第 1 8 表 は H i n d u s t a nL e v e r による 1 9 7 7 年 ' " ' ‑ ' 1 9 8 1 年 に お け る 外 貨 持 出 し の 詳 細 を 示 し て い る 。 前 述 の よ う に , 1 9 8 1 年 に お け る 同 社 の 払 込 資 本 に 占 め る
U n i l e v e r の 持 分 は l
億4 , 8 7 3 万 6 , 0 0 0 万 ル ビ ー で あ っ た が , 後 者 の 本 来 の 出 資 分 は そ の 28% の 4 , 5 0 5 万 ル ビ ー で し か な い 。 同 表 に 見 ら れ る よ う に 同 年 の 配 当 送 金 を 3 , 1 7 0 万 ル ビ ー と す る と , わ ず か 1 年間の配当送金が, U n i l e v e r の 本 来 の 出 資 分 の 70% 以 上 に も 当 る の で あ る 。 ま た , 配 当 遅 延 に よ る 利 子 や 技 術 料 を 含 む 「 そ の 他 の 外 貨 支 払 い 」 が , こ の 間 著 し く 増 大 し , U n i l e v e r の 本 来 の 出 資 分 の 80% 以 上 に 当 る 3 , 6 9 0 万ルビーに達した。
第 1 8 表 H i n d u s t a n L e v e r によるインドからの外貨持出し(単位:
10万ルピー) 年原 ひ ' 輸 材 消 料 費 入 額 部 お 口 占 口
c資
if本 輸 財 入 の 額
(2)その他の
(3)外 配当送金 総流出額 お
f他
obの よ 輸 収 び 入 そ 入額 の 外 貨 の
の 貨支払い 純 流 出
1977 3.740 3 20 215 3.978 ,1813 2.165 1978 3.864 237 60 251 4.412 ,1814 2.598 1979 3.798 61 91 317 4.267 3.230 ,1037 1980 6.975
7 7
168 317 (¥) 7.537 4.264 3.273 1981 7.479 31 369 317 (l) 8.196 6.855 ,1341〔 出 所
J
Ajay Kumar Rath. Local and Global Operations of Multinational Corpora‑ tions:Unilever in India.S o c i a / S c i e n t i s t .
October 1982. p.34.〔 注
(1)同社は正確な数字を明らかにしていない(原注)。
(2)canalising agencies
によるもしくは現地市場からの資本財輸入を含まない(原注)。
(3)
配当遅延による利子や技術料等が含まれる
(Ibid..p.35)。
〔原資料 J An
nual Reports of the Company.ついで,製薬産業について簡単に見ておこう。第 1 9 表は, 1 9 7 0 ‑ 7 1 年 ' " ' ‑ ' 1 9 7 6
‑77 年 に お け る 外 国 人 持 株 が 40% 超 の 外 国 会 社 と 支 庖 に よ る 海 外 送 金 の 構 成
第
19
表 外国人普通持株が40%
を超えるインドにおける多国籍製薬会社 (支庖を含む)による外貨海外送金総額 (単位:1 0
万ルビー) 年 配当もしくは支技術ノウハウ ロ イ ア ル テ ィ 本 社 費 (計)庖の利益(%) 料 (%) (%) (%) (%)
1 9 7 0 ‑ 7 1 4 3 8 . 7 2 ( 8 6 . 6 5 ) 2 5 . 7 0 ( 5 . 0 8 ) 1 5 . 7 2 ( 3 . 1 0 ) 2 6 . 1 9 ( 5 . 1 7 ) 5 0 6 . 3 3 ( 0 0 ) 1971‑72 3 6 0 . 3 7 ( 8 8 . 2 0 ) 9 . 3 9 ( 2 . 3 0 ) 2 4 . 8 6 ( 6 . 0 8 ) 1 3 . 9 7 ( 3 . 4 2 ) 4 0 8 . 5 9 ( 0 0 ) 1972‑n 3 8 5 . 2 7 ( 8 5 . 5 6 ) 1 3 . 9 6 ( 3 . 0 4 ) 3 7 . 8 0 ( 8 . 3 9 ) 1 3 . 5 3 ( 3 . 0
1)4 5 0 . 2 9 ( 0 0 ) 1973‑74 4 6 5 . 6 1 ( 8 8 . 9 6 ) 3 0 . 6 7 ( 5 . 8 6 ) 2 7 . 1 1 ( 5 . 1 8 ) 。 5 2 3 . 3 9 ( 0 0 ) 1974‑75 1 2 9 . 1 5 ( 9
1.8 6 ) 9 . 3 1 ( 6 . 6 2 ) 2 . 1 3 0 . 5 2 ) 。 1 4 0 . 5 9 ( 0 0 ) 1975‑76 2 5 5 . 5 0 ( 9 4 . 8
1)1
1.6 8 ( 4 . 3 3 ) 2 . 3 4 ( 8 . 0 6 ) 。 2 6 9 . 5 2 ( 0 0 ) 1976‑77 7 0 4 . 6 3 ( 9 9 . 2 5 ) 2 . 4 9 ( 0 . 3 5 ) 2 . 8 1 ( 0 . 4 0 ) 。 7 0 9 . 9 3 ( 0 0 )
五十2
,7 3 9 . 2 5 ( 9 1 . 0 5 ) 1 0 2 . 9 3 ( 3 . 4 2 ) 1 1 2 . 7 7 ( 3 . 7 5 ) 5 3 . 6 9 (
