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上智大学 網倉ゼミナール卒業論文

松屋の”プレミアム牛めし”は プレミアム化に成功するか

A1142250 経済学部経営学科 4 年 阿部ともみ 2015/01/15

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1 目次

Ⅰ.はじめに

Ⅱ.基本情報 1.プレミアムの定義 (1)プレミアムとは何か

(2)「プレミアム化に成功する」とはどういうことか 2.松屋について

3.牛丼業界のこれまで

Ⅲ.仮説と検証

仮説1 松屋のプレミアム牛めしはプレミアムとして成功する要素を持っているのか

検証1-1 プレミアム牛丼の機能的価値

検証1-2 4Pによる分析

仮説2 高価格化戦略により、顧客数が減少し売上高が下がるのではないか

検証2 価格弾力性による分析

Ⅳ.結論

Ⅴ. 松屋の今後の可能性

Ⅵ. 最後に

Ⅶ. 参考文献

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Ⅰ.はじめに

昨今、「プレミアム」という名を冠する商品が巷にあふれている。また、商品名に「プレミアム」という言葉 が付かずとも「本物」「特別」「上質」など、「プレミアム」の性質を強調する製品は私たちの生活に広く浸 透してきているように思える。たとえば私たち(特に女子)に馴染みあるコンビニスイーツの分野では、従 来のコンビニで売られていたスイーツよりも材料や味の質を追求した「プレミアムロールケーキ」をローソ ンが発売し、成功を収めたのは記憶に新しい。菓子や飲料などといった食品業界では昨今「大人の○

○」「リッチ○○」「プレミアム○○」といった従来の製品ラインとは一線を画した「プレミアム商品」が増え てきており、まさに「プレミアムの洪水」が起こっているといっても過言ではない。

そしてその波は牛丼業界にもやってきた。私は一週間に一度くらいの頻度で無性に牛丼が食べたくな る日があるのだが、そんなある日、昼食時に立ち寄った松屋の券売機で“牛めし”が無いことに気付いた。

その代わりに、見慣れない“プレミアム牛めし”のボタンが並んでいる。私が買いたいのは 380 円もする プレミアム牛めしではなく普通の290円の牛めしだったのだが、それ以外は普通の牛丼が見当たらなか ったのでプレミアム牛めしを購入した。松屋のこれまでの“牛めし”という看板商品をなくして“プレミアム 牛めし”に一本化するという大胆な戦略を知ったのは、その後のことだった。「プレミアム商品」について それまで立ち止まって考えたことは無かったが、この一件で私はその波がこんなにも大きくなっているこ とを改めて実感した。

そして私は疑問に思った。幾度となく低価格戦争を繰り返してきた牛丼業界というマーケットにおいて、

突如現れた”プレミアム牛丼”。果たしてこの”プレミアム牛丼”は、本当の意味でプレミアムといえるのだ ろうか?プレミアムモルツやハーゲンダッツのように、プレミアム商品として成功することができるのだろう か。”牛めし”がなくなって”プレミアム牛めし”になったということは、もしかしてこれは、ただの松屋の値 上げの口実なのではないか...?

この疑問について考察するため、本論では、牛丼業界における“牛丼(並)”の価格に注目し、まず牛 丼業界がこれまで辿ってきた価格競争の経緯を明らかにすることから始める。次に、自身が感じた疑問 をもとに立てた 2 つの仮説を検証する。検証 1 では、”プレミアム牛めし”そのものを分析し、検証2 で は、”プレミアム牛めし”に対する消費者の反応を松屋フーズのIR情報から分析する。そしてこれらの仮 説・検証から導き出された結論を踏まえ、松屋のプレミアム牛めしがプレミアム化に成功する可能性につ いて検討していきたいと思う。

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Ⅱ.基本情報

1.プレミアムの定義

(1)プレミアムとは何か

まず、プレミアムとは何かという具体的な定義をするところから始めたい。広辞苑(第6版)(2008,p2500)

では、

プレミアム

①割増金、手数料、権利金

②打歩(貨幣・外国為替・株式などについて生ずる割増価格)

③商品につける景品

となっている。ここでは我々が普段使っているイメージとは多少異なり、金融用語としての用法が主であ る。

遠藤(2007)によれば、「プレミアムの語源はラテン語の形容詞“primus”で、“第一番目の”、“もっとも 良い、最良の”という意味である」と指摘しており、「プレミアム」を「プラスアルファの対価を支払ってでも 手に入れたいと思わせる『特別な価値』『プラスアルファの価値』」と定義している。したがって、ここでは 商品単価が安い日常品(食料品や生活用品)であるか、単価の高い高額商品(家や車、ジュエリーなど)

であるかは問題ではないとしている。(p.80)

また、大崎(2010)は「プレミアム商品」を「同一カテゴリー内の他よりも高価格な商品」と定義しており、

高価格の程度に関しては、一般商品と比較し何十倍もするラグジュアリー品(ルイヴィトンのバッグやロレ ックスの時計、フェラーリの車など)は範疇に含めず、概ね3倍程度までのものを対象としている。本論で 扱うテーマは牛丼であり、商品単価が安い最寄品である。本論では、プレミアムの絶対性を強調する遠 藤の定義ではなく、「プレミアム商品」について同カテゴリー内での相対性を強調する大崎(2010)の定 義に準じて進めていくことにしたい。

