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Ⅲ.国際協力に向けたトピックス について

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1.わが国の租税条約ネットワークの拡充等

〔租税条約の概要〕

(日置) 国際課税資料28には,租税条約の主 な内容を書いています。OECD のモデル条約 が大体30条ほどで構成されていますが,わが国 の租税条約は,基本的にこれに沿った形です。

それぞれの国の条約において,似たような条文 が並んでいます。

主な内容としまして,2つの柱があり,1つ 目は二重課税の排除です。2つ目は,脱税ない しは租税回避への対応です。

〔わが国の租税条約ネットワーク〕

国際課税資料29は,現在のわが国の租税条約

ネ ッ ト ワ ー ク で す。8月 末 現 在 で,59条 約 が,70カ国・地域との間で適用されています。

59と70の数字が合っていないのは,旧ソ連,な いしは旧チェコスロバキアの条約を継承してい る国がそれぞれ複数あるためです。

〔租税条約交渉の現状〕

続きまして,国際課税資料30は,最近の租税 条約の交渉状況です。平成16年の日米租税条約 の全面改正は,実は4年間かけて作業をしたわ けですが,この条約の締結を皮切りに,最近で は数多くの条約が新規に締結又は改正されてい ます。

資料中に※印が付いている条約がありますが,

これは後ほど説明いたします情報交換を中心と する条約です。いわゆるタックスヘイブンとい われる国・地域を中心に,加速度的に締結して います。

〔日米租税条約の一部改正〕

国際課税資料31です。先ほども申しましたよ うに,平成16年に日米租税条約を全面的に改正 しましたが,今般,その一部の改正を行いまし て,本年1月24日に署名されました。

改正の内容は下にあるように,配当の免税要 件である持ち株割合が50%超から50%以上,保 有期間が12カ月以上から6カ月以上と緩和され,

利子については原則免税にすることで,源泉地 国免税が拡大されました。

2と3にありますように,仲裁制度の導入や 徴収共助の拡充も行われ,執行面の協調も図ら れています。

〔最近の日本の租税条約締結本数の推移(基本 合意)〕

国際課税資料32です。先ほど申しましたよう に,加速度的に租税条約が締結されてきていま す。1つの理由は,やはり日米租税条約を結ん だときに,日本の条約ポリシーが一新されたこ とがあります。ポリシーが原則として源泉地国 課税を抑制していく方向に変わったことを踏ま え,先ほど申しました情報交換を中心とする条 約も含めて,拡充を図っているところです。

〔徴収共助について〕

国際課税資料33です。徴収共助は,租税債権 を徴収する際に執行管轄権の制約がある中で,

お互いの租税債権を,お互いの税務当局が協力 して徴収する仕組みです。OECD においては,

徴収共助に関して多国間(マルチラテラル)の 条約があり,「税務行政執行共助条約」と呼ん でいます。わが国も2011年に署名し,かつ,国 内法の措置を24年度改正で行ったところです。

税務行政執行共助条約は,国会において本年

(2013年)6月に承認され,本年10月1日に発 効する予定です。

徴収共助は,この絵の③のように,徴収がで きないところに納税者が財産を移転したものを,

B 国の当局に徴収,送金してもらうイメージで す。

〔税務行政執行共助条約の概要〕

国際課税資料34は,税務行政執行共助条約の 概要です。税務当局間の協力の内容については 主に3つです。情報交換,徴収共助,文書送達 があります。先ほど説明したとおり,一昨年の 11月に署名をして,来月発効します。

この条約に署名をしている国は急速に増えて います。現在56カ国が署名をしています。昨年,

私が,この場で同じ説明したときには署名国は 38カ国でしたので,いかに急速に税務行政執行

共助条約が拡大しているかがわかると思います。

2.OECD 等における国際的な議論の動向 1)OECD の組織等

〔租税委員会の組織と活動の概要(2013年7月 時点)〕

続きまして,国際課税資料35は,OECD租税 委員会の組織についてです。この後,BEPS 等 を説明しますので,組織を概括しておきたいと 思います。まず OECD 租税委員会の中心にあ るのは,租税委員会です。ここの議長は,財務 省の総括審議官である浅川です。

