送法 の対 象と なる 放送 のう ち、 ユニ バー サル サー ビス とし て国 が真 にそ の普 及に 責任 を持 つべ き﹃ 基幹 放送
﹄は 今日 では 地上 テレ ビジ
ョ
ン 放送 だけ であ る。 なお、地 上ラ ジオ 放送 につ いて は、 これ まで 長く
﹃基 幹放 送﹄ とし ての 役割 を果 たし てき たこ とは 認め たい が、 今日 の視 点で みる と﹃ 基幹 放送
﹄と する こと は難 しい と考 える
。
⑸
﹃基 幹放 送﹄ であ る地 上テ レビ ジ
ョ
ン放 送に は、 公衆 に﹁ 共有 され る情 報﹂ の提 供が 期待 され るた めに 番組 調和 原則 が義 務付 けら れ、 同時 に情 報源 の多 様化 を図 るた めに 集中 排除 原則 も厳 格に 適用 され る。 なお、番 組調 和原 則の 規定 は、
﹃基 幹放 送﹄ とし ての 地上 テレ ビジ
ョ
ン 放送 に総 合編 成を 義務 付け るも ので ある こと を明 確に する ため、そ の規 定振 り及 び運 用に つい て検 討の 余地 があ ると 考え てい る。
⑹
﹃基 幹放 送﹄ であ る地 上テ レビ ジ
ョ
ン放 送に ハー ド・ ソフ ト一 致が 選択 的に 認め られ るの は、 地上 に無 線局 を展 開す るこ とに よっ て初 めて ユニ バー サル サー ビス とし ての 普及 が実 現可 能だ った こと が主 たる 理由 で、﹁放 送 の自 由﹂ を守 って きた こと はそ の結 果で ある
。
⑺
NH Kに つい ては、ラ ジオ 放送
、教 育専 門テ レビ 放送 及び BS 放送 を﹃ 基幹 放送
﹄と 位置 付け る考 え方 があ り得 るが
、そ れは NH Kと いう 組織 に着 目し た扱 いで あり
、わ が国 の二 元的 秩序 の在 り方 と関 連す る。 以上
の筆 者の 考え は、 地上 テレ ビジ
ョ
ン 放送 に関 する 限り 六〇 年前 に放 送法 が成 立し た当 時の 考え 方と 大き な違 いは ない。む しろ こう いう 時代 だか らこ そ原 点に 戻っ て考 察し た結 果で ある
。当 時こ のよ うな
﹃基 幹放 送﹄ の役 割 を果 たす こと がで きた のは
、広 帯域 の電 波を 占用 的に 利用 した から であ る。 それ はイ ンタ ーネ ット がこ こま で発 達
した 今日 であ って も基 本的 には 変わ らず
、同 じこ とを 他の 技術 で効 率的 かつ 効果 的に 行う こと は難 しい と言 われ て
( )
いる
。そ の点
、今 後も
﹃基 幹放 送﹄ とし ての 地上 テレ ビジ
ョ
ン 放送 の意 義は 大き い。 し 22かし
、受 信者 から 見れ ば、 メデ ィア ある いは 情報 源は 地上 テレ ビジ
ョ
ン 放送 だけ では ない。先 の震 災に おい て、 携帯 電話 やツ ウィ ッタ ー等 も多 くの 場面 で貢 献し たこ とを 利用 者が 評価 して いる こと に現 れて いる
。従 って
、 今後 も﹃ 基幹 放送
﹄の 意義 があ ると いっ ても
、幅 広い メデ ィア の世 界の 中で
、そ の存 在感 は相 対的 なも ので あり
、 社会 の変 化と 情報 通信 技術 の発 展と とも に変 化し てい くこ とが 予想 でき る。 特に
、グ ロー バル 化が 進展 し、 東京 への 集中 が進 む中 で、 地域 の中 の﹁ 情報 の共 有﹂ が大 きな 意味 を持 つ地 縁社 会︵ ゲマ イン シャ フト
: G e m e i n s c h a f t
︶ 的な 面が 都市 部か ら薄 れて いき、地 域を 超え た﹁ 情報 の共 有﹂ が意 味を 持つ 利益 社会
︵ゲ ゼル シャ フト
: G e s e l l s c h a f t
︶ 的な 面が 強ま って いる。そ れと 同時 に、
