5. 特別な患者集団及び状況下における安全性
5.1 内因性要因
5.1.1 部分集団解析の安全性の結果
試験
20040215
では、内因性要因の評価を実施しなかった。試験
20062004
では、部分集団解析の結果、デノスマブの安全性プロファイルは未成年被験者(18歳未満)と成人被験者(18歳以上)で概ね一致した。データカットオフ日までに、10 名の未成年被験者(13歳~17歳、骨格が成熟した者)が組み入れられた(コホート
1: 8
名、コホート
2: 2
名)。未成年被験者の多くは女性(80%[8名])及び白人(60%[6名])であり、年齢の中央値は
16
歳であった(試験20062004
第3
回中間解析治験総括報告書のTable 14-2.50.1)。未成年被験者における曝露期間の中央値(範囲)は 9.02(3.3~17.3)ヵ月、
投与回数の中央値(範囲)は
10.5(6~21)回であった(試験 20062004
第3
回中間解析治験 総括報告書のTable 14-3.50.1)。未成年被験者では、死亡、重篤な有害事象、有害事象による治
験薬の投与中止、ONJの有害事象、病勢の進行は認められなかった。1名の未成年被験者で、CTCAE
グレード1
の低カルシウム血症hypocalcemia
が発現した(試験20062004
第3
回中間 解析治験総括報告書の一覧表14-6.50.1)。未成年被験者における有害事象を精査した結果、デ
ノスマブ投与に関連した新たなリスクは認められなかった。試験
AMG162-B-J201
では、12ヵ月カットオフ解析のデータカットオフ日までに、1名の未成年被験者(被験者 、18歳)が組み入れられた。未成年被験者における曝露期間は約
9
ヵ月、投与回数は12
回であった(Appendix 16.2.4-1及び16.2.5-1)。本未成年被験者では、鼻
咽頭炎 nasopharyngitis及びインフルエンザinfluenza
の有害事象が認められたが、治験責任医 師によって、これらの事象は治験薬との関連性はないと判定された。また、重篤な有害事象は 認められなかった。未成年被験者を対象とした
3
試験併合解析の結果はTable 1tias1-1.2、Table 1tias1-2.2、
Table 1tias2-2.2、Table 1tias3-1.2、Table 1tias3-3.2、及び Table 1tias4-1.2
に示す。なお、ランマークの添付文書の「使用上の注意」(小児等への投与)に示したように、非臨 138*
2.7.4
臨床的安全性の概要デノスマブ ランマーク皮下注
120mg
47
5.1.2 デノスマブの用量選択の評価
試験
20040215
及び20062004
では、デノスマブ120 mg Q4W
の皮下投与に加え、第8
日及び第
15
日の120 mg
負荷投与を行う用法・用量とした。120 mg Q4Wは、癌骨転移患者における骨関連事象(SRE)の抑制を適応として承認されたデノスマブの用法・用量と同じである。
GCTB
患者においても、定常状態の血清中デノスマブ濃度の目標値を癌骨転移患者と同程度にするの が妥当であると考えた。いずれの患者集団でも目標は、投与した患者の大部分(95%超)にお いて、投与間隔を通じてRANKL
への最大結合及び阻害を得ることである(ランマークSRE
申請資料のモジュール5.3.3.5、第 7
項-進行がん患者集団における薬物動態報告書111914)。
また、
GCTB
患者における用法・用量は、血清中デノスマブ濃度が速やかに定常状態に到達し、かつ曝露量がこれまでの第
II
相及び第III
相臨床試験で検討された範囲内にとどまることが必 要と考えた。Q4Wの投与スケジュールを裏付ける薬物動態プロファイル及び薬力学プロファ イルに関する考察は、ランマークSRE
申請資料のモジュール2.7.2
に示している。GCTB
患者 に対する負荷投与は以下の考え方に基づいている。GCTB
患者における治療目的は、癌骨転移患者でのSRE
抑制に対する治療とは異なり、直 接的な抗腫瘍効果を得ることである。GCTB
