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蠍 靴
鳥取大学教育学部研究報告
教育科学
第 37巻
第
1号
(1995)藝
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図18
172
渡部昭男:日本における盲 。聾・ 養護学校の位置的統合7人 )を
設置 した。同年度 にはスクールバ ス「たんぽぽ号」の運行 を開始 し,1971年
度か らは市立 西中原中学校分教室 (75条学級)と
して中学部 を併設 した。1974年度 には一部児童 を移籍 して稲 田 小学校分教室 を併設 し,1976年
度 に大戸小学校か ら稲 田小学校 (多摩 区)に
正式 に分離移転 した。さらに1978年度 には
,東
桜本小学校 (川崎区)に 3番
目の「たんぽぽ学級」 を開設 した (大戸小学 校か らも1979年度 には正式 に移籍)。 そして1991年度 には,麻
生小学校 (麻生 区)に 4番
目の「たん ぽぽ学級」を開設 してい る。一方,1981年
度限 りで中学部 は閉級 した (現在,「たんぽぽ学級」卒業 後 は障害種別 に応 じて市立お よび県立養護学校 の中学部 に進学 してい る)。(敷地・ 校舎 の配置〉(図 18)
大戸小学校「たんぽぽ学級」 を例 に とって見 る と
,19e3年
度 に現在 の新校合が竣工 し,小
学校 の 他 の校舎 と渡 り廊下で接続す る形で相対的 に独立 したフロア(C棟 1階
部分),玄
関,門 ,プ
ール,スクールバス
(2台 ),車
庫 な どを整備 している。同学級 は
,1993年
度現在で小学校1〜 6年
生 の計31人,障
害種別 の6学
級 (「精神薄弱」,肢
体不 自由,情
緒障害,難
聴,言
語障害,身
体虚弱)とこ■担任(他に小学校 として2養
護教諭)・6介
助員,2運
転手・2添
乗員である (大戸小学校全体で は児童数698人・ 教員数39人)。 養護学校 の教職員定 数 よりも不利 になる分 を川崎市独 自に介助職員等 の加配 を行 つている。教員組織 は小学校 として統 括 されているが,「たんぽぽ学級」としての教職員控 え室が設 けられ,学
級主任がおかれている。職 員会議 は週2回 (火・ 金曜 日)力Mヽ学校全体で,他
(月・水 。木曜 日)は
学級独 自で もたれている。〈日常的および計画的な交流〉
大戸小学校では,「たんぽぽ学級児童 との交流や協力面 をいっそう充実 し
,思
いや りの心や態度 の 育成 につ とめる」 として,交
流教育 を学校教育 の「重点」に位置づ けてい る。交流 には,以
下 のような主 に5つの取 り組 みがある。
第一 は
,大
戸小学校 の3年
生 との交流である。休 み時間に3年
生の各 クラス(3学
級)の
児童が「たんぽぽ学級」に来て
, 3年
生が遊 びを企画 して,「たんぽぽ学級」担任が それの補佐 をす る(各 クラス年10回程度でその内3回
は給食 を一緒 に食べ る,延
べ30回)。3年
生 との交流が設定 されてい ない日には, 1〜 6年
生が 自発的 に遊 びに来 る。第二 は
,自
然教室・修学旅行への参加である。5年
生 は2泊 3日 の自然教室があ り,「たんぽぽ学 級」5年
生 も参加す る (担任 または指導員が付 き添 った上で,原
則 として5年
生 の各班 に入 って一緒の行動をする
)。6年 生は 1泊
2日の修学旅行
(日光 )が あり ,こ れにも参加する
(宿泊は 6年 生
の各班 に入 るが
,見
学が無理 な場合 は別行動 をとる)。`
第二 は
,学
校行事への参加 である。小学校 として実施 され る行事 の内,入
学式・始業式・修業式 。 卒業式・学芸会・運動会 に参加す る (始業式・修業式 は登校バスの時間 を見計 らって実施)。 全校遠 足 には,学
級のスクールバスで送迎 し,現
地で は担任が付 き添 つて小学生 と一緒 に行動す る。演劇 教室や音楽会 は内容 によって参加す る。第四 は
,中
学生 との交流である(年2回,西
原中学校)。 ブラスバ ン ド部,体
操部,バ
トン部,新
体操部 な どが本校体育館で演技 をし,「たんぽぽ学級」児童 と共 に遊 んだ り食事 をす る。
