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スライド11

みんなで手分けしてやると。外来抗がん剤治療です。

 でも,ご存じのように,チーム医療というのは,

人が潤沢にいるからできる。アメリカの病院へ行っ た方はおわかりでしょうが,非常にいっぱい人がい る。日本みたいに1人の外科医が救急も緩和ケアも,

なんてやっていません。日本だと下手すると麻酔ま でやっている。「あんたが麻酔したら,ますい んじ ゃないの」ですね。皆さんもこんな話をここで聞く とは思っていなかったので,ちょっとびっくりされ た方もいるみたいですが,そういうことです。

 つまり,チーム医療といっても,日本では人がい ないから,できない。人がいないでチーム医療をす ると,赤影・青影状態,分身の術。子どものとき,

赤影,青影とやっていたのは,このためだったのか と妙に納得する自分が寂しいですね。

●人は誰でも間違える――真の安全向上を

 しかも,人が潤沢なアメリカで働いているこの方 が,日本に来て講演でおっしゃいました。安全に行 うためにアメリカでは処方箋を医者には書かせない,

忙しい医者が書くと必ず間違えるからだ,と。この ことを四国で話したとき,四国がんセンターの先生 が,「それはうらやましいを通り過ぎて,うらやまピ ーだね」と言ったのが,今でも忘れられません。

 日本には専門医が大体いないんですよ。当直明け もない。勉強する時間もない。そして抗がん剤治療 をやらなきゃいけない。だって紹介したくても,紹 介する人がいないのだから。だけど患者さんは抗が ん剤治療をしたいと言う。本当はそこで断ってしま えばいいのでしょうが,今,それでなくてもいろい ろあるでしょう。推奨するレジメンなんて,そんな ことを下手に決めてくれるな,やめてくれよ,と。

薬屋さんのために働いているんじゃないんだから,

という感じです。

 (スライド113)アメリカが多くの医療事故を 分析して,こういう体制をつくったのは,なぜか。

それは,「人は誰でも間違える」からです。専門でも なく,寝る時間もなければ,間違えるのは 当たり 前田のクラッカー でしょう。それなのに日本では,

福島県の大野病院の医師が逮捕されたんです。

 そして今,これだけきつい状況を放っておいて,

刑事罰を加えるような法律を決めようとしているん ですよ。おかちくない? 幼稚園ちぇい でもわかる よ,っていうの。KY ――空気読めないってやつで すよね。そんなことをしたら,若手の医者が厳しい

ところで働くと思いますか,皆さん。 The KY と いう感じですね。

●精神論ではなく,人と経済の裏づけが必要

 (スライド1)だから日本はまさに,二百三高地,

ガダルカナル島,女工哀史,蟹工船,おしん,硫黄 島からの手紙です。つまり,精神論。戦争中はこれ で失敗した。兵站,弾も食い物もないまま,精神論 だけで勝て,と。トカゲを捕まえて食いながら,弾 もないのに,勝てるわけないですよね。

 今も同じです。安全な医療体制を,人・経済の裏

スライド12

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スライド13

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づけもないまま精神論でやれ,と。やめて くれよっていうんですよ。医療が崩壊して しまっていいの? 本当に崩壊してしまっ てから「ほうかい 」なんて言うのはやめて よ,と。

●日本と世界の医師数の乖離

 (スライド1)これは日本と世界の医師 数がどんどん乖離しているというデータで すが,これを医療事故調と関連して見てみ ると面白いのです。

 1973年,1県1医科大学ができたけれど,

OECD平均医師数と日本の医師数がどんど ん乖離しています。この乖離しているとき に,医師数を抑制しようと閣議決定した。

この背景にあるのは医療費抑制ということは皆さん ご存じのとおりです。医療費亡国論,それでまたど んどん乖離していって,乖離がこれだけ大きくなっ たときに,医療事故報道が増加したわけで,これは 痛かった。その後さらに乖離が進んでいったところ で,やっと医師不足報道が増えてきた。医師不足報 道が増加した頃に卒後研修制度が導入された。遅い んですよ。

 それで福島県の大野病院産婦人科のことが起きて,

そして今,医療事故調成立かどうかって,おかち

く ない? 優先順位が違うんじゃないの? 見直すと ころが違うんじゃないの? 本当に日本の医療を崩 壊させちゃうつもり? 日本の医療が崩壊すると喜 ぶところもいっぱいあるんですよ。医療費抑制した いところもあるでしょ。あえてどこだと言いません

けれど,それに医療者が加担しては駄目ですよ,本 当に。

●現状のまま医療事故調導入では,医療崩壊必至

  医師絶対数不足による過重労働,低医療費によ る劣悪待遇を放置して,事故調導入賛成では医療崩 壊は必至 。だから私も,必死なんです。

 (スライド1)例えば,m3.comというところでア ンケートを取ると,厚労省案ではなくて,民主党案 支持派が多数,厚労省案の3倍です。こういう若手 の現役の話を聞いてもらいたい。私も昨日,日本医 師会の勤務医委員会に呼ばれて話してきたのですが,

私を呼ぶ以上は忌憚ないことを言っていいだろうと 思ったので,もう捕まらない立場の人がこれに賛成 するのはやめて,と言ってきました。やはり現場の 話を聞いて導入しないとまずい。崩壊してしまって

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スライド15

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スライド16

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からどうするんだ,という話をし てきました。

 (スライド1)これはWHOのガ イドラインですが,そこには,

Non-punitive(報告の結果,処罰を 受ける恐れを持たないようにすべ き)とある。要は,日本の今の医 療事故調みたいなのは駄目ですよ ということを,WHOのガイドラ インでも訴えている。これは世界 の常識なんですよ,人は間違える のだから。だから,間違えないよ うに,ちゃんと余裕を持って働か せなさい,勉強させなさいという のが世界の常識。日本のような医 療事故調をやっているところはな い。このことだけは,ぜひここで 強調しておきたいと思います。

 そうしないと病院が潰れてしま う。病院を潰すなと言うけれど,

内側から潰れるということもある。

外からの圧力もあるけど,医者が いなくなったら潰れますからね。

■医療者が「国を医す」気概

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