• 検索結果がありません。

π に関する式の収束の速さ 115

ドキュメント内 π (ページ 120-125)

今までπに関する公式をさまざまな視点から導出してきた。この章では、それらのπの 公式を用いて、実際にπの近似値を求めてみることにする。そうすることで、それぞれの 式を見比べどの式が収束が速いかということも分かる。ここで、収束が速いというのは、例 えば、無限級数の場合、第n部分和をn= 0,1,2,· · ·の順に求めて行ったときに、なるべ く小さいnπの真の値に近づくことをいう。注意すべきことは、必ずしも収束が速いと その式が良い近似を表す式というのではないことである。なぜなら、それぞれの式によっ て計算方法が異なり、例えば、その公式が足し算だけであるとそれは比較的速く値が求ま るが、掛け算や累乗が複雑に入り組んだ式になると、計算に手間がかかり、その分計算速 度が遅くなるからである。ここでは、これらの計算は、Excelにまかせてあるが、計算機に おいてもこのような計算内容の違いによって計算速度の違いが生じる。つまり、このよう な計算で要求される式は、なるべく計算が簡単で、なおかつ収束が早い式なのである。た だし、ここではそのような計算内容の速度については触れずに、単に項が少ないほど収束 が速いということについてを述べた。

上で述べたとおり、計算はExcelで行い、その結果はExcelが計算できる最大の項数と 計算桁数によった。つまり、それぞれの式にnを小さい順から数項代入した結果を記し、

65535項に近いn= 65530までに円周率が小数点以下第9位まで求められたものは、その

最初の項数を、そこまでに求められなかったものは、n= 65530のときの値を記した。な お、計算が複雑で途中で計算機が破綻したものは、求められた最大の項数とその値を記し てある。

6.1 第 1 章より

Archimedes の方法

an+1= 2anbn

an+bn  bn+1=p an+1bn a0= 2

3  b0= 3 これらの漸化式からanbnを求めると、次のようになる。

n 0 1 2 3 4 16

N= 6·2n 6 12 24 48 96 393216

an 3.464102 3.215390 3.159660 3.146086 3.142715 3.141592654 bn 3.000000 3.105828 3.132628 3.139350 3.141031 3.141592654

この表から、このArchimedesの方法は円周率のかなりよい近似を表している。実際、n= 4 のときの値から円周率の小数第二位までの値は3.14ということが分かる。

6.2 第 2 章より

Vi` ete の無限乗積の公式

Vi`eteの公式

2 π =

r1 2

s 1 2+1

2 r1

2 vu ut1

2 +1 2

s 1 2 +1

2 r1

2· · · は、

v1= r1

2,  n >1のとき、vn = r1

2(1 +vn−1) であるとき、

2 π = lim

n→∞(v1v2· · ·vn) と表せるので、

π= lim

n→∞

2 (v1v2· · ·vn) となる。この式から値を求めると、次のようになる。

n 1 2 3 4 16

2/v1v2· · ·vn 2.28427 3.061467 3.121445 3.136548 3.141592653 比較的収束は速い。

Wallis の公式

π 2 =

Y

n=1

4n2

4n21 =2·2 1·3·4·4

3·5· 6·6 5·7· · · この無限乗積から値を求めると、次のようになる。

n 1 2 3 4 65530

2Qn

k=1 4k2

4k2−1 2.666667 2.844444 2.925714 2.972154 3.141580668 収束は遅いことが分かる。

π とコイン投げ

π= lim

n→∞

24n(n!)4 n{(2n)!}2 この式を用いて値を求めると、次のようになる。

n 1 2 3 4 48

24n(n!)4

n{(2n)!}2 4.000000 3.555556 3.413333 3.343673 3.157997503

Gregory と Leibniz の公式

π

4 = 11 3 +1

5− · · ·+ (−1)n−1 1

2n1 +· · · この式を用いて値を求めると、次のようになる。

n 1 2 3 4 65530

4Pn

k=1(−1)k−12k−11 4.000000 2.666667 3.466667 2.895238 3.141577393 収束は非常に遅い。

Euler による arctan の展開

π 4 =1

2 X

n=0

22n(n!)2 (2n+ 1)!

µ1 2

n

ゆえに、

π= 2 X

n=0

2n(n!)2 (2n+ 1)!

この式を用いて値を求めると、次のようになる。

n 0 1 2 3 32

2Pn

k=0 2k(k!)2

(2k+1)! 2.000000 2.666667 2.933333 3.047619 3.141592654 この式は収束が速く、100項で小数点以下30桁を求めることができる。

Newton の arcsin の展開

π 3 =

X

n=0

(2n)!

24n(n!)2(2n+ 1) よって、

π= X

n=0

3(2n)!

24n(n!)2(2n+ 1) となる。この式を用いて値を求めると、次のようになる。

n 0 1 2 3 13 2Pn

k=0 3(2k)!

24k(k!)2(2k+1) 3.000000 3.125000 3.139063 3.141155 3.141592654 この式はさらに収束が速く、50項で小数点以下30桁までを求めることができる。

Brouncker の公式

4

π = 1 + 1

2 + 9

2 + 25

2 + 49 2 +· · ·

この連分数の収束は、計算の桁が急激に大きくなるので計算ができなかった。

Bailey,Borwein,Plouffe の公式

π= X

n=0

1 16n

µ 4

8n+ 1 2

8n+ 4 1

8n+ 5 1 8n+ 6

この式を用いて値を求めると、次のようになる。

n 0 1 2 3 6

Pn

k=0 1

16k(· · · 3.133333 3.141422 3.141587 3.141592458 3.141592654 また、同じ方法で求めた式で、

π= X

n=0

(−1)n 4n

µ 2

4n+ 1 + 2

4n+ 2 + 1 4n+ 3

この式を用いて値を求めると、次のようになる。

n 0 1 2 3 14

Pn

k=0 (−1)k

4k (· · · 3.333333 3.114286 3.146356 3.140679 3.141592654 この式は上の式ほどではないが、それでも収束がかなり速い。

6.3 第 3 章より

ゼータ関数

ζ(s) = X

n=1

1

ns (s >1) について、有名なのは、Eulerの式

ζ(2) = X

n=1

1

n2 = 1 +1 4 +1

9· · ·+ 1

n2 +· · ·=π2 6 である。この式を用いて値を求めると、次のようになる。

n 1 2 3 4 65535 Pn

k=1 1

k2 2.449490 2.738613 2.857738 2.922613 3.141578081 収束は遅い。また、ζ(4)についても

ζ(4) = X

n=1

1

n4 = 1 + 1 24 + 1

34· · ·+ 1

n4 +· · ·=π4 90 である。この式を用いて値を求めると、次のようになる。

n 1 2 3 4 1391

Pn

k=1 1

k4 3.080070 3.127108 3.136152 3.138998 3.141592654 収束は速い。

同じゼータ関数でも、ζ(2)とζ(4)ではかなり収束の速さが違う。

ζ(6)についても

6.4 まとめ

以上Excelで計算した中で、小数点以下第9位まで求まったものは、

1.Archimedesの方法(n=16) 2.Vi`eteの無限乗積の公式(n=16) 7.Eulerによるarctanの展開(n=32) 8.Newtonのarcsinの展開(n=13) 10.Bailey,Borwein,Plouffeの公式(n=6) それを改良した公式(n=14)

11.ゼータ関数 ζ(4)(n=1391)

これを見てもArchimedes(紀元前)の方法がいかにすぐれていたかが分かる。

ドキュメント内 π (ページ 120-125)

関連したドキュメント