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から右のように聞かれたのに格別安全を確認することもしないまま上 記のとおり答えたことに過失があるとして,Y 2 とAの使用者たる右ゴルフ場

の経営会社Y1の損害賠償責任を認めたものである。因みに,第一審判決は,

Yらの内部的な負担割合につき,Y1 が4,Y2 が1と見るのが相当としている。

イ 最判

62

1

22

(民集

41-1-17

,判時

1236-66

,判タ

640-101

)は,レ ール上の置石により生じた電車の脱線転覆事故について,置石をしたAとの共 同の認識や共謀がないYの責任が問題になった事例である。同判決は,「Yが,

仲間の関係にあるAと事前に右行為の動機となった話合いをしたのみでなく,

これに引き続いてされた実行行為の現場において,右行為を現に知り,事故の 発生についても予見可能であったといえるときには,Yは,実行行為と関連す る自己の右のような先行行為に基づく義務として,当該置石の存否を点検確認

し,これがあるときにはその除去等事故回避のための措置を講ずることが可能 である限り,その措置を講じて事故の発生を未然に防止すべき義務を負うもの というべきであり,これを尽くさなかったため事故が発生したときは,右事故 により生じた損害を賠償すべき責任を負う」とした。Yには,Aとの共謀は勿 論,共同の認識すらないという点に着目すれば疑問もないではないが,軌道上 の置石という行為の危険性と結果の重大性に加えて,Yのなした先行行為が共 同の認識があったとされる場合と紙一重の差しかないような微妙なものであっ た―本件の原審は大阪高判

59

12

25

(判時

1158-210

),一審は大阪地判

59

1・31(判時1109-115)であるが,一審判決は,

「YやAらは置石をすることに

ついては共通の意思を有していた」「拳大の石であれば列車が火花を立てて石 を跳ね飛ばして進行するものと信じて,その様子を見ようという意思で,(中 略)Aがした置石を容認,放置した」と認定し,Yの責任を肯定している―こ とに鑑みれば,Yが何らかの責任を負うのもやむを得ないところであろう。し かし,YがAと上記のような相談をしたというその先行行為の故に「事故防止 のための作為義務」を負わせるのは,そもそも期待可能性のないことを強いる 結果になりはしないだろうか。また,これでは,Yはいきなり

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条1項前段 の共同不法行為者とされることになって,過大な責任を負担させられることに なりはしないかとの懸念を覚える(もっとも,Y,Aらの仲間の一人はAの置 いた石のうちの一個を現に除去したというのであるから,この指摘は必ずしも 当たらないかもしれない)。また,この理を貫けば,前記(2)のカで例示した 公園でのサッカーの際の事故についても集団全員がこの種の作為義務を負うこ とにもなりかねないのではないかと懸念される。

ウ ところで,以上はいずれも共同不法行為の成立を認めたものであるが,

これに対して,東京地判53・8・3(判時899-48)(東京スモン訴訟判決)は,

国の責任について「医薬品の製造等についての承認またはその取消に関する厚 生大臣の権限は,その他の許認可における行政庁の規制権限と同様,行政上の 監督権にほかならず,したがって,医薬品に内在する欠陥により服用者に被害 を生じたときは,因って生じた損害を賠償すべき義務の全部が製造(輸入)者 に帰属するのを当然とし,(中略)規制権を行使すべき行政庁(その権利義務

の帰属する法的主体としての国または地方公共団体)は,これら業者と共同不 法行為者の関係に立つものではない。ただ,これら行政庁の権限の行使または 不行使に違法が認められる場合において,賠償の対象となる損害が業者のそれ と同一である点において,加害行為者たる業者と規制権者たる行政庁(国また は地方公共団体)の債務とが不真正連帯の関係に立つにすぎない」旨判示して いる。これは,独立の不法行為が競合しているにすぎないという趣旨であろう。

エ また,大阪高判

47

3

28

(高民集

25-146

)は,このような関係があ る場合において,共同不法行為ではなく併発不法行為となるとしたものである。

これは,自動車の交通の激しい国道上に交通に危険な状態で(道路に平行でな く)Bが事故車を放置し,道路管理者たるYにおいても本件事故発生まで

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間もの長時間これを知らないままであったために,Xらの長男Aが原動機付自 転車を運転進行中,右故障車に激突して即死したという事案について,Yに道 路管理上の瑕疵があるものとして損害賠償責任を認めたが,BとYの責任とは

「たまたま両者が競合したにすぎず,客観的に一個の共同行為と見ることはで きないので,民法所定の狭義の共同不法行為ではなく,講学上いわゆる併発不 法行為に該当するものであるから,各自別個に相当因果関係の範囲において損 害を算定すべきものであり,両者に共通の部分については不真正連帯債務を負 うものと解せられる」とした上で,YについてはBの場合よりも相当因果関係 の範囲を狭く認定するのが相当であるとした。そして,時速