第五 は
,他
校 との交流である。川崎市障害児教育研究会主催 の「卒業 と進級 を祝 う会」,ナ│1崎市立 小学校障害児教育研究会主催 の合同運動会 に参加す る。以上
,位
置的統合 の試行例 の内,群
馬大学教育学部附属養護学校,横
浜市方式お よび川崎市方式 は,位
置的統合 を行 う背景 に教育的統合への志向 と実践があ り,大
いに注 目された。 なお,厳
密 に鳥取大学教育学部研究報告
教育科学
第37巻
第
1号 (1995) 173
は
,形
態的に位置的統合であった として も,教
育的統合 の一環 に位置づ けら絶ていない場合 には「位 置的統合」 に含 めない方が妥当であろう。Ⅲ・ 位 置 的 統 合 の 実 践 的 課 題
1.位
置的統合の概念日本 における位置的統合 の実践的課題 を明 らかにす る前 に
,ま
ず は欧米 における位置的統合 の概 念 を「locational integration」 (イギ リス)お
よび「lokalintegrering」 (スウェーデン
)に
ついて整理 してお こう。
(1)イ
こギリスとこおとする「locational integration」
イギ リスにおいては
,1973年
に「′い身障害児(青年)の教育 に関す る調査委員会」 (Committee of Enquiry into the Education of Handicapped Children and Young People)が 政府 の諮FH3を受 けて 設置 され,イ
ングラン ド,ス
コッ トラン ドおよびウェールズにお ける心身障害児 (青年)の
ための 教育施策 のあ り方が検討 された。同委員会 は1978年 に『特別 な教育的ニーズ』(Special EducationalNeeds)と
題す る答 申 (通称 。ウォーノック報告)を
公 にした。同報告 は
,従
来 の障害種別 によリカテゴライズ された「特殊教育」 に対 して,特
別 な教育 的ニー ズ (Special Educational Needs)に 応 じた特別 な教育的措置 (Special EducationaI Provision) を新 たに提起 し,教
育的統合の促進 とともに,お
よそ6人
に1人
(特定 の時期 に限れば5人
に1人
)が特別 な教育的ニーズを有 しているとして施策 の拡充 を提言 していた。 ウォーノック報告の諸勧告 は
,そ
の後1980年に同報告 を大筋 において認 めた政府 白書 (イ ングラン ドおよびウェールズに関 し ては『Special Neeh in Education』,ス
コッ トラン ドに関 しては『Special Educational Needs in Scotland』 )が公表 され,そ
れ らを受 けてさらに1981年教育法 として法制化 され,1983年
4月よ り施 行 されている。i
そのウォーノック報告 は,「第
7章
通常の学校 にお ける特別 な教育」において,イ
ンテグ レーシ ョンを位置的統合(locational integration),社 交的統合(social integration),機能的統合(functional integration)の 3つの主要な段階 に形態区分 している21ち そして, 3つ
の形態の関連 において とらえることによって
,イ
ンテグレーションの本質 な らびにその効果的な実施方法 を論 じる際 に役立つ 枠組 みを提示 しうるとしている。位置的統合 とい うの は,「特別 な教育的措置」の物理的配置 に関連 してお り
,特
別 なユニ ッ トや学 級が通常 の学校 の中にある場合,お
よび特別 な学校 と通常 の学校が同 じ敷地内に設置 されてい る場 合 に生 じる。社交的統合 とい うのは,特
別 な学級 またはユニ ッ トの子 どもが他 の子 どもたち と食事 をした り,遊
んだ り,関
わった りす る場合,お
よび教室外活動 に ともに取 り組む場合 な どに生 じる。機能的統合 とい うのは
,特
別 なエーズを有す る子 どもが フルタイム またはパー トタイムで通常 の学 級の教育諸活動 に参加 す る場合である。インテグレー ションの度合 いは位置的統合<社
