最後に、介護保険改革が「社会保障の総合化、
一体化」のけん引役をはたすという問題を考えて みたい。
小泉内閣がすすめる「構造改革」の一環として、
高齢者福祉の「構造」を変えてしまう内容が今「改 革」に含まれている。「改革」法案のなかには、
介護予防事業のみならず健康診査(老人健診)ま で介護保険制度に組み込もうという計画がある。
これは負担の転嫁という問題にとどまらず、国と 自治体の責任である公衆衛生や高齢者福祉を介護 保険の狭い枠内に閉じ込めてしまおうというもの で、高齢者福祉・保健の「保険化」である。介護 保険でこうしたことがすすめば、次は医療保険制 度にも波及する。
年金も含め、社会保障全体を大幅に抑制し、国 や大企業の負担を減らし、国民相互の負担にする 仕組みづくりが「総合化」のねらいである。その さきがけが今回の介護保険見直しなのだ。
「改革」案が検討されはじめた昨年4月、財界
を代表する日本経団連は、「介護保険制度の改革 についての意見」を発表し、いち早く注文をつけ た。「施設入所者の食費および居住費の自己負担 化、利用料の適正化(引き上げ)」「特別徴収の拡 大、株式会社の参入」などを要望した。「改革」
法案は見事にこの要望を反映したものであること がわかる。
また、昨年の参議院選挙後、内閣官房長官の私 的諮問機関として「社会保障のあり方に関する懇 談会」が発足した。この懇談会は、選挙前の通常 国会で、年金改悪法の強行採決の引き金となった 自・公・民「三党合意」と、日本経団連・連合の 両会長連盟の要請にもとづいて設置されたもので、
「社会保障制度全体を一体的に見直す」という抽 象的な目標がかかげられている。この懇談会のね らいは、戦争をする国づくりという政治路線と、
財界・大企業がすすめる国際競争力強化・総額人 件費抑制という経済路線(「構造改革」)にそって、
日本の社会保障の再編成を図るということにある。
社会保障の予算と大企業の社会保障負担を全面的 に削減、縮小する方向をめざそうということだ。
そして財源問題として、大企業には痛みのない消 費税増税への筋道をつけることにこの懇談会の最 大目的があるのだ。
昨年の年金改悪による負担増、配偶者特別控除 や老年控除の廃止もこの経済路線の一環であり、
今年は低率減税の縮小・廃止がねらわれ、07年の 消費税率引き上げ構想につながる。こうした増税 路線と同一軌道で年金、介護、医療、生活保護、
子育てなど社会保障の一切合財を見直そうという 計画なのであり、「改革」などとはいえない財源 対策にすぎない。
こうした路線にもとづく介護保険「改革」を阻 止しなければならない。
高齢者が住み慣れた地域でいきいきと暮らして いけるためには、高齢者福祉を「介護保険まかせ、
事業者まかせ」にするのではなく、国の財政支援 や自治体の責任を明確にして、介護・医療・福祉
・公衆衛生の連携をつよめるとりくみをすすめる べきである。
憲法9条、25条の改悪にストップをかける運動、
消費税の廃止を求め増税をやめさせる運動、消費 税増税の前段となる「定率減税」の縮小・廃止を やめさせる運動、介護改悪をやめさせ改善を求め る運動、そして各地の平和とくらしといのちを守 る運動、これが大きく共同できる条件が生まれて いるのではないだろうか。
「いのちが大切にされる社会」「いのちを大切 にする経済路線」を目指す運動が求められている。
(あいのや やすたか、中央社保協事務局次長・
全日本民医連理事)
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〜ビデオ上映(南相木村診療所に研修に来 た医学生をレポートした内容)〜
●メディアの時代と心持ちの学び
手前味噌のものを見ていただきましたが、いろ いろな思い出があるこの映像を、私はできるだけ 見ないようにしています。私はお坊さんではなく お医者さんですが、似たような仕事をしています。
今日は医学生さんの参加が多いそうですね。医者 になればすぐに分かることですが、村に一人しか いない医者は死亡診断書を出すことになるのです。
ですから、この映像は私にとってお弔いであると いう意味もあります。地域医療を目指す人には格 好良く見えるかもしれませんが、そんなこととは 関係無く、高齢化した山村ではお弔いが多い、と いうことは言わねばならないことです。
また、この映像には問題があると私は思います。
皆さんどうお感じになりましたでしょうか?まず 始めに研修に来た学生達をおとしめて、三日目に 持ち上げるという手法を使っていました。これは 編集上のテクニックとしては良くある「やらせ」
ではないでしょうか。人間の意識というのはほと んど変わるようなものではありません。皆さんの 周りにある新聞やテレビの報道でもそうだと思い ますが、それらは編集が掛かっている。悪意では ないと思いますが、意図を持って編集を掛けてあ るということです。皆さんの目の前にある様々な 情報は編集が掛かっています。学生さんは問診す るときに悪意でお婆さんの話を聞かなかったわけ ではないと思いますが、「聞かなかった」という
決め付けのナレー ションが掛かって いました。そして 二日後には「お婆 さんの話が聞ける よ う に な り ま し た」とストーリー 性を持たせている ことにお気づきに なりましたでしょ
うか。つまり、我々はメディアの時代に生きてい ますので、本当の自分のぶつかりの体験が、だか らこそ、大事になると私は思います。
今日は「地域医療と協同の社会―金持ちより心 持ち―」という題にしましたが、これはもちろん 笑っていただくためのものです。私は金持ちにな りたいのですが、金持ちになる能力もないし力も ない。残念です。金持ちになりたいのだけどなれ ない、やっかみの気持ちで「心持ち」になってみ たいという風にやせ我慢で言っているのだと思っ てください。
私は村の中で心豊かな人達に囲まれています。
その心豊かな人々の前に出ますと、自分が心貧し い人間であるということに気付かずにはいられま せん。それは『おしん』の時代の山村のご苦労を 身に刻んだ人が目の前にいるからです。私達の新 しい日本、それはつまり、電気があり、きれいな 水があって、「かきくけこ」と言いますけれども
"#金と機械と車と携帯電話とコンビニのことで
す"#そういう便利な時代に生まれ育ったのでは