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【連続犯・継続犯】

連続犯CfortgesetzteVerbrechen)とは,自然的に複数の行為が,一定 の要件の下(客観的には「実行行為の同質性j,つまり「構成要件の同一性j,

「法益の単一性j,

I

行為事情の類似性j,主観的には「故意の単一性j,す なわち「包括故意jCGesamtvorsatz)町で評価単ーとして実体法上一罪 として処理されるものをいうO ドイツでは,法定されてはいないが,判例 及び学説上古くから認められてきた法律構成であるO わが国では,昭和

2 2

年改正前の刑法

5 5

条に,

I

連続したる数個の行為にして同ーの罪名に触る るときは一罪としてこれを処断する」と定められていたが,一般に「法益 の単一性」が要求されていなかったことから,これは, ドイツの「連続犯」

とは異なるものであるという指摘がみられる帥。この連続犯について,例 えば,

BGH

刑事第二部

1 9 8 5

1 2

1 8

日判決 8tV

1 9 8 7 . 5 2

は,被告人は

1 9 8 4

2

月から

3

月にかけて甲地区で

A

にヘロインを販売した事実について起 訴され,その後

1 9 8 3

1 0

月から

1 9 8 4

2

月にかけて甲地区等で

A

及び

B

に ヘロインを販売した事実について起訴され,両手続は併合されたが,原審 はこれを分離し,第一公訴についてのみ有罪判決を下したという事例につ いて,双方の起訴にかかる事実は,

I

実体法の意味で単一の行為であり,こ

側 虫明・前掲注

ω

「包括ー罪の研究

J

128頁以下。

ω 

団藤重光『刑法綱要総論・第3版

J

444頁(1990年,創文社)。

206 ( 299 ) 

れによって訴訟法の意味でも単一の所為と理解されるべきである」と判示 し,一個の連続犯を分離して審判することはできないと結論つ9けているO

他方,継続犯とは,法益侵害が継続している聞は既遂後もなお犯罪が継 続しているものをL寸 O 監禁罪や各種所持罪,或いは禁止された団体に構 成員として関与する罪など,法文上はー罪であることに疑いはないが,時 間的に分断すると複数の同種法益侵害行為とみることもでき

ω

,それゆえ 評価上一罪として連続犯と類似の構造を持つ。

このような連続犯及び継続犯は,時間的に長期にわたりうるものである ため,以下のような様々な問題があるO

(連続犯,継続犯の限界)

連続犯や継続犯の終期,すなわち単ーを構成する範囲について,以下の ような裁判例がみられるO

まず,実体法的観点からは,以下のような事例があるO

eBVerfG第 二 部1968年 3月7日決定 BVerfGE23

. 1

91は,エホバの証人 の信者であった被告人が良心的理由から兵役を拒否した者に課される代替 役務も拒否した罪を理由に有罪判決を受け,刑が執行された後,改めて発 せられた代替役務の召集にも従わなかったという事例について,

r

エホバ

の証人の信者は,良心的理由から,武器を持った戦争・紛争の兵役だけで なく,代替的市民活動も拒否し,兵役及び代替的役務に反対する統一的な 良心的判断を断固貫く O この意思決定は,その射程範囲において,原理的 であり,部分的ではない」と判示し,代替役務拒否の継続犯は確定判決に よっても中断しないと判断した。 Hans

JlrichEversω は,一事不再理原 則からのアプローチは「良心的理由による代替役務拒否」という特殊な構

回鈴木・前掲注側『刑法総論[犯罪論]j 252頁。 鍋 Hans‑UlrichEvers, Anm., JZ 1968,525. 

