として注目すべきであり、今 後の動向を注視したい。
附記
本論文は、北九州市の平成 21年度学術・研 究振興事業調査研究助成金「東アジアにおける 都市・農村交流の現状と農的要素を取り入れた ツーリズムの展開に関する研究 中国・韓国 を中心として J (研究代表者:八島雄士)を活 用して行った研究調査に基づいて作成した。
本論文を作成するに当たっては、和歌山大学 観光学部教授・藤田武弘氏(地域再生学科長)、
上海市農業科学院・食菊生氏(科技信怠研究所 長)、北京農学院教授・史亜軍氏(都市農業研究 所長)、同講師・唐衡氏、南関大学経済学院講師・
楊丹娠氏、三聖花郷旅
i
好服務中心・曽華玲氏、共 同 研 究 者 で あ る 中 村 学 園 大 学 流 通 科 学 部 講 師・徐涛氏をはじめ、多数の方々から研究調査 に関し多大なご支援・ご協力を頂いた。ここに 記して多大なる謝意を表したい。
1 )細野ほか[1]、p.75を参照。
2)楊ほか[2]、p.100を参照。
3)柳承字・朴時絃・宮崎猛「韓国のグリーン・
ツーリズム政策と農村マウノレ総合開発事業J,
宮崎編[3
, ]
pp.98・127を参照。4)宮崎編[3]を参照。
5)
r
工商行政管理部門jとは、 (中医展内にお ける商工業活動等の)市場の監督管理と行政 執行を所管する国務院直轄の組織である中国 国家工商行政管理総局の系統組織を示す。そ の系統性は上位から、医家工商行政管理総局→省/自治区/直轄市工高行政管理局→(副 省級・地級)市工高行政管理局→区/(県級) 市工高行政管理局→工商所、となっている。
日本貿易振興機構ウェブサイトによる。
6)楊ほか[5]、p.32を参照。
7)中国の行政単位を系統的にみると、上位か ら省級(省/自治区/直轄市/特別行政区)
→地級(剥省級市→地区/地級市/省都)→
県級(県級市/市轄区)→郷級(鎮/郷/県 轄区)→村級(村/行政村/居氏区・居住区・
小区・社区)となっている。また、郷/鎮は 農村地域に存在する行政単位であり、都市地 域には存在しない。なお、鎮/郷の区域は、
改革隠放政策以前の「人民公社jの管轄区域 がそれに相当する。
ところで、北京市の雁栖鎮は、農村地域に ある行政単伎としての鎮であるが、成都市の 三聖花郷は「郷Jという文字があるが、都市 地域に存在するため行政単位ではなく、単な る地名である。当地の行政単位は錦江区であ る。
8)中国では、水産物の養殖業も f農業Jに分 類される。
日)また、テーマパーク開発に伴い、当地に所 属する農民の自家住宅が改装されたが、1戸当 たりの平均改装費用 200元/ぱのうち、 160 元
/nf
が四川省からの補助として資金投入さ れている。10)当地に所属する農民
1
人当たりの収入は、2003年の3,000元から 2008年に 12,000元に 向上している。
11)テーマパークといっても、観光客から入場 料は徴収していない。
12)三梨花郷においては、「農家楽j外部参入 37ー
者は、テーマパーク開発により改装された農 家住宅を地元農家から賃借し、「農家楽j経営 を行っている。そのため、地元農家にとって は、就業機会の拡大のほかに不動産収入の増 加というメリットも存在する。
参考文献
[1] 級里子賢治・八烏雄士・トーヴオンラッパイ サン,タイにおけるアグロツーリズムに関す る一考祭ーチャンタブリ県の公的施設とチョ ンブリ県の民間施設を事例に ,九州共立大 学経済学部紀要, 115号, 73‑89, 2009. [2]楊丹短・顧海英・食菊生・藤田武弘,中国
都市部におけるグリーン・ツーリズムの推進 と観光農業の展開,農業市場研究,第 17巻第 1号, 99‑104, 2008.
[3]宮崎猛編,日本とアジアの農業・農村とグリ ーン・ツーリズム,昭和堂, 2006.
[4]八島雄士・細野賢治・徐涛,グリーン・ツー リズム施設とパークマネジメントに関する研 究 上海およびタイの調査を中心としてー 九州共立大学総合研究所紀要,第2号,21‑28, 2009.
[5]楊丹泥・食菊生・桂英・藤田武弘,中国に おける f新農村建設jの推進とグリーン・ツー リズムの役割ー上海市近郊と四川省成都市近 郊の取り組みを事例に ,農業市場研究,第
18巻第 1号, 31‑37, 2009.
[研究論文}九側共立太学組合研究所紀要第3号 2010年3月 JoumalofK)mhllK戸ritsuUni¥'t沼町IyRe$eM由Ceoler No̲3March 2010