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Ⅳ.国際協力に向けたトピックス への意見

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(青山) 日置さん,詳しいご説明をありがと うございました。そしてこの間,飛躍的に租税 条約について主税局が精力的に取り組んでおら れることのみならず,OECD で日置さんや浅 川さんがリーダーシップの中に直接入って,国 際的なルール作りに関わっておられることを伺 って,大変心強く思いました。

私の方からは,BEPS について幾つかコメン トを申し上げたいと思います。

〔BEPS プロジェクトを巡る課題について〕

今 回 の BEPS プ ロ ジ ェ ク ト は,過 去 の OECD 租税委員会が取り組んだどのプロジェ クトと比べてもカバー領域が極めて広く,かつ 各国の国内法制に深く関わるテーマであり,そ の射程を含めて多国籍企業や国際税務専門家の 関心の的となっております。

そこで,まずプロジェクトの目的面での確認 をさせていただきたいと思います。恐らくきっ かけは先ほどのご説明でもありましたように,

多国籍企業の度を越した租税計画に対して,本 社所在地国(主としてアメリカ)のみならず,

子会社所在地国(欧州のイギリス等)も,それ ぞれ課税ベースを浸食されているとの問題意識 で,政治的なイニシャチブで,課税ルールの全 面的見直しを視野に入れたプロジェクトにまで 拡大したと見られます。

国別の課税主権に基づく国内法面での協調も 視野に入れたものであり,その射程が関心を呼 んでいました。先ほどご説明いただいた今回の

15項目は,電子商取引についての包括的な問題 提起は含まれていますが,その他は移転価格問 題については数項目,或いはハイブリッド・ミ スマッチ,それから CFC 税制など,従来から 既に問題視されて,OECD でも取り組んでお られた項目をパッケージしたものです。

もしこれらをうまく適切な提言で取りまとめ ができれば,BEPS の趣旨である不当な国際租 税計画から,各国課税ベースを守る有効な方策 になると期待されると思います。すなわち先ほ どのご説明がありましたように,不当な二重非 課税等のリスクを解消することになろうと思い ます。

〔租税回避規定について〕

ただし,以下の2点の懸念がございます。1 つは,従来 OECD の場で国内法制に切り込む のは,ある意味アンタッチャブルでありました。

特に法人課税を巡る従来の課税主権,課税高権 の尊重という線引きがございます。これとの関 係で,例えば一般的な租税回避否認規定が検討 対象から外されている点について,どのような 議論が行われ,今後どのような議論が予測され るのかが1点目でございます。

なお,私自身の個人的な考えでございますが,

多国籍企業の経営戦略上,長年にわたって各国 法制がある意味事実上信任を与えてきた制度に,

国際的な協調の力でもって切り込もうとする場 合には,何と言っても予測可能性の確保という 問題もございますので,不当な租税計画に適正 にターゲットを絞った提言にとどめるべきであ って,ある意味比例原則を越えた,健全な多国 籍企業の過去の蓄積や将来の行動に悪影響を及 ぼすような措置は,控える必要があるのではな いかと考えます。この点は,移転価格等のテー マに関する既存のプロジェクトの中でも,基本 的に踏襲されてきたと思われます。いずれにし ても納税者は,恐らく BEPS 提言がもたらす 新たなコンプライアンスコストに対して,最も 関心を寄せているのではないかと思われます。

〔新興国を含めての議論について〕

2点目は,先ほどのご説明にありましたよう に,G20ベースにまで広がった参加者で,国際 的な新たな協調を生み出すという試みでござい ます。それができてこそ,初めて国際的な,例 えば制度間の隙間を埋めた,適正な協調が実現 されると思います。

これは先ほどの1番目の議論でも少し申し上 げさせていただきましたが,現在のグローバル 税務の環境の下では,国連モデルと OECD モ デルに,必ずしも調和の方向へのベクトルが働 いていると言えない環境が残されています。

そうしますと,そのような広いメンバーを対 象にした合意を得るためのプロセスは,現実に は多大な困難が予測されると思います。BEPS の場のみならず,例えば新興国が自らのルール を作ろうとしている国連モデルの改定の場に対 して,OECD の側から働き掛けをしたり,或 いはそういった国が国内法ベースでどういった 改正をして,多国籍企業に対応しようとしてい るかについてのモニタリングや問い掛けも必要 になってくるかと思われます。この点について,

