①檀信徒組織形成の推進
沖縄の仏教が本土と大きく異なる点は︑檀信徒制度がな いということである︒そこで大雲院では︑本山からの働き かけもあって︑昭和五十年代より檀信徒の組織化︑
および
宗派意識の植え付けを計ってきた︒檀信徒の組織
化を進め
るために︑ご詠歌の会である﹁花園会﹂の活動を積極的に
推進している︒月二
回の練習には十五人ほどが参加し︑各 行事の際には詠唱する機会を設けているという︒
ほかに︑沖縄県仏教会主催の花祭りなどの行事に信徒を
参加させる︑京都の妙心
寺への団参(妙心寺派沖縄教区主 催)に毎年参加するなど︑宗派意識を植付けながらの檀信
徒組織の形成を進めている︒
②積極的布教
沢田師は︑仏教の教えを伝える機会をより多く設けよう
と努めている︒日常の葬儀や法事はもちろんのこと︑多く の人が集まる修正会や観音例祭という機会に︑法話を行な
っている︒また︑本土より布教師を呼ぴ︑年二回(五月︑
十月実施)の法話会を開催している︒四十
1
五十歳代の社年層を中心として六十
1
七十人が参加している︒このほかにも︑沢田師は﹁般若の会﹂の講師を勤めてい る︒﹁般若の会﹂とは︑﹁寺の中でなく︑多くの人がもっと リラックスして聞ける場で仏教を説こう﹂との目的で︑昭 和六十(一九八五)年に那覇市の輿禅寺住職
・崎
山崇
源師
︑
phd qJ 1EA 護国寺住職・
名幸芳章師らが中心となって創設された会で ある︒現在は那覇市内の喫茶店にて︑毎週水曜日に開催さ れている︒沢田師は二ヶ月に一度ほど講師を勤めるが︑
そ の際には︑家庭問題︑現代人の生きがい︑職場の人間関係 など︑実生活に即した内容での法話を行なうようにしてい
ると
いう
︒
③本土式仏教習俗の導入
沖縄には︑追善供養のために塔婆を建立する風習は元来 存在しない︒しかし︑大雲院においては︑喪家の家にて法
要を勤める際には︑書初め用紙を縦半分に切った紙に戒名
を書いたもの(﹁紙塔婆﹂と呼ぶ)を仏壇に貼って法要を
勤めている︒法要後には焚き上げるように指示していると
いう︒これは︑先代住職がはじめたものである︒
④沖縄の信何習俗との共存
大雲院は︑沖縄の民間習俗である﹁首里十二ヵ所巡り﹂
の拝所になっている︒この習俗は︑一般には﹁十二ヵ所ウ
ーマイ(御廻りごという名で知られており︑祈願者の干
支(生まれ年)にあわせて︑守り本尊のある寺院に詣で︑
祈願をする習俗である︒守り本尊は︑子が千手観音︑
丑
寅が虚空菩薩︑卯が文殊菩薩︑辰・巳が普賢菩薩︑午が勢
至菩薩︑未・申が大日如来︑酉が不動明王︑成・亥が阿弥
陀如来である︒現在︑守り本尊が安置されている寺院は
大雲院のほか︑安国寺・西来院・盛光寺であり︑大雲院で
は︑十二支のうちの子・丑・寅・辰・巳・午の守り本尊を
杷
って
いる
︒
祈願の内容は︑健康祈願が多いが︑他に祖先
の供養︑年忌焼香︑墓・位牌の移動や家の新築や引越しに
伴う祈願︑また︑家を継ぐべき人(長男)以外が相続した ことによって生じる災いを解消するための︑グワンスタダ
シ(
元祖
正し
て
ニL
など多様である︒参拝者のなかには
タを伴い祈願をする人も多い︒沢田師は誰にでもどのよう
な信何を持った人にでも︑寺の門戸を開放するという立場
をとっているためユタの活動に関しては否定も肯定もせ
ず︑観音堂内部でユタが拝みを行なっていても構わないと
のことである︒
7
今後の展望
p o
q︽d1i 沖縄の人々は︑﹁首里十二ヵ所巡り﹂のような︑沖縄独
特の信仰習俗や葬送儀礼には興味があるが︑仏教の教え自
体には興味が少ない︑と沢田師は感じている︒しかしなが
ら︑大雲院において開催されている法話会には︑毎回六十
ー七十人が参加し︑参加者の年齢層は四十
i
五十歳代という社年層が中心である︒また講師をつとめる﹁般若の会﹂
においても︑大学生などの若者が参加している︒これらの
ことから︑﹁全体数は未だ少ないが︑情報化社会により知
的関心の強い人が増加しているので︑急速にではないが仏
教の教えを理解する人が増加するのではないか﹂と沢田師
は考えている︒
*
なお︑本文中の寺院名・人名はすべて仮名である︒
(名
和清
隆)
執筆者鷲見定信
武田道生
名和清隆大津広嗣
江島尚俊中村憲司 (浄土宗総合研究所嘱託研究員・大正大学助教
(浄土宗総合研究所専任研究員) 授
(浄土宗総合研究所研究助手)
(大正大学大学院宗教学専攻博士課程)
(大正大学大学院宗教学専攻博士課程)
(大正大学大学院宗教学専攻博士課程)
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平 成
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年 度
研 究 活 動 報 告
‑139一
浄土宗義と現代・①浄土教比較論ー
はじめに│プロジェクト編成の経緯│
平成二十三年に厳修される宗祖法然上人八
OO
年大遠忌を控え︑浄土宗ではさまざまな大遠思記念事業が立案・計
画され︑順次実施されている︒多くの記念事業の中︑宗務
当局から総合研究所へ諮問された事業の一つに︑かねてよ
りの懸案である﹁﹃浄土宗大辞典﹂の点検作業﹂があった︒
そこで︑平成十四年度から︑総合研究所の﹁浄土教比較
論﹂中に︑この事業を組み入れ︑新たにスタッフを編成し︑
﹁﹁浄土宗大辞典﹄点検プロジェクト﹂を進める運びとなり︑
本年で二年目の活動に入っている︒
研究意図
昭和四十九年︑浄土宗大辞典編纂委員会編﹃浄土宗大辞