207 ( 298 )一

成要件の創設を必要とするため,この理論を一貫するならば本来一度たり とも処罰することを許されなくなるはずであり,むしろ,比例原則からの 柔軟な解決が検討されるべきであったとして,本決定の結論はともかく,

その基礎付けについて批判しているO

eBGH刑事第二部1997年10月 1日判決 BGHSt43.252は,被告人が取引目 的でヘロインを所持していたが,一旦これを第三者に奪われ,直ちにこれ を取り戻して,再び所持を継続したという事例について,第三者からの取 戻後の行為は実体法上別個の行為である(訴訟上の単一性も否定される) と判示した。 WernerFurstenau的及び VolkerErbω は,本判決は実体法 上の行為単一の評価に終始し,訴訟上の観点から十分な検討が行われてい ないと批判しているO 他方, Kurt Rudiger Maatz働は,そもそも麻薬取引 法上の取引概念の広さ(上述参照)が問題であり,個別の行為ごとに実体 法上の独立性を検討すべきであると主張するO

次に,訴訟法的観点からは,時間的切れ目に関して以下のような裁判例 があるO

eRG刑事第四部1917年 9

24日判決 RGSt51,241は,被告人が食品法上 禁止された食品を継続的に販売した事件で

1 月 4

日に

AG

判決

3 月 7

日に控訴審判決が下され,これが確定した後,被告人が

AG

判決から控訴 審判決までの間に実行した行為について改めて起訴されたという事例につ

いて,

I

本件のように,検察官が被告人に不利益な方向で控訴した場合,

……控訴審裁判所は, StP0372条の制限からは完全に自由であり,一個の 所為について全ての観点で評価する権限を有し,また義務付けられるO

的 WernerFurstenau, Anm., StV 1998,482. 

働 VolkerErb, Anm. NStZ 1998,253,254. 

性) Kurt  R9 udiger  Maatz, Strafklageverbrauch  und  Gerechtigkeit, in  FS‑Meyer‑Gossner, 2001, S.  257. 

‑ 208 (297) 

れに応じて,そこで下された判決は,集合犯又は連続犯の個別行為を理由 とする刑罰権を,判決日までに実行された部分について消耗させる。」と判 示した。

.BGH

刑事第二部

1 9 6 1

1 1

2 4

日判決

JZ 1 9 6 2

4 5 1

は,過料事件で,対象 者に対し行政当局から過料通知が発せられたが,その不服申立に基づき

AG

決定が下され,確定した後,被告人が過料通知から

AG

決定までの聞 に実行した行為について改めて起訴されたという事例について,

I

過料手 続の対象であった所為は,

AG

決定により初めて時間的に限界付けられ た。行政当局の過料通知は,行為の連関を中断させない。」と判示してい るO

.BGH

刑事第四部

1 9 8 5

1 0

1 5

日決定

StV 1 9 8 6 . 1 4 1

は,前訴判決で判明 していなかった連続犯の一部行為について,右判決が確定後改めて起訴さ れたという事例について,連続犯を理由とする有罪判決が確定した場合,

刑罰権は,当時裁判所に判明していなかった部分についても,それが確定 判決より以前に実行されていた限りで消耗されると判示している(同種の 事例について,

OLG

デュッセルドルフ

1 9 8 4

5 月 3 0

日決定

StV 1 9 8 4

4 2 5  

は,はっきりと,

I

確定判決は,審判された連続犯の切れ目となる」と判 示している)。

.OLG

カールスルーエ

1 9 9 7

1 0

9

日判決

StV 1 9 9 8 . 2 8

は,被告人はヘロ インを販売目的で入手したという罪で有罪判決を受け,これが確定した 後,右ヘロインを隠匿場所から持ち出し,第三者に販売したという事例に ついて,

I

判決は,その罪状認定を,過去に発生し又は現在存在する出来事 にのみ依拠させることができる。判決後に生じた出来事は,およそ確定判 決に包摂され,これにより処理されるということはなく,後の刑事手続に 委ねられる。」として,やはり確定判決が切れ目になると判示しているO

以上から,訴訟法的観点からは,連続犯(及び継続犯)の時間的切れ目

‑2 0 9  ( 2 9 6 )

