• 検索結果がありません。

ことばの教室の経営的側面

ドキュメント内 久保山.indd (ページ 130-189)

       Ⅰ.ことばの教室の経営について       【教室事例1】

 

       Ⅱ.ことばの教室の1年間       【教室事例2】

      【教室事例3】 

       Ⅲ.在籍学級との連携・協働       【教室事例4】

 

       Ⅳ.ことばの教室設置校との連携・協働       【教室事例5】

 

       Ⅴ.ことばの教室担当者の研修       【教室事例6】

 

       Ⅵ.ことばの教室の地域における役割       【教室事例7】

           【コラム 通常の学級における障害理解授業】

 

       Ⅶ.親の会との連携・協働       【教室事例8】

  

Ⅰ.ことばの教室の経営について

1.ことばの教室の経営の考え方

 ことばの教室(言語障害特別支援学級・言語障害通級指導教室)は、設置されている学校の児 童生徒の教育(自校通級)を行うだけでなく、地域の小学校・中学校の児童生徒の教育(他校通 級)も担っています。また、指導の対象となる児童生徒だけでなく、その保護者や学級担任への 働きかけも必要です。更には、対象となる児童生徒だけでなく、設置されている学校や地域の学 校など他の教育機関などへの情報提供や相談・支援などの働きかけもその役割の一つとして考え られます。

 ことばの教室の教育活動は、児童生徒、その保護者、また、学級担任との関係の中で営まれる だけでなく、設置されている学校や地域の状況との関わりの中で営まれているといえます。した がって、ことばの教室がその役割を担っていくためには、それら関わり合う人たちや学校・機関 等との関係を組織し、運営していくことが必要となります。

 ことばの教室の役割は、教室が担う目的を実現することです。そのための教育内容、教育環境 などを整備することも必要となります。 

 このように、教室経営とは、教室が担う教育の目的にしたがって、「人」や「もの」や「事柄」

を組織し、教室の役割を効果的に機能させるための運営を行うことといえるでしょう。

2.ことばの教室の組織と運営

 ことばの教室の組織と運営は、ことばの教室の教育の目標の実現のために行われるものです。

教育の目標との関わりからことばの教室の組織と運営を整理しました。

(1)ことばの教室の教育目標

 小・中学校に設置されている「ことばの教室」は、言語障害のある児童生徒を対象として、言 語障害による学習上、生活上の困難を改善・克服するための教育や指導を行う場として設置され ています。

 この設置の目的を踏まえつつ、児童生徒の実態とニーズに応じた教育のねらいと、ことばの教 室を設置している学校、設置している市区町村の教育目標の理念の下で、教室の教育目標を設定 することがよいでしょう。

(2)教育目標を実現するための具体的方策

①ことばの教室の教育課程の編成と届出

 特別支援学級として設置されている場合には、学級の教育課程を編成します。

 通級指導教室として設置されている場合には、児童生徒一人一人の個別の教育課程を編成します。

 教育課程は、教育委員会が示した様式によって、特別支援学級では設置する学校から、また、

通級指導教室では児童生徒の在籍する学校から、教育委員会に届出をします。

 通級指導教室の場合は、個々の児童生徒の実際の指導を行うことから、専門的な立場から、児

- 124 -

童生徒の実態や見立て、また、指導のねらいや内容などの個別の教育課程の編成についての情報 を在籍校に伝えていくなどの連携が必要となります。

②ことばの教室の教育計画の作成

 教育課程に基づいて、児童生徒の教育に関わる教育計画を作成することが必要となります。

 ことばの教室の教育計画は、個々の児童生徒の個別の指導計画と関連付けて、教室に通う児童 生徒全体の教育に関わる内容を記述します。

 教室で行う行事、グループ学習の計画、在籍校への訪問、保護者との面談など、児童生徒の教 育を支えていく内容を記述します。

 また、教室を運営するために必要な事務的内容として、教育課程の編成と届出、入退級の手続 き、教室会議、ケース会議、教材・教具、施設・設備などの環境整備、職員会議など設置校との 関わりなどがありますが、教育に直接関わる内容と明確に区分しにくいこともあり、それらを含 めて、教育・運営計画として作成することも考えられます。

③個別の指導計画の作成

 個々の児童生徒の状況は様々です。したがって、その指導は、個別の指導計画に基づいて行う ことが必要です。

 個別の指導計画は、教育課程に基づき、児童生徒への指導の目的や内容・方法及び指導の時間 や期間等について具体的に計画したものです。

 個別の指導計画では、児童生徒及びその保護者のニーズの確認、実態把握を経て、指導の目標 や方針及び指導の内容・方法等を検討・計画し、指導を実施し、評価する各プロセスをたどるの が一般的です。

