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なぜ今日本のキャラクタービジネスは成長を続ける のか?

       A9642212 石井康裕

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「今流行のキャラクターは何ですか?」と尋ねられたら答えられますか?多分、誰でも何 か一つは答えられるのではないでしょうか。一昔前なら、キャラクターに詳しい"大人"は 珍しい存在でした。でも今や「キャラクターなんて子供のもの」という考えは古いのかも しれません。不況のさなか、キャラクタービジネスはずば抜けて元気のよいビジネスとな っているのです。今日本で一番元気のあるキャラクターである「ポケットモンスター」は、

ゲーム・ぬいぐるみ・玩具・菓子・文房具・映画等々で五千億円の市場規模となっていま す。

 今日本では空前のキャラクターブームと言われています。しかもかつて日本人が経験し たどんなキャラクターブームとも質、規模ともに大きく違っているのです。昔はキャラク ターと言っても商品としては玩具以外では、せいぜい文房具、お菓子やその他食品のパッ ケージに使われる程度で、広告にしても子供を対象にしたものがほとんどでした。しかし 今私たちの身の回りを見渡してみればどうでしょう?テレビ、洗濯機、冷蔵庫などの生活 必需品から始まって食品は当然のこととして、乗り物から預金通帳までキャラクターが描 かれているものが何と多いことか。おそらくキャラクターものだけを集めても日常生活が 送れてしまうのではないだろうか、とまで思ってしまいます。

 私はこうしたキャラクターに囲まれた環境にかなりの違和感を覚えています。われわれ 日本人の多くはどうしてキャラクターにこれほど惹かれるのか、いまなぜキャラクタービ ジネスはこれほど成長しているのか、という疑問を解明していきたいと思っています。

キャラクターがなぜ人々の心を掴むのか?という問いに対する答えはただひとつ「かわ いい」からです。しかしこれはなぜ今、日本人がキャラクターに惹かれるのかということ の答えにはなりません。この問いに答えるためにはキャラクターを生み出し利用する多く の企業、各種団体の経営戦略と私たちの思考パターン、そしてそれを形作っている社会環 境などを分析する必要があるのです。企業と私たちを結ぶコミュニケーションの手段とし てキャラクターはその力を増してきました。その力はどこから生まれてくるのでしょう か?キャラクターの歴史や使用例などを中心に「今なぜ日本のキャラクタービジネスがこ れほど成長しているのか」を考察していきます。

キャラクターとは何か?

キャラクターという言葉は今から30年程前にアメリカから輸入されたもので、現在で は完全に日本では日常語として定着しています。10年ばかり前まではキャラクターを使 用した商品は「キャラクター商品」として特殊な商品に分類されることが多かったようで す。現在では菓子、食品、飲料品、玩具、文具、衣類、雑貨、家庭用品などありとあらゆ る商品に漫画もしくは漫画っぽいイラスト、ロゴ、シンボルマーク、ネーミングがついて いると言っても良いでしょう。かつてはこれらを「商標」と呼んでいましたが、現在では より人々の情緒や流行感覚に直接訴える商品の付加価値機能を持つようになり、「商標」

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の多くがキャラクターと呼ばれるようになっています。そのほかにも有名タレントやプロ スポーツ選手などの肖像などもキャラクターと言うこともできますが、今回はこの中でも 最も強力な力をもつ漫画もしくは漫画っぽいイラストについて扱います。

キャラクタービジネスとは?

キャラクタービジネスとは、漫画やアニメ、イラストなどの作品がもつ様々な権利を行 使したビジネスを指します。アニメ作品についていえばそこには、「商品化権」、「販売促 進に関する権利」、「テレビ放映権」、「ビデオ化権」、「LD 化権」、「DVD 化権」、「イベント 化権」など数多くの権利が発生します。つまりキャラクタービジネスとは作品の著作権を もとに展開する権利ビジネスであり、「版権ビジネス」と言っても良いでしょう。

 ではここでキャラクタービジネスのしくみを簡単に説明してみましょう。ライセンシー

(商品化などの許諾を請求する側)は自社の商品にキャラクターを使用させてもらう代り に、ロイヤリティをライセンサー(商品化などを許諾する側)に支払います。この時ライ センサーが得るロイヤリティー収入は小売価格の3%から5%程度で出版物や音楽 CD の 場合は5%から8%くらいになっています。作品の人気によってこの数字は上下します。

キャラクターをヒットさせれば、このロイヤリティがライセンサーに大きな収益をもたら し、ヒットキャラクターを使用すればライセンシーに大きな売上をもたらすのです。ただ し、ヒットキャラクターだからといって商品とかけ離れたキャラクターを使用すれば、売 上に悪影響を及ぼさないとも限りません。またキャラクターを乱発すればキャラクター自 体の価値にも影響する可能性があります。そこにはライセンサー・ライセンシー双方の思 惑が複雑に絡んできます。

 一般にキャラクタービジネスにおけるライセンサーはアニメ製作会社、映画配給会社、

テレビ局、玩具メーカー、ゲーム会社などで、ライセンシーについては広告代理店、メー カー、公共団体などで、その数も種類も非常に多くなっています。

 またキャラクターは大きくふたつの種類に分けられます。一つはテレビアニメや映画な どのマスメディアから生まれたキャラクターでここではまとめて「アニメキャラクター」

と呼ぶことにします。そしてもう一つは玩具メーカーやゲーム会社などが商品を開発する ときに生み出す独自のキャラクターや企業が販売促進などのために PR 用に開発したキャ ラクターなどマスメディアから生まれたもの以外を「オリジナルキャラクター」としてお きます。この分類によると「ドラえもん」や「ミッキーマウス」はアニメキャラクターで、

「ハローキティー」や「カールおじさん」などはオリジナルキャラクターということにな ります。「ポケットモンスター」のように最初はゲームのキャラクターとして開発され、

のちにアニメ化されて広くライセンスされているものなど分類するのが難しいものもあり ますが、原則的にはマスメディアから生まれたものをアニメキャラクター、それ以外をオ リジナルキャラクターとします。