(2)「プレミアム化に成功する」とはどういうことか

本論の問いでもある「松屋の”プレミアム牛めし”はプレミアム化に成功するか」に用いられている「プ レミアム化の成功」の定義については、ここで考えておく必要があるだろう。本論では、「プレミアム化に 成功している状態」を以下のように定義したい。

「高付加価値の商品づくりを達成し、それに対する価格プレミアムを一定数の顧客が受け入れており、

企業の売上高や利益の拡大に貢献している状態」

よって、本論では松屋が”プレミアム牛めし”の導入によって前述のような状態になるかどうかを結論部 分として位置づけたい。

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4 2.松屋について

・松屋とは

商号 株式会社 松屋フーズ 設立1980年(昭和55年)1月16日 創業1966年(昭和41年)6月

資本金66億5,593万円 2014年(平成26年)3月期

従業員数1,282名 2014年(平成26年)3月末現在 ※連結ベース 売上高789億円 2014年(平成26年)3月期・連結

店舗数1,034店舗(うちFC6店舗) 海外:7店舗2014年(平成26年)3月末現在 事業内容 牛めし定食事業、とんかつ事業、鮨事業、ラーメン事業、外販事業 他、

フランチャイズ形態による飲食店業の技術、および経営指導

松屋フーズ(以下松屋)は、瓦葺利夫が1966年(昭和41年)に東京都練馬区羽沢の住宅街に「中華 飯店 松屋」を開業したことから始まる。会社概要は上記のとおりである(松屋フーズ・ホームページ)。

同業の他社チェーンと比較して、牛めし以外のカレーライスや定食などの比率が高いのが特徴である。

「牛めし」「定食」「カレー」を三本柱としてメニューを構成している。

【図表1】 事業構成比 競合他社との比較

松屋 吉野家 すき家

大手3社の牛丼事業構成比〈単位:%) (JMR生活総合研究所 2014)

松屋の牛丼事業構成比は9割を超えており、競合2社と比較すると圧倒的に高いことがわかる。その ため、牛丼の価格変更のインパクトは他の 2 社に比べて大きいと考えられる。吉野家は牛丼の他にうど ん、すし、レストラン関連の事業を行っており、すき家(ゼンショー)もうどん、すし、ラーメン、コーヒーショ ップなどに加え調味料や青果・生花、ピザクラフトなど多様に事業分野を広げている。ゼンショーは 2014年における日本国内の飲食業総売上高ランキングでも1位となっている。

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5 3.牛丼業界のこれまで

(1)2000年から2003年 第一次価格競争

現在、牛丼業界の売上は上からすき家、吉野家、松屋の順となっている。もともと、吉野家がその歴史 から圧倒的なブランド力を持ち、優位性を発揮していた。しかし2000年代になると価格競争が激化した。

きっかけは松屋が2000年8月、300店舗達成記念として「牛めし(並)」を390円から290円に値下げ したことであった。2001年3月にはすき家が400円から業界最安値の280円に値下げ、吉野家も8 月には通常価格を280円まで値下げした。こうして牛丼業界の3社は280-290円という低価格で三つ巴 となった。このような値下げ低価格化の波にはデフレという時代背景が存在する。マクドナルドがもたらし た1食300円未満の価格破壊が牛丼業界にも連鎖し、外食産業における200円台での顧客争奪戦が 繰り広げられたのだ。

【図表2】 大手3社の「牛丼(並盛)」の価格推移(2000年以降)

(JMR生活総合研究所 2014)

2003年12月に米ワシントン州で発表されたBSE(牛海綿状脳症、一般的には狂牛病)により米国産 牛肉の輸入が全面的に禁止され、この価格競争は一時休戦となる。約半年後、松屋は中国産、すき家 は豪州産牛肉に切り替え販売を再開する。価格はそれぞれ390円、350円である。米国産牛肉に拘っ た吉野家はその2年後に価格380円で販売を再開した。

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(2)2009年から2012年 第二次価格競争

2009年4月、300円台後半で推移していた「牛丼並」の値下げ競争が再開する。ゼンショーグループ の多業態化を通じた拡張路線でバイイングパワーを得たすき家が、350円を330円に値下げしたのが 始まりである。ゼンショーは2005年になか卯を子会社化して松屋を抜いて業界2位となり、2008年度 には店舗数で、2009年度には国内売上高で吉野家を上回り、業界トップになった。松屋がこれに対抗 し2009年12月3日に320円に値下げして最安値となったが、12月7日にすき家がそれを下回る280 円への値下げを実施した。2010年から2011年の2年間はすき家が8回、松屋が7回、期間限定で「牛 丼並」を200円台中盤に値下げするキャンペーン競争が展開されるが徐々にインパクトは薄れ集客効 果は逓減していった。2012年1月に松屋が通常価格を320円から280円に設定したことで、4年ぶり にすき家と最安値で並ぶこととなった。一方で吉野家が2010年9月に発売した低価格メニューの「牛鍋 丼」280円(並盛)は、焼き豆腐やしらたきを入れることで牛肉の量を減らし低価格を実現した商品であ ったが、発売1ヶ月弱で1,000万食を販売し定番商品となる。