患者は痛みなどの重度の病的状態にあるため、投 与開始後1
ヵ月以内という早期に目標濃度に達することが望ましいと考えた。癌骨転移患者で は、120 mg Q4Wにより約4~6
ヵ月で血清中デノスマブ濃度が定常状態に達する。試験20040215
では、120 mg Q4W
に第8日及び第15日に 120 mg
の負荷投与を加えることによって、投与開始後
1
ヵ月以内に目標濃度に達するという目的が達成され、第15
日及び第29
日におけ る血清中デノスマブ濃度トラフ値の中央値は、第9
週~49週の定常状態と同程度(それぞれ<16%~35%の差)であった(試験 20040215
治験総括報告書[主要解析]の第10.1
項及び20040215
治験総括報告書[最終解析])。また、試験20040215
及び20062004
の安全性の結果を踏まえ、本用法・用量は妥当であると判断した。
国内で実施した試験
AMG162-B-J201
も、120 mg Q4Wに第8
日及び第15
日の120 mg
の負 荷投与を加えた用法・用量とした。試験AMG162-B-J201
の血清中デノスマブ濃度のトラフ値に、試験
20040215
と顕著な差は認められなかった。試験AMG162-B-J201
においても、当該用法・用量で投与したデノスマブの忍容性は概ね良好であった。
したがって、
GCTB
患者での用法・用量として、120 mg Q4W
に第8
日及び第15
日の120 mg
負荷投与を加えた用法・用量は適切であると判断した。5.1.3 その他の疾患でのデノスマブの安全性
5.1.3.1
骨粗鬆症患者国内ではプラリアの販売名で、2013年
3
月25
日に骨粗鬆症の効能・効果を承認取得した。骨粗鬆症患者におけるデノスマブ(推奨用量・用法: 60 mgを
6
ヵ月に1
回[Q6M]皮下投与)の安全性は、骨粗鬆症を効能・効果とした承認申請資料のモジュール
2.7.4
に要約している。以下に概略を示す。
日本人骨粗鬆症患者を対象とした第
III
相、無作為化、二重盲検、プラセボ対照試験である2.7.4
臨床的安全性の概要デノスマブ ランマーク皮下注
120mg
AMG162-A-J301
(1262名[プラセボ群511
名、デノスマブ群500
名、アレンドロネート群251
名])では、二重盲検期の2
年間で有害事象、重篤な有害事象、治験薬の投与中止に至った有 害事象、及び試験の中止に至った有害事象の発現率に、プラセボとデノスマブとの間で大きな 違いは認められなかった。また、試験AMG162-A-J301
では、デノスマブを2
年間投与した後、さらに非盲検下にてデノスマブを
1
年間継続投与した時の安全性を評価した。その結果、デノ スマブの安全性プロファイルは、長期投与によって変化しなかった。なお、本試験では、併用 治療として400IU
以上のビタミンD
及び600 mg
以上のカルシウムを毎日経口投与した。5.1.3.2
がん患者5.1.3.2.1
骨病変を有する進行がん患者骨病変を有する進行がん患者を対象としたピボタル第
III
相試験におけるデノスマブの主な 安全性情報について、二重盲検期(試験20050136、20050103、及び 20050244)及び非盲検投
与期(試験20050136
及び20050103)に分けて以下に示す。
3つのピボタル第III相臨床試験(20050136、20050103、及び20050244)の二重盲検期
3
つのピボタル第III
相臨床試験の約5700
名の被験者から得られた二重盲検投与期(主要盲 検投与期及び延長盲検投与期)のデータから、デノスマブの120 mg Q4W
皮下投与は、骨病変 を有する進行がん患者に対して良好な忍容性を示し、有害事象及び重篤な有害事象の発現率は ゾレドロン酸と類似していた(ランマークSRE
申請資料のモジュール2.7.4)。デノスマブの安
全性プロファイルは、最大40.5
ヵ月の投与期間を通して大きく変わらなかった。骨吸収抑制 に関連する2
つの有害事象、すなわち、低カルシウム血症及びONJ
がデノスマブ群で認めら れた。低カルシウム血症の発現はゾレドロン酸(141名、5.0%)と比較してデノスマブ(273名、