1.7 8 ) 3
,0 0 8 . 6 4 ( 0 0 )
〔 出 所
JL a l i t M. J o h r i , B u s i n e s s S t r a t e g i e s 0 1 M u l t i n a t i o n a l Co
ゆo r a t i o n si n l n d
勿 ‑C a s e S t u d y 0 1
かuga n d P h a r m a c e u t i c a l l n d u s t r y
,V i s i o n Books
,1 9 8 3
,p . 3 8 .
〔原資料
JB a s i c D a t a o n Drugs I n d u s t r y
,1977‑78
,M i n i s t r y o f P e t r o l e u m
,C h e m i c a l s a n d F e r ‑ t i 1 i z e r s , Government o f I n d i a .
を示したものである。同表から明らかなように,この
7
年間に海外送金額は3
億86
万4
,000
ルビーにのぼっており,その90%
以上は配当によるものである。しかも,この間配当の占める割合は,上昇傾向にあり,
1976 一 77
年には99%
以上に達している。
個々の製薬会社についても簡単に見ておこう。
1965‑66
年 の 資 本 が218
万 ルビーであったP f i z e r
は,1973. 1974
の2
年間に配当・ロイアルティ等々 として979
万4
,000
ル ビ ー 持 去 っ た ;1965‑66
年の払込資本が1
,050
万ルビー であったP a r k eD a v i s
は,1973
年だけで237
万5
,000
ルビー持去った;A b o t t L a b o r a t o r i e s
は,10
万ルビーの投資で,1970
年,1974‑75
年にそれぞれ224
万4
,000
ルビー,227
万4
,000
ノレピー持去った。1977
年8
月2
日の下院での質 疑応答によると,1973
年' " ' ‑ ' 1 9 7 5
年における製薬会社による海外送金は次のとうりであった。
C y a n a m i d 532
万3
,000
ル ビ ー ;J h o n s o n & J o h n s o n 113
万3
,000
ル ピ ー ;Merck
,S h a r p & Dohme 204
万7
,000
ルビー;R i c h a r d s o n H i n ‑
d u s t a n 144
万7
,000
ルビー;S e a r l e 101
万 ル ビ ー ;W y e t h L a b o r a t o r i e s 126
万9
,000
ルビー;F u l f o r d 7
万5
,000
万ルビー;Geo
百'er y M a n n e r s 244
万ノレピー;S y n
・b i o t i c s 13
万4
,000
ノレピー;W a r n e r H i n d u s t a n 245
万5
,000
ル ビ ー ;C a r t e r
W a l l a c e 12
万4
,000
ルビー;U S V i t a m i n s a n d P h a r m a c e u t i c a l s 5
万ルビー。最後に,その他の産業の会社について簡単に見ておこう。タイヤ会社のDun1
o p
,Ceat
,F i r e s t o n e
,Goodyear
の1 9 7 4 一 7 5
年における払込株式資本は,それぞ れl億1
,0 0 0
万,3
,9 0 0
万, ,11 0 0
万,5
,3 0 0
万ルピーであったが(ボーナス株 式によって増加した部分を含んでいる),これらの会社の1 9 7 1
ー7 2
年" ‑ ' 1 9 7 3
‑74
年における本国送金は,それぞれおよそ1
,0 0 0
万,6 4 0
万,3
,7 5 0
万, ,10 0 0
万ルピーであった。UnionC a r l i d e
は,1 9 3 4
年に当初資本2
万4 0
ルビーで蛍業 を開始したが,1970‑71
年" ‑ ' 1 9 7 5 ‑ 7 6
年の6
年間に配当・ロイアティ・技術 料としてそれぞれ5
,2 3 0
万・7 1
万4
,0 0 0
・2
,9 1 0
万ルビー持去った。練歯磨の 半分以上,歯磨粉のほとんど80%
の生産を支配するC o l g a t e‑P a l m o l i v e
の1 9 7 5
年1 2
月31
日における払込資本はわすーか1 5
万ルビーであったが,同社は,1968‑69
年" ‑ ' 1 9 7 0 ‑ 7 1
年の3
年間に2
,0 0 3
万1
,0 0 0
ノレピー海外送金し,1970‑
7 1
年"‑'1 9 7 5 一 7 6
年の5
年間に配当・ロイアルティとしてし4 0 0
万ノレピー持去 った。Coca‑C o l a Export C o r p o r a t i o n
は,1 9 5 8
年に資本金6 6
万ルピーで営 業を開始したが,1 9 7 4
年までに約1
億ルビーを海外送金した。〔注〕
(1)
Rath , O p . c i t . , p . 3 4 .
