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その他の爆発メカニズム

第 3 章 重力崩壊型超新星の爆発メカニズム 13

3.4 その他の爆発メカニズム

本論文ではニュートリノ加熱メカニズムに主に着目するが、重力崩壊型超新星爆発には他のメカ ニズムも考えられている。ここではそれらのメカニズムの概要をJanka (2012)に従って紹介する。

3.4.1 音響メカニズム

ニュートリノ輸送を考えたシミュレーションであっても、その輸送の扱いやその他の入力物理に よってはニュートリノ加熱による爆発はしない場合もある。しかしながら、Burrows et al. (2006a,

2007b)はそのような場合でニュートリノ加熱由来でない爆発を発見した。バウンス後1秒程度以

上経ってから中心の原始中性子星で= 1モードのg-モード振動、浮力を復元力とする星震が起こ る。これは流体不安定性による非等方的な降着流によって発生する。この原始中性子星の振動を 波源として音波が外側に伝搬していくが、外に行くにつれて密度が小さくなっていくので位置に よって伝搬速度が変わり、音波は衝撃波に変化する。この衝撃波への散逸がバウンス衝撃波にエ ネルギーを加え、爆発を起こす。Burrows et al. (2007a)ではこの音波によるエネルギー注入率は

0.5×1051erg/sと見積もられているが、この見積もりには不定性がある。また、長時間シミュ

レーションはできていないため爆発のエネルギーは確定できていないが、あまり大きくはないと 推測される。これまでのところ他のグループでこのメカニズムを再現できたところはない(Marek and Janka 2009)が、それはBurrows et al. (2006a, 2007b)の手法が不正確なのか、1秒程度以上 の長時間シミュレーションをしているグループがないからなのかは不明である。

3.4.2 磁気流体力学メカニズム

Wilson (1985)のニュートリノ加熱メカニズムによる爆発の前から、磁気流体力学

(magneto-hydrodynamics, MHD)が関わるメカニズムでの超新星爆発も研究されてきた(e.g. Meier et al.

1976)。特に星の回転エネルギーが磁場エネルギーに転化して爆発する磁気回転メカニズムという

ものが1970年代から考えられてきている。

超新星物質の抵抗率は無視することができ、磁力線凍結により重力崩壊とともに磁場はB Rcore2 ρ2/3と増大し、それに伴うエネルギー( B2)も増大する。重力崩壊の開始時は磁場は

109Gであり、それは崩壊によって1000倍以上に大きくなるが、そのままでは依然磁気圧がガ ス圧より小さいのであまり爆発に影響を及ぼさない。

しかしながら、磁場が何らかの機構でさらに増幅されることで、爆発に影響するようになる。

この場合、増幅のエネルギー源としては中心の中性子星の持つ回転エネルギーがある。角運動 量Jcoreの流出が無視できるとした場合、コアの収縮によってその回転エネルギーErotErot Jcore2 /(McoreR2core)のように大きくなる。最終的に原始中性子星が高速回転している場合、その回 転エネルギーはErot= 2.4×1052erg

(MPNS

1.5M

) (RPNS

10 km

)2(

PPNS

1 ms

)2

程度となり、超新星爆発のエネ ルギー源として十分な大きさである。ただし、原始中性子星の各物理量の典型的な値としてパル サーの典型的な値を用いた。

磁場の増幅機構としては、磁力線の巻き込みと磁気回転不安定性(magnetorotational instability, MRI)の二つが考えられている。前者は、太陽のダイナモ理論と同様に、もともと存在していたポ ロイダル磁場を差動回転によって巻き込んでトロイダル磁場に変換し、さらにそれを何重にも巻き 込むことで磁場を強めていくというものである。この場合は巻き込みに応じて線型に磁場強度が 増幅していく。後者は同じ磁力線に貫かれたプラズマ同士が磁気張力によって角運動量を交換し、

軌道が離れていくことで両者を結ぶ磁力線が束ねられて磁場が強まるというものである。この場 合は時間に対して指数関数的に磁場強度が増幅していく。MRIの成長スケールvA/(dΩ/d lnr)(た だしvA=B/√

4πρはAlfv´en速度でΩは角速度)は磁場と共に大きくなり、これが半径rが同程 度になった時にそれ以上成長できなくなると考えれば、最終的に得られる磁場は

B24πρr22

(d ln Ω d lnr

)2

(3.119) となる。この値は10151016G (Akiyama et al. 2003)と見積もられている。

以上のように増幅された磁場は磁気圧や散逸による加熱によって周囲の物質にエネルギーを与 え、放出させる。この放出物質は細く絞られたジェットとして、回転軸の両極の方向に吹き出す。

そのエネルギー放出率は

E˙MHD1052erg/s ( B

1016G

)2( r 10 km

)3( Ω 103rad/s

)

(3.120) 程度となる(Akiyama et al. 2003)。

磁場を増幅するのに十分な回転エネルギーを得るには、親星のコアが周期1秒程度で回転して いなければならない。しかしながら、磁場が存在している場合はそれを通じて角運動量が外部に 輸送されてしまうため、親星コアの回転周期は100秒程度以上になってしまう。そのような低速 回転コアでも磁場を増幅させるために様々なメカニズムが考えられているが、それらのメカニズ ムで必要な磁場を得るにはそもそも初めから大きな磁場を持っていなくてはならない。

それゆえ、MHDによるメカニズムは非常に高速回転している親星に対して重要なメカニズム であって、通常のII型超新星というよりも極超新星などのメカニズムではないかと考えられてい る。これは、ニュートリノ加熱メカニズムでは降着物質の分解でエネルギーを消費して爆発エネル ギー自体は小さくなってしまうが、MHDメカニズムはそのようなエネルギー消費がないため大き なエネルギーの爆発になると考えられるからである。しかし、磁場は本質的に三次元効果が重要 な現象なので、シミュレーションの計算量を減らすために次元を落とすわけにはいかない。また、

MRIなどの成長スケールが非常に小さいこと、またAlfv´en速度は大きいため計算の時間刻みは小 さくしなければいけないことなどから、非常に大きな計算機パワーが必要な難しい問題である。

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