租税委員会には,下部組織として,いろいろ

な組織がぶら下がっています。ワーキングパー ティ(作業部会)と呼ばれていますが,1,2,

6,9,10,11があります。このうちワーキン グパーティ11が,今回 BEPS のプロジェクト を踏まえて新設されたものです。

他に BEPS のプロジェクトとして新設され たものが,資料の中で,ワーキングパーティ11 の左側にある,電子経済タスクフォースです。

これは電子商取引,後ほど説明する行動1を検 討する組織です。

その下にあるのは,BEPS 多国間協定非公式 グループです。BEPS 対抗措置の策定が実現し た場面において,2国間条約を2国間で修正す るのではなく,多国間条約を結んで,一挙に2 国間条約を置き換えようという議論があります。

このようなことを検討するグループとして,多 国間協定非公式グループを新設しております。

後ほど説明する税の透明性,情報交換に関す るグローバル・フォーラムでは,わが国がピ ア・レビュー・グループの副議長を務めていま す。

また,行動5の検討を行うための有害税制フ ォーラムの議長を私が務めております。

〔グーグルの租税回避に関するイギリス下院決 算委員会報告書(2013年6月)〕

続きまして,国際課税資料36は,グーグルを 巡る,イギリス下院の報告書の概要です。グー グルの租税回避が,イギリスの議会で議論にな っております。詳細の内容については,資料を ご覧ください。

〔多国籍企業の租税回避が国際的な批判を浴び ている(報道ベース)〕

国際課税資料37にありますように,報道ベー スではありますが,スターバックス,アマゾン,

アップルが国際的な批判を浴びております。

特に今回 G8,G20で,かなり租税の議論がさ れました。政治的な面ですが,多国籍企業であ るスターバックスが税金を払っていないという ことで,不買運動が展開され,キャメロン首相 が税の問題を取り上げるきっかけになりました。

他にもアップル,アマゾン等々が,議会に呼 び出される事態になっています。

2)BEPS への対応

〔税源浸食と利益移転(BEPS)行動計画〕)

続きまして,国際課税資料38ですが,BEPS 行動計画がどういうものかを,説明していきた いと思います。

このような BEPS(税源浸食と利益移転)の 議論が加速した理由の1つとして,リーマンシ ョック後に各国の財政状況が悪くなり,国民に 負担を求めた,いわゆる増税の中で,グローバ ル企業が税制の隙間や抜け穴を利用して,節税 対策をしているのはおかしいのではないかとい う議論が盛り上がりを見せました。

OECD においては,先ほど説明した租税委 員会が,実を言うと G8,G20の議論が盛り上 がる前の,昨年の年末ぐらいから議論を開始し ていました。その議論については,7月19日に BEPS 行動計画として報告が出されています。

そして G20諸国から,全面的な支持を得ている ところです。

このプロジェクトの重要な点は,「OECD/G 20BEPS プロジェクト」を設けた点であります。

そのメンバーには,OECD に加盟していない G20のメンバー,中国,インド,ロシア,アル ゼンチン,ブラジル,インドネシア,サウジア ラビア,南アフリカの8カ国が含まれています。

こ の よ う な 国 々 も 平 等 に 意 見 が 言 え る

「OECD/G20BEPS プロジェクト」が,ややも すると OECD と国連が対立しているような状 況を克服して議論を進めていく場であると言え ます。

このようなプロジェクトを進めていくことに 伴いまして,行動計画の各項目は1年から2年 半の検討を経て,各国に対して税制の調和を図 る方策を勧告することとなっています。