どのようにお考えでしょうか。

〔自動的情報交換への取組みの方針について〕

最後に,情報交換についてのお尋ねです。先 ほどの FATCA の進展は,まさにいわゆる自 動的情報交換に本格的に取り組もうというポリ シーを,ヨーロッパの取組みなどから教えてい ただきました。

従来わが国は,個別的情報交換を中心に情報 交換をするのだという長い伝統がありました。

このような FATCA への取組みを契機として,

相手となる対象国をどのような範囲で見ていく かも含めて,自動的情報交換へどのようなスタ ンスや方針で取り組んでいかれるかについて,

お伺いしたいと思います。以上です。

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(渡辺) 青山さん,どうもありがとうござい ました。それでは次に吉村さん,よろしくお願

いいたします。

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(吉村) 今後数年間は,国際課税の世界にお ける議論は BEPS 一色になると思われます。

これから議論が本格化するにあたり,OECD の中での日本の役割ということに関してもご説 明いただき,大変参考になりました。

私から BEPS につきまして,まずは全体的 な感想を申し上げた上で,個別の行動計画につ いて幾つか質問させていただきたいと思います。

〔BEPS と日本企業との関わりについて〕

まず BEPS プロジェクトに掲げられている 行動は,これまで OECD が現行の国際課税制 度における課題に対処する方策を検討してきた 延長線上にあると理解しております。

しかしながらその一方で,G8及び G20にお いて BEPS プロジェクトが広く政治的な支持 を得た要因としましては,国際課税資料37でご 紹介いただきましたように,アメリカに本社を 置く IT 企業等による濫用的なタックスプラン ニングが,メディア等で大きく報道されたこと が影響しているのは否めないところかと思いま す。アメリカの多国籍企業に比べて,これまで タックスプランニングに消極的であったと言わ れている日本企業の中には,巻き込まれてしま ったと否定的に感じているところも多いのでは ないかと思います。また,多国籍企業は適切な 納税をしていないとのイメージが先行して,い たずらに規制が強化されるのも,制度設計とし ては望ましくないと考えております。

こうした危惧をあらためて強調しますのは,

G20の中には BEPS を源泉地国課税強化のプロ ジェクトと理解しているように見える新興国も 存在しているからです。わが国企業が進出先に おいて BEPS を名目とした過剰な課税を受け る危険性も高まってくるように思っております。

もっとも一部の濫用的なタックスプランニン グが可能な国,ないしは制度を利用し得る企業 のみが競争上有利になっている状況は,好まし

くありません。ですから,今回 OECD の BEPS プロジェクトには,大いに期待するところです。

〔BEPS の検証について〕

そこで,関連して行動11についてお尋ねした いと思います。

行動11におきましては,BEPS の規模や経済 的効果の指標を政府から OECD に集約し,分 析する方法を策定すると掲げられております。

先ほどの問題意識との関係ですと,具体的にど のような形で BEPS の検証がなされるのか興 味があります。

また,スケジュール上は,検証よりも他の個 別の行動計画が先を走るように思われますので,

検証の成果が具体的にどのように利用されるの かに関心を持っています。これは今後,ひょっ としたら予定等変わるかもしれませんが,現時 点でどのような成果の利用が想定されているの か,教えていただければと思います。

〔過剰な課税につながる懸念について〕

また,BEPS の問題提起につきましては,各 国ばらばらの対応を取ることにより生じる混沌

(caos)を回避するのが動機の1つであるとい う,OECD の方の発言を耳にしたこともあり ます。これは確かにもっともな話です。先ほど のご説明の中でも言及がありましたように,国 際社会が調和の取れた解決を目指すことに BEPS の意義があるとすれば,各国で足りない 部分を整理すると同時に,過剰な課税をもたら す逸脱も好ましくないと評価されるように思い ます。

青山先生からもご指摘がありましたが,多国 籍企業を送り出す国と,受け入れている国,と りわけ新興国との間で,利害が大きく対立する と予想される行動計画が多く存在しております。

BEPS プロジェクトというフォーラムが新たに 設定されることによって,今後どのような動き があるのか。例えば国際的に合意された租税基 準(internationally agreed tax standard)のさ らなる実質化であったり,過剰な課税を含めて

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