分類
A
からC
でポートフォリオごとに計算された破綻型上場廃止率と実現リターン の関係を総合して示したのが図表3−33
と図表3−34
である。これが本論文での最も主図表3−32 ポートフォリオ別R36の中央値 図表3−31 ポートフォリオ別R24の中央値 同志社商学 第65巻 第6号(2014年3月)
260(1060)
要な分析結果である。事前の想定通り,図表
3−34
はC
字型になっていることがわか る。PF
0.0−0.2のR
36の中央値は102.32% と極端に高いが,破綻型上場廃止率も 12.87% と非
常に高い。しかし
PF
0.2−0.4になると,R36は61.39% と非常に高い水準でありながら,破
綻型上場廃止率は2.44% と急激に低下する。PF
0.4−0.6はR
36が26.53% と十分に高い数値
を示していながら,破綻型上場廃止率は1.33% とさらに低下している。このように,
PF
0.2−0.4とPF
0.4−0.6は実現リターンが高く,破綻型上場廃止率は低いという特徴がある。PF
0.6−0.8は実現リターンがプラスになる最後のポートフォリオであり,R36は7.84%,破
綻型上場廃止率は
1.22% である。
PF
0.8−1.0以降については,上場廃止率は低い水準にとどまるが,実現リターンがマイナスである。PF6.5−7.0より
PBR
が高いポートフォリオは,実現リターンが大きなマイナス であるだけでなく,破綻型上場廃止率も高い。図表3−33 ポートフォリオ別破綻型上場廃止率とR36
ポートフォリオ 破綻型上場廃止率 累積月次投資収益率(R36) PF0.0−0.2
PF0.2−0.4
PF0.4−0.6
PF0.6−0.8
PF0.8−1.0 PF1.0−1.2 PF1.2−1.4 PF1.4−1.6
PF1.6−1.8
PF1.8−2.0
PF2.0−2.2
PF2.2−2.4
PF2.4−2.6
PF2.6−2.8
PF2.8−3.0
PF3.0−3.2
PF3.2−3.4
PF3.4−3.6
PF3.6−3.8
PF3.8−4.0
PF4.0−4.5
PF4.5−5.0
PF5.0−5.5
PF5.5−6.0
PF6.0−6.5
PF6.5−7.0
PF7.0−7.5
PF7.5−8.0
PF8.0−8.5
PF8.5−9.0
PF9.0−9.5
PF9.5−10.0
PFH
0.1287 0.0244 0.0133 0.0122 0.0102 0.0120 0.0143 0.0145 0.0158 0.0174 0.0153 0.0169 0.0165 0.0169 0.0205 0.0212 0.0200 0.0221 0.0266 0.0267 0.0262 0.0273 0.0210 0.0249 0.0212 0.0305 0.0280 0.0440 0.0479 0.0269 0.0299 0.0297 0.0468
1.0232 0.6139 0.2653 0.0784
−0.0213
−0.0582
−0.0929
−0.1227
−0.1732
−0.2083
−0.2508
−0.2485
−0.2914
−0.3038
−0.3339
−0.3312
−0.3731
−0.3708
−0.3867
−0.4066
−0.4362
−0.4636
−0.4861
−0.4888
−0.5041
−0.5443
−0.5388
−0.5800
−0.6190
−0.5876
−0.5930
−0.5662
−0.6464
破綻型上場廃止率と実現リターン(桜井) (1061)261
R36
-0.8000 -0.6000 -0.4000 -0.2000 0.0000 0.2000 0.4000 0.6000 0.8000 1.0000 1.2000
0.00 0.01 0.02 0.03 0.04 0.05 0.06 0.07 0.08 0.09 0.10 0.11 0.12 0.13 0.14
破綻型上場廃止率
このように,破綻型上場廃止率と累積月次投資収益率の間には,図表
2−3
で示した ようなC
字型の関係があることがデータで確認できた。C字型の関係を実際のデータ で確認できたことはバリュー投資戦略に大きな意義をもつ。つまり,図表3−34
の矢印 で示した周辺が,破綻する割合が低く,かつ実現リターンが高いエリアであると考えら れるからである。バリュー投資戦略というのは,通常,不況時に実行するとよりいっそう威力を発揮す る投資戦略である。ところが,不況時には業績は低迷し,株価は低水準であることが多 く,投資した株式の発行企業が経営破綻に陥ったり,株価の低迷によって時価総額基準 に抵触するなどして上場廃止になり,大きなマイナスの実現リターンを被ることもあ る。それが投資家の懸念事項の一つであった。しかし本論文において
C
字型の関係で あることが判明し,かつ破綻型上場廃止が多発する領域と急減する領域をある程度特定 できたことは有用な意思決定材料となる。つまり本論文の分析結果が,破綻型上場廃止 の可能性を低く押さえ込みつつ,高い実現リターンを獲得することを可能にするかもし れないからである。桜井(2010)においても示しているように,PBRに基づいた投資戦略は,とくに不 況のどん底にあるときに威力を発揮する。景気循環のなかで繰り返し巡ってくる不況時 に本論文の分析結果が役に立つことが期待される。
図表3−34 ポートフォリオ別破綻型上場廃止率とR36のグラフ 同志社商学 第65巻 第6号(2014年3月)
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