〔OECD 租税委員会 BEPS 行動計画(概要)〕

国際課税資料39,40には,15の行動計画(ア クションプラン)の内容が,簡単に書かれてい

ます。本日は行動計画の1,3,4,6,8の 電子商取引課税,CFC 税制の普及,利子等の 損金算入制限,条約濫用の防止及び無形資産の 移転価格税制について,説明したいと考えてお ります。

〔行動1 電子商取引への課題の在り方を検討〕

それでは国際課税資料41の行動1,電子商取 引の課税の在り方の検討について説明します。

これがどのようなケースかと申しますと,L 国 という軽課税国,ないしはタックスヘイブンに L 社があります。A 国に顧客がおり,電子商取 引で音楽や書籍の電子コンテンツを購入し,L 社に代金の支払いをします。L 社に所得が生じ てもタックスヘイブン,軽課税国なので,L 国 で課税はありません。A 国は,支店等の恒久 的施設(PE : Permanent Establishment)があ る場合に課税ができます。OECD の考え方に よれば,電子商取引においては,サーバーがあ れば,それは PE となります。

A 国内にサーバーがあれば A 国も課税でき ますが,L 社が A 国内にサーバーは置いてな い場合,A 国での課税はできません。したが って,A 国でも L 国でも課税ができない現象 になります。ここでは二重非課税が生じ,A 国では税源浸食が生じているということでござ います。

A 国の課税権を確保するために,3つほど 案があります。1つ目は,PE の定義を変えよ うというものです。例えばサーバーではなくて,

ウェブサイトを PE にしてしまいます。ウェブ サイトは,いわばバーチャルショップのような 形でいろいろ宣伝もしているので,そういうも のを PE としてはどうかという案です。

しかし,ウェブサイトでどれだけの所得を稼 いでいるのか,リスクや機能を分析して考えて いきますと,より多くのビジネス機能は L 社 にあります。マーケティングや,商品をどのよ うに手に入れているかなどを分析すると,なか なかウェブサイトに所得が帰属しません。した がって,2つ目の案として,売上のような外形

的な基準で,課税していくことが考えられます。

3つ目は電子商取引で,仮に消費課税を行っ ている場合,この消費課税に A 国の所得課税 分を消費税として上乗せする考え方です。

OECD においては,このような3つの考え 方を中心に,議論をしていくことが考えられま す。

〔行動3 外国子会社合算税制の普及〕

続きまして,国際課税資料42の行動3の,外 国子会社合算税制(CFC)の強化です。軽課 税国にある C 社が,A 社と B 社の所在する A 国と B 国のどちらの国の CFC 税制の適用を受 けるかが問題となります。

A 国の方は CFC 税制が厳しく,B 国は緩い 場合,C社は,CFC 税制の緩い B 国をビジネ ス拠点に選びます。事業自体が A 国から B 国 に移ってしまいます。CFC 税制を世界的に同 じようなレベルにしていくことによって,こう したビジネスの流出に伴う税源浸食を防いでい くことを,行動計画3では謳っています。

〔行動4 利子損金算入制限措置の普及〕

次に,同じような話でありますが,国際課税 資料43の行動4は,利子の損金算入制限措置の 普及です。利子の損金算入が制限されて,利益 の圧縮ができない国が A です。利子損金算入 の制限が緩い,ないしは制限がなく利益の圧縮 ができる国が B です。この場合,B 国に同じ ように事業が流出してしまいます。行動3と同 じように,事業流出に伴って税源についても浸 食されてしまうので,損金算入制限措置につい ても同様のものを導入していきましょうという ものです。

〔行動6 租税条約の濫用防止規定の普及〕

続きまして,国際課税資料44の行動6,租税 条約の濫用防止規定の普及です。

わが国の租税条約の濫用防止規定については,

本格的には日米租税条約(平成16年)の全面改 正の際に規定されました。濫用防止規定とは,

どのようなものかと言うと,A 国と B 国の間 に租税条約があります。A 国の企業から B 国

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