各都市・エリアにおいて訪日外国人の1日の動態を追う事が可能なデータ総数は、1週 間でおおよそ1~2万人・時間である。1週間で1~2万人・時間のデータを収集するには、
年間10~20万人の訪日外国人が訪れる都市・エリアである事が必要であると推計される。
以下に必要なデータ水準の考え方を記載する。
本データは1週間(168時間)を対象に1時間毎のエリア内訪日外国人数を足し合わせ た、「人・時間」である
分析対象となる 168 時間の内、データが存在する時間数の割合をその都市・エリ アの「カバー率」と規定し、訪日外国人の1日の動態を追うには、9割以上のカバ ー率を有する事が必要であるとする。
本分析においてはカバー率が 9 割を下回る都市・エリアは「にし阿波~剣山・吉 野川観光圏」のみであり、9割以上のカバー率を有する都市・エリアで、最もデー タ数の少なかった都市・エリアは「八ヶ岳観光園」の14,652人・時間である。
本結果から、少し余裕を見て1週間で20,000人・時間のデータ数が確保できれば 分析対象とする事が出来ると仮定し、訪日外国人の滞在時間を平均 5 時間とする と、1週間あたり4,000人の訪問人数となる。
分析月である9月1カ月の訪問人数は「4,000×(30÷7)」となり、日本における 9月の訪日外国人数は年間の人数の約8.4%(※平成25年度実績)であるため、年 間の総訪問人数は 「4,000×(30÷7)÷8.4%」となり、約20万人と推計される。
※ただし5時間という平均滞在時間はあくまでも過程であるため、20万人という 値も“目安”として捉える必要がある。
103
以下に年間の訪日外国人数が10万~20万人以上の都道府県を記す。本分析を行うには、
宮城県や三重県と同水準以上の訪日外国人客が訪れている都市やエリアを対象とする必要 がある事が分かった。
ただし宿泊人数の多い都市では、1人あたりの滞在時間が長いため、より少ない訪問人 数で分析する事が可能であり、逆に日帰り客の多い都市・エリアではより多くの訪問人数 が必要となると考えられる。
その為、年間10万人~20万人はあくまでも目安としての値になり、特定の季節やイベ ント開催時など、一定期間に数多くの外国人が訪れるエリアについては、当該期間中の分 析が可能な場合もあると考えられる。
図表 都道府県別訪日外国人の訪問率と入込客数の推計
※観光庁「訪日外国人消費動向調査」(2013年)、JNTO統計をもとに作成
順位 都道府県 訪問率(%) 入込客数(万人)
推計値
1 東京都 47.3 490
2 大阪府 25.1 260
3 京都府 18.9 196
4 神奈川県 11.2 116
5 福岡県 11.0 114
6 千葉県 9.6 100
7 愛知県 8.5 88
8 北海道 7.8 81
9 兵庫県 6.2 64
10 山梨県 5.5 57
11 大分県 5.0 52
12 熊本県 4.5 47
13 奈良県 4.4 46
14 沖縄県 3.9 40
15 長野県 3.2 33
16 広島県 3.0 31
17 長崎県 2.8 29
18 岐阜県 2.6 27
19 静岡県 2.2 22
20 栃木県 1.9 20
21 石川県 1.6 16
埼玉県 1.6 16
23 和歌山県 1.3 13
24 富山県 1.2 12
25 茨城県 1.0 11
26 三重県 1.0 10
26 宮城県 1.0 10
104
国・地域別の分析においても、都市エリアの分類と同様に、特定の国・地域からの入込 数が年間10万~20万人程度見込める都市・エリアでないと、国・地域別の分析を行う事が 難しいと考えられる。
本分析において国・地域別分析が行えた都市・エリアを以下に示す。
図表 国・地域別分析における分析レベルの分類
特定の国の分析を5カ国以上行えた都市・エリアは東京や大阪市、名古屋市といった大 都市圏中心都市が中心となった。また2~4カ国程度の分析が行える都市は、大規模テーマ パークが立地する浦安市や、国際ハブ空港が立地する成田市等である。
金沢市、熊本市、奈良市といった地方都市では1カ国程度の分析に留まってしまう結果 となった。
ただし国・地域別の分析も、都市・エリアの分類と同様に、特定の季節やイベント開催 時など、一定期間に数多くの外国人が訪れるエリアについては、当該期間中の分析が可能 な場合もあると考えられる。
国・地域別分析が不可能な 都市・エリア
国・地域別分析が1カ国のみ 可能な都市・エリア
国・地域別分析が2~4カ国 可能な都市・エリア
国・地域別分析が5カ国以上 可能な都市エリア
•「海風の国」佐世保・小値賀観 光圏
•ニセコ観光圏
•八ヶ岳観光圏
•阿蘇くじゅう観光圏
•海の京都観光圏
•雪国観光圏
•高山市
•登別市
等
•金沢市
•熊本市
•奈良市
•由布市
•箱根町
•豊の国千年ロマン観光圏