﹃基 幹放 送﹄ が対 象と する 地域 社 会の
﹁公 衆﹂ もデ ジタ ル化 の進 展の 中で 分断 され つつ ある よう にみ える
。 だか ら、
﹃基 幹放 送﹄ の役 割が 小さ くな って いる と考 える べき か、 だか らこ そ、
﹃基 幹放 送﹄ の役 割が 大き くな っ てい ると 考え るべ きか
、﹃ 基幹 放送
﹄の 根本 的意 義が 問わ れる こと にな る。 また
、﹃ 基幹 放送
﹄の 前提 であ る放 送用 周波 数に つい ても
、そ の特 殊か つ優 遇的 な取 扱い をよ り限 定的 にす べき とい う考 えが 今後 強く なる こと は十 分予 想さ れる
。経 営的 視点 から
﹃基 幹放 送﹄ 事業 の見 直し が進 む可 能性 も大 き い。 その 場合
、﹁ 当該 地域 社会 のす べて の構 成員 が、 映像 を含 む大 量情 報を 瞬時 にか つ同 時に 受信 でき るこ とを 可 能に する
﹂と いう 放送 用周 波数 の意 義と 必要 性を 踏ま えた
﹃基 幹放 送﹄ 論が 必要 にな ろう
。
︵
︶新 放送 法に おい ては
、放 送法 施行 規則 別表 第五 号に おい て﹁ 基幹 放送
﹂の 区分 を定 めて いる が、 煩雑 さを さけ るた め以 下の 記述 はこ れま で と 1 同様 な分 類を 用い てい る。
︵
︶金 沢前 掲書 二四
〇頁
。
︵ 2
︶衛 星放 送の 本放 送開 始︵ 一九 八九 年六 月︶ 後既 に二 十数 年に なる が、 最も 普及 して いる NH Kの 衛星 放送 でも 総契 約者 数に 占め る衛 星放 送 受 3 信契 約の 割合 は四
〇・ 二% 程度 であ る。 総務 省﹁ 衛星 放送 の現 状﹂
︵平 成二 三年 度第 三四 半期 版︶ 二一 頁参 照。
︵
︶舟 田︻ 二〇 一一
︼五 一頁
、金 沢・ 前掲 書三 六頁 参照
。
︵ 4
︶N HK の地 上ラ ジオ 放送 につ いて は、 中波 又は FM 放送 のい ずれ かに つい て全 国あ まね く受 信す るこ とが 義務 付け られ てい る︵ 新二
〇条 五 項 5
。旧 九条
︶。
︵
︶有 線放 送に よる 再送 信規 定︵ 新一 四〇 条︶ も地 上ラ ジオ 放送 には 適用 がな い。
︵ 6
︶金 沢前 掲書 二一 頁参 照。
︵ 7
︶旧 日本 教育 テレ ビ︵ 現テ レビ 朝日
︶、 旧東 京 チャ ンネ ル︵ 現テ レビ 東京
︶。 8
12
︵
︶例 えば
、最 後発 の日 本科 学技 術振 興財 団︵ 東京
チャ ンネ ル︶ の場 合、 科学 技術 教育 番組 六〇
%以 上、 その 他の 教養 教育 番組 二〇
%以 上と 9
12 義務 付け られ てい た。
︵
︶両 社は 一九 七三 年に 総合 局の 免許 を取 得し
、以 降社 名変 更し 今日 に至 って いる
。
︵ 10
︶郵 政省
﹃通 信行 政の 展望
﹄︵ 信友 社 一九 七一 年︶ 三一 九頁
。
︵ 11
︶舟 田︻ 二〇 一一
︼一 七四 頁注
︵
︶参 照。 12
24
︵
︶金 沢・ 前掲 書二 八二 頁参 照。
︵ 13
︶ラ ジオ 放送 の災 害時 にお いて の役 割を 重視 した 見解 とし て前 掲﹃ 放送 の公 共性
﹄一 九頁
。
︵ 14
︶旧 放送 法に おい ては 同一 対象 地域 と同 じく 一〇
%で あっ た。
︵ 15
︶総 務省
﹁衛 星放 送の 現状
︵平 成二 三年 度第 三四 半期 版︶
﹂h tt p: // ww w. so um u. go .j p/ ma in _s os ik i/ jo ho _t su si n/ ei se i/ ei se i. pd f
︵ 16
︶﹃ 放送 政策 の展 望﹄ 六一 頁。
︵ 17
︶舟 田︻ 二〇 一一
︼四 六頁
、塩 野前 掲書 二五 六頁 参照
。