交的統合<
機能的統合の順で段階的に高 くな り
,機
能的統合がインテグレーションの最 も完全な形態である と する。統合 の度合いが低い とはいえ
,位
置的統合 はイ ンテグレーシ ョンの重要な一形態 として位置づ け られてお り,実
施すべ き価値 を有 した もの と見 なされている。 よ り具体的には,次
のように述べ ら れている。「特別 なユニ ッ トまたは学級 に通 う子 どもたちの場合
,両
親 は自分の子 どもたちが通常の学校 に通\
174
渡部昭男:日本における盲・ 聾・養護学校の位置的統合うとい うその事実だけで元気づ けられ るものである。障害 (または重い困難
)を
持 つ子 どもが年齢 の近い兄弟姉妹 と同 じ学校 に通 えるようにす ることは,良
い ことである。 さらに,通
常 の学級 の子 どもたちに とって特別 なニーズを持つ子 どもたちを知 る機会が あ り,ま
た障害児 に とって も同年齢 の子 どもたちの振 る舞いを見 る機会があることは,良
い ことである。 こうした ことは,通
常の教育 と特別 な教育 の双方の配慮 された建物配置計画 によって促進 しうる。重度障害児の統合が進 んでい るとしばしば引 き合 いに出されるスウェーデンにおいては,我
々の視察 によれば,多
くのケースが 主 に位置的統合 の形態なのである。幾つかの特別学級 は,位
置的 に統合 している以外 は全 てにおい て,実
際上 は学校 の中で区分 されていることもある。 しか し,想
像的 に設計 され組織 された特別学 級 は障害児お よび非障害児 に相互 に親 し くなる機会 を提供す るのであ り,完
全な統合 に向けた第一 段階 と見 なす ことがで きる。 こうした利点 は,特
別 な学校が通常の学校 と同 じ敷地内にある場合 にも得 うるものである。21)」
ウォーノック報告の概念整理 に基づ けば
,日
本 にお ける教育的統合 の試みの内,統
合教育 は機能 的統合 に含 まれ,交
流教育 は機能的統合 の一部お よび社交的統合 に属す る。そして,位
置的統合へ の着 目が弱かった ことに気づかされ る。(2)ス
ウェーデンにお ける「lokalintegrering」ウォーノック報告 において も言及 されたスウェーデンにおいては
,あ
らゆる人々が一緒 に普通 に 生活で きることを目指すノーマライゼーシ ョンが基調 にあって,そ
の具体化の一手段 として学校教 育 にお けるインテグレー ションが推進 されている。スウェーデンにおける教育的統合には,通常の学級 に個々に統合する個別的統合(indi dualintegrer‐
illg)お よび敷地や建物 を統合す る位置的統合 (lokalintegrering)の主 に2つの形態があ り
,個
別的 統合 はその統合の度合 いの高 さ故 に完全統合 (helintegrering)と も呼 ばれる2り。知的障害以外 で は 個別的統合が一般的であるが,知 的障害の場合 にはその教育的統合 の大多数が位置的統合 を指す23ちこの位置的統合 は
,以
前か ら試行 されていた ものが,1961年
に学校教育庁か ら特別学校 を設置す るにあたって は通常の学校敷地内に設置す るよう求 める通達が出された ことにより促進 され,今
日 で は同一敷地内に独立校舎 を建 てるので はな く,数
学級単位で通常学校校舎内に付設す ることが望ましい とされているとい う2つ。
なお
,分
離教育<位
置的統合<個
別的統合 と序列化 して段階的に とらえるので はな く,物
理 的統合(physical integration)の側面
,機
能的統合(functional integration)の 側面,社
会的統合(social integration)の 側面,地
域社会的統合 (sociatal integration)の側面 という4つの側面か ら総合的に統合 の進展状況 をチェックしようとす る視点 も提起 されている25ちこの視点に立てば,完全 な統合 に向けた第一段階 としてで はな く
,位
置的統合 は物理的統合 としてイ ンテグレーシ ョンの不可欠 な 側面 をなす位置づ けとなる。2.位
置的統合 に対す る教育委員会の意向日本 で は