(2)
S . Mukherjee
,The l n d i a n E x p e r i e n c e
,S . Mukherjee & o t h e r s
,O p . c i t .
,p . 7 6 .
(3)V . G . S h a n k a r , The P e r f o r m a n c e o f T r a n s n a t i o n a 1 C o r p o r a t i o n s i n l n d i a ,
Ibi d . p . 5 0 .
(4)
S . Mukerjee
,The l n d i a n E x p e r i e n c e
, Ibi d . p . 7 6 .
(5)
Sadhan Mukherjee , l n d i a ' s E c o n o m i c R e l a t i o n s w i t h USA and USSR , S t e r l i n g P u b 1 i s h e r s P v t . L
td . , 1 9 7 8 , p . 1 3 3
(6) Ib
i d .
,p . 1 4 1 .
(7) 以上では外国支配ルビー会社形態の直接投資の資金源について見てきたが, '‑'‑ では,
S u d i p C h a u d h u r i
によるインド最大の外国子会社5 0
社(19 7 5
年3
月現在)にかんす る表‑B
に依拠して,多国籍企業の子会社の資金調達全般について,簡単に見ておきた い。なお,この5 0
社は,全子会社1 8 3
社の資産の約82%
を占めている( S u d i pC h a u d h u r i
,F i n a n c i n g o f Growth o f T r a n s n a t i o n a 1 C o r p o r a t i o n s i n l n d i a , 1 9 5 6 ‑75 , E c o n o m i c and
P o l i t i c a l W e e k l y . August 1 8 . 1 9 7 9 . p.143
1.この5 0
社のリストについては次を参照。Ibi d . • p . 1 4 3 4 )
。まず.1956年 ~1965年間の年平均の資金調達について。実際に外国から流入する資金 は外国人株式資本と外国人貸付のみであるが(表
‑B
から明らかなように,ボーナス株 式は企業内部資金の剰余金の項目に含められている).これらの全資金に占める割合は,小さく,それぞれ
8.3%. 4.1%
でしかなL、。したがって,外国から調達した資金はわず か12.4%
でしかなく,全資金の87.4%
がインド国内で調達されたのである。後者の最大 の資金源は,減価償却引当金と剰余金より構成される企業内部に蓄積された資金であり,それぞれ
17.6%. 27.6%
を占めている。さらに,当座負債,国内貸付,インド人株式資 本が,それぞれ19.8%. 16.1%. 6.3%
を占めている。つぎに.1955年 ~1965年の年平均と比較しながら. 1965 年 ~1975年の年平均の資金調 達について見てみよう。 1965 年 ~1975年には,インド国内よりの資金調達が 1956年~
1 9 6 5
年の3 1
億7.390
万ルビーから1 1 1
億8 . 5 1 0
万ノレピーへと急速に伸びたのに対し,外国よ りの資金調達は逆に4
億5 .1 0 1
万ルピーから3
億4.960
万ルビーへと縮小している。したが って,後者の全資金に占める割合は,さらに小さくなり.3 %
にまで落込むこととなっ表
‑ B
インドにおける多国籍企業の子会社のうち最大5 0
社の金融源泉(単位
: 1 0
万ルビー) 1956額~1965年平均%
1965額~1975年平均%
外国源泉( a+ b) 4
,5 0 1 1 2 . 4 3
,4 9 6 3 . 0
(a)外国人株式資本
3
,0 0 2 8 . 3 3
,0 3 4 2 . 6
(b)外国人貸付 ,14 9 9 4 . 1 4 6 2 0 . 4
国内源泉(c+d+e+
f)3 1
,7 3 9 8 7 . 4 1 1
1.8 5 1 9 7 . 0
( c)インド人株式資本2
,3 0 4 6 . 3 3 . 0 8 3 2 . 7
(d)国内貸付5