 この論文ではアニメキャラクターを扱うライセンサー、オリジナルキャラクターを扱う

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ライセンサーのそれぞれの戦略、そしてライセンシーのそれぞれの戦略を実際のケースを 中心に分析していきます。

日本におけるキャラクタービジネスの歴史

ここで日本におけるキャラクタービジネスの歴史を簡単に振り返ってみましょう。

 キャラクタービジネスがひとつの市場と呼べるようになるのは 1953 年のテレビ放送が 開始されてからと言われています。テレビ放送開始以前は新聞に掲載された漫画、商品広 告、漫画雑誌などにキャラクターは登場していました。代表的なものとしては「のらくろ」、

「サザエさん」などがあります。また商品広告からはキッコーマンのキャラクター「野田 キッコ」などが有名です。

 1960 年頃まではテレビで見ることのできるキャラクターといえば不二家の「ぺコちゃ ん」文明堂の「カステラ一番、電話は二番」で有名な踊る猫(のちに熊)の「カンカンキ ャット(のちにベアー)」などがありました。その他では映画「ゴジラ」による怪獣ブー ム、1960 年に大ブレークした「ダッコちゃん人形」など徐々にキャラクターというものが 人々の間に浸透していきます。

 1960 年代に入ると、カラーテレビの放映が始まりテレビの普及率どんどん上がって行き ます。こうした状況の中テレビ番組でも次々にアニメが放映され、人気番組になっていき ます。63 年に「鉄腕アトム」が放映されると瞬く間にアトムブームとなり関連のキャラク ター商品が飛ぶように売れました。明治製菓がアニメ「鉄腕アトム」を一社提供し、アト ムパッケージのマーブルチョコを発売し大成功をおさめた話は有名です。この時期には漫 画雑誌も次々に創刊され、アニメ、漫画が市民権を得ることになります。

ちょうどこの頃からキャラクタービジネスが本格的に始まりました。当時のアニメ、漫 画人気は相当なもので「キャラクターをつければ商品が売れる」と知ったメーカーはこぞ ってライセンスを求めました。こうした流れを受け、テレビ局やアニメ制作会社、出版社 などに次々とライセンス窓口が設置されました。1963 年には現在版権ビジネスでは業界一 といわれる東映動画(現・東映アニメーション)が版権ビジネスを開始しています。この 頃はまだライセンサー、ライセンシーともキャラクタービジネスにおいては手探りの状態 で、とくにライセンシーである各メーカーなどは「キャラクターさえつければ 」という 考えで商品開発をしていたため、粗悪な商品が多く、短命に終わるキャラクター商品があ とを絶ちませんでした。

 1970 年代に入ると 60 年代のスーパーヒーローもののキャラクターの人気は落ち着き、

かわってディズニーやスヌーピーなどアメリカのキャラクターが多く輸入されるようにな り、1974 年にはサンリオが「ハローキティー」を発表し大ヒットになりました。70 年代 の特徴としては可愛らしい、心が和むといった「ファンシー商品」が人気を得たことです。

また 1973 年にはパンダブームが起こり縫いぐるみが飛ぶように売れ、当時人気の「ピン クレディー」の関連グッズも大ヒットしました。こうして 70 年代は「ファンシー」とい

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うテーマのもとでアニメ・漫画以外の様々な分野からキャラクターが生まれヒットした時 代だったのです。

 1980 年代は依然として「ファンシー」商品は人気を保っていましたが、この時代はもは やキャラクターはアニメや漫画だけのものではなくなり、サンリオのようにオリジナルキ ャラクターを開発する企業が増え、またレジャーーブームに乗って全国各地にテーマパー クが乱立し当然その数だけオリジナルキャラクターは増えていきました。その他ではサン トリーの缶ビールのCMで人気になったペンギンのキャラクターで、のちに「スウィート・

メモリーズ」という映画になりました。さらに 1983 年にファミコンが発売されると任天 堂のキャラクター「マリオ」がゲームとともに大ブレイクし、アニメ、漫画に加えテレビ ゲームという、キャラクターを生み出す新たな土壌が生まれました。

 この時代には現在のキャラクタービジネスに大きな影響を及ぼす流れが生まれます。そ れは企業が PR のためにキャラクターを使い始めたということです。かつては現具メーカ ー、製菓メーカーなどがおもに子供をターゲットにしキャラクター戦略を立てることが多 かったのですが、この頃になるともはや子供だけではなく大人にまで影響力を持つように なったキャラクターの力を借りようと様々な業種がライセンシーになってゆくのです。1 982年の北海道スキーキャンペーンには日本航空が「ポパイ」を全日空が「スヌーピー」

をそれぞれイメージキャラクターに起用したり、銀行などの金融機関がキャラクターを通 帳などに起用したり、新規の口座を開設した顧客にキャラクター商品をプレゼントするな どの動きが見え始め、キャラクターが子供のものから大人そして 家族のものになってい きました。

 1990 年代はメディアが大きく発展した時代です。パソコン、携帯電話の普及、衛星放送 の放映、さらにプレイステーションなどの高性能ゲーム機の発売、UFO キャッチャー、プ リクラの登場、カラオケブームなどなどメディアの発展とそれに伴うエンターテインメン ト市場の拡大によりキャラクタービジネス市場もかつてないほどの活気を見せています。

 1970 年頃からいったん落ち着きをみせていたアニメキャラクターも 1990 年の「ちびま る子ちゃん」ブーム、続いて 92 年の「クレヨンしんちゃん」の大ヒットに始まって、「ド ラゴンボール」、「セーラームーン」、そして最近では一大ブームを巻き起こし社会現象に までなった「新世紀エヴァンゲリオン」、今世紀最後にして最強といわれる「ポケットモ ンスター」と大ヒットキャラクターが次々に生まれています。

 また注目すべきは新キャラクターが続々と登場するなか「機動戦士ガンダム」、「キャン ディー・キャンディー」などの旧作キャラクターが次々とリバイバルされているというこ とです。これはいまの幼児から小中学生の親たちが 1960年後半から 70 年代前半のアニメ ブームを経験した世代であるため、子供だけではなくその親の世代までキャラクタービジ ネスの対象者となっていることを意味します。