(3)教育目標を実現するための組織と運営

 ことばの教室(言語障害特別支援学級、通級指導教室)は、一人担当である場合も少なくない のですが、担当者が単独で活動し、教室の機能が実現しているのではありません。多くの関係者 によって支えられています。こうした観点から教室運営を組織的に位置付けて行う必要がありま す。一人担当の場合には、設置されている学校の組織との関係が重要になります。また、複数担 当の教室では、教育活動を進めるための役割分担などを行い組織的に取り組むことが必要となり ます。

 さらに、通級する児童生徒の在籍校や教育委員会、関連する諸機関などとの関わりも考慮した 組織をつくることが必要です。設置する学校の校長の下、学校組織の中に位置づけるとともに、

ことばの教室での業務内容を整理・区分し、担当する教員でそれらの業務を分掌する組織として 整理することが必要です。教室分掌組織表として整理するのが一般的です。

3.ことばの教室の業務・運営の内容  

 ことばの教室の業務は、多岐にわたっています。実際の業務は、個々の教室によって様々です。

設置する学校や地域での役割も異なるので一律ではありません。

ここでは、一般的に行われている業務・運営の項目を整理しました。

①事務管理内容に関すること

 ・入退級事務管理及び教室児童生徒名簿管理に関すること  ・教育課程、指導計画等事務管理に関すること

 ・備品購入保管事務管理に関すること  ・経理・予算事務管理に関すること

②教育内容に関すること

 ・教育課程、個別の指導計画の作成に関すること  ・教室行事企画に関すること

③保護者との連携に関すること

 ・保護者会・保護者面談の企画運営に関すること  ・親の会との連携に関すること

④設置校の校内組織との連絡調整に関すること  ・管理職との連絡調整に関すること

 ・教育相談分掌との連絡調整に関すること  ・特別支援教育分掌との連絡調整に関すること

⑤在籍校(在籍学級)及び地域の各学校との連絡調整と連携に関すること  ・在籍校訪問、在籍学級担任会の企画運営に関すること

 ・地域の各学校への情報提供及び理解啓発に関すること

⑥教育相談、入級相談・就学相談に関すること  ・教育相談の企画・運営に関すること  ・入級相談・就学相談の実施に関すること

⑦外部機関等との連絡調整と連携に関すること  ・教育委員会との連絡調整に関すること  ・医療機関等関連機関との連携に関すること

 ・難聴・言語障害教育関連団体との連携に関すること

⑧研修・研究に関すること

 ・教室研究、教室研修の企画に関すること

 ・外部研修の情報収集および参加計画に関すること

 以上の項目に括った業務内容は、必ずしも単独の業務内容として括ることはできません。項目 間の関連性を考慮して、それぞれの学校や地域に対応した業務・運営報告の区分を工夫する必要 があります。以下に各学校の教室経営の実際の例を掲載します。

- 126 -

【 教室事例1】教室経営の実際

 ことばの教室を運営していくうえで,様々な業務があります。それらの業務は、学校の校務分 掌に匹敵するほどの量,内容です。ことばの教室の業務について,一例を紹介します。

1.教室分掌組織

図6-1 教室分掌組織

2.教室分掌内容

(1)総務

①目標

  ○教室目標達成のための教室経営方針・教室分掌を立案し,教室全員の合意のもとに執行し    教室運営の向上をはかる。

 ○教室会議,行事立案・調整を適切に行い,円滑な教室運営をはかる。

 ○各種折衝,渉外の業務を行い,適切な教室運営にあたる。

②業務内容

  ○各種折衝・渉外業務に関すること   ○行事予定に関すること

  ○教室会議の企画・推進に関すること   ○通級説明会の企画・推進に関すること   ○教室経営案の作成に関すること

  ○各種編成届,実態調査等の作成に関すること   ○教室環境整備に関すること

  ○共用パソコンの管理に関すること

(2)教育相談

①目標

  ○保護者,学級担任などの教育相談依頼に適切,速やかに対処する。

 ○早期発見,適期発見のための啓発をはかる。(啓発係との連携)

  ○一人一人の子どもに最も適した教育処置の検討をはかる。

②業務内容

  ○教育相談事前ケース会議及び事後ケース会議の企画・推進に関すること   ○処置変更ケース会議の企画・推進に関すること

  ○カルテ(指導記録)の保管・管理に関すること

(3)通級

①目標

 ○通級に関する事務手続きを教室担当者の協力を得ながら速やかに行う。

  ○通級事務を通して言語に関する指導・支援の理解啓発をはかる。

②業務内容

 ○通級児童名簿の作成・管理に関すること  ○通級に関する報告業務に関すること

  ○個別の指導計画,教育課程編成(様式1・様式2)の作成・報告・管理に関すること   ○通級開始及び通級終了の手続きに関すること

  ○出席簿の作成と記載・整理保管に関すること

ドキュメント内 久保山.indd (ページ 130-189)

関連したドキュメント