•浦安市
•成田市
•那覇市
•浜名湖観光圏
•文京区
•大阪市
•港区
•新宿区
•京都市
•千代田区
•横浜市
•中央区
•渋谷区
•福岡市
•名古屋市
•札幌市
等 都市・エリア分析が不可能な
都市・エリア
•にし阿波~剣山・吉野川観光 圏
105
図表 各都市・エリアにおけるデータ数(人・時間)とカバー率の関係
106 1) 分析対象期間拡大・経年比較
今回調査では、2014年9月の1週間のみを対象期間として分析を行ったが、分析 対象期間を拡大することで、月・季節間の比較分析等が可能になる。
例えば下図表に示すように、宿泊客数のみでしか把握ができてこなかった自治体 単位の訪日外国人数を昼間時間帯で把握し、月あるいは季節単位で比較すること 等によって、これまで把握することができなかった消費拡大機会を見出す事等が 可能になると考えられる。
図表 月・季節間比較分析イメージ
また、次年度以降、経年変化分析を実施することも有意義と考えられる。
例えば、下図表に示すように、各種プロモーション・イベント等の効果測定等が 可能となり、費用対効果の算出等を通じた政策資源の最適配分を講じる上で有用 なデータが整理可能となる。
図表 経年変化分析イメージ
0 100 200 300 400 500 600 700 800 900 1000 1100 1200 1300 1400 1500 1600 1700 1800 1900 2000 2100 2200 2300
○月
▲月
▲月は宿泊客は減るものの 昼間時間帯の滞在者は多い
⇒消費喚起の機会 1日当たりの平均人数(人)
時間(時分)
0 100 200 300 400 500 600 700 800 900 1000 1100 1200 1300 1400 1500 1600 1700 1800 1900 2000 2100 2200 2300
昨年 今年
朝市開催による宿泊客の 午前時間帯の滞在拡大
プロモーション強化による 宿泊客増加(⇒国別分析)
1日当たりの平均人数(人)
時間(時分)
107 2) 各種KPIの設定と詳細なモニタリング
これまで定量データが存在しなかった、平日・休日の滞在人・時間データや、昼 間と夜間の滞在人数の比較データを整理することで、新たなKPIの設定が可能に なると考えられる。
また、前述したように KPI設定だけでなく、経年変化を分析することによるモニ タリングや課題の抽出等による打ち手の検討も可能となり、観光振興策の高度化 が期待される。
図表 平日・休日型×宿泊・立寄り型のKPI化イメージ
3) メッシュ分析による滞在人数・変化率の把握
今回調査では実施しなかったが、訪日外国人数が多い都心部や、一定期間に多く の訪日外国人を集めるイベント等開催期間中については、1km メッシュの単位で 滞在数を把握することが可能である。
メッシュ分析を行うことで、より詳細な訪日外国人の滞在エリアの把握や、その 時間帯別の推移等を把握することが可能となり、より具体的な施策の検討が可能 となる。
また、個人情報保護の観点を鑑み、その実現性については検証が必要ではあるも のの、メッシュ分析を訪日外国人の出身国・地域別に行うこともさらに有意義な データ取得に向けて検討すべきと考えられる。
平日型
休日型
立寄り型
△市:春
△市:夏
△市:秋
△市:冬 目標
•これまで定量データがなかったこと から補足が不可能だった、下記指標 等のKPI化が可能に
訪日外国人滞在人・時間数
宿泊者数に加え、日中の訪 日外国人滞在量(人・時間)
夜間・日中滞在量の比率
•月別・季節別・曜日別等、上記KPI の詳細なモニタリングが可能
•詳細な課題抽出による、効力ある打 ち手の検討が可能に
宿泊型
•地域特性や地域戦略に応じた細かな目標設定
•定量データに基づいた戦略策定とそのモニタリング・見直しの実現
•費用対効果の高い“打ち手”の実現
108
図表 メッシュ×時間帯の滞在人数変化率イメージ
4) PDCAサイクルの確立・高度化
上述したように、これまで把握が難しかった、市区町村・観光圏単位の訪日外国 人数を、時期(月・週)、時間帯(1時間単位)で把握・比較することにより、こ れまで困難であった詳細なマーケティングデータに基づいた計画策定と、各種事 業の評価・点検が可能になる。
次年度以降、本調査手法だけでなく、アプリ配布による位置情報データの取得・
分析やSNSを用いた情報分析など、別途検討されている分析手法との掛け合わせ も併せて検討することが求められる。
多 少
【○⽉〜 △⽉:9-11時】 【○⽉〜△⽉:11-13時】
午前中・昼食時間帯 ともに滞在人数の多い
昼食時にのみ 滞在者が増加
減 増
【○⽉〜 △⽉:18-20時】 【○⽉〜△⽉:20-22時】
夕食後に滞在人数が 急増するエリア
夕食時間帯は増加、
その後減少