第4章 課題解決に向けた具体的な取組み
6 その他の教育支援
(1) 夜間中学校の設置促進 1 神奈川県内の公立夜間中学 (2) 子どもの食事・栄養状態の確保 1 生活保護(教育扶助)
2 要保護児童生徒援助費補助金(学校給食費)
(3) 多様な体験活動の機会の提供 1 サマーキャンプ、マラソン大会等のイベントの実施
★は指標とした施策
教育 の支 援
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1 「学校」をプラットホームとした総合的な子どもの貧困対策の展開
貧困の連鎖を断ち切るためのプラットホームとして学校を位置づけ、総合的な子どもの貧 困対策を展開する。
(1) 学校教育による学力保障
○ 家庭環境や住んでいる地域に左右されず、学校に通う子どもの学力が保障されるよう、きめ細 やかな指導を推進します。
[本県の取組み]
1-(1)-1 教育水準の維持・向上
全国のどの地域で教育を受けても、一定の水準の教育を受けられるようにするため、文部科学 省では、学校教育法等に基づき、各学校で教育課程(カリキュラム)を編成する際の基準である
「学習指導要領」を定めており、県教育委員会では、「学習指導要領」が円滑かつ着実に実施さ れるよう、市町村教育委員会及び各学校を支援し、本県の教育水準の維持・向上を図っています。
1-(1)-2 確かな学力向上の推進
「学習指導要領」を踏まえ、子どもたちの確かな学力の向上を図るために、基礎的・基本的な知 識・技能を確実に習得させ、これらを活用して課題を解決するために必要な思考力・判断力・表 現力その他の能力の育成を図ることから、授業改善に向けた校内研修・研究の推進と評価活動 の充実に取り組みます。
1-(1)-3 習熟度等に応じた学習指導の実施
公立小・中学校における少人数学級やティームティーチング、習熟度別指導等の学習指導に ついて、市町村教育委員会が児童生徒の状況に応じて指導形態を選択し対応できるよう、国か らの加配措置を活用して教員を配置しています。
(2) 学校を窓口とした福祉関連機関等との連携
○ スクールソーシャルワーカーの配置により、学校を窓口として、生活困窮世帯の子どもたち等 を早期の段階で生活支援や福祉制度につなげていきます。
○ スクールカウンセラーの配置により、児童・生徒の感情や情緒面の支援を行います。
○ ケースワーカー、医療機関、児童相談所、要保護児童対策地域協議会などの福祉部門と教 育委員会・学校等との連携強化を図っていきます。
[本県の取組み]
1-(2)-1 スクールソーシャルワーカー活用事業 指標 14 関係
問題を抱えた児童・生徒が置かれた「環境への働きかけ」や「関係機関とのネットワークの構築」
などにより、問題行動等の未然防止や早期解決に向けた対応を図るため、社会福祉に関する専 門的な知識や技術を有する者を「スクールソーシャルワーカー」(SSW)として学校へ派遣していま す。
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1-(2)-2 スクールカウンセラー活用事業 指標 15・16 関係
児童・生徒の問題行動の未然防止や早期対応に向けて「心の専門家」であるスクールカウンセ ラーを、政令市を除く公立中学校や県立高等学校等に配置し、学校における教育相談体制の充 実を図っています。
1-(2)-3 教育相談の推進
一人ひとりのニーズに応じたきめ細かな専門性の高い教育相談を実施しています。
具体的には、幼児から 18 歳くらいまでの子どもの学校教育に関する相談や、支援を必要とす る児童・生徒の養育、教育、就学に関する相談を本人、保護者、教員を対象として行います。
(3) 地域による学習支援
○ 学習等に課題を抱える子どもたちについて、放課後子ども教室等による、放課後等の学習支 援の充実を目指します。
[本県の取組み]
1-(3)-1 土曜日の教育活動支援事業 【H27 新規】
保護者の経済的格差等にかかわらず、全ての子どもたちの教育活動を充実させるため、地域 の多様な経験を持つ、人材・企業等の協力を得て、土曜日に体系的・継続的なプログラムを企 画・実施する市町村にその事業の一部を助成します。
1-(3)-2 放課後子ども教室の設置・運営に対する支援
保護者の経済的格差がもたらす子どもの放課後等の過ごし方の格差や共働き家庭等のいわ ゆる「小1の壁」を打破するとともに、次代を担う人材を育成するため、地域住民の参画を得て、放 課後等に学校の余裕教室等を活用し、全ての子どもを対象とした学習や体験・交流活動等を行う
「放課後子ども教室推進事業」を実施する市町村に対し、その経費の一部を助成しています。
1-(3)-3 外国籍県民相談事業(教育)
外国籍児童・生徒に対する日本語学習等支援の推進のため、「地球市民かながわプラザ」が 有する多文化多言語の資源を活用して、相談事業や地域のボランティア人材と教育現場(教育 委員会、学校等)をつなぐ日本語学習等支援に関するコーディネートを行います。