9.6%)で多く認められたが、主に非重篤で一過性であり、自然に回復するか、又はカルシ
ウムの補充により回復した。
ONJ
の発現は両投与群で認められた(デノスマブ群52
名[1.8%]及びゾレドロン酸群
37
名[1.3%])が、発現頻度は低く、その臨床的特徴は両投与群で類似し ていた。ゾレドロン酸と比較し、デノスマブで臨床的に問題となる事象、すなわち、全生存期 間の減少、病勢の進行、新規悪性腫瘍、感染症(重篤な皮膚感染を含む)、湿疹、白内障、又 は心血管障害に関連する有害事象のリスクの上昇は認められなかった。ゾレドロン酸の副作用 として知られている腎機能悪化又は急性期反応と関連する有害事象の発現率は、ゾレドロン酸 群と比較しデノスマブ群で低かった。以上のことから、包括的な安全性評価の結果、デノスマ ブは骨病変を有する進行がん患者に対して、良好な忍容性及び許容可能な安全性プロファイル を示した。2.7.4
臨床的安全性の概要デノスマブ ランマーク皮下注
120mg
49
試験20050136及び20050103の非盲検投与期二重盲検期終了時、予定された評価を継続中のすべての被験者は、2年間又はデノスマブが 上市されるまでのいずれか早い時点まで、非盲検下でデノスマブ
120 mg Q4W
皮下投与を継続 投与した。非盲検投与期に組み入れられなかった被験者については、盲検下での最終投与から2
年間の追跡生存調査を実施した(モジュール2.7.6
に詳細を示す)。 試験20050136の非盲検投与期
本試験の非盲検投与期には
667
名が組み入れられ、内訳は盲検投与期にデノスマブ投与を受 けた被験者が325
名(デノスマブ/デノスマブ群)、盲検投与期にゾレドロン酸投与を受けた 被験者が342
名(ゾレドロン酸/デノスマブ群)であった。1回目のカットオフ日(20 年 月 日)時点で、194名(デノスマブ/デノスマブ群94
名及びゾレドロン酸/デノスマブ群100
名)の被験者が2
年間の非盲検期を完了し、74
名が2
年間の非盲検期を超えてデノスマブ が上市されるまでの非盲検期を継続中であった(当該被験者が2
年を超えてデノスマブの上市 まで継続可能となるように治験実施計画書を改訂)。低カルシウム血症の発現率は、デノスマ ブ/デノスマブ群3.8%(12
名)、ゾレドロン酸/デノスマブ群2.7%(9
名)であった。ONJ と判定された有害事象の発現率は、デノスマブ/デノスマブ群6.3%
(20名)、ゾレドロン酸/デノスマブ群
5.4%(18
名)であった。なお、全生存期間はいずれの群でも同様であった。2
年間の非盲検期の完了時点でデノスマブ投与継続中であった74
名のうち、71名が改訂し た治験実施計画書(当該国でデノスマブが上市されるまで又は投与継続中の被験者にデノスマ ブを提供する別の体制が確立されるまで、非盲検下でデノスマブ投与を継続投与)の下で治験 に参加し、デノスマブ投与を継続した。2012年4
月 日に最終被験者が本試験を完了した。デノスマブの忍容性は良好で、新たな安全性上の知見は認められなかった。
試験20050103の非盲検投与期
本試験の非盲検投与期には
281
名が組み入れられ、内訳は盲検投与期にデノスマブ投与を受 けた被験者が153
名(デノスマブ/デノスマブ群)、盲検投与期にゾレドロン酸投与を受けた 被験者が128
名(ゾレドロン酸/デノスマブ群)であった。68名(デノスマブ/デノスマブ 群42
名及びゾレドロン酸/デノスマブ群26
名)の被験者が非盲検期を完了した。低カルシウ ム血症の発現率は、デノスマブ/デノスマブ群8
名(5.4%)、ゾレドロン酸/デノスマブ群5
名(4.2%)であった。ONJと判定された有害事象の発現率は、デノスマブ/デノスマブ群12
名(8.2%)、ゾレドロン酸/デノスマブ群7
名(5.9%)で認められた。なお、全生存期間はい ずれの群でも同様であった。試験
20050136
及び20050103
では、人年法によるONJ
の発現はデノスマブ投与の最初の1
年間で
1.1%に対し、その後のデノスマブの長期投与により ONJ
の発現率の増加が認められた(4.1%)(第