 こうして 90 年代は年々キャラクタービジネスの対象年齢は拡大し、同時に市場規模も 拡大して行ったのです。それに加えてメディアの多様化、エンターテインメント業界の発

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展によりキャラクターの需要が急速に増加したこともあってキャラクターはその力を強め ていきます。そして子供にも大人にも影響力のあるキャラクターを企業はこぞって広告に 使い、キャラクターの露出が急激に増えたというわけです。この大量の露出がさらに消費 者をキャラクターに向かわせるわけです。

こうして現在キャラクタービジネスの市場規模は一兆円を超え、ひとつの大きな産業に 成長しているのです。

アニメキャラクターにみるライセンサーの戦略

 現在ではメディアの多様化により数多くのジャンルから次々と新しいキャラクターが生 まれ、まさにキャラクター市場は群雄割拠の様相を呈しています。しかしその中でもやは りアニメキャラクターの力は絶大です。人気を集めるキャラクターの特徴としてよくみら れるのがそのキャラクターの背後にストーリーが存在すると言う点です。これをキャラク ターの「属性」といいます。属性のあるキャラクターはみる人を深く魅了します。見た目 のかわいさや一瞬のインパクトで人気が出るキャラクターは多いですが、そうしたキャラ クターはすぐに忘れ去られてしまうものが多いのです。キャラクタービジネスにおいては ライセンサー、ライセンシー双方とも深く人々を魅了するキャラクターを望むのです。こ の点でアニメキャラクターは優れています。

 今、日本では空前のアニメブームになっています。テレビアニメは地上波テレビ放送で は若干放映数は減っていますが、90年代になって普及し始めたケーブルテレビ、BS、CS 放送などのいわゆる「ペイテレビ(有料放送)」ではアニメは看板コンテンツになってお り、ビデオ市場でもセル、レンタルともにアニメ関連が最も業績がよいというのも事実で す。映画にしても社会現象にまでなった「新世紀エヴァンゲリオン」、邦画史上最高の興 行収入を挙げた「もののけ姫」などアニメ作品のメガヒットが続いています。また日本の アニメ作品は全世界で放映されており、特にアジア、ヨーロッパ圏では高い人気を得てい ます。アニメはすでに世界に誇れる日本の産業になっているのです。

 こうした魅力あるコンテンツから生まれるアニメキャラクターたちも当然強い力を持ち ます。こうしたキャラクターをひとたび商品のパッケージにつければ売れないものも売れ てしまう、このキャラクターの魔力をライセンシーはよく知っています。ですから人気キ ャラクターにはライセンスの許諾申し込みが後を絶ちません。例えば「ポケットモンスタ ー」の版権元の「クリーチャーズ」には毎週 1000 件以上の商品企画書が持ち込まれると いいます。これらの申し出を頼まれるがままに許可すると確かに一時は高い収益を得るこ とができます。しかし人気のキャラクターになればなるほど長続きしてもらいたいという のがライセンサーの願いです。短期に集中的に人気が出たキャラクターは短命に終わる事 が多いのです。またライセンシーがそのキャラクターの世界観に合ってなかったり、イメ ージを壊してしまうような商品を発売するようなことがあると、それも直接キャラクター

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の命を縮めてしまうことになるのでライセンサーは慎重にライセンシーと提案された商品 を吟味する必要があるのです。ディズニーやサンリオのようにキャラクタービジネスで成 功しているライセンサーのライセンシー選別は非常に厳しく、サンリオはさらにキャラク ターの露出過多による陳腐化、価値の下落を防ぐためにマスメディアによる広告を厳しく 制限するなど、キャラクターの価値を守るために必死なのです。またライセンサーに無断 で商品化する「違法コピー」なども近年の複製技術の進歩によって急激に増加しており、

版権管理もまた重要な課題となっています。

 ライセンサーのキャラクター戦略の鍵は「いかにしてキャラクターを育てるか」、「いか にしてキャラクターを守るか」ということになるのです。

 ではアニメキャラクターのライセンサーがどのような戦略をとっているのか実際のケー スを見てみましょう。

版権ビジネスの草分け東映アニメーション

キャラクタービジネスとは「版権ビジネス」といってもよいほどライセンスと言う問題 が重要になってきます。その版権ビジネスにおいてアニメ制作会社として常にリーダー的 存在にあるのが東映アニメーションなのです。東映アニメーションは世界のディズニーに 匹敵する東洋のディズニーにしようと親会社の映画会社「東映」が作った企業です。東映 アニメーションは古くはテレビアニメ「狼少年ケン」を制作し成功をさせ、「ひみつのア ッコちゃん」、「魔法使いサリー」、「ゲゲゲの奇太郎」、「キン肉マン」、「銀河鉄道 999」、

「ドラゴンボール」、「セーラームーン」など日本を代表するアニメを作ってきました。

 日本ではアニメの放映と同時にそのアニメのキャラクターを連動して商品化するという いわゆる「キャラクターマーチャンダイジング」は 1972 年の「マジンガーZ」が始まり と言われていて、やはりこの時も東映アニメーションが手がけています。

 テレビアニメ放映開始当初、スポンサーとしては製菓メーカーが大部分を占めていまし たが、ロボットアニメ全盛時代を迎えると玩具メーカーがこれに加わるようになりました。

かつてはテレビ局が主体となってアニメ番組を制作することが多かったのですが最近では 広告代理店がスポンサーを探し、東映アニメーションの企画とセットでテレビ局に売り込 むという形が多くなっているようです。現在のアニメは目の肥えた視聴者を満足させるた めにはそれなりの完成度が要求されます。当然それには多額の制作費が必要となりテレビ 局から支払われる制作費だけでは赤字になってしまうという悲しい現実があるのです。こ の赤字を埋めるものとしてキャラクターの版権ビジネスが活発になってきたのです。