【図表3】 大手3社の牛丼事業の売上推移(2001年度以降)

(JMR生活総合研究所 2014)

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(3)2013年から現在 牛鍋戦争からの高価格化

2013年4月、吉野家が再び280円に値下げしたことにより3社の「牛丼並」の価格は横並びになっ た。その後、同年12月に発売された吉野家の「牛すき鍋膳(並盛価格で580円)」がヒットし、女性客も 取り込み、発売6ヵ月で1400万食を超える大人気商品となった。吉野家の成功を受けて、すき家はすき 焼きを約10年ぶりに復活させ、2014年2月14日からすき焼きをメインに据えた鍋商品3商品の全国 販売を始めた。しかしこれが引き金となり、すき家の構造的な問題が露呈した。すき家はコストを下げる ためにぎりぎりの人員しか配置しておらず、深夜帯には1人で勤務する「ワンオペ店」において時間と手 間がかかる鍋商品がメニューに加わったことにより、激務に耐えかねアルバイト店員が大量に辞めた。こ れが一部店舗の閉店につながり、「鍋メニュー」の販売も結局3月末で終了した。一方で松屋は、1月の 一部店舗での試験導入から3月には全店舗の半数以上まで拡大させたが、鍋やコンロなどの器材が揃 わないことや、店舗オペレーションへの影響を懸念して、本格導入には至らなかった。

そして2014年4月からの消費税増税を受け、吉野家と松屋はそれぞれ300円、280円に値上げを 行った。その中ですき家は敢えて270円に値下げを行った。7月には松屋が「プレミアム牛めし」として 380円(関東圏のみ)で牛丼を販売しており、吉野家は12月から380円に値上げ。すき家も結果的に は8月に291円に値上げしている。この背景には消費税の増税のみならず、円安による原材料の輸入 価格高騰も存在している。

【図表4】 2014年牛丼価格の推移

(毎日新聞 20141209日)

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Ⅳ.仮説と検証

<仮説1> 松屋のプレミアム牛めしは、プレミアム商品として成功するために必要な要素に欠けている

のではないだろうか?

「プレミアム」という言葉が商品名に含まれる製品は、じつに幅広い。お菓子やホテル、ビールだけで なく、今や中古車やタイヤ、サービスアパートメントなど様々なところでこの単語を目にすることが出来る。

しかしそれらのすべてが、「プレミアム商品」として顧客の信頼を獲得し、成功を収めているというわけで はない。「プレミアム」の名を持つ商品が急激に増加する一方で、「なんちゃってプレミアム商品」と言わ ざるをえないような商品が販売されていることも事実である。

また、どんなに素晴らしい商品をつくったとしても、それが消費者のニーズに合ったものではなかったり、

価格が高すぎたり、適切なプロモーションが行われなかったとしたら購買行動には結びつかない。

そこで、「松屋のプレミアム牛めしは、プレミアム商品として成功するために必要な要素に欠けているの ではないだろうか?」という疑いをかけ、これを本論における1つ目の仮説としたい。

「プレミアム商品」については、これまでにいくつかの関連研究がなされてきている。本論においては、

主に「プレミアム戦略(遠藤功.2007)」と「プレミアムの法則(大崎孝徳.2010)」から、プレミアム商品にお ける成功要因を抽出し、それらを松屋の“プレミアム牛丼”と照らし合わせることで検証を行うことにする。

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<検証1-1> プレミアム牛めしの機能的価値

「プレミアム商品」の価値構造は主に「機能的価値」と「情緒的価値」の二軸で構成されている。遠藤

(2007)は「プレミアムは機能的価値において圧倒的にレベルの違う価値を消費者に訴求しなければな らない」と主張しており、この点に関しては大崎(2010)においても、「商品のプレミアム化においては機 能的価値を重視し、情緒的価値は付随的、従属的にフォローしていくべきである」と類似した主張が行 われている。

また、プレミアム商品を購入する消費者はその商品にこだわりを持つ層であることが推測される。以下 は経済産業省・製造産業局日用品室が2008年12月に実施した「生活者の感性価値と価格プレミアム に関する意識調査」において、「あなたが特にこだわりを持っている商品を想像してください。商品を購 入する時に、あなたは以下のどの要素を重視しますか?」という質問に答えた結果である(調査対象は 首都圏1都3県・近畿圏2府2県の20歳から60歳までの男女)。

【図表5】 こだわりのある商品を購入する際に重視する要素

(経済産業省・製造産業局日用品室 2008)

商品購入において重視する項目について、「品質の良さ」「機能性の高さ」「デザインの良さ」というプロ ダクトに直接関係する項目が上位3つを占めている。ブランドにかかわる項目であると思われる「作って いる企業が有名であること」は35%程度であり、一般に言われているほど重要度は高くない。このような 現代の消費者のニーズを満たすことができる商品が、プレミアム化に成功すると思われる。

