電子商取引の動向
電子商取引 指数(EBI)
■ ベトナム商工省(MOIT)傘下のベトナム電子商取引IT庁(VECITA)及びベトナム電子商取引協会(VECOM)は2018年5月に、「2017年の ベトナム商取引指数(EBI)」を発表。EBI指数はVICOMが全国企業を対象に調査したもので、それによると、全国の電子商取引業界の成長率は前年 比約25%増、部門別でみると、オンライン小売部門の売上高が前年比35%増と高成長を記録。
市場規模
■ 2017年末における同市場規模は約40億ドル(日本の約30分の1)。現在の市場規模は小さいものの、人口増加、インターネット利用者拡大によ り、毎年20%以上急成長し、2020年までには小売市場の約5%に相当する100億米ドルになると期待されている。電子商取引の現在の市場シェアは、
ハノイ市とホーチミン市で75%を占めているが、3~5年の間に周辺地方都市での市場拡大が続けば、市場規模は更に3~5倍に拡大する可能性がある。
市場 けん引役
■ けん引役は利用者が4千万人近いとされるフェイスブック(FB)。ベトナム人は1千人単位で友達と繋がる人が多く、「友達の友達なら」と安心して買う人 が増えているという。FBベトナム法人へのインタビューによれば、「年少100万ドルを越す個人、事業者が50人以上はいる」と言う。ベトナム人の一人当りの年 間EC消費額は2016年で約160米ドルと前年比22%増加した。輸入衣料品、家電など価格の高い物が目立ってきている。
影響 ■ 電子商取引の急成長により、物流サービス業が飛躍的に拡大している。MIC(情報通信省)によると、ベトナムの物流サービスウ企業数は、2007年 のわずか8社から、2016年末時点で170社となり、過去8年間で20倍以上に急拡大している。
補足 ベトナム電子商取引IT庁(VECITA)は、電子商取引の政策立案を行う組織。
出所 一般社団法人国際情報化協力センター(CICC), アジア情報化レポート2018、ベトナム、より引用抜粋。
VECOM(Vietnam E-commerce Association) (http://en.vecom.vn/)
ベトナムにおける電子商取引・IT関連企業の市場動向について
民間調査会社(AsiaPlusInc)の統計では、人気のECサイトとして、Lazada(中国)の比率が圧倒的である一方、Shopee(台湾), Tiki(ベトナム)な ども例示されている。
1.5 その他
Q:過去12ヶ月間にオンライン注文をしたサイト(N=805)
出所 Vietnam EC Market 2017 by Asia Plus Inc (ベトナムの民間調査会社)
(https://www.slideshare.net/asiaplus_inc/vietnam-ecommerce-report-2017)
1.5 その他
E-commerceウェブサイト上位10社(月間訪問数ベース)
サイト名 会社・サイト概要 タイプ 設立年 主要投資家
月間サイト訪 問数 (2017年12
月)
Alexaによるラ ンキング
LAZADA
ラザダグループは、世界でも有数のEコマース企業。現在インドネシア、マレーシアに存在 する東南アジア、フィリピン、シンガポール、タイ、ベトナム。以前にRocket Internetに属 していたが、Alibabaにより買収された。
・E-Marketplace
・E-commerce sales website
2012 Alibaba 54.82 million 18
The Gioi di dongThegioididongは、モバイルワールドのEコマースサイトである。
スマートフォンによる販売を専門としている。 ・E-commerce sales
website 2004 Mobile World Investment Corporation
39.17 million 70
Sendo SendoはFPTコーポレーションのオンライン市場で、現在8万店舗、500万個以上の商 品を21の異なるカテゴリーで提供している。
・E-Marketplace
・E-commerce sales
website 2012 FPT Group 26.64 million 42 Shopee VietnamShopeeは東南アジア及び台湾において、最大のC2C E-commerceのプラットフォーム
の一つである。 ・E-Marketplace 2016 Sea, Tencent 22.28
million 25 Tiki オンライン書店としてスタートしたTikiは、ベトナム最大のEコマース企業の1つに成長して
