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⑴ 代表者の自署押印

 地方法人税申告書等には、法人税の申告書と 同様に、代表者等が自署押印すべきこととされ ています(地方法人税法30)。

⑵ 連帯納付の責任

① 連結子法人

 法人税法においては、連結子法人は連結親 法人が納付すべき法人税(以下「連結法人 税」といいます。)について連帯納付の責め に任ずることとされています(法法81の28)。

これは、連結納税制度が連結親法人を納税義 務者とするものである一方、連結法人税は連 結グループを一体として計算されたものであ ることから、連結法人税の引当財産を連結グ ループの各法人が所有する全財産とすべきで あることによります。

 地方法人税は、連結法人の場合には連結法 人税を基礎として計算されるため、結果的に、

連結親法人を納税義務者として連結グループ を一体として計算されたことになります。し たがって、連帯納付義務についても、法人税 と同様のものとしています(地方法人税法31

①)。なお、連帯納付義務が及ぶ範囲が、法 人税と同様にその連結完全支配関係がある期 間内に納税義務が成立した地方法人税である ことが明らかにされています。

② 法人課税信託に係る受託法人

 法人税法においては、受託者が 2 以上ある 法人課税信託に係る受託法人は、その法人課 税信託に係る法人税について連帯納付の責め に任ずることとされています(法法152)。こ れは、受託者が 2 以上ある法人課税信託に係 る受託法人に対する法人税が、主宰受託者を 納税義務者とするものである一方、その法人 課税信託の信託財産単位で計算されたもので あるため、その法人税の引当財産は全信託財 産とすべきであり、その信託財産を有する各 受託者に連帯納付義務を課したものです。

 地方法人税は、法人課税信託の場合におい ても法人税を基礎として計算されるため、結 果的に、主宰受託者を納税義務者として信託 財産単位で計算されたことになります。した がって、連帯納付義務についても、法人税と 同様のものとしています(地方法人税法31②)。

⑶ 質問検査権等

 地方法人税については、法人税と同様に、当 該職員による質問検査権を認めています。すな わち、国税庁の当該職員又は法人の納税地の所 轄税務署若しくは所轄国税局の当該職員は、地 方法人税に関する調査について必要があるとき は、次の者に質問し、その者の事業に関する帳 簿書類その他の物件を検査し、又はその物件の 提示若しくは提出を求めることができます(国 税通則法74の 2 ①二)。

① 法人

 なお、法人課税信託の引受けを行う個人

(受託者である個人)を含みます。

(注) 上記の法人は、納税義務者に限られてい ませんので、連結親法人の地方法人税に関 する調査等について必要があるときは、連 結子法人も当然対象となります。

② ①の者に対し、金銭の支払若しくは物品の 譲渡をする義務があると認められる者又は金 銭の支払若しくは物品の譲渡を受ける権利が あると認められる者

 また、分割法人は上記②の物品の譲渡をする 義務があると認められる者に、分割承継法人は 上記②の物品の譲渡を受ける権利があると認め られる者に、それぞれ含まれるものとしていま す(国税通則法74の 2 ②)。

 このほか、質問検査権の対象範囲(国税通則

法74の 2 ④)、質問検査権は犯罪捜査のために 認められたものと解してはならないこと(国税 通則法74の 8 )及び納税義務者に対する調査の 事前通知等(国税通則法74の 9 ~74の11)につ いても、法人税と同様となります。

⑷ 罰則

 法人税法における罰則と同じ内容の罰則を定 めています(地方法人税法33~37)。各条の概 要は、次のとおりです。

条 項 項 目 概  要

第33条第 1 項

及び第 2 項 ほ脱犯 10年以下の懲役若しくは1,000万円以下の罰金又はこれらの併科(ほ脱額が 1,000万円を超える場合には、情状によりほ脱額以下とすることができます。)

第33条第 3 項

及び第 4 項 無申告ほ脱犯 5 年以下の懲役若しくは500万円以下の罰金又はこれらの併科(ほ脱額が500 万円を超える場合には、情状によりほ脱額以下とすることができます。)

第34条 申告書不提出犯 1 年以下の懲役又は50万円以下の罰金(情状により刑を免除することができ ます。)