以上のことから、プレミアム商品をプレミアム商品たらしめる要素としてその機能的価値は最重要項目 であるということができるだろう。

品質の良さ(耐久性の高さ/丈夫さ)

機能性の高さ(機能の新しさ/豊富さ)

デザインの良さ 価格の安さ アフターサービスの良さ コンセプトの独自性 商品の希少性(他では手に入らない)

作っている企業が有名であること 商品が流行っていること

50.3 40.9

37 25.9 17.5 10.4 6.1 4.9

2

44 46.9 45.6 49 47.4 33.3 26 32.8 16.1

4.6 9.3 14 17.9 26.6 35.4 28.6

33.3 32.6

1 2.6 2.8 5.6 7.3 17.9 27

19.8 30.3

0.1 0.4 0.6 1.6 1.3 3.1 12.3

9.4 19

(%)

重視する やや重視する どちらともいえない あまり重視しない 重視しない こだわりのある商品を購入する際に重視する要素

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では、本題である松屋のプレミアム牛めしの機能的価値について見ていくことにする。以下、松屋フー ズホームページ「プレミアム牛めし 何がプレミアム?」からの引用である。

チルド牛肉使用

摂氏℃前後の凍結しない程度の温度で冷蔵されていること コールドチェーン

アメリカから国内工場までの物流、工場内での生産、工場から店舗までの物流、店舗での保管まで一 度も凍らせることなくチルド管理されていること

熟成がポイント

肉の柔らかさ、旨み成分を増加させ、プレミアム牛めしに最適な状態にすること

~プレミアム牛めし『6つの特徴』~

1. チルド牛肉は細胞が壊れていないため、旨味成分であるグルタミン酸が肉から流れ出ず、冷凍牛肉 の2.5倍含まれております。

2. 肉を凍結させていないため、 冷凍肉特有の臭みがなく、タレに臭みを消すような成分を配合してお りません。

3. チルド牛肉の食感はふわふわで、舌触りにザラつきがなく滑らかです。

4. 煮ダレは無添加*の天然だしですっきりとした味わいとなっており、後味に自然な旨味を余韻として残 します。

5. プレミアム牛めしとご一緒にご提供させていただく味噌汁も天然だしを利かせた無添加*です。

6. 『黒胡麻焙煎七味』はプレミアム牛めしの旨味を引き出すために、独自配合をしてご提供しておりま す。

(引用元 松屋フーズホームページ)

今までの牛丼業界においては、3社ともに冷凍保存のフローズン肉を使用していた。それを今回、松 屋は低温保存のチルド肉に変更したことが”プレミアム牛めし”の大きなポイントである。このことにより牛 肉の味・匂い・食感が向上しており、2014年07月22付の東洋経済ONLINEでは『ライバルである吉 野家の開発担当者も「試験導入していた吉祥寺の店で食べたが、率直においしかった。肉質が向上し ているのもわかった」と認めている』と書かれている。

また、これは”プレミアム牛めし”に限らず松屋の商品全体に対して言えることだが、化学調味料・合成 着色料・人工甘味料・合成保存料は一切使われておらず、「無添加」を売りにしている。

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<検証1-2> マーケティング・ミックスの視点による検証

これまで、日本で成功したといわれるプレミアム商品の例はいくつかある。それらを対象として行われ た研究「プレミアムの法則」(大崎2010)では、プレミアムの創造および継続の要因に関してマーケティ ング・ミックスの視点から以下のように述べている。

①プロダクト

プレミアム商品開発の重要なポイントは、まずしっかりと消費者を意識して、ニーズを理解したうえで、

それを満たすというレベルではなく、ニーズを土台とし、それに関わるカテゴリーやベクトルを突き詰め、

消費者の想定の範囲を大きく上回るレベルの商品を開発することにあるといえる。

②プライス

マス・プレミアムの範囲においてはある程度の規模の市場に受け入れられなければビジネスとして成 立しない。そのためには、一般的な商品の価格を十分に意識したうえで、消費者へのマーケティング・リ サーチや流通業者からの情報収集などにより、自社のプレミアム商品の付加価値に対して市場が受け 入れることができる上限を見極めなければならない。

③プレイス

直販体制のシステムであれば、つくり手の思いやこだわりなどを、フィルターを通すことなくダイレクトに 顧客に伝えることができ、有利であるといえる。プレミアム商品は消費者に割高な理由を説明する機会 が必要であり、特別なコーナーの設置やPOPなどは消費者に有効に機能するため、流通業者との深 い関係構築は重要なテーマである。

④プロモーション

サントリー”ザ・プレミアム・モルツ”、資生堂”ツバキ”、花王”アジエンス”など、多くのプレミアム商品で、

テレビCMをはじめ、積極的なプロモーションが展開されていた。企業レベルの広告が中心であったパ ン業界においても、単体のプレミアム食パンに特化したテレビCMが行われている。消費者への訴求や イメージづくりにおいて、広告は大きな役割を果たすのであろう。しかしながら、訴求するポイントに関し て、説得力のある根拠がなければ効果的には作用しない。”アジエンス”では「アジア」、”ツバキ”では