年々複雑になるライセンシーとの関係を調整する部署として東映アニメーションの「版 権営業部」は大きな働きをしています。キャラクター商品は版権営業部で許諾業務を行っ ています。東映アニメーションのキャラクターで何らかの商品化を希望する場合、版権営 業部がその申請を受け付けます。その後、様々な審査、監修をへて商品の発売となるので す。

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 また、キャラクター商品には証紙といわれる小さな四角いシール(東映アニメーション の場合、『長靴をはいた猫』の主人公ペロの銀色のシール)が貼られます。このシールが 東映アニメーションの監修を受けた証しであり、偽物商品を見分ける重要なポイントとな ります。

しかしこうして厳密な管理をしていてもやはりキャラクター商品は、ヒットするとどう しても盗用されることがあります。昔の「キャンディ・キャンディ」のキャラクターを無 断でTシャツに使用し、ニセ証紙まで貼って大量に販売した事件は、日本における商品化 権史上初の刑事事件として昭和 53 年7月、東映アニメーション(当時は動画)が「有印 私文書偽造、同行使罪」「著作権侵害罪」として大阪府警に告訴しました。ここでは、「キ ャラクターの『生みの親』が原作漫画であるとすれば、映画はその『育ての親』ともいう べきものだ」として、映画にも二次著作物としての著作権を認め、これを著作権侵害とし た判決が出たのです。

 これらの対応も版権営業部の重要な仕事になっています。10 年位前から警察庁が「不正 商品取締官」を設置して取締の一層の強化を図っています。ライセンサーも自ら権利を守 るために、警察庁とタイアップし「不正商品対策協議会」を設立して安易に偽物商品が商 品化されないように努力しているのです。

 情報複製技術の爆発的な進歩に伴い、作品の著作権を保護するのは年々難しくなってい ます。東映アニメーションの版権営業部は、新技術・新メディアへの対応といった革新を 進めながらも同時にキャラクターのイメージ、原作者の権利など、守るべきものは大切に 守る態勢をとっています。このように東映アニメーションは版権の管理を徹底することで、

原作者、テレビ局、広告代理店、ライセンスを受ける各メーカーなどと強い信頼関係を築 きライセンサーとしてキャラクタービジネスを有利に展開しています。

 キャラクタービジネスの王様、 「ディズニー」

キャラクタービジネスはアメリカで生まれ、アメリカで発展してきました。そのなかで もディズニーのキャラクター戦略はキャラクタービジネスを考える上で理想的なケースに なっています。

 ディズニーが本格的にキャラクタービジネスに乗り出したのは1930年のことです。

ジョージ・ボルグウェルド社と契約を結び、ミッキーマウスやミニーマウスのコミック、

人形やお皿、歯ブラシ、ラジオなどの生産や出版およびアメリカ市場での独占販売を許可 しました。しかしボルグウェルド社は商品化に時間がかかったばかりか商品の品質も悪か ったので失敗に終わりました。

 こうしてディズニーのキャラクタービジネスが暗礁に乗り上げようとしていた1932 年、ハーマン・ケイ・カーメンという広告マンが消費者ニーズの分析や品質管理の徹底な どをディズニー側に提案した結果、ディズニーはケイ・カーメンにキャラクタービジネス

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の全権を委任し、ケイはケイ・カーメン社を設立しました。

 ケイは社内にアート部門を設置し、キャラクター商品やパッケージのデザインを行い品 質管理の徹底に努めます。その結果ミッキーマウスのコーン・アイスクリームが年間で約 1000万個を売り上げて大ヒットとなったのを皮切りに、ミッキーのおもちゃの車、時 計など次々に様々な業界にライセンシングし成功をおさめていきました。この後第二次世 界大戦の勃発によって一時キャラクタービジネスは下降線をたどりますが、食品市場に参 入、ドナルドダックのオレンジジュースなどのヒットによって巻き返しを図ったのです。

そしてディズニーのキャラクタービジネスは1954年に始まったテレビ映画「デビー・

クロケットのバラード」によって帽子、おもちゃ、出版物などの関連商品が爆発的なヒッ トを生みました。

 こうしてディズニーは紆余曲折を経て独自のキャラクター戦略を確立して行きます。そ の中でも最も重要な戦略のひとつは「良質な商品の提供」です。単にキャラクターをつけ ただけの商品では消費者を納得させることはできないという考えから、ディズニーでは厳 格な品質基準を設け、これにそった商品開発を進めています。ライセンシーに対してもデ ィズニーは自社が提供するオリジナルデザインを忠実に商品化することを強く求めます。

 また商品開発の際には徹底的なマーケティングと柔軟な発想を駆使して緻密な商品デザ インを行っています。たとえばミッキーマウスは白い手袋に赤いパンツというのが基本ス タイルですが、1993年に「ジュラシック・パーク」がヒットした時にはミッキーは原 始人スタイルになりましたし、クリスマスにはサンタ、日本人街にはサムライ・ミッキー と言う風にディズニーは「家族全員に愛されるキャラクターを、時代や環境にマッチした デザインで商品開発する」という戦略をとっているのです。

 ディズニーはもうひとつ非常に重要な戦略を展開しています。それは「シナジー戦略」

です。ディズニーでは事業部門を「テーマパーク・リゾート」、「フィルム・エンターテイ ンメント」、「コンシューマー・プロダクツ」の三つに分けています。テーマパーク・リゾ ートではディズニーランド、ディズニーワールド、各種ホテルを運営し、フィルム・エン ターテインメントでは劇場用・テレビ用フィルムとビデオの制作、配給を行い、コンシュ ーマー・プロダクツではキャラクタービジネスを展開しています。総合エンターテインメ ント企業としてディズニーはこれら3つの事業部門が連携をとってシナジー戦略を進めて いるのです。

 キャラクタービジネスから見ると例えば映画「美女と野獣」では、映画公開と同時に関 連キャラクター商品が全世界300店舗以上あるといわれるディズニーストアーで一斉に 発売されます。映画を見た子供たちはキャラクター商品を求めてディズニーストアーにや ってきます。また逆にディズニーストアーで商品を購入した子供たちは映画館に向かうの です。さらにディズニーランドでは「美女と野獣」のショーが行われ、子供たちをキャラ クター商品や映画館に向かわせる。こうしたシナジー戦略は他のキャラクター戦略の多く がそうであるようにメディアミックスによるパブリシティー効果を期待するという消極的

