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: おわりに―まとめと今後の研究課題

ドキュメント内 Microsoft Word - 697_徐誠敏_本文.doc (ページ 39-61)

以上、本論文では、CBが企業の競争優位の源泉であることを認識した上で、全社横断的視点からマ ネジメントすべきCBの重要性と特徴などについて考察した結果、以下のようなことが明らかになった。

まず第1に、今後、企業は、CBの重要性を明確に認識した上で、CBの戦略的意義や特徴、その役割およ び機能、組織的な構成要素、潜在的影響などを最大限に活用しなければならない。なぜならば、CBが 範囲のベネフィットとして広範な事業活動で持続的な効果を発揮し、他社から模倣困難な見えざる戦 略的資産としての情報的経営資源であると位置づけられているからである。第2に、CBは、製品レベル の問題ではなく、企業全体の問題として、企業を取り巻くあらゆるステークホルダーを含めた企業全 体の問題として、全社横断的な視点からマネジメントされるべきである。第3に、CBは、企業の基本理 念・ビジョン・価値観に関わるがゆえに、それを最上位のCBMレベルに基づき、組織横断的にマネジメ ントできるようにしなければならない。なぜならば、CBは、常にその基本理念・ビジョン・価値観を あらゆる場で組織内部の従業員をはじめ顧客や株主などのすべてのステークホルダーに一貫して語り 続ける究極のブランド推進役であるトップ主導型マネジメントでなければならないからである。第4に、

今後、持続可能な成長を果たすためのCBMのあるべきあり方は、企業の経済的価値や組織的価値のみを 得るために取り組むだけではなく、社会的(環境的)価値をも生み出すためにより戦略的なCSR活動を通 した全社横断的CBMやリスク・マネジメントにも積極的に取り組まねばならない。第5に今後企業が目 指すべきCBMは、単に頼る傘の構造ではなく、複数のブランドを使い分ける方向に進むのと同時に、CB とPBの各々の役割を明確にし、それらのブランド梃子(ブランド・レバレッジ)の構造を効率的かつ効果 的に活用しなければならない。第6に、企業は本社内部または組織内部において、全社横断的CBM専門 組織を設けることによって、企業と事業活動の進むべき方向性を明確に示しつつ、CBの中核的な基本 理念・ビジョン・価値観を組織内部に徹底的に浸透させること、従業員の意欲向上に資すること、コ ミュニケーションの効率と効果を高めることなどの競争上の優位性を確保することができる。

また、日・韓企業におけるCBの重要性について検討した結果、次のような要因が明らかになった。

まず、日本企業では、第1に、日本企業のマーケティング行動から導き出された要因として、競争手段 としての新製品投入と、CBのハロー効果でマーケティング資源を効率的に活用することである。第2に、

日本企業を取り巻く市場環境から導き出された要因として、同質的な競争環境と流通システムの特徴 と、未熟な消費者であるということである。第3に、日本企業の行動特徴から導き出された要因として のブランドの粘着性である。

次に、韓国企業では、上述した日本企業の要因と類似した点、すなわち、自社のマーケティング資 源を効率的に活用するためのCB戦略などが見受けられるが、特に産業化が本格的に始まるとともに、

熾烈な競争による企業間の技術の平準化、IMF危機を期にCIの再確立を通した独自の自社らしさの創造 活動などがよくうかがえる。それと同時に、韓国企業は、韓国の消費社会が成熟期を迎え、購買行動 を促す重要な判断材料として製品の差別化だけではなく、企業の総体的な能力を表すCB戦略を積極的 に展開するようになったと言える。しかし、現在、日・韓企業が行うブランド戦略は、一方的なCB戦 略を展開する単なるCBに頼る傘構造ではなく、複数のPBを使い分ける方向性に進むにつれ、CBとPBの それぞれの役割と利点などを明確にし、それらのブランドの梃子(レバレッジ)効果を発揮できるよう 両立したマネジメントをしていることがわかった。