「日本」、”プレモル”では「最高の週末を」などがキーワードとなっているが、その根拠となる機能的価値 がしっかりしていることは重要なポイントである。

また、現代の賢い消費者には、お金では買えないパブリシティの効果は絶大であると考えられるが、コ ンセプトが明確でこだわりを持つ商品であるならば、自らは積極的に動かなくとも、新聞や雑誌やテレビ に記事として大きく取り上げられている。顧客に割高な価格に見合う、もしくはそれ以上の価値がある と認めさせることができれば、”口コミ”という強力なプロモーションが起動する可能性は高い。”口コ ミ”が計り知れない効果を生み出す場合も少なくはない。

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では、この4Pの視点を踏まえて松屋のプレミアム牛めしを分析してみようと思う。

①プロダクト

まず、消費者のニーズの把握についてである。松屋フーズの緑川源治社長はプレミアム牛丼発売の 記者会見にて、「顧客から『単価が上がっても良いものを食べたい』との声が多く寄せられ、品質で競争 できる環境が整いつつある」と話した(毎日新聞 2014年07月18日 東京朝刊)。しかし、“プレミアム 牛丼”誕生の背景にはそれとは別に、米国産牛肉輸入に際しての規制緩和が関係している。それまで

「月齢20カ月以下」だった規制が「月齢30カ月以下」へと改訂されたのだ。この大幅緩和によって供給 量が増え牛肉価格は下落すると見られていたが、実際には米国で牛肉の生産量が減り価格は上昇して いたこと、通年での屠畜・生産が可能となり、いつでも牛肉を確保できるようになったことが“プレミアム牛 めし”の誕生につながった。そのため、“プレミアム牛めし”を純粋に顧客のニーズを理解して開発された 商品と理解するのは難しいように思える。

また、「消費者の想定の範囲を大きく上回るレベルの商品」というポイントに関しては満足に達成されて いるとは言えないように感じる。プレミアム牛めしの評判に関しては、「確かに美味しくなったが、100円 の値上げに値するかどうかは疑問」、「吉野家の牛丼に似ている」という声がネット上で多くみられる。「究 極の牛めし。40年この仕事をしているが、こんなにおいしい牛めしは食べたことがない」「別次元のうまさ、

究極の牛めしだ」という緑川社長と消費者の間には多少の温度差を感じる結果である。

②プライス

標準的商品の価格帯に対するプレミアム商品の価格帯に関しては、食パン1.5倍、ビール1.2倍、シ ャンプー1.3~1.5倍、アイスクリーム(ハーゲンダッツ)2倍ということから考えても、プレミアム牛めしの 1.3倍というのは高すぎるとは言えないだろう。

また、性別・世代、世帯年収別の外食(昼食)の1回当たりの支出額をみてみても、”プレミアム牛めし”

の380円という価格は平均を大きく下回っている。(下図参照)

【図表6】 性別・世代、世帯年収別 外食(昼食)の1回当たりの支出額 (単位:円)

(日本政策金融公庫 国民生活事業本部・生活衛生融資部 2013)

③プレイス

ファストフード店である松屋は、メーカー→卸売→小売→消費者という流通経路を辿るビールやシャン プーなどとは違い直販体制のシステムであるため、店頭での“プレミアム牛めし”のプロモーションが可 能である。実際に入口の窓には大々的にポスターが貼られ、カウンター席の卓上にはプレミアム牛めし

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のこだわりが書かれたPOP広告を設置するといったことが行われており、効果的な店頭販売促進が実 施されているといえる。

④プロモーション

松屋は企業レベルの広告ではなく、単体の“プレミアム牛めし“に特化したテレビCMを行っており、こ のことからも松屋がプレミアム牛めしに力を入れていることがわかる。このCMは商品の情緒的価値より も、機能的価値(肉やタレ、調味料の質)を強調した内容になっている。

また、プレミアム化に成功した“プレミアムモルツ”や“ツバキ”などの商品の事例ではテレビCMだけで なく、キャンペーンや体験型イベントなど様々なプロモーション活動を行っており、松屋フーズの“プレミ アム牛めし”のプロモーションはバリエーションが比較的少ない。

<結論1>

検証1-1から、松屋の”プレミアム牛めし”の機能的価値は従来の”牛めし”と比較すると、その程度こ そ数値化することは難しいにしても、確実に向上していることがわかる。冷凍保存のフローズン肉ではな く、低温保存のチルド肉を使用することで他の牛丼(並)との差別化を行っている。

しかし、検証1-2をみてみると、”プレミアム牛めし”はプレミアムの創造および継続の要因の4項目を 十分に満たしているとは言い難い。なぜなら、プロダクトの側面で「消費者の想定の範囲を大きく上回る レベルの商品」づくりを達成できていないことは重要な問題であると考えられるからである。検証1-1でも 述べたように、プレミアム商品の核となる要素はその機能的価値であり、これが「圧倒的にレベルが違う」