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なものではなく、それぞれの事業部門を戦略的に配置することによって積極的に消費者に アプローチするものなのです。

 こうしたディズニーのキャラクタービジネスの基本戦略は日本におけるキャラクタービ ジネスを考える上で非常に重要なケースになるのです。

オリジナルキャラクターにみるライセンサーの戦略

テレビなどで全国に一斉に放映され、短期間で一躍人気者になって行くアニメキャラク ターと違い多少地味な感が否めないのがオリジナルキャラクターですが、テレビの放映期 間が終了すると途端に人気が落ちて行くアニメキャラクターが多い中、オリジナルキャラ クターは寿命の長いものが多いのも事実です。アニメ作品では何とかして放映期間中に関 連のキャラクター商品を売りさばこうとするスポンサーが依然として多くどうしても短期 集中的にキャラクターマーチャンダイジングが行われ、キャラクターの多くが短命に終わ ってしまうのですが、オリジナルキャラクターの場合は逆に長期にわたって人気が持続す るようにじっくり育てられ、キャラクターの露出を抑えたり、商品数を限定したりといっ たおもしろい戦略がみられます。オリジナルキャラクターで成功を収めた企業の戦略を見 てみましょう。

第二のディズニーになれるのか?「サンリオ」

日本にもディズニーのような総合エンターテインメント企業を目指す企業があります。

それがサンリオです。サンリオは1960年に創業して以来「ソーシャル・コミュニケー ション」を企業理念に掲げ、人と人との暖かいつながりを大切にして欲しいという願いか ら愛らしいデザインのキャラクター商品を数多く開発し世に送り出してきました。サンリ オの代表的なキャラクターとしては1975年に商品化されて大ヒットとなった「ハロ ー・キティー」が有名です。

 サンリオのキャラクターはすべて自社のデザイナーによって開発されます。これは自社 で開発することによって人気キャラクターを制作するノウハウを蓄積するためで、サンリ オはこのノウハウこそキャラクター商品の命であると考えているようです。サンリオは常 時200人以上のデザイナーを抱え、年間約12000アイテムを商品化し古いものはど んどんリニューアルしていきます。こうして常に新しいものを生み出し、顧客ニーズの微 妙な変化に対応するとともに飽きられないようにキャラクターに新しい命を与えつづけて いるのです。

 サンリオではこうして自社で開発した大切なキャラクターを直営店や量販店のサンリオ 商品だけを扱った売り場(あわせて全国3000箇所あるという)で販売しています。こ うした店舗網を持つことによって売り場での消費者の声をダイレクトに受け止めることが

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でき、またそうした声を商品開発に反映させているのです。またそうして生まれたキャラ クター商品を試す場としてもこの独自の店舗網は活躍しています。サンリオの方針でキャ ラクター商品のマスメディアを使った宣伝はいっさいされません。テレビアニメなどで活 躍したあと放送が終了すると同時に価値を失っていくキャラクターが多い中、サンリオは あくまで舞台は売り場として位置付け、売り場での人気からライセンシングなどのキャラ クタービジネスを展開していくのです。こうしてキャラクターを大切にするサンリオはラ イセンシーの選定にも細心の注意を払います。キャラクターの持つ世界観を壊さないもの で品質の保証ができる商品であること、「ソーシャル・コミュニケーション」という企業 理念を理解してくれるライセンシーというこの二つの条件が大きな基準になっているので す。ですから例えば、キティーちゃんのお酒やタバコ、コンドームといった商品はたとえ 売れるとわかっていても商品化の許諾はしないのです。

 サンリオは「ソーシャル・コミュニケーション」をより深く実現するために 「サンリ オピューロランド」というテーマパークを運営しています。ここでは着ぐるみとなったサ ンリオの人気キャラクターたちに会うことができます。彼らはミュージカルやパレードに 出演し、入場者の出迎えをしてくれたりと、動くキャラクターとしてピューロランドのメ ルヘンの世界を演出してくれるのです。ここにもやはりディズニーランドのように様々な アトラクションがあり、当然お土産コーナーもあります。このお土産コーナーが圧巻で常 時4000点以上のキャラクターグッズをそろえています。

こうしてサンリオは創業以来地道な活動を続けてきました、その結果として1996年 のハローキティーの大ブレークを迎えたのです。

サンリオは今の団塊ジュニアがまだ 10 代のころから、今後の小子化社会の到来が会社 に与えるダメージについて懸念を抱いていました。この対策として7年前から顧客ターゲ ットを主力の幼児や児童からもっと高くするための努力を始めました。しかしキティーち ゃんを使った化粧品や下着などを開発して、中高生や若い女性にマーケティングをしたの ですが、上手くいかずに失敗しつづけたのです。雰囲気が変ったのはプリクラが流行った 96年です。サンリオもキディランドの店舗にキティーちゃんを使ったプリクラを設置し たところ、大いにうけて中高生や若い女性の順番待ちの列が出来るほどになりました。彼 女たちがプリクラの順番待ちをする間に店内を見回したところ、化粧品や下着や携帯電話 アクセサリーなどを発見し、これは良いということで買われるようになったのです。ここ でサンリオは気がついたのです。サンリオの商品は、幼児や児童が買いやすいように玩具 売場や文具売場の脇に位置しています。しかし、サンリオの狙いの中高生や若い女性はそ んな場所に行かないのです。そのため、認知もされなかったのです。そして、化粧品や下 着や携帯電話アクセサリーを化粧品売り場に置いたところ中高生を中心に人気が高まり、

さらに当時人気絶頂の歌手「華原朋美」による「キティラー」宣言によって中高生から若 い女性の間で大ブレークしたのです。こうして、顧客対象年齢を広げる事に成功し、販売 単価も今までの800円から2500円へとアップしました。