下り、10の異なる製品カテゴリを提供している。
・E-Marketplace
・E-commerce sales
website 2010 Sea, TenaJD.com, Vinagame Corporation,
STICcent
19.74 million 32 FPT shop FPTshop.com.vnはFPT corporationの傘下で電子部品の販売に特化している。 ・E-commerce sales
website 2012 FPT Group 13.00 million 98
Dien may xanh Dienmayxanhは、Mobile World GroupのEコマースWebサイト。家電製品の販売
を専門としている。 ・E-commerce sales
website 2014 Mobile World Investment Corporation
10.49 million 194
Adayroi AdayroiはVingroupのEコマースウェブサイト。 Vingroupはベトナムで最大規模の多 業種民間企業で、不動産、小売、教育、ホスピタティ、ヘルスケア、農業と重工業などを 手がけている。
・E-commerce sales
website 2015 Vingroup 6.98
million 158 Vat Gia VatgiaはベトナムのEコマース市場のパイオニアの一つであるVNPグループに属している。
Vatgiaは現在26,000以上の参加店を有している。 ・E-Marketplace 2007 VNP Group 6.87
million 116 Nguyenkim Nguyenkimは、長期間にわたり小売業を営んできた巨大企業Nguyen KimのEコ
マースサイトである。家電の販売を専門として、家庭用電化製品を専門にしている。 ・E-commerce sales
website 2011 Central Group 6.06
million 211 注:注:Alexaのランクは、すべてのインターネットユーザーのサンプルであるグローバルデータベース内のユーザーの閲覧行動に基づく。
出所: EVBN E-COMMERCE INDUSTRY IN VIETNAM Edition 2018
ベトナムにおける電子商取引・IT関連企業の市場動向について
1.5 その他
出所:(左)Vietnam EC Market 2017 by Asia Plus Inc
(右)EVBN(EU-VIETNAM BUSINESS NETWORK)Page18引用
右図が示す通り、決済手段においては、現金引渡し(Cash on delivery)が89%を占める が、前年の91%から2ポイント減少。一方で、クレジット/デビットカードで23%に増加している ものの、依然として現金支払いへの依存が高い。(クレジットカードの普及率の低さもあるが)
EVBNのレポート(E-COMMMERCE INDUSTRY IN VIETNAM 2018)においては、そ の理由として、届く商品が価格に見合っているか、品質が見合っているかと言った点での信憑 性が欠けている要因も指摘されている。
ベトナムにおける電子商取引・IT関連企業の市場動向について
1.5 その他
IT関連産業の動向
産業規模 と構造
■ 情報通信省(MIC)発行のCIT White Book 2017(確認できる最新版)によれば、
ベトナムのIT産業の総売上高は、約677億米ドル、前年比12%増。対2010年比では、
9倍増の急成長だった。この成長を支えているのは、ハードウェア産業で、全体の9割近くを 占めており、ハードウェア依存型の市場といえる。
概況
■ ハードウェア産業のメインプレーヤーは、ベトナムに生産工場を設立した外国企業であ り、ハードウェア総輸出額の96%をを占めている。日本企業では、キャノン、ブラザー工業、
パナソニックの存在感が大きく、韓国はLG電子、サムスン電子がそれぞれ大型投資を行っ ている。
■ ベトナムのソフトウェア産業の特徴は、海外からのソフトウェアのオフショア開発の受託等 による輸出が、売上全体の約5割を占めている点にある。近年、輸出比率が増加する傾 向にある。
■ ベトナム最大のソフトウエア開発会社である、FPTは1999年設立。2016年時点で 従業員数10,000名のベトナム最大手のIT企業となり、FPTグループ(親会社はFPT情 報通信)を牽引している。
出所
情報通信省(MIC) WCIT White Book 2017