← 

は確定判決であると理解されているO

もっとも,時間的切れ目とは別に,実体的に一個とみうる犯罪が訴訟上 の観点から分断されることもあるO 例えば,

BGH

刑事第二部

1 9 6 2

3

2

日判決

BGHSt1 7 . 1 5 7

は,被告人は

6

件の

執行妨害帯助罪(親告罪)を理由に起訴されたが,そのうち

2

件は告訴が 正犯のみを対象としていたという事例について,

r

連続犯に取り込まれう

るのは,法定の構成要件を充足し,それ自体として可罰的である行為だけ である。」と判示しているO

また,連続犯の一部が前訴において個別行為として審判された場合,後 訴においてなお連続犯として審判できるかという問題は,以下のとおり激

しい対立がある。まず,

BGH

刑 事 第 四 部

1 9 6 2

1 1

2 3

日判決

NJW1 9 6 3 . 5 4 9

は,ある事象が独

立の行為として審判され,確定した場合,後の裁判で,当該事象がその前 後に実行された同種の事実との間で連続犯の関係にあると評価される場合 でも,刑罰権消耗は,実際に審判された個別の行為に限定されると判示し,

いわば訴訟上の観点からの連続犯の分断を肯定した。しかし,その後,

OLG

コープレンツ

1 9 8 1

1

1 3

日決定

NStZ1 9 8 1 . 1 9 5

r

連続犯が実

体法上だけでなく,訴訟上も一個の所為であるというのであれば,刑罰権 消耗及び確定力の問題に関して,前訴の裁判官が訴訟対象をその全体にお いて的確に認識し,又は認識できたか否かは,関係ないはずであるO 決定 的であるのは,その客観的範囲であるO 後に起訴された個別行為が前に審 判された行為との問で連続関係にあるならば,刑罰権は,連続関係にある 全ての個別行為に関して消耗される。」と判示し,はっきりと右

BGH

判決 に異を唱えた。この決定に対して, Peter Riesω は,連続犯は,法律に根

側 PeterRies, Anm., JR 

1 9 8 1

5 2 2 .  

2 1 0 ( 2 9 5 )  

拠のない,判例及び学説の創造品 (Kunstprodukt)にすぎず,柔軟な対 応がなされるべきものであり,無制約に「一個の所為」と見ることは時宜 に適さないと批判しているO 他方, Kurt Rudiger Maatz$uは,実体法上一 個の犯罪の分割は憲法上禁止される二重処罰にあたるというべきであると

して,本決定の結論を支持しているO

このような状況において, BGH刑事第一部1985年 1

15日判決 NJW 1985

, 1

174及び BGH刑事第二部1985年 1

16日判決 BGHSt33

, 1

22は,よ

り激しい混乱を呼び起した。すなわち,前者は,

I

刑罰権消耗は,前訴でま だ判明していなかった部分について生じな L、。」と判示したのに対し,後者 は,

I

後訴手続の裁判官は,自身に提起された事件と確定して審判された個 別行為は一個かっ同ーの行為であるかという点を審査しなければならず,

これが肯定される場合,刑罰権は消耗される。」と判示し,わずか一日違 いで全く逆の判断が示されたのであるo Ralf Neuhaus闘は,この両判決 を通じて,連続犯は,その時間的,場所的離隔ゆえに,訴訟法上の所為概 念において立てられてきた自然的考察法になじまない,むしろ,実体法上 の行為単ーとは全く独立して,訴訟法上の観点から所為の同一性が検討さ れるべきであると評釈するO また, Kar 1 Heinz Gsselω は,不当な結論を 回避するためには,根本的に連続犯の制度を見直すことが必要であると評 釈するO

その後, BGH刑事第二部1983年11

30日決定 NStZ1984,231 (前訴手続 で, StP0153a条に基づく賦課履行を条件とする手続打切が行われた事例)

(5

Kurt  Rudiger  Maatz, Doppelverurteilung  in  Fallen  fortgesetzter  Handlungen, MDR 1986,285. 

ωRalf  Neuhaus, Fortsetzungszusammenhang  und  Strafklagever‑ brauch, Jus 1986,964. 

ωKarl Heinz Gossel, Anm., JZ 1986,45. 

‑ 211 (294)

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