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この 1996年の大ブレークを受けサンリオでは 97 年からそれまで厳しく抑えていたライ センス業務を積極的に展開し始め、あっという間に世の中ハローキティーだらけになって しまったのです。一過性のブームはキャラクターの寿命を縮めるからとマスメディアによ る広告をせず、露出過多によるキャラクターの陳腐化を防ぐためにライセンス業務を控え ていたサンリオがなぜここにきて方針を変えてきたのでしょうか。

そこにはサンリオのキャラクターに対する自信が感じられます。サンリオのキャラクタ ーはどれも口コミでゆっくりと人気を培ってきたものばかりです。また次から次へと新キ ャラクターを生み出すノウハウもあります。またライセンスの許諾にも厳しい目を培って きました。さらにテレビゲーム、インターネット、映画、テレビなどによるメディアミッ クスにも乗り出しています。あのディズニーでさえも有名なキャラクターといえばミッキ ーマウスほか数点といったところですが、サンリオのキャラクターは質、量ともにかなり のブランド力を持っています。サンリオはキティーちゃんとともに世界へ羽ばたいて行く のでしょうか?今後の動向が期待されます。

テレビゲームが生んだスーパーキャラクター「マリオ」

 ファミコンが登場して以来日本では急速にテレビゲームが普及しアニメに続く映像コン テンツとして世界的な広がりを見せています。90 年代に入りテレビゲーム機も技術革新が 進みアニメーション並みの画像を楽しめるようになりました。当然そこからは数多くのキ ャラクターが生まれています。なかでも任天堂が1985年に発売したファミコンソフト「ス ーパーマリオブラザース」で一躍人気者になった「マリオ」というキャラクターは雑貨、

玩具、菓子・食品、文具などなど 100 社近いメーカーとライセンス契約を結ぶスーパーキ ャラクターとなっています。任天堂は従来のキャラクタービジネスの常識である「一業種 一社制」ではなく基本的に一業種についても複数の企業にライセンスを与えています。こ れは少しでも多くの企業にマリオを商品化してもらい知名度を上げたいという戦略だと思 われます。一般にキャラクターの商品化に関してライセンサーはキャラクターの陳腐化、

短命化を防ぐためある程度ライセンシーの数を制限し商品の監督を厳しく行うのですが、

ゲームはプレイする人によって感じる世界観やイメージがかなり変わってくることが多く、

アニメほどイメージの保護にナーバスにならなくてもよいという特徴があるので、比較的 簡単にライセンスを与えるのです。実際マリオは様々な商品に使われていますがその人気 は衰えることはなく現在までに続編のゲームソフトは20本近く作られています。

任天堂ではこのようにゲームのキャラクターが人気を保っている状況を、家庭用テレビ ゲーム機の浸透でキャラクターの露出度が飛躍的に高まり人々に身近に感じられるように なったこと、そしてプレーヤーが主人公としてゲームの世界に参加でき、キャラクターと の一体感が生まれているためと分析しています。

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 アニメキャラクターにみるライセンシーの戦略

前に述べたようにアニメキャラクターはマスメディアを通して大量に露出するためキャ ラクターとしての認知度は他のキャラクターを圧倒しています。またストーリーという属 性を兼ね備えているため認知しているだけではなく、人々にはそれぞれキャラクターに対 する愛着があるのです。こうしたキャラクターの持つ魅力はライセンシーにとっては顧客 吸引力ということになります。 つまりキャラクターを付け加えれば商品の売上があがる ということなのです。またこのようなキャラクター商品の展開以外にもキャラクターの力 は発揮されています。それは企業が特定の商品や企業のイメージを PR するためにキャラ クターを起用するというものです。その端的な例が金融機関や航空会社などで、ディズニ ーの預金通帳やポケモンをペイントしたジャンボジェットなど企業の広告塔としての役割 を果たしているのです。企業を対象とした「キャラクタービジネスに関する関心度調査」

(矢野経済研究所調べ)によると8割以上の企業が「キャラクターに関心がある」と答え ています。また実際にキャラクターを商品、販促などに導入している企業は7割以上に達 し、キャラクターの起用は効果があったと答えています。

ここだけ見ればキャラクターは企業にとってまさに神様、仏さまと言ったところでしょ うが、アニメキャラクターはその属性、認知度の高さゆえ作品自体にも顧客側にもある程 度の統一されたイメージがあるのです。ライセンサーはこうした世界観なりイメージを守 るためライセンスには厳しいのが一般的です。つまりライセンシーはこうしたキャラクタ ーの持つイメージを壊さない商品開発が求められ、また自社が PR したい商品やサービス とそうしたイメージを結びつけ、さらにそこに何らかの付加価値をくわえることが必要に なってくるのです。ではアニメキャラクターを起用するライセンシーはどのようにキャラ クターを活かし、業績の向上に結びつけているのでしょうか。実際のケースを見てみまし ょう。

キャラクターの力でシェア拡大「永谷園」

 お茶漬けで有名な永谷園が本格的にキャラクター・ビジネスを始めたのは 1986 年 7 月 に発売した「スーパーマリオふりかけ」からでした。当時ふりかけ市場では競合メーカー の「丸実屋」に引き離され永谷園は途方に暮れていたのです。そこでふりかけの消費者の 動向を研究したところふりかけをかけてご飯を食べるのは子供たちで、購入した親たちで はないということから、子供に喜ばれる商品の開発が始まったのです。もともと永谷園は キャラクターを使わない方針をとっていました。キャラクターは人気の変動が激しく次々 に新しいキャラクターを探さねばならず、お金もかかります。さらに「味ひとすじの永谷 園」という伝統的な企業イメージとキャラクターはどうしても合わないと考えていたので す。

