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(出所:真野,2004,p.37)

 医療においては図表7の三者の関係が切り離せず、そこにサービスを提供する側と サービスを受ける側の特殊性も加わり、制度や法にも規制された、複雑なマネジメン

トをしていく必要がある。また、近年の医療の高度化による技術の進歩に応じた、教 育も必要とされる。この教育は人の命に関わることであるため当然ながら厳しいもの

となる。また、医療を提供する際には、人のこれからの人生を左右することが予測さ れる場合も多く、非常なストレスを受ける。医療を提供するにあたっては、医療政策 における患者、医療機関、医療保険者の関係があり、さらに、専門職の集団として病 院が複雑な組織であるが故に、医療のマネジメントは重要であり、この社会の変化の 早さについていくためにも研究されていく必要があると考えている。

図表8 医療の構成要素

医療保障制度

(出所:角瀬監p.14)

 更には、医療の3つの構成を、図表8のように示す場合もある、,角瀬は、「医療の水 準が高いというときには、この3つがバランスよく発展している状態にあるというこ

とである。特に医学技術の向上と社会保障制度が 車の両輪 であるt,高級車が開発 されても貧乏人には無関係といった状況は医療では許されない」(角瀬監,P.14)とい い、医学と医療制度、そして医療保険制度のバランスをとることの大切さを述べてい

る。

 医療はサービスといわれているが、金子は、「医療サービスは公共性が高く、通常の 財・サービスとは異なる取引形態をとっている。(中略)そして医療サービスの特徴と して、  不確実性 、  公平性 、  情報の非対称性 、  派生需要 の4点を挙げ ることができる」(金子,p.822)といい、医療サービスの特徴を4点挙げて説明してい る。不確実性について金子は、「患者が自分の健康状態を完全に把握することが難しく、

また将来の健康状態を予測することも同様に困難である。この不確実性により、医療 費が いつ 、 いくら 必要になるかを予測することは至難の業である。(中略)た とえ医師であったとしても、患者への治療効果を完全に予測することはできない。こ のように、医療には常に不確実性がついてまわることになる」(金子,p.822)という、,

公平性について金子は、「医療サービスは通常の財・サービスと違い、公平性が求めら れるサービスである。これは、医療サービスが人間の生命と密接に関わるものであり、

人間の基本的な欲求と考えられているからである。社会的地位、所得、地域、人種な どの違いによって、受け入れられるサービスに違いがあってはならないと考えられて おり、日本では公的医療保険制度のもので、患者のフリーアクセスを保障している」

(金子,P.822)といっている。情報の非対称性について金子は、「患者と医療提供者と の間には、大きな情報の非対称性が生じていることである。一般に医師は病気や治療 方法に関する情報を、患者よりも多く持っており、一方患者は、日本の病院の中で、

どこが最良の病院で、どの医師が名医であるかにっいても正確にはわからない(噂を 頼りに医療機関を選ぶことはできる)」(金子,P、 822)という。派生需要について金子 は、「医療サービスは、消費者が健康を害してはじめて需要される。患者は医療サービ スを消費することで、悪化した健康状態の回復を目指すことになる。(中略)つまり、

医療は良好な健康を維持したいという消極的な理由から生まれた派生需要と言える」

(金子,PP. 822−823)といっている。

 ついで、専門職が行うサービスをプロフェッショナル・ヒューマンサービスといっ

ている島津の医療サービスについて考察する。

 島津は、医療サー一一ビスをプロフェッショナル・ヒューマンサL−一一一ビスといっており、

プロフェッショナル・ヒューマンサービスにおける一般サービスの特徴である 無形 性 について島津は、「プロフェッショナル・ヒューマンサL−.一ビスのように、専門職の 手によって提供されるサービスの場合は、事前の情報検索によってはもちろんのこと、

サービスの消費過程においてもその内容や質を判断することができない、ということ が特徴的なことである。このような場合には、最終的には、そのサービスそのものを

/言頼することでしか、その質を判断することができないのである」(島津,PP.19−20)

