増加56)や結合角のゆらぎの増加57 58)などによるとされている。Ishiiら5・)は いろいろな構造ゆらぎを持つクラスターに対してフォノン状態密度を計算し、
TO−likeモードの△ωの増加はおもに結合角のゆらぎによると報告している。
図5.13にガウス関数によるフィティングにより求めたTO−1ikeモードの△ω とピーク位置のκ依存性を示す。カーボン含有量κの増加とともに△ωも増加し ており、κの増加により結合角のゆらぎによる構造歪が大きくなるようすがうか がえる。この結果は、基板温度350 Cでグロー放電分解により作製された水素 化a−S iユー。C。薄膜を測定したMori皿。toら32)の結果と似たものとなった。彼
らが用いた半値幅△ω はLO−1ikeモードの影響なども含めたTO−likeモー ド分離前の測定スペクトルからのものである32)。図5.13のκ=0.36のS i1.。
C。薄膜から得られたTO−1ikeモード分離前の測定スペクトルの値は、△ω
=115㎝■工とMori口。toら32〕の水素化a−S i。.。C。薄膜の△ω と非常に近い 値を示している。TO−likeモードの半値幅の変化は含有水素量、堆積基板温度、
ダングリングボンド密度と良い相関があることが指摘されている32 66.68〕。した がって上述の結果は、高堆積温度のS i。.。C。薄膜中で水素が添加されていない
150
T( Eo 1OO
)
く3
工一 で;
とかける。図5.13中の実線は式(5.4)を用いて最小二乗法にてフィティングを試 みた結果であり、データは計算結果によく合致している。またω。iとδω。i.。iは それぞれ477と7.5cロー1となり、ω。iは非昌質Siで報告されている480±5
㎝■1とよく一致している62 66)。したがって、別こよるラマンバンドのシフトは、
上述のように注目している…S i−S i…と結合している原子の変化によって説明 がつくといえる。このようなシフトは、非晶質S iユCo.。1薄膜を測定したGor 口anら側によってもω 一肘=508㎝一1と報告されており同様な考え方で説明で
きるとしている。
5.5.2 C−C描合
S i。.。C。薄膜の緒品化とともに現れてくるC−C結合に由来するラマンバン ドに関してであるが、観測されたバンドの中心位置はおよそ1450㎝一1で低波数 側に裾を引いていることがわかる(図5.11)。この位置はピーク位置がおよそ 1550㎝一1で1350㎝・1付近に肩を有する非昌質Cのラマン散乱バンド66・州位 置よりも約100㎝■1小さい。非品質S i.Co.81薄膜を測定したGomanら州 やイオン衝撃により非昌質化したS i Cを測定したWri8htら61)によってもそれ ぞれパンド中心は1442㎝・1と1450㎝・1になると報告されている。これはC
−C結合によるラマンバンドのビーク位置においても、上述のS i−S i結合モー ド位置のシフトと同様にC−C結合周辺の結合状態によって変化すると推測され、
Go川anら㈹)やWrightら61)も同様の推測を行っている。したがって、非昌質C
(κ=1)に比ぺC量がはるかに少ないκ〜O.5の領域では、C原子のまわりにC原 子より重いS i原子が多く存在し、ピーク位置は低波数側にシフトしているとい
える。
非品質Cにおいては、このスペクトルを小粒径グラファイトのラマンスペクト ルにみられる中心が約1350cバ1と1580cロー1の2つのラインに分解し、その 位置のシフトや強度比により8ρ3結合の割合や緒晶粒径について議論してい
る5S 62 63)・しかしここでは・前述のようにκによるピーク位置のシフトが存在 しうると考えるので・非品質Cの議論をそのままあてはめることは難しい。そこ
でスペクトル形状だけで判断すると・S i1一。C。薄膜におけるC−C結合による ラマンバンドは200.C以下の低温で作製した非品質Cのスペクトルによく似て いる55 63)。したがって、これらの非品質Cと同様にS i。.。C、薄膜中に2㎜
程度のSρ2結合クラスターが存在していると考えることも可能である4・・・・… )。
Di11㎝ら55)やChoら63)によると、非品質Cのラマンスペクトルは堆積温度やア ニール温度によって大きく変化し、それらの上昇とともに1350㎝一・ラインがは っきりし・Sρ2結合クラスターの数が増え、結品化度が良くなることを示唆す ると報告されている。堆積温度700.Cの高温で作製したにもかかわらず、ラマ ンスペクトルが低温で作製した非品質Cのものによく似ていることより・・・・・… )、
Sρ2サイトは秩序が低く乱れた状態でしか存在し得ないことになる。また、こ の5ρ2サイトはS i C緒晶粒中に存在するとは考えにくいので、S i1. C。薄 膜において8ρ2サイトはS i C結晶粒界に存在し、sρ3結合を有するCや
S i原子により取り囲まれることで秩序の低い状態としてしか存在できないもの
と考える63 64)。
また・図5・12で示したラマンスペクトルのr。による差で、sρ2サイトから の信号強度の差はわずかである。ストイキオメトリ近くで、水素希釈による
5ρ2サイト数の変化は少ないと考える。この結果は、単にC原子のsρ・サイ ト数で結品化の様子が決まるわげではないことを示唆している。