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キロメートル以 上で前方不注視を伴う暴走運転をしていたAの過失は相当に重く,これをYの 道路管理の瑕疵の程度及び相当因果関係との対比において考えるとAの過失を 7割5分として過失相殺をするのが相当であるとした(因みに,本判決は「一 審で確定したBとの間ではAの過失を6割と定めているが,これに拘束される べきではない」とも述べているが,併発的不法行為と見れば当然のことであろ う)。YがBの故障車放置の事実を知っていながら看過したというのであれば 格別,この場合には右事実を知らなかったのであるから,Y・B間に主観的共 同を認めることはできないものというほかはなく,共同不法行為とならないも のとしたのは正当である。なお,ここに併発不法行為というのは,ドイツの判 例学説によって認められてきたそれを指すもので,田口・前掲142頁以下によ

れば,これについてはドイツにおいてもいくつかの理解があるようであるが,

つまりは独立的不法行為の競合の場合にほかならないものと解してよいように 思われる。そして,私見によれば,このような場合にも

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条1項後段の適用 があるものと考えるべきことは既に述べたとおりである。

4

) 淡路教授が「複数原因者のうち,ある者は加害行為に直接的に関与し,

他の者は間接的に関与している場合」の例として挙げられる「甲車の違法な運 転により乙車が事故を引き起こした場合」(淡路「共同不法行為に関する諸問 題」ジュリスト

431-142

)をどのように考えるべきであろうか。①京都地判

49・12・20(判時782-66)

,②東京高判53・1・31(交通民集11-1-28)は右設 例と酷似した事案である。

①は,A運転の自動二輪車が信号機のない交差点で右折するに際し,対向車 線を直進してきた市バスの前に飛び出してしまったため,バスはこれとの衝突 を避けるためハンドルを右に切り,その後方を追従していたB普通乗用自動車 も右にハンドルをきった結果対向車線に進入し,C運転の原付自転車と正面衝 突しCが負傷したという事案において,B車の運行供用者B とCとの間で裁 判上の和解が成立して保険金を支払ったXがA車の保有者Yに対して求償請求 をしたというものである。裁判所は,過失割合をA車8,B車2と判断した。

②は,乙車の前方左側車線を走行中の甲車が乙車の車線前方に入り込み急ブ レーキをかけたため,乙車が追突を避けようと急ブレーキをかけ右にハンドル を切ったところ,折柄の小雨で路面が滑りやすい状態だったこともあって,ス リップして対向車線に進入し対向車と衝突したというものである。裁判所は 甲・乙両車の共同不法行為責任を認め,過失割合を甲車3,乙車7としている。

ところで,これは塚原・前掲

208

頁以下が連鎖型と称する類型の共同不法行 為であり,後記(5)及び(

6)も類型としてはこれに属するものということが

できる。

そこで,この連鎖型について,ここでまとめて若干の検討を加えておくこと にする。

まず,この関係を図示すれば次のとおりである。

AとBとの間に「意思の連絡」があるなど主観的共同があれば,

719

条1項 前段に該当することとされ,また,Aの行為が教唆であれば同条2項が適用さ れるから,問題はその余の場合である。

まず,①aによりbが不可避的に生ずる―Bにとって行為bを回避できない

―という場合には,Bは一種の道具ないし手段にとどまり,bはあたかも自然 の作用に類したものと考えることができる。そうすると,Aの行為aにより

(ただし,Bの行為bを介して)結果Mを発生させたことになり,Aは当然に 不法行為責任を負う。しかし,Bには過失がないから,Bの不法行為は成立し ない。次に,②Aの行為aはBが行為bをなすについての単なる切っ掛けにな ったに過ぎず,aによりbが惹起されるなどとは通常は考えられないというと きには,a→bの因果関係が否定され,Bの不法行為責任のみが問われること になる。問題は,③a→b,b→Mの間にいずれも因果関係があり(したがっ て,a→b→Mの間の因果関係が認められる),かつ,A・B共に故意又は過 失があるという場合である。もっとも,A・Bのいずれにも故意があれば,実 際にはA・B間に主観的共同が認められるのが通例であろう。また,Bに故意 がある場合は多くは②に該当することになるものと思われるから,結局のとこ ろ,問題になるのは主としてBに過失がある場合ということになろう。これに 対し,Aについては故意・過失を問わないが,Aに故意があるときについては 次の(

5

)で検討することとし,ここではA・B共に過失がある場合だけを検 討するに,この場合においてA・B間に共同不法行為の関係を肯定すべきであ ろうか。主観的共同の要件を緩和して,これも又「過失の共同」に当たると言 えるかということであるが,「意思の連絡」をここまで拡張すべきではないか ら,1項後段の「共同行為」とするにとどめるのが相当である。

(5)故意ある不法行為と過失行為の共同について

ア 前記3の(

2

)のとおり,一般論としては,この場合にも共同不法行

 行為者A  

結果 M   行 為a 

        因果関係? 

    主観的共同なし 

 行為者B 

 行 為b 

        因果関係あり 

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