という状態でなければ「プレミアム商品」として成功することはできない。

プロモーションの側面でも大崎(2010)が述べるようなレベルでの広告・宣伝は行われていないように 思われるが、これについては、遠藤(2007)がプレミアムはプッシュではなくプルであり、派手な広告・宣 伝は中長期的な観点から見たプレミアムの成功にはつながらないと指摘していることや、派手なプロモ ーションを行わずにプレミアム化に成功した例(プレミアム豆腐の豆太など)が実際に存在するため、一 概に不適当であると述べることはできない。

以上のことを全て踏まえた結果、4Pのうちの3項目プライス、プレイス、プロモーションにおいてはプレ ミアム化の要因を欠如していないようにみられるが、機能的価値を伴うプロダクトの側面において突き抜 けたレベルでの商品を提供していないことが致命的であると考えられるため、「松屋の”プレミアム牛めし”

は、プレミアム商品として成功するために必要な要素を十分に満たしているとは言えない」という結論に 至った。

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<仮説2> 牛めしを廃止し(主に関東1都6県の松屋にて)プレミアム牛めしを販売するという実質的

な値上げは、顧客数を減少させ売上高が低下するのではないだろうか?

松屋フーズは、7月22日に“プレミアム牛めし”の販売を開始した。価格は380円で、関東1都6県 を中心とした621店のみの販売である。プレミアム牛めしの発売に伴い、従来の“牛めし”(290円)は販 売を終了する。つまり、これは事実上の値上げを意味している。多くのプレミアム商品においては、既存 の従来品とプレミアム品が併存して売られているが、松屋の場合は“プレミアム牛めし”の発売を開始し た店舗では、従来の“牛めし”が姿を消す。つまり、松屋ではプレミアム牛めし以外の牛めしは存在しな いことになる。これは300円程度でチープな牛めしを食べたければ、他のチェーンに行くしかないことを 意味する。松屋では全員が、強制的に従来品より30%高い値段を支払わざるを得ない。

松屋フーズの緑川源治社長は「価格だけを見ると値上げだが、(これまでの牛めしとは)まったく別物」

と述べている。しかし、松屋の顧客はそれを望んでいるのだろうか?

ここからは私の想像だが、松屋の顧客はそれほど「味」に重点を置いていないのではないだろうか。と いうより、美味しいものを食べたいときは牛丼チェーンではなく他のお店に行くので、牛丼チェーンを選 ぶ際に「安価であること」は想像以上に重要視されているのではないだろうか。牛丼を食べようとなった 時、やはり牛丼(並)290円のすき家や、300円の吉野家(ただし2014年12月17日からは松屋“プレ ミアム牛丼”と同じ380円)に流れてしまうのではないだろうか。

そこで、「牛めしを廃止し(主に関東1都6県の松屋にて)プレミアム牛めしを販売するという実質的な 値上げは、顧客数を減少させ売上高が低下するのではないだろうか?」ということを2つ目の仮説とし、

検証していきたいと思う。

検証方法としては、松屋が”牛めし”を廃止し”プレミアム牛めし”を販売したことで松屋フーズの売上 高・客数・客単価にどのような変化が起きたかを明らかにする。その際、客数の変化率と客単価の変化 率をもとにした指標である”需要の価格弾力性”を用いる。この”需要の価格弾力性”から、牛丼ユーザ ーにとっての価格のインパクトの大きさを読み解いていくことにする。

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<検証2> 需要の価格弾力性

【図表7】 松屋月次推移(2014 年度8月)

売上高 客数 客単価

103.3 97.2 106.3

【図表8】 2014年既存店前期比

松屋ホームページ IR情報より )

表の数字は、松屋の既存店について2013 年8 月の数字と、松屋が2014年7月22日に関東圏 での牛めし(290円)をプレミアム牛めし(380円)に変更した翌月である2014 年8月の数字とを比べた ものである。2013年8月と2014年8月では牛丼(並)に90円の価格差がある。

この表の数値を見てみると、客単価は2013 年8 月と2014 年8月を比較すると6.3%上昇し(106.3

-100=6.53)、客数は2013 年8 月と2014 年8 月を比較すると2.8%減少していることがわかる

(100-97.2=2.8)。つまり、図のグラフを見ても分かるように実質的な値上げによる客数の減少率を、

客単価の増加率が上回った結果として売上高が上がったのである。このことから、一見すると、松屋の 牛丼(並)の需要は価格弾力性が低いということが出来るように思える。しかし、次に以下の表を見てもら いたい。

【図表9】 松屋月次推移(2014 年度11月)

売上高 客数 客単価

99.0 93.2 106.3

表の数字は、松屋の既存店について、2013 年11月の数字と2014 年11月の数字とを

比べたものである。この表の数値を見てみると、客単価は2013 年11月と2014 年11月を比較すると 6.3%上昇し(106.3-100=6.53)、客数は2013 年11月と2014 年11月を比較すると6.8%減少し ていることがわかる(100-93.2=6.8)。つまり、ここでは客単価の増加率を客数の減少率が上回った結 果として、売上高が下がってしまっているのである。