さて・C原子のsρ3サイトについては、低秩序の四面体Cネットワークから の散乱が約1133㎝ 1にあらわれるという報告もあるが、まだ決定的ではな い65 66)。また、上述の1350㎝一1ラインの低波数側へのシフトが∫ρ3サイト の存在を表すという報告もあるが、すでに述べたようにピーク位置はシフトして おり・この方法の適用は難しい56)。さらに、結晶のダイヤモンドとグラファイト ではラマン効率が大きく異なり・ダイヤモンドのほうが2桁程度低い(励起光波 長514.5㎜)と報告されており仙67)、5ρ3サイトの存在にもかかわらず、
Sρ3サイトからのラマン散乱は観測されにくいといわれている18・62)。カーボ ンのSρ3サイトの存在の有無は、ラマン散乱の情報からは不明である。
C−C結合によるラマンバンドはんく0.47ではまったく観測されないが、κ:
0・47で結品化がはじまると同時にあらわれ、κの増加とともに信号強度は大きく なっている様子が図5.11よりうかがえる。このC−C結合の出現の理由として、
結品化により起こる、結品化を起こさなくてもκが0.5に近づくことで構造が緩 和されることにより起こる、といった考え方が可能である。どちらによるかはっ
きりしないが、C4成分をも含めると、この尤領域でケミカルオーダリングが乱 れてくることになる。XPSのr.4がラマン散乱の結果とことなりκくO.47で あらわれる理由として、(1)カーボンsρ3サイトの存在、(2)r。。を求めると
きに表面吸着C量がκによらないとした仮定の誤り、が考えられる。2つのうち
(1)については、上述のとおりラマン散乱によっては少量の5ρ3サイトの存在 は検出しにくく、緒品化がはし:まる以前の5ρ3サイトの存在によりC4成分が 現れるとするものである。そして、(2)は試料表面のC原子の存在が試料表面に 吸着する炭化水素などの量を増加させる、つまりスパッタにより清浄化した表面 のS i原子とC原子で活性化度が異なるとするものである。いずれの原因も十分 に有り得ることであり、現段階では上述の差異にどちらがより効いているかは不 明である。ただ非晶質C−1ike相の割合はr。。より大きいことはないといえ、結 品化にともなう粒界のカーボン成分は、おもに5ρ2サイトによると考えること ができ、その割合はκ〜0.50で7%以下と結論する。
5.5.3 S i−C結合
それではここで、600−1000㎝一1にあらわれるラマンバンドについて考察する。
冒頭で述べたように、このバンド位置はS i−C結合に関するモードと推測できる がそのほかのモードの可能性もあり、さらにはS i−C結合からのラマン効率が
S i−S i結合やC−C結合の効率に比べて低いと言われておりs3 68)、解析をき わめて困難なものにしている。しかし、本研究で用いたS i。.。C。薄膜のばあい、
水素が含まれていないことは赤外吸収のところで述べたとおりであり、水素結合 に関するモードは考慮する必要はない62 63〕。さらに、完全なケミカルオーダリ ングに近い状態をみたしており、κくO.47ではC−C結合のモードは現れていな いので、C−C結合の低波数モードも考慮しなくてよい18・86)。しかし、S i−
S i結合の二次ラマン散乱モードの可能性は残っている52 5川。
そこでまず・非品質S iのTO,LO,LA−1ikeモードからの信号のラマン 信号強度を∫・i一・i、そしてS i−C結合に由来するモードと考えられる600
一90一
。□・1付近から1000㎝一1付近までのラマン信号強度を∫。i一。として、それらの ズ依存性を調べてみる。完全なケミカルオーダリングが成立して状態では、
∫。、.。iと∫。i.。はそれぞれ(1−2κ)と2元に比例する。そうすると、
∫。、.。/∫。i.。、をκに対してプロットすると、2元/(1−2尤)に比例するはず である。結果は図5.14に示すようにデータはκ〜0.47をのぞき2κ/(1−2尤)
によく比例している。この結果は、ラマン散乱で起こる電子格子相互作用が250
−600㎝一1ではS i−S i結合、600−1000㎝一1ではS i−C結合に由来するモー ドにそれぞれよっていることを意味するものである。測定したκの領域では
∫。、一。、へのLA−1ikeモードの寄与は小さいので、S i−S i結合に関するバン ドはTOとLO−1ikeモードによるものとみなせる。また、後で示すように
∫。i一。はS i−C結合に起因するバンドのTOとLO−1ikeモードによるもので ある。そこで、S i−S i結合とS i−C結合に由来するTOとLO−likeモード 強度の和のラマン散乱効率比をrとすると、r∫。i.。/(∫。i.。i+r∫。i.。)は 2κに比例するはずである。図5.14に示すように、ラマン散乱効率比r=3とす
1.O
(?0.8
砺
n
十.お
.⊥
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n
O.6
O.4
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Si1一。C.
rD=36 Td=7000C
く…一 ●
O
O ≒>
3.O
2.4
.お1.8 .⊥
ど \1.2工
O.6
O
0 0.1 0.2 0.3 0.4 0.5
Corb◎n content x
図5.14S i−S i結合とS i−C結合に由来するバンドのTOとLO一
いkeモードの強度和比3∫。i.。/(∫。i.。、十3ノ。i.。)(●)
および∫。、一。/∫。i一。i(O)のκ依存性。
一91一