,8 5 4 1 6 . 1 1 4
,9 3 5 1 2 . 9
(e)企業内部資金1 6
,3 8 1 4 5 . 2 5 9
,8 3 8 5
1.9
(i)減価償却引当金
6
,3 8 4 1 7 . 6 2 7
,7 6 4 2 4 . 1
(ii)剰余金(ボーナス株式を含む)9
,9 9 7 2 7 . 6 3 2
,0 7 4 2 7 . 8
(f)当座負債
7 . 2 0 0 1 9 . 8 3 3
,9 9 5 2 9 . 5
〔出所
J S u d i pC h a u d h u r i , F i n a n c i n g o f Growth o f T r a n s n a t i o n a l C o r p o r a t i o n s i n I n d i a , 1 9 5 6 ‑ 7 5 . E c o n o m i c and P o l i t i c a l W e e k l y
,August 1 8
,1 9 7 9
,p . 1 4 3 3 .
〔注)
1966‑67
年以前の対象会社数は,いずれの年も5 0
社未満である。すなわち,1956‑57
年3 2
社,1957‑58
年3 7
社,1958‑59
年3 9
社,1959‑60
年4 0
社,1960‑61
年4 2
社,1961‑62
年4 4
社,1962‑63
年4 7
社,1963‑64
年4 7
社,1964‑65
年4 7
社,1965‑66
年4 9
社,1966‑67
年4 9
社(原表)。た。その内訳は,外国人株式資本
2.6%
,外国人貸付0.4%
である。これに対して,イン ド国内よりの資金調達の占める割合は,上昇し97.0%
にまで達した。その内訳を見ると,インド人株式資本,インド人貸付の占める割合はそれぞれ
2.7%
,12.9%
へと減少してい るが,他方企業内部資金,当座負債の占める割合はそれぞれ5 1 . 9%
,29.5%
へと増加し ており,ことに後者は10%
近い伸びを示している。企業内部資金のうち,剰余金の占め る割合は27.8%
とほとんど伸びていないが,減価償却引当金はかなり伸び24.1%
となっ ている。(8) この調査は,
1 9 7 0
年3
月3 1
日現在,外国会社が資本参加しているすべての公開な らびに非公開の有限責任会社C p u b l i cand p r i v a t e l i m i t e d c o m p a n i e s )
,および1 9 6 4
年4
月1
日に外国技術提携協定が実施されているすべての会社の,センサスの性格をもつもの である。また,その後に実施された協定でも,1 9 7 0
年3 月3 1
日までに政府承認を取得し たものは,この調査の対象となっている。最終的には,民間会社8 7 7
社,政府会社4 1
社に かんする調査となっている。民間会社の内訳は次のとうりである。子会社1 9 7
社,外国少 数所有会社4 3 3
社,純技術提携会社2 4 7
社。一一R e s e r v eBank o f I n d i a
,F o r e i g n C o l
.L宜b o r a ‑ t i o n i n l n d i a n l n d u s t η‑Second S u r v e y R e p o r t
,1 9 7 4 . p p . 1
~3. この小論では民閉会社を 問題としている。(9)昂
i d .
,p . 3 .
(10) たとえば次を参照。西口章雄「発展途上国の国民経済形成と 技術移転"ーイン ドのケースを中心として」尾崎彦朔・奥村茂次編『多国籍企業と発展途上国』東京大学 出版会,
1 9 7 7
年;拙稿「インドの合弁企業における外国資本の支配JW経営研究』第2 6 巻
6
号0976
年3
月)。。
1)RB , I S e c o n d S u r v e y R e p o r t , p . 4 1 .
(
1今 昂
i d . , p . 3 3 .
(1ゆ 昂
i d . , p . 6 0 .
(14)昂i d .
,p . 5 3 .
(15)
S . Mukherjee , l n d i a ' s Economic R e l a t i o n s . . . . . . , p . 1 4 1 .
(16)昂i d .
,pp.142~143.(
1カ