第35条 自署押印義務違

反 同上

第36条 中間申告書虚偽

記載犯 1 年以下の懲役又は50万円以下の罰金 第37条

(第 1 項)

(第 2 項)

(第 3 項)

両罰規定等

①  ほ脱犯、無申告ほ脱犯、申告書不提出犯又は中間申告書虚偽記載犯につ いては、その行為者を罰するほか、法人に対してそれぞれの罰金刑を科す るというものです。

②  ほ脱犯又は無申告ほ脱犯について上記①により科する罰金刑の公訴時効 の期間を行為者の公訴時効の期間に合わせるというものです。

③  人格のない社団等について上記①を適用する場合には、刑事訴訟法に被 告人又は被疑者が人格のない社団等であるときの定めがないので、これを 法人と同様に扱うことを定めたものです。

10 地方法人税に係る法人税法の適用等

⑴ 法人税法の改正関係

 地方法人税に関する法人税法の規定の適用に

ついては、法人税と同様に扱うこととするため の改正が行われています。改正が行われた条項、

項目及びその改正の趣旨は、次のとおりです。

条 項 項 目 説  明 法人税法26①

四 還付金等の益金

不算入  欠損金の繰戻しによる法人税の還付があった場合の地方法人税の還付金に ついて、法人税の欠損金の繰戻しによる還付金と同様に、益金不算入とする ものです。

同26④⑤  地方法人税の負担額又は減少額の受取額を、法人税の負担額又は減少額の 受取額と同様に、益金不算入とするものです。

同38①四~六 法人税額等の損

金不算入  法人税と同様に、地方法人税の額について、次の地方法人税の額を除き、

損金不算入とするものです。

イ 退職年金等積立金に係る地方法人税

ロ  修正申告等により納付することとなる欠損金の繰戻しによる地方法人税 の還付金に係る還付加算金の額に相当する地方法人税

ハ 申告期限の延長の特例の適用を受けた場合に納付することとなる利子税 同38③④  地方法人税の負担額又は減少額の支払額を、法人税の負担額又は減少額の

支払額と同様に、損金不算入とするものです。

同67③五、81

の13②四 特定同族会社の

特別税率  留保金課税の規定を適用しないで計算した地方法人税の額を、法人税の額 と同様に、留保所得に含めないこととし、還付地方法人税の益金不算入額を、

還付法人税の額と同様に、留保所得に含まれる還付金等の益金不算入額から 除くこととするものです。

同69②、81の

15② 外国税額の控除  当期の控除対象外国法人税の額が当期の法人税の控除限度額と地方税控除 限度額との合計額を超える場合に、前 3 年以内の控除余裕枠を使って法人税 から控除することが認められていますが、その合計額に当期の地方法人税の 控除限度額を加えるというものです。

同80の 2 、82 前事業年度の法 人税額等の更正 等に伴う更正の 請求の特例

 地方法人税の課税標準又は税額について修正申告又は更正若しくは決定が あった場合において、これに伴い、既に決定により確定したその後の事業年 度又は連結事業年度の法人税の課税標準又は税額が減少することとなるとき も、更正の請求の特例の対象とするものです。

同81の25① 連結子法人の個 別帰属額等の届 出

 地方法人税の負担額又は減少額を、連結子法人の個別帰属額の明細書の記 載事項とするものです。

法人税法施行

令 9 ①一ホ 利益積立金額  損金不算入とされた地方法人税の還付額を、法人税の還付額と同様に、利 益積立金額に加算される還付税金の額から除くものです。

同 9 ①一ヌ  地方法人税として納付することとなる金額を、法人税と同様に、利益積立 金額の計算上、減算するものです。

同 9 の 2 ①一

ニ 連結利益積立金

額  損金不算入とされた地方法人税の還付額を、法人税の還付額と同様に、連 結利益積立金額に加算される還付税金の額から除くものです。

同 9 の 2 ①一

ホ  他の連結法人から受け取る地方法人税の負担額又は減少額の個別帰属額を、

法人税の負担額又は減少額の個別帰属額と同様に、連結利益積立金額の計算上、

加算するものです。

同 9 の 2 ①一

ヌ   地方法人税として納付することとなる金額及び他の連結法人に支払う地方 法人税の負担額又は減少額の個別帰属額を、法人税と同様に、連結利益積立 金額の計算上、減算するものです。

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