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発生時の状況と経過

発生時の対応と処置

考えられる原因や背景

再発防止に向けた対策・改善点

○下校前に持ち帰る物の確認を十分に行いましょう。

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【ヒヤリハットの捉え方】

ヒヤリハット事例の分析は事故発生防止の対策作りには欠かせません。重大事故の発 生の前には、多くのヒヤリハットが潜んでいるとされていますが、結果として事故に至 らず、「ああよかった」とすぐに忘れがちになってしまいます。それを事故防止対策へ とつなげることが大切です。ヒヤリハット事例の分析は、事故に至らなかった小さな問 題状況に対して予防対策をとり、事故を未然に防ぐためのものであり、ミスをした人を 責めるような始末書的な意味は全くないという認識をもつことが大切です。

蓄積すべきヒヤリハット事例には、

① 適切でないと考えられることが児童生徒に行われる前に気がついた事例

② 結果的には児童生徒に影響はなかったが適切ではなかったと考えられる事例

③ 適切ではない状況が起こったが、少しの対応ですぐに問題が解決した事例 等が入ります。

ヒヤリハットへの向きあい方として、

① ヒヤリハット事例を蓄積することの目的、意味・意義を十分に認識する。

② 誰でも起こりうることとして、ヒヤリハットに遭遇した人を責めない体質を学校 内に作る。=この次は自身にも起こりうることだと認識する。

③ 分析の結果、どのような予防対策をとりうるかを学校全体で検討し、学校のシス テムとして検討する。

④ 所定の用紙に記入して蓄積し、起こりやすい傾向等を把握することで、事故を予 防する。

⑤ 1つの学校での発生は多くない可能性もあるので、医療的ケア専門協議会等で共 有する。

といったことがあげられます。

各学校でのヒヤリハットの報告の在り方を今一度、見直していただき、重大事故を防 止するだけでなく、よりよい医療的配慮の実践につなげていただきますようよろしくお 願いいたします。

《参考文献》日本小児看護学会:特別支援学校看護師のためのガイドライン(改訂版)2010

安全への意識の向上 ⇒ ヒヤリハット事例を蓄積する

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様式例:ヒヤリハット・インシデント報告書(個表)

様式例:ヒヤリハット・インシデント報告書(集約表)

【お わ り に】

岐阜県医療的ケア専門協議会オブザーバー 福富医院 院長 福富悌

特別支援学校における医療的ケアは、大切な役割を担った制度となってきま した。岐阜県での医療的ケアは平成 10 年頃から一部の学校で試みが始まり、平 成 18 年から県下で本格的に運用されました。最初の頃は、看護師が学校で医療 を行うことの戸惑いや、保護者の期待に対する制度の内容の違い、さらに制度 そのものや学校の体制について多くの話し合いがされました。その後も重症心 身障害児の処置や、医師の指示の内容等から、要綱の見直しへと続きました。

このような話し合いの趣旨は、どのように医療的ケアの制度を特別支援学校で 運用していくかということでした。しかしながら、この医療的ケアを運用する にあたり、基本として忘れてはいけないことは、児童生徒が安全に授業を受け られることです。そのためには、児童生徒に対して指示に従ったことが適切に 行われることは勿論のこと、人工呼吸器や体に挿入されているチューブ等の管 理などが行われることが大切です。

誰しも業務はしっかりと行いたいと思って従事されていると思います。しか しながら、ハインリッヒの法則で

1 つの重大事故の背後には 29 の軽微な事故が あり、その背景には 300 の異常が存在すると言われているように、重大な事故

は起こさないようにいくら注意していても、気を引き締め業務への意識を高め ていても無くなるわけではありません。そこで、大切なのは誰でもミスをする ことがある、誰でも事故に遭遇することがあると、考え方を変えることです。

そのため、たとえ事故やミスに遭遇した時も自分の落ち度からでなく、自分で なくても誰かが遭遇したとして、そのミスや事故が繰り返し発生しないように 多くの人に伝えることが大切です。さらに、その改善方法については、精神的 な意識改革ではなく、具体的な方法で解決することが必要です。そして、この ような報告書は各学校で作られていると思いますが、これは医療的ケアにとっ ても大切な資料だと考えられます。

そもそも医学そのものが経験によって発展してきました。かつての花岡青洲 も失敗の中から麻酔薬を見つけ、乳がんの手術も行いました。失敗を生かすこ とに因って初めて技術の進歩が生まれてきます。

今回、岐阜県の医療的ケアにおける事例集が医療的ケア専門協議会の先生方

のご尽力によりできましたことは、医療的ケアが進歩する大きな礎となると思

います。今後とも医療的ケアが多くの皆様の役に立ち、特別支援学校の教育が

安全に行われていくことを願っています。

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