本田直之[著]
定価1470円(税5%)
29 あたらしい働き方がどんどん出てくる今、なぜまだ昔の基準のまま会社を選ぶのか
────────────────────── 連載
木下英臣 Kinoshita Hideomi
1963年生まれ。共同通信入社後一貫して政治部勤務。
ワシントン支局長。
中国の習近平国家主席とオバマ米大統領による初の米中首脳会談が6月7日、8日に米カリフォルニア州で行われた。米中両国が主導権を発揮する「G2」構想には依然否定的な見方が多いものの、2日間にわたるマラソン会談は米中抜きに世界の課題対処はおぼつかないことを如実に示した。東西冷戦時代の米ソとも違い、唯一の超大国・米国だけが仕切るわけでもない。「共存と競争」が複雑に絡み合った米中関係を日本が軽視すればその代償ははかりしれない。
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分のサシ会談今回の首脳会談のため、米側が用意したのはカリフォルニア州パームビーチ郊外の保養地サニーランズだった。かつての富豪が つくった別荘を中心としたリゾート地で、ニクソン政権以降の歴代政権がここぞという重要な会談で使ってきた場所である。主要国(G8サミット)首脳会議でもすっかり定着したが、ネクタイをしないラフな格好で首脳同士が泊まり込み、胸襟を開いて意見交換することで互いを理解することができる。ビジネスライクで有名なオバマ大統領がこうした演出を望んだことだけでも習主席との会談をいかに重視していたかは明らかだ。間もなく退任するドニロン米大統領補佐官(国家安全保障担当)によれば、オバマ・習両首脳は8日朝、通訳を除いて2人だけで別荘周辺を散策、ベンチに座り込んで約
な中身は不明だ。首脳同士だけのいわゆる「サシの会談」で思い をめぐり率直な意見交換をしたとされているが、もちろん具体的
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分間話し合った。米中間の鍵を握る課題46
共 存 と 競 争 、つ か ず 離 れ ず の 関 係 築 け 米 中 新 時 代 の 対 処 法
第回出すのは2003年5月、ブッシュ米大統領が小泉純一郎首相(いずれも当時)をテキサス州クロフォードの自らの牧場に招きいれたことだ。ブッシュ、小泉両氏はやはり通訳を除けば2人だけで2時間近く話し合った。この会談が小泉、ブッシュの「特別な関係」を決定づけたと思っている。このクロフォード訪問はブッシュ大統領のローラ夫人も自らの手記で「ジョージ(ブッシュ氏)はミスター・コイズミととても親密な友好関係を築いた」と記している。記者会見ではブッシュ大統領が運転するピックアップトラックに乗って仲良く2人で登場した。オバマ・習両氏によるサシ会談が少なくともオバマ氏が退任する2016年までの米中関係に大きな影響を与える可能性は高い。首脳関係で大事なのは単なる仲の良さではもちろんない。お互いの性格を見抜き、信用できるかどうかだ。1953年生まれの習氏と
バマ氏とで年齢は
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年生まれのオ 点を見いだしたかもしれないと考えるのはいささかうがちすぎか。 両国の政治的アプローチはまったく違うものの、互いをつなぐ接 両氏とも読書好きで勉強家、深い思索にふける傾向がある。米中10
歳近く離れており、習氏は理系出身。ただ、ドニロン氏は全日程終了後の記者会見で、今回の首脳会談がいかに重要か、そして極めてくだけた雰囲気の中で行われたかをあらゆる表現を駆使して強調してみせた。「これまでにないほど非公式な雰囲気だった」「1972年2月、ニクソン大統領による歴史的な中国首脳との会談にまでさかのぼって米中首脳会談を見れば今回がいかにユニークな会談かわかる」「タイミングは極めて 重要だ。オバマ大統領の2期目が始まったばかりで、習近平国家主席は
通常でいけば9月にロシアのサンクトペテルブルグで開かれる 談が米側の提案により早めにセットされたことも明らかにした。 範さからいかに重要かは自明のことだ」。ドニロン氏は、首脳会 さ(すべての会談を足すと計8時間)、議題となったテーマの広
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年にわたる政権の始まりだ」「会談の設定、やり方、長20