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商品別売上高のデータは公表されていないため、実際の牛めしの売上高は正確にはわからない。し かし、松屋の出店地域は関東圏に集中しているため、関東圏限定といえども“プレミアム牛丼”の影響は 大きいと考えられることや、11月20日に高田馬場や池袋といった主な学生街(プレミアム牛丼が売り上 げや客足に響いている)の店舗を対象にプレミアム牛めしの販売を休止し、牛めし(並290円)の販売を 再開したということからも、一見好調に見えたプレミアム牛丼が、徐々に客数を減少させ、最終的に売上 高減の要因を作ってしまったと推測することはできる。

価格弾力性を決める要因は、主に代替財と時間の2つに分けられる。まず、他の財で代替することの 困難な財の価格は非弾力的になる。また、原油価格が急上昇した場合など、長期に対して短期では概 して価格はより非弾力的となる。これは代替財を見つけるのに時間がかかることがその一因と考えられる。

松屋の牛めしの価格が8月期の段階では非弾力的だったのは、話題性による一時的な購買行動に加 え、価格が上がった直後だったために、価格弾力性の2つめの決定要因である「時間」が作用したから だと考えることができる。

【図表10】 松屋月次推移(2014 年度12月)

売上高 客数 客単価

100.6 94.8 106.0

こちらは前の表の翌月、2014年12月の前年比売上高・客数・客単価をあらわす表である。“プレミア ム牛丼”を発売した7月を境に99.9、97.2、96.6、98.5、96.3、93.2と右肩下がりで減少していた客数が 僅かだが回復し、売上高も前年割れだった前月に比べるとやや回復傾向にある。前述した、学生街に おける“牛めし”の販売再開や、代替材である吉野家の牛丼(並)が300円から380円に値上げしたこと で価格が横並びになったことがこの結果に関係していると思われる。

<結論2>

以上の結果から、長期的にみると松屋の”プレミアム牛めし“は客数を減少させ、売上高の減少につな がるということができる。よって、「牛めしを廃止し(主に関東1都6県の松屋にて)プレミアム牛めしを販 売するという実質的な値上げは、顧客数を減少させ売上高が低下するのではないだろうか?」という仮 説は概ね正しいという結論に至った。

ただ、2014年12月の数字は”プレミアム牛めし”に残されたある可能性を示しているようにも思える。1 つは、他社の牛丼(並)の価格が上がることで消費者が牛丼に対して払ってもいいと思う金額が今後上 昇していくという可能性である。

もう1つは、”プレミアム牛めし”が売れる店舗・売れない店舗を見極めて販売することで、大幅な客数 の減少を食い止めることができるという可能性である。

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Ⅳ.まとめ

以上、これまで2つの仮説・検証を通して松屋フーズの”プレミアム牛めし”がプレミアム化に成功する かを検討してきた。1つめの仮説・検証からは「松屋の”プレミアム牛めし”は、プレミアム商品として成功 するために必要な要素を十分に満たしているとは言えない」という結論が導き出された。そして2つめの 仮説・検証では、「牛めしを廃止し(主に関東1都6県の松屋にて)プレミアム牛めしを販売するという実 質的な値上げは、長期的に見ると、顧客数を減少させ売上高を低下させる」という結論に至った。よって、

この2つの結論から導き出される本論での問い「松屋の”プレミアム牛めし”はプレミアム化に成功するか」

に対する答えは、「現在の牛丼業界において、松屋の”プレミアム牛めし”のプレミアム化は成功しない」

ということになる。

しかし、現状においての結論は上記の通りとなったが、今後、牛丼市場の変化という外部的要因や、

松屋フーズのプレミアム戦略の変化という内部的要因でこの結論が変わっていく可能性は十分に考え られる。そこで、次章では「Ⅴ.松屋の今後の可能性」と題して、”プレミアム牛めし”が今後プレミアム化 に成功する可能性を検討していこうと思う。

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Ⅴ. 松屋の今後の可能性

牛丼業界はこれまでし烈な低価格化競争を繰り返してきてきたが、牛肉価格の高騰だけでなく、人件 費・水道光熱費・店の賃料などのコストが年々増加傾向にあるということもあり、業界全体としてギリギリの 経営を行っている。吉野家が2014年12月に300円から380円に値上げを行ったのも、このような背 景があってのことであり、吉野家の社長である河村泰貴氏は、「大量生産・大量消費で価値を上げてい く。このビジネスモデルは限界に近づいていると感じている(東洋経済2014.12.10)」と述べている。した がって、今後牛丼業界は全体的として客単価の向上を狙う高価格化の波に乗っていくことが予想される。

吉野家が筆頭となり、すき家も次いで導入した「牛すき鍋」もこのような傾向の表れだといって良いだろ う。

したがって、今後”プレミアム牛めし”の380円という価格が、「プレミアム価格」ではなく、「牛丼の通常 価格」になっていく可能性がある。現に、12月での吉野家の値上げには品質の面での向上は伴ってお らず、通常の牛丼(並)が300円から380円になったのだ。これによって、プレミアム牛めしを通常の”牛 めし”に戻して、さらにもう1ランク上の”新・プレミアム牛めし”をつくることも可能になってくるのではない だろうか。たとえば、価格帯は600円~1000円程で、国産牛(あわよくば和牛)を使用した牛丼であれ ば「消費者の想定の範囲を大きく上回るレベルの商品」になるだろう。