さらに、本論文では、欧米のブランド先進企業の影響を受け、近年日・韓企業が積極的に取り組み 始めている全社横断的CBM専門組織の現状を再検討しつつ、いくつかの課題を提示している。まずそれ らの現状は、自社のブランド資産価値マネジメントの構築とCBを強化するためには、日・韓企業独自 の全社横断的CBM専門組織を本社内部に設置しトップ直轄組織として位置づけ、より体系的かつ全社横 断的にマネジメントすべきであることを認識する日・韓本企業が年々ますます増えていることである。

すなわち、日・韓本企業独自の全社横断的CBM専門組織は、日・韓本企業にとっては新しい現代型BM専 門組織であると言える。また、全社横断的CBM専門組織を詳細に分類すると、「プロパー組織」、「委員 会制」、「既存組織強化型」という3つの組織形態に分けられるが、ここで注目すべきところは、今日の ような熾烈な競争と激変するグローバル市場環境の中で、日・韓・米のブランド先進企業が全社横断 的に取り組み始めている全社横断的CBM専門組織は、選択ではなく現代企業の総体的なブランド資産価 値を向上させるための戦略の一環として行うべき必要不可欠な戦略的要素として見なさなければなら ない点である。それゆえに、BMの中核としてその専門組織の重要性について、企業トップが明確に認 識・理解したうえで、全社レベルでBMを総括的に行う専門組織を本社内部または中核となる事業部門 や系列社内部につくらなければならない。このような新しいBM専門組織の特徴は、PBMのレベルにとど まっているブランド・マネジャーの組織形態の枠から脱皮し、新しいBMのための組織体系を構築する ため、企業レベルのBMを総括的に行う組織という点であると言える。

このような全社横断的な視点に基づき、今まで日・韓(欧・米)の先進企業が取り組んできた全社横 断的CBM専門組織の形態は、今日のような激変するするグローバル市場環境の変化に柔軟かつ迅速に対 応・適合しつつ、進化・発展を遂げてきていると考えられる。それゆえ、全社横断的CBM専門組織は、

その主要な業務の力点としてブランド資産価値を向上させるためのブランド・コミュニケーション戦 略の活動範囲の拡大とブランディング面での組織能力の進化・発展をもたらしてきた。すなわち、全 社横断的CBM専門組織の戦略的活動の範囲は、マーケティングの視点から経営改革の視点へと移行して いると言える。また、第5章で考察したブランド先進企業のように、全社横断的CBM専門組織をより戦 略的かつ全社的な取り組みでマネジメントするためには、以下のようなブランド成長の要因が今後ま すます必要とされるだろうと考えられる。第1に、企業トップの明確な経営理念と戦略的ビジョンの提 示と全従業員との共有である。第2に、世界初または国内初の革新的なPBと強力なサブ・ブランド価値 の持続的な創造である。第3に、健全な企業体質と時代を先取りした企業行動、革新的な企業文化の構 築である。第4に、企業存在意義を表すCI戦略の早期着手と継続である。第5に、組織内部の全従業員 のCBとCEOに対する高い帰属意識、愛社心、忠誠心、誇りである。その中でとりわけ、第1と2、5がソ ニーとサムソンなどのようなブランド先進企業を構築・強化するために必要な最大要因として考えら れる。したがって、企業トップが、「自社ブランド(CB+PB)価値のマネジメントはトップ・マネジメン トの主な仕事の1つである」、「自社ブランドは持続的な企業競争力の最も重要な源泉の1つである」、

「BMの全責任はCEOにある」ことを明確に認識・理解したうえで、CBの中核的な理念・ビジョン・価値 観や精神(DNA)の重要性を組織内部の全従業員に一貫した形で植えつけるために、全社横断的CBM専門 組織の責任と権限を幅広く委譲しなければならないのである。

最後に、本論文は、理論的かつ実践的な既存研究のレビューを通して、今後、日・韓企業がさらに CBを強化するためには乗り越えなければならないいくつかの課題を提示した。言い換えるならば、こ れが今後の研究課題につながるだろう。