カ国・地域(G
認めたのである。 後わずか3カ月で訪米したのは米側が切望した結果であることを り早く会談することを決断した」という。中国の国家主席が就任 長すぎる、空白期間が大きすぎる。そこで(オバマ)大統領がよ
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)首脳会合までは機会はなかったが「それでは 首脳会談初日の7日、オバマ大統領との記者会見に臨んだ習主席は中国中央電視台(CCTV)の記者の質問に答え、今後の米中関係をいかに形づくっていくかをとうとうと語った。「オバマ大統領と私は新たな大国関係のモデルをどうつくるかをめぐり、誠実かつ率直で掘り下げた議論を行い、合意に達した」「われわれは経済グローバル化の時代、各国が協力しなければならない困難な時代に直面し、中国と米国は対立、敵対が避けられない道ではなく、新たな道を見つけなければならない」「国際社会は米中が世界に恩恵をもたらすか見ている。もし一緒に働くことができればわれわれは世界安定化のための錨となり、世界平和のプロペラになれると信じている」。「すみません。長くしゃべりすぎました」と締めくくった習氏をオバマ氏が「習主席はわれわれの会談内容31 漂う日本外交
をうまくまとめてくれた」と引き取った。
ほうがいいだろう。 な設定、時期を選んで首脳会談を世界に見せたことは軽んじない 会談ですべてが決まるとの思い込みも禁物だ。ただ、米中が特別 撃はない。首脳会談独特のレトリックを過大評価し、一つの首脳 大統領が頭越しに電撃訪中した「ニクソン・ショック」ほどの衝
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年、当時のニクソンちょうどいい加減
今回の米中首脳会談を米国の専門家はどう見ているか。タイム誌のファリード・ザカーリア氏は「今回の米中サミットを両国が対等な関係で課題をマネージしていく『G2』時代の到来と見た専門家もいるが、そう見るべきではない。中国は超大国として扱うべきではない」と指摘する。大国は経済規模だけで測れるものではなく、中国は依然自己中心的で自国の利益しか考えておらず、地球規模の課題で明確な目標が持つことができないでいるというのがその根拠だ。日本も深く関わる南シナ海、東シナ海での領有権問題での一方的な主張や挑発的な対応は確かに自国の利益しか考えていない、ととらえられても仕方がない部分はある。中国は外交課題以上に国内に難題を抱えており「大人の対応」をとる余裕がまだないと言える。ザカーリア氏は「中国が超大国として振る舞ったなら、われわれもそう扱おう」と「G2」では時期尚早論の立場だ。ハーバード大のノア・フェルドマン教授も米国が唯一世界の超大国であり続けると見る。「超大国になることに中国の 利益は見いだせない。中国はアジアの超大国になりたい」。日本を含めインド、ベトナム、オーストラリアといったアジア太平洋各国が多かれ少なかれ中国の軍事力を脅威と感じたり、中国をめぐる安全保障環境に不安を抱いたりしている状況に変化はない。軍事力で中国に対抗する力は到底ないので結果として米国に安保局面では頼らざるを得ない状況が続く。ただ、中国市場に自国の経済が依存しているもう一方の側面がある。「逆説的な状況に陥っている。安全は米国を頼りにしながら、経済はますます中国頼みだからだ」 強制力を伴うハードパワーと相手を魅力で説得するソフトパワーを組み合わせたスマートパワーの外交を提唱しているジョセフ・ナイ・ハーバード大教授も「米中関係は複雑」としたうえで地球規模の債務危機、地球温暖化や疫病対策といった課題解決のためには中国と協力して行かざるを得ないと主張する。確かに中国の経済規模を考えればこうした問題では中国の対応が鍵を握るのは疑いの余地がない。競争があり、協力がある。ナイ氏はこの複雑な対中関係を英国の有名な童話に例えて「われわれが必要とするアプローチは熱すぎでもなく、冷たすぎでもない『ゴルディロックス政策』だ」と語った。ゴルディロックスという名前の少女とクマをめぐる童話は好景気でも不景気でもないちょうどいい加減の経済や、生物が生存できるちょうどいい環境を指してゴルディロックス経済、ゴルディロックス惑星と呼ぶ。中国とは熱すぎたり、冷たすぎたりしないいい温度で臨むことを勧告したので