http://english.mic.gov.vn/Upload/ENGLISH/Statistics/ICT-WHITEBOOK2017-Final.pdf
一般社団法人国際情報化協力センター(CICC), アジア情報化レポート2018、ベトナ ム、より引用抜粋。
登録IT事業者数
2015 2016(推) 伸び率(推) 構成比(推)
IT業界合計 21,658 24,500 13.1% 100%
ハードウェア 2,980 3,404 14.2% 14%
ソフトウェア 6,143 7,433 21.0% 30%
デジタルコンテンツ 2,339 2,700 15.4% 11%
ITサービス(貿易・配送含まず) 10,196 10,963 7.5% 45%
IT業界売上高
2015
(US$m) 2016(推)
(US$m) 伸び率(推) 構成比(推)
IT業界合計 60,715 67,693 11.5% 100%
ハードウェア 53,023 58,838 11.0% 87%
ソフトウェア 2,602 3,038 16.8% 4%
デジタルコンテンツ 638 739 15.8% 1%
ITサービス(貿易・配送含まず) 4,453 5,078 14.0% 8%
出所:ICT White Book 2017 (Page32)
ベトナムにおける電子商取引・IT関連企業の市場動向について
1.5 その他
サイバーセキュリティー法(24/2018/QH14):2018年6月公布、2019年1月1日施行。
概要
サイバーセキュリティ法概要① 国外サービスのサーバー設置義務
設置義務の対象となるデータは、(1)個人情報のデータ (2)サービス利用者の関連データ (3)ベトナムでサービス利用者によって作成されたデータの3種類。これら の収集・抽出・分析および処理に関する業務を行う国内外企業は、一定期間ベトナム国内のサーバーに情報を保存する義務があると定めた。ベトナムのユーザー向け にサービスを提供し、個人情報を収集している企業全般が含まれるため、現地資本の企業であっても同様。さらに対象となる企業は、ベトナムに本社・駐在員事務所な どの拠点をつくる必要があると規定されている。
サイバーセキュリティ法概要② Webサイトに記載してはならない情報
法令によると、企業や個人のWeb・ポータルサイトにおいて、暴動の煽動といった公共秩序を乱す情報、誹謗中傷にあたる情報の提供・掲載・流通をしてはならないこ とが明確化された(同第26条第2項、第16条参照)。
サイバーセキュリティ法概要③ 公安による情報収集を可能とする条文
法案第26条第2項には、サイバーセキュリティ法違反に関する調査の旨が記されている。企業は公安省の担当機関から書面による要求があった場合、当該機関に ユーザーの情報を提供しなければならないとされている。また、暴動の煽動といった公共秩序を乱す情報についても、情報の削除やログの保存を企業に対して要求する ことが可能とされてる(同第26条第2項、第16条参照)。
懸念点
■同法の規定で最も問題視されているのが、インターネット上でサービスを提供する国内外企業に対する、ベトナム国内でのデータ保存および事務所設置義務(第26 条)である。国外企業の負担増やWTOルールなどへの抵触を懸念し、ベトナム商工会議所(VCCI)や米通商代表部(USTR)などが見直しを求めていたものの、
法案に記載されていた国内でのサーバー設置義務がデータ保存義務に緩和されたにとどまった。
■人権保護団体からは、当局の要請によるコンテンツ削除やユーザー情報の提供などは監視強化につながるとして懸念が表明されている。当地報道によれば、グーグル やフェイスブックはベトナム政府の要請により、反体制的な動画やアカウントの削除に取り組んでいるとされ、当地日系IT企業からも「国外企業に国内でのデータ保存を義 務付けることで、反政府系コンテンツの監視を強化する意図があるのではないか」との声が聞かれる。
■同法については各地で抗議活動が行われるなど批判は根強いものの、政府は「同様の規定は多くの国に存在する」とし、安全保障上必要との見解を変えていない。
■在ベトナムの日系IT企業の多くは日本向けオフショア開発を中心としているため、同法の直接的な影響は小さいとみられる。ただし、禁止行為の基準が抽象的で、罰 則が具体的に示されていないなど、当局の運用次第では企業活動に影響を及ぼす可能性もあるとみられ、施行後の動向を注視する必要がありそうだ。
出所 JETRO: https://www.jetro.go.jp/biznews/2018/07/05b76b8708a36872.html )