まず第1に、自社ブランドを全社的にマネジメントするための体制が整備されなければならない。な ぜなら、組織内部においてその体制が整備されなければ、BMに対する重要性を企業トップ・マネジメ ント層が認識し、これに基づき多様な調査を実施し、ブランドが顧客にいかなる価値を提供すべきな のかという目標設定まで行っても、それが組織内部に浸透されないからである。

第2に、CBMは徹底したトップ主導型マネジメントでなければならない。なぜならば、CBの重要性に 関するトップの関心度や関与、そしてリーダーシップが存在しなければ一貫性のあるCBMが不可能とな るからである。すなわち、トップのコミットメントをいかに引き出すかということである。

第3に、CBVを高めるには、実効性あるブランド・コミュニケーション活動の投資対効果を把握し、そ れをトップにフィードバックすることである。

第4に、今後、日・韓企業のCBを構築・強化する上で最も重要な課題としては、CBとPBの各々の異な る役割・機能を明確に分析し、それらの強みを相互に補強し合うような構造、すなわち、相互補完関係 (CB[支援]⇔PB[貢献])の分析枠組みを構築することであろう106)

第5に、全社横断的CBM専門組織は、トップの直轄組織で独立的な組織として属すべきであり、ブラ ンドに関する最高の意思決定機関として位置づけると同時にCEOに匹敵するような経営陣にCBOを任命 しなければならない。なぜなら、既述したように、企業がCBを長期的かつ全社横断的な視点からマネ ジメントする際、組織内部において直面するいくつかの障害要因(ボトルネック)があるからである。

それらには、目先の利益ばかりにとらわれ、短期的売上の向上への圧力、他の部署との権限や責任を 得るための縄張り争い、継続的なCBM活動への投資に対する近視眼的な視野、他の分野への投資圧力、

革新に抵抗する偏向などが挙げられる。それゆえ、このようなCBを構築するに当たって障害となり得 るいくつかの要因をトップ・マネジメント・レベルに基づき、調整しマネジメントすることが必要不 可欠である。その役割は、単なるマーケティング部署の権限と責任を超えるものでなければならない。

それゆえ、今後ブランド先進企業は、BMを推進する専門組織を組織内部においてCEOの直轄あるいはCEO が統括する経営会議などの直轄組織として位置づけしなければならない。すなわち、ブランド戦略ま たはBMの実行そのものがトップ・マネジメントの意思決定事項であり、ブランドを守りかつ進化させ ていくことは、トップ・マネジメントの重要な使命の1つであることを意味する107)。言い換えれば、企 業がブランド・ベース文化を構築・強化するための環境を醸成するためには、CEO自らが自社ブランド に対する強い哲学と意志を貫き通さなければならないのである。なぜなら、実際BMを実行に移すミド ル・マネジメント層や現場の末端従業員がたとえBMの重要性を叫んでも、トップ・マネジメント層の 自社ブランドやBMに対する強い信念・哲学とリーダーシップ、支持と関与なしでは投資概念であるBM が戦略的かつ体系的に進まないからである。

それゆえ、企業は、全社横断的にCBM専門組織を実行するために、以下のような条件を満たさなけれ ばならないであろう。まず第1に、グローバル市場において、成功したブランドである、コカコーラ、

スターバックス、ナイキ、ネスレ、ソニー、サムソンなどのように、トップ・マネジメント層のBMに 対する強い意志と哲学、リーダーシップから始めなければならないことである。第2に、CEOがCBOの役 割を同時並行的に果たすときに、実際のBMを実行に移しているミドル・マネジメント層まで自社ブラ ンドに対する共感度と理解度を高め、全社レベルでBMに取り組まなければならないことである。第3に、

全社横断的CBM専門組織の構成上の要件として、経営の意思決定に反映され、経営全体が展望可能とな り、事業部や機能組織に指示と命令ができ、経営の組織内部と外部に存在と意義を表明し、中長期的

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