(4) 高等学校等における就学継続等のための支援
○ 経済的に困難な状況にある生徒に対して、就学継続のための経済的負担の軽減を図ります。
○ 社会的・職業的自立に向け、必要な能力や態度を育成するキャリア教育を推進するとともに、
高校を中途退学しても再チャレンジできる環境を整えます。また、働くことに悩みを抱える若者を 対象に、社会人として成長できるよう、意識啓発や能力開発を行います。
[本県の取組み]
1-(4)-1 高等学校等就学支援金制度(公立高校)
公立高等学校等に通う生徒で市町村民税所得割の額が 30 万 4,200 円未満の世帯(=年収 目安:約 910 万円未満)の生徒に対して、授業料に充てるため、高等学校等就学支援金を支給 しています。
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1-(4)-2 高校生等奨学給付金(公立高校・私立高校)
生活保護世帯や非課税世帯に対して、授業料以外の教育費を支援する制度です。世帯の種 類(生活保護、非課税、兄姉の有無)や学校の種類(全日制・定時制、通信制、国公立・私立)に よって金額は異なりますが、返還の必要がない奨学給付金を支給しています。
1-(4)-3 高等学校等就学支援事業(私立高校)
家庭の状況にかかわらず、全ての意志のある高校生等が安心して勉学に打ち込める社会を作 るため、市町村民税所得割額が 30 万 4,200 円未満の世帯(=年収目安:約 910 万円未満)の私 立高校生等に対して就学支援金を支給することにより、世帯の教育費負担を軽減します。
1-(4)-4 私立高等学校等生徒学費補助金
県内の私立の高等学校(定時制・通信制を含む)、中等教育学校後期課程及び私立専修学校 高等課程に在学する生徒を持つ保護者等の負担の軽減を図るため、学費等(入学金・授業料)
の軽減を行った学校に対して補助を行っています。
1-(4)-5 私立学校生徒学費緊急支援補助金
保護者の失業や倒産等により家計が急変した児童・生徒への影響を軽減するため、授業料の 軽減を行った学校に対して補助を行っています。
1-(4)-6 被災児童生徒等就学支援補助金
東日本大震災により被災した幼児、児童、生徒の入学金や授業料等を軽減した私立高等学校 等に対して助成しています。
1-(4)-7 外国人学校生徒等支援事業
外国人学校に通う子どもたちが安心して学ぶことができるよう、所得区分ごとに学費負担の軽 減を図ることを目的とする補助を行っています。
1-(4)-8 おおいそ学園学校教育推進事業
おおいそ学園(=児童自立支援施設)の児童が私立高等学校に進学した場合、児童の修学 旅行費用などの費用を負担しています。
1-(4)-9 キャリア教育の推進
県立高等学校等におけるキャリア教育の推進の視点をまとめた指針に基づき、学校から社会 への円滑な移行に必要な能力や態度等を育成するため、「キャリア教育実践プログラム」によって 全ての学校教育活動を通じた計画的・体系的なキャリア教育を推進しています。
1-(4)-10 柔軟な学びのシステムの活用
県立高等学校においては、生徒の多様な学習のニーズに対応する柔軟な学びのシステムの ひとつとして、意思ある若者に広く学習機会が提供できるよう、進路変更による転学の弾力化や 高校中途退学者の積極的な受入れを行うとともに、こうした仕組みについて周知を行うなどの支 援を進めています。
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1-(4)-11 かながわ若者サポートステーション事業
ニート等の働くことに悩みを抱える 30 歳代までの若者の職業的自立を支援するため、地域若 者サポートステーションにおいて、相談支援や支援プログラムなどの提供を行っています。
また、若者が無業者等になることを未然に防止するため、学校と連携し支援を行っています。
【所在地等】
①「県西部地域若者サポートステーション」(小田原市内)(H24.4~)
②「県央地域若者サポートステーション」(厚木市内)(H26.4~)
※月曜日~金曜日 10 時~17 時 開所
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2 貧困の連鎖を防ぐための幼児教育の無償化の推進及び幼児教育の質の向上
(1) 貧困の連鎖を防ぐための幼児教育における配慮等
○ 幼稚園・保育所・認定こども園の利用者負担額については、世帯の所得の状況を勘案して設 定し、特に低所得世帯の負担軽減を図ります。
[本県の取組み]
2-(1)-1 幼稚園就園奨励費補助金
市町村が事業主体となって、家庭の所得状況に応じて、保護者の経済的負担の軽減を図ると ともに、公・私立幼稚園間の保護者負担の較差の是正を図るため実施する就園奨励事業に対し て、国がその経費の一部を補助しています。