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Academic year: 2025

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WEB ブラウザーを用いたコンカレント対戦型ゲームの実装と評価

環境情報学部3年: 高橋俊成 (seibe) 所属: Arch 親: sora

1 はじめに

2014年10月、ついにW3CによってHTML5が 勧告された。WEB標準は大きく変貌を遂げ、WEB アプリケーションを構築するフォーマットとなり、

多様な入力や通信方式を備えた。既にあらゆる WEBサービスはHTML5に対応し、またモバイル アプリケーションもHTML5 によって構築された ものが数多く存在している。しかしながら、未だに 殆どのオンラインゲーム(特にアクションやスポ ーツ等、コンカレント対戦型のゲーム)はWEBブ ラウザーではなく、専用クライアントソフトウェ アを利用している。これは、応答性や整合性、公平 性など、オンラインゲーム特有の厳しい実装要件 が理由と考えられる。筆者は、HTML5やその周辺 技術によって、専用クライアントやプラグインに 頼らずとも高度なオンラインゲームが構築可能な 環境が整ったと考える。そこで本研究では、現在の WEB標準技術のみで、コンカレント対戦に耐えう る応答性、整合性、公平性が実現可能であるかどう かを確認すべく、実際にゲームを実装する。

2 定義

コンカレント対戦を、「各プレイヤーが同時並行 的(コンカレント)に操作する」対戦方式と定義す る。一般的にリアルタイム制と呼ばれる対戦方式 と同義だが、リアルタイム=実時間だと語弊が生 じるので、この言い回しとした。ターン制のような

「各プレイヤーに一定の順序でターンが回り、タ ーンプレイヤーが操作する」対戦方式と対になる。

3 研究背景

HTML5の策定。マウス、物理キー、タッチパネ

ル。スマホ、タブレット。NUI (五感と親和性の高 いUI)の普及で、操作体験に劇的な変化。WEB標 準技術も例外でなく、HTML5の策定で、WEBア プリを構築するための多様な入力や通信方式を備 えるフォーマットへと変貌した。

4 既存研究

コンカレント対戦型ゲームの構築においては、

しばしば次の3つが問題とされる。

* 応答性

* 整合性

* 公平性

応答性とは、プレイヤーの操作がゲーム進行に反 映される早さをさす。応答性が高いほど、プレイヤ ーの操作がゲームに即座に反映される。人間は、自 分で意図した動作であれば 10~20 ミリ秒弱のレ ベルで、その他の動作でも 100ミリ秒のレベルで 動きを見分けることができるとされる [1]。このた め、コンカレント対戦のような高い応答性が求め られるゲームでは、プレイヤー自身の操作に対し ては60fps(16ミリ秒以下)の応答性が、その他の要 素については10fps(100ミリ秒以下)の応答性が求 められる。応答性を下げる原因として、描画遅延や 入力遅延、クライアント間の通信遅延が挙げられ る。

応答性を上げる工夫として、Ajax 通信や P2P 通 信、事前ダウンロード、キャッシュ、座標情報の相 補予測、対戦相手の地理的マッチングなどが存在 する。

整合性とは、各ゲームクライアントにおいて、そ のデータが間違いなく同期されていることをさす。

整合性が低いと、ゲームクライアントによってゲ

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ーム進行や表示に差異が生じ、ゲームの公平性を 崩し、最悪の場合ゲームの進行そのものが不可能 になる。整合性を下げる原因として、クライアント 間の通信遅延が挙げられる。整合性を上げる工夫 として、座標情報の相補予測などが存在する。

公平性とは、各プレイヤー間での認知、判断、操 作の平等さをさす。応答性や整合性が低いと、一方 のプレイヤーの認知、判断材料が不利になったり、

操作が思い通りに反映されなかったり等の現象を 発生させる。

また、プレイヤー同士で異なる操作がほぼ同時に 発生した場合、データの不整合を防ぐためにどち らかの操作結果を破棄せざるを得なくなるが、審 判処理によっては公平性が損なわれる。

公平性を下げる原因として、描画遅延や入力遅延、

クライアント間の通信遅延、ゲームサーバーの審 判処理のチューニング不足が挙げられる。

公平性を上げる工夫として、調停役の設置、方式選 択の原則(プレイヤーの満足感が多くなる方向で 選択をする)などが存在する。

これらは全て重要な指標ではあるが、そもそも 共有する情報の取り扱い(表示や操作)によってプ レイヤーの体験は大きく変化する。実際にコンカ レント対戦型ゲームを実装し、検証を繰り返すこ とで、成立条件をリストアップする。

5 設計

スピードは、場のカードと隣り合ったカード 次々と出していき、相手よりも早く自分の手札を なくすことを目的とする2 人対戦ゲーム。瞬間的 な判断力と体力を必要とするコンカレントな対戦 ルールでありながら、トランプカードというシン プルな仕組みで遊べる(≒実装が比較的容易)とい う点を評価した。性能と実装難度のバランスから、

C/S型(リフレクト型)を採用する。Webアプリケ ーションとして実装。共有情報をWebSocketで同

期する。

ゲームの進行管理はクライアント側で行う。

サーバーは通信の仲介だけで、通信内容のチェッ クは行わない。

6 実装と評価

実装したWebアプリケーションでの対戦と、リ アルなトランプカードを用いて対戦した場合とで プレイ内容を比較し、コンカレントな対戦が成立 しているかどうかを検証する。評価に用いる測定 項目として、以下を検討している。

* 通信遅延

* 描画遅延

* 一定時間当たりのアクション数

* プレイ時間全体に占めるコンカレントな操作 の割合

など。

7 今後の計画

クライアントのバグ修正、ゲームサーバーの実 装、RPCの改善に取り組む。コンカレント対戦を 実現する共有情報の抽出と反映に全力を注ぐ。

8 参考文献

[1] 中嶋謙互, “オンラインゲームを支える技術: 壮大なプレイ空間の舞台裏,”技術評論社, 2011.

[2] 河野義広, 宮田昌廣, 塙大, 米倉達広, “Dead Reckoningを用いたリアルタイムWebゲームの 設 計 と 評 価,” 電 子 情 報 通 信 学 会 論 文 誌 D, vol.J91-D, no.12, pp.2833-2843, 2008.

[3] 笹本綾子, 米倉達広, “遅延を予測したリアル タイムネットワーク対戦ゲームの試作,” 2001 年電子情報通信学会総合大会講演論文集 基礎・

境界, 電子情報通信学会, 2001.

参照

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