しかし永谷園は子供をターゲットに未来の顧客を創造する「マクドナルド戦法」に乗り 出し、子供受けし、さらに購入者である親の印象もよく、長続きするキャラクターを探し

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ていたのです。

そして永谷園はそのキャラクターにマリオを選んだわけですが、これにももちろん理由 があります。マリオはご存知のとおりファミコンソフトから生まれたキャラクターです。

当時爆発的な人気があったことが選定の大きなポイントであったことは間違いありません が、実はその他にも大きな理由がありました。それはライセンサーである任天堂のキャラ クターに対する考え方でした。任天堂はマリオをあくまでもゲームのキャラクターとして 位置付け、ゲームキャラクターとしての基盤を守りながらライセンス業務をおこないライ センサーとライセンシーがそれぞれ相乗効果によってともに発展していこうとするものだ ったのです。ですから任天堂は比較的簡単にライセンスを与え、商品に関してもほかのラ イセンサーほどうるさく注文はつけませんでした。ゲームキャラクターはアニメキャラク ターに比べてイメージが顧客によって分散する傾向があるため、それほどイメージの急激 な低下は見られず、長続きするのです。こうした特徴を任天堂は認識していたため大胆な キャラクタービジネスが展開できたわけです。

 こうして生まれた「スーパーマリオふりかけ」は大ヒットしふりかけ市場のシェアも

「丸実屋」に並ぶほどになりました。その後「ドラえもん」や「ディズニー」などマリオ と同じように知名度が高く、親子ともに受けのよい長続きする定番キャラクターが起用さ れ、シェアを保っています。

アニメキャラクターは市場への新規参入にも絶大な力を発揮します。1997 年に永谷園が 発売した「ポケモンカレー」はそれまでのレトルトカレー市場のトップメーカーのハウス、

大塚、S&Bを発売後たった二ヶ月で抜き去り、売上トップに踊り出たのです。

永谷園は「マリオ」の起用でふりかけ市場で成功した勢いで 1987 年に「スーパーマリ オカレー」でレトルトカレー市場に参入し成功を収め、続いて「ドラえもんカレー」、「ア ンパンマンカレー」を発売し安定した売上を保っています。しかしどれもカレー市場で上 位 3 社を脅かす勢いにはならず、永谷園もカレー市場ではそれほどのシェアを獲得するこ とはできませんでした。

しかし永谷園はふりかけのときと同様にカレー市場でも子供をターゲットに絞り、ポケ モンカレーによって子供用レトルトカレーというセグメントを確立したのです。こうして 永谷園はカレー市場ではニッチャーとしてその地位を確立しポケモンに関してはリーダー をも倒す強力なブランドになっています。ポケモンはふりかけ、お茶漬けにも起用され、

どちらも未来の顧客である子供たちにふりかけ、お茶漬け、そしてカレーといったら「永 谷園」ということを強烈にアピールしています。こうして「味ひとすじ」という伝統的な 企業イメージに「子供にやさしい」というイメージが加わり、顧客の対象が家族全員に広 がってきているのです。永谷園はキャラクターを使って商品の売上だけでなく、未来の顧 客の開拓、さらに企業イメージまでも高めることに成功したのです。

かつてはキャラクターの起用について消極的だった永谷園は次々にキャラクター戦略に 成功し、いまではなくてはならない戦略になっています。一つの企業の市場でのポジショ

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ンまで変えてしまうほどの力がキャラクターにはあるのです。永谷園はそのことを知るに は最適のケースといえるでしょう。

オリジナルキャラクターにみるライセンシーの戦略

ここではおもに企業が自社の商品、サービスをPRするために既存の有名キャラクター を使わずに自社で新しいキャラクターを用意する戦略について扱います。

現在では多くの企業がディズニーやサンリオなどの既存の有名キャラクターを使って商 品開発やプロモーションを行っていることは既に述べましたが、その一方で独自にキャラ クターを開発する企業も急激に増えています。

企業がキャラクターを起用するのはそのキャラクターが持っている知名度や好感度を使 って製品・サービスに付加価値を加え、他の製品・サービスとの差別化を図る「ブランド 戦略」を展開するためです。ブランド戦略において必要になる「ブランド要素」としては、

「ブランド名」「シンボルマーク」「スローガン」などがありますがその中でも「キャラク ター」は製品・サービスに人間的な要素を加えることができ、また意味、性格などを最も 強く消費者にアピールできるのです。

プロモーションにおいてキャラクターを使う意味としては次の3つが挙げられます。

1・「アテンション・ゲッター」として注目度を高める。2・キャラクター使用により製 品やサービスに対する関心や好感度を高められる。3・企業の代わりにキャラクターに製 品やサービスについて語らせることができる。

以上がプロモーションにおけるキャラクターの役割になっているのですが、ここで既存 の有名キャラクターとオリジナルキャラクターの違いが生まれてきます。ミッキーマウス のような有名キャラクターの場合アテンションゲッターとしての効果は非常に高く、ミッ キーの持つ知名度や好感度を利用することができます。しかし有名キャラクターを使うに はライセンサーに高いロイヤリティーを支払わなければならず、さらに商品・サービスの 展開にもライセンサー側に厳しく監督され、キャラクターが持つ世界観、イメージにかな り拘束されます。オリジナルキャラクターの場合有名キャラクターほどの知名度はなく、

また浸透させるのに時間がかかりますが、その分製品・サービスに独自のパーソナリティ ーを加えることができるのです。またプロモーションの展開にしても有名キャラクターに 比べてかなり自由になるので、オリジナルキャラクターは非常に使いやすいキャラクター といえるのです。オリジナルキャラクターを使った成功例はいくつもあり、有名なもので はミシュランのタイヤ男「ビバンダム」、メンソレータムの「リトルナース」、国産のキャ ラクターでは古くは文明堂の「カンカンベアー」、明治製菓の「カールおじさん」、森永製 菓のチョコボールで有名な「キョロちゃん」、湖池屋の「ポリンキー」、サントリーの「ペ プシマン」などたくさんのオリジナルキャラクターが生まれてきました。

現在はかつてのようにただ製品にキャラクターをつければ売れる時代ではなく、キャラ

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クターをいかにプロモーションに活かして行くかを考える時代なのです。イメージがある 程度固まっていて制約の多い有名キャラクターではなく、使いやすくてより深く的確に製 品・サービスをアピールしてくれるオリジナルキャラクターはこれからもますます増えて 行くと思われます。