︵ 18
︶具 体的 な説 明と して は、 金沢 前掲 書二 五九 頁参 照。
︵ 19
︶第 二章 注︵
︶参 照。 20
46
︵
︶欧 州で は例 えば フラ ンス のよ うに アナ ログ 時代 から ハー ド・ ソフ ト分 離方 式を とっ てい た国 もあ るが
、当 時の 郵便 電気 通信 事業
︵P TT
︶ の 21 国営 独占 が沿 革に ある
。
︵
︶映 像の 場合
、特 にテ レビ 放送 のよ うに 多く の人 が同 時に 見た りす る場 合の トラ フィ ック には
、上 限が 無い こと につ いて は、 村井 純・ 亀山 渉. 22
﹁対 談: 放送
・通 信融 合を 語る
︵
︶: 放送 と通 信の 技術 的課 題は 何か
?﹂ ht tp :/ /w bb .f or um .i mp re ss rd .j p/ fe at ur e/ 20 06 07 24 /1 71 を参 照さ れた 2 い。 また
、こ の対 談に おい て、 村井 純氏 は、
﹁イ ンタ ーネ ット には
︵放 送の よう に︶
﹃宛 先も なく て聞 く人 もわ かっ てい ない けれ ども
、デ ジタ ル
デー タを 送信 する
﹄と いう 仕組 みは 厳密 には ない
﹂と 述べ てい る。 同﹁ 対談
:放 送・ 通信 融合 を語 る︵
;︶
:放 送と 通信 はど こが 違う のか
?﹂ ht tp :/ /w bb .f or um .i mp re ss rd .j p/ fe at ur e/ 20 06 07 13 /1 00
。
六 お わ り に 今回
、こ のよ うな テー マで 新放 送法 に対 する 論評 を試 みる のは
、東 日本 大震 災の 際の 放送 の役 割と 影響 力に 対す る認 識を 新た にし たこ とが 大き な理 由で ある
。そ れは 放送 と地 域社 会と の関 わり
、更 には
W e b 2 . 0
以降 の流 行り と なっ た﹁ あっ ちの 世界﹂に 対し ての
﹁こ っち の世 界﹂ とし ての 地域 社会 とは 何だ ろう かと いう 問題 とも 関連 して い る。 とこ ろが 考察 を進 める うち に、 次第 に戦 後の 復興 の中 で放 送法 制定 に取 り組 んだ 立法 者の 考え に思 いを 馳せ る よう にな った
。何 故、 電波 によ る放 送を 国民 に普 及さ せよ うと した のか
、当 時描 いて いた 民主 主義 はど のよ うな も のだ った のか
、表 現の 自由 をど れだ け大 事に して いた のか
、社 会と は何 か、 国と は何 かに つい てど れだ け真 剣に 考 えて いた こと か。 東日 本大 震災 後既 に一 年が 過ぎ たが
、新 しい 日本 を作 るの だと いう 思い が人 々に 広が る今 日ほ ど、 放送 の持 つ意 義を 考え るに ふさ わし いと きは ない よう に思 う。 新放 送法 がそ うし たき っか けを 作っ てく れた こと を考 える と、 そ こに 至る まで の関 係者 のご 努力 に敬 意を 表し
、筆 を擱 きた い。
︵追 記︶ 舟田 先生 に最 初に お目 にか かっ たの は、 電気 通信 制度 改革 の本 格的 議論 が始 まっ た、 一九 八三 年頃 だっ たと 思う
。そ の 頃、 郵政 省で 塩野 宏先 生を 座長 とす る経 営形 態問 題研 究会 が開 催さ れ、 舟田 先生 が委 員と して 参加 され てい たと きに
、事 務 局の 一端 を担 って いた のが ご縁 の始 まり で、 その 後先 生と 経済 学の 黒川 和美 先生 の共 同主 催で 続い た通 信行 政問 題研 究会 の 事務 局を させ てい ただ いた こと もあ る。 以降
、折 に触 れ先 生に 教え を請 うこ とが 続い た。 しか し、 私が 放送 行政 に関 わっ て