といい、サービスの利用者がサービスを信頼することでしか質を判断することができ ないということがわかる。さらにプロフェッショナル・ヒューマンサービスの特徴と

して島津は、 サv−一一ビス評価の二面性 、 利用者の変容性 、 期待の不明確性 連続[生 の4つを挙げている(島津,pp.20−23)。サービスの二面性について島津は、

「プロフェッショナル・ヒューマンサービスには、その専門職による質の評価と、サ ービス利用者の知覚による質の評価という、二っの評価の次元が存在することになる」

(島津,pp.20−21)と、専門職であるサービス提供者と、サービスの利用者の知覚によ る評価が存在するという。さらに、利用者の変容性について島津は、「サービスの利用 者が、サービスを受ける期間を通じて自分自身の状態が変化するという特性がある。

たとえば、患者は治療期間を通じて間断なくその状態が変化するものである,、(ヰ略)

利用者のこうした特徴から、プロフェッショナル・ヒューマンサービスは、ある一定 期間を通じて、はじめに提供されたサービスの結果によって、つぎの段階のサービス が決められるという提供のされ方をする。っまりサービス提供が段階的になされる構 造になっている」(島津,PP,21−22)といい、一般のサービス理論では、顧客の状態は 変わらないという前提に立っが、プロフェッショナル・ヒューマンサービスではサv−一・一

ビスを受ける期間を通じて、サービスの利用者の状態が変化することがわかる。期待 の不明確性について島津は、「一般的なサービスが、明確な期待を持って購入されるの に対して、プロフェソショナル・ヒューマンサービスでは、購入に先立つ期待が不明 確であるという点である。確かに、患者にはその疾病の治癒や症状の軽減という期待 がある。(中略)しかし、期待が明確であるのは、そこまでであって、具体的にどのよ

うなサービスが提供されるのかを望んでいるのかという点については、実はサービス の利用者自身にも明確にはつかめていない。それが何であるのかが、具体的にわかっ

てくるのは、サービスが提供される過程で、サービス提供者とのやりとりを通してで ある」(島津,PP.22−23)といい、サービスの利用者自身にもサービス購入に先立っ期 待が明確にはつかめておらず、サービスが提供される過程で、サービス提供者とのや

りとりを通してサービスに対する期待が明確になってくることがわかる。最後の連続 性について島津は、「プロフェソショナル・ヒューマンサービスに固有の特性として利 用者の変容性をあげたが、この特性から、サービスの利用期間がかなり長期にわたる 可能性が生まれる。(中略)さらに、この連続性は、あるサービスの提供者から、ほか のサービス提供者が引き継いでサービスを提供する必要性を生じさせる。(中略)①健 康一医療一福祉という連続性、②個人のライフスタイルの各期に対応した連続性、③ 家庭・学校・職場・地域社会などの社会生活の場を通じての連続性を持ったサービス の提供が求められる。これらは互いに関係を持っているために、プロフェッショナル・

ヒューマンサービスは一つのサービスから別のサービスへと、連続的、包括的に提供 される必要があると考えられる。一般的なサービスの多くでは、一つのサービスで完 結するが、ほかのサー一一一一ビスへとっなげる必要がある」(島津,p.23)といい、サービス

の利用期間がかなり長期にわたる可能性から、あるサービスの提供者から、ほかのサ ービス提供者が引き継いでサービスを提供する必要性があると述べている。

 医療をサービスとして考えた場合は、一般的なサービス提供過程とは異なること、

さらに、専門職が提供することで維持される医療の質があることがわかったc,専門職 が医療を提供するために患者も命が預けられるのである。従って、期待される医療の 質を保ち、更に向上させていく責任がある。

第4節 小括

 米国では教会や修道院に病人が集まり、病人はそこで生活をしていた。この時代に は修道尼が身の回りの世話をしていた。そこには医師はおらず、必要に応じて医師は 来院し患者を診察していた。従って現在でも病院は患者の生活の場であり、医師が院 長を勤めている病院は少ない。

 戦後、病院医療の手本としてわが国に大きな影響を与えた米国医療であったが、先 進国において医療の公的支援を実現していないのも米国である。しかし、第二次世界 大戦の戦勝国であったために、いち早く社会保障の構築と発展がなされた。医学研究

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