ではここで最近オリジナルキャラクターをプロモーションに有効に活用している企業の 例を見てみましょう。

スミスクライン・ビーチャム製薬「ミスターコンタック」

コンタックは言わずと知れた風邪薬の名称ですがこの風邪薬を一躍有名にしたのが 1996 年に登場したオリジナルキャラクター「ミスターコンタック」(下図参照)です。これは 同社が新しく開発した、一日二回の服用で、速放性粒・持続性粒の「二色のツブツブ」が 効果的だという持続性風邪薬でミスターコンタックはこのCMでデビューを果たしました。

薬の効用や特徴はなかなか一般の人に伝えるのが難しいのでそれらを簡潔に消費者に伝 え、さらに薬というあまりよいイメージではない商品に親しみを感じてもらいたいという ことから、二色のツブが入ったカプセルを擬人化したキャラクターが開発されました。

 「ミスターコンタック」には「赤と白のツブツブやっちゅうてんねん」と商品の特徴 を大阪弁で話すものと「ハイ、み〜なさん、これだけは覚えておいてください」といいな がら卓球やスケートをする東京人のふたつのバージョンがあります。こうした不思議さが うけて大変な反響を呼びました。

彼らの「キャラクター商品はないのか」という問い合わせが殺到し、これに応える形で 人形や携帯電話のストラップなどのノベルティーグッズを抽選でプレゼントするなど、キ ャラクターを前面に押し出したプロモーションを展開しました。さらに「ミスターコンタ ック」のホームページを開設し新製品情報やキャラクターグッズの情報などを提供してい ます。このホームページのアクセス数は非常に多く、一週間に 3 万件以上のアクセスがあ るそうです。今後はこうしたホームページ来場者に何らかの形でアプローチしてより消費 者とコミュニケーションを図って行く方針だそうです。

また「ミスターコンタック」は消費者への広告効果だけではなく、流通の面でも一役買 っています。店舗用のミスターコンタックの人形や、その他の販促アイテムは店頭でも人 気呼んでいて、薬局などの小売店ではかなりの集客効果があるということです。

このようにオリジナルキャラクターは製品の特徴を明確に、しかも面白く伝えることが でき、その使い勝手の良さから様々なプロモーションの展開ができるのです。こうしてコ ンタックは1999年1月〜3月の売上が前年比128%増になっています。

営業マンはレインボータイガー「ミノルタ」

キャラクターはもはや子供だけのものではないということは何度も述べてきましたが、

キャラクターはオフィスにも進出しています。業務用コピー機を製造しているミノルタは

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1997年からコピー機のプロモーションにキャラクターを起用しています。

 キャラクターの名は「ロイ・ジー・ビブ」といい現在日本ではプレイステーション用ソ フト「パラッパラッパー」や、ファミリーマートのイメージキャラクターを手がけるなど 注目のアメリカ人マルチメディアアーチスト「ロドニー・A・グリーンブラッド」によっ てデザインされたキャラクターです。

 ミノルタは「元気」、「アグレッシブ」、「頭の柔らかい会社」という企業イメージをユー ザーに持ってもらうためにキャラクターを起用して、高画質をアピールする競合他社のプ ロモーション戦略との差別化を図ろうと考えていたのです。

 コピー機の顧客は基本的には企業です。そしてコピー機などの決裁権は中高年男性が多 いのですが、調べてみると購入を検討する際にはたいてい機械に詳しい若手社員に意見を 聞くということが分かったので、キャラクターを使うことによってそうした若手社員をタ ーゲットにしてイメージ戦略を図ることになったのです。

 ミノルタは 1997 年 5 月のからビジネスショーなどを中心に新キャラクター「ロイ」を 前面に押し出してプロモーション活動を展開しました。さらに 1998 年にはセブンイレブ ンと提携し「コンビニでミノルタ」というキャッチコピーで「ロイ」はCMに登場し、そ のインパクトから「ロイ」は一躍人気者になりました。そして数多くのキャラクターグッ ズが作られ新聞や交通広告でグッズのプレゼントを発表したところ一万通以上の応募があ ったそうです。

 こうして「ロイ」はミノルタの広告塔として広く知られるようになり、ショールームや 展示会などでも注目度は抜群ということです。コピー機の営業で企業を訪問する営業マン にとっても「ロイ」がいることによって商談が進めやすくなっているようです。

オリジナルキャラクターはこのように様々な使い方ができるため幅の広いプロモーショ ンが可能で、思いがけない効果があることもあるのです。

警視庁がキャラクターを起用「ピーポくん」

キャラクターは今や企業だけではなく、官庁、公共団体、地方自治体などでも活躍して います。その中でも有名なものとしては郵便局のキャラクター「ポストン」などがありま すが、警視庁では 1987 年にマスコットキャラクターとして「ピーポくん」を発表しまし た。ピーポとは「ピープル」と「ポリス」を組み合わせたもので、人々と警察をつなぐ掛 け橋になってもらいたいとして生まれたのです。どうしても「警視庁」というと堅いイメ ージがありますが、こうしたイメージを払拭し「親しまれる警視庁」をアピールしようと いうわけです。

 ピーポくんは日本の官庁としては初めてキャラクターで、交通安全教室などでキャラク ターグッズを無料で配布し人気を得るなどピーポくんの評判は上々でキャラクター商品を 売り出したいというライセンシーの問い合わせも多いそうです。

 警視庁はピーポくんグッズを市販するつもりはないそうですが、どうしてもという人は

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交番にいって頼んでくださいということだそうです。

 ピーポくんはこうして徐々にではありますが警視庁の堅いイメージを変えてきているよ うです。

 キャラクター戦略の集大成「ポケモンビジネス」

ここまでキャラクタービジネスの戦略について見てきましたが、これらの戦略を結集し 現在日本のキャラクター史上類を見ないスーパーキャラクターが生まれています。それが

「ポケットモンスター」(以下ポケモン)です。ポケモン関連商品の売上は現在 5 千億円