このような状況を考えた場合、業界3番手である松屋フーズは他の2社に比べプレミアム戦略を有利 に進めることが出来る可能性が高い。その理由は、プレミアム商品の構築においては”全社一丸となっ た取り組み”が必要であり、よってフルライン戦略を展開することが多いリーダー企業(牛丼業界ではす き家がこれにあたる)よりも、差別化戦略を重視するチャレンジャー企業において生まれやすい傾向が あるからである。”プレミアム・モルツ”のサントリーも、”超熟”の敷島製パンもそれぞれビール市場・パン 市場ではチャレンジャー企業であった。また、今回の”牛めし”を廃止し”プレミアム牛めし”に一本化す るという大胆な戦略から、松屋フーズのトップである緑川源治社長が強いリーダーシップ力を持っている ことが推察される。この、トップの強いリーダーシップにより全社的なプロジェクトが立ち上げられていると いう点は、プレミアムの創造と継続において非常に重要なポイントであり、核となる部分でもある。これら のことを考えると、松屋フーズにはプレミアム商品を生み、育てる”土壌”が備わっているということができ るだろう。

松屋は”牛めし”と”プレミアム牛めし”を併売しない理由について、オペレーション上の問題があると 言っているが、このような製品開発における困難なポイントを克服した設備やシステムはそのまま他社に おける模倣困難性となり、先発優位性や持続可能な競争優位となる。この点をもし松屋が克服すること が出来たとしたら、その時こそ本当の意味でプレミアム化に成功したといえるのかもしれない。

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Ⅵ. 最後に

卒論を書き上げるのは大変でした。しかし、今までこれほど長い論文を書いたことのない私にとって、

卒論は良い経験になったと思います。何かと”女子力”が話題に上る昨今でありながら、まったく”女子力 のない”テーマにはなってしまいましたが、普段から牛丼チェーン店にお世話になっている私にとって、

業界のこれまでの経緯や時代背景、現在牛丼チェーン店が置かれている状況やこれからのことを経営 学の視点で考えるということ自体、大変に楽しいことでありました。

また、約 2 年間、網倉久永教授とゼミ生には大変お世話になりました。この場を借りて、感謝の意を述 べさせていただきたいと思います。ありがとうございました。

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Ⅶ.参考文献 書籍

・ 遠藤功 『プレミアム戦略』 東洋経済新報社,2007

・ 大崎孝徳 『プレミアムの法則』 同文館出版,2010

・ 大崎孝徳 『「高く売る」戦略』 同文館出版,2014 ウェブサイト

・ 松屋フーズ http://www.matsuyafoods.co.jp/

・ ゼンショーホールディングス http://www.zensho.co.jp/jp/index.html

・ 吉野家ホールディングス https://www.yoshinoya-holdings.com/index.html オンライン記事

・ 小屋知幸 『“価格破壊第2幕”の到来を告げる牛丼デフレ戦争~消費市場に忍び寄る「差別 性喪失」という“不治の病”~』 2010

http://business.nikkeibp.co.jp/article/manage/20100825/215967/?rt=nocnt

・ 『吉野屋の「鍋メニュー」が大ヒット 一方すき家は赤字転落』

http://news.livedoor.com/article/detail/9550843/

・ 猪澤顕明 『松屋はなぜ"プレミアム牛丼"で勝負するのか』 2014 http://toyokeizai.net/articles/-/43216

・ 川口健一 『牛丼三国志、新章へ ~デフレ外食の象徴、牛丼3チェーンの新たな競争局面~』

2014

http://www.jmrlsi.co.jp/scto/case/2014/gyudon2014.html

・ 『松屋:380円牛めし 品質アップ、実質値上げ 新商品発売店、並290円終了』 2014 http://mainichi.jp/shimen/news/20140718ddm008020101000c.html

・ 『「松屋」牛丼290円に逆戻り? 「プレミアム牛めし」は終了なのか』 2014 http://www.j-cast.com/2014/11/25221712.html?p=2

・ 『牛丼業界が安さから「プレミアム感」にシフト 高級路線の鍋も大ヒット』 2014 http://news.livedoor.com/article/detail/9616076/

・ 『すき家、松屋、吉野家の「牛丼御三家」の売上をグラフで比較』 2014 http://news.livedoor.com/article/detail/9119026/

統計データ

・ JMR総合生活研究所 http://www.jmrlsi.co.jp/

・ 経済産業省・製造産業局日用品室 『生活者の感性価値と価格プレミアムに関する意識調査』

2008

・ エヌピーディー・ジャパン株式会社 『外食・中食調査レポート~牛丼業界で繰り返し続く値下げ の効果は?~』 2011

・ 日本政策金融公庫 国民生活事業本部・生活衛生融資部 『外食に関する消費者意識と飲食 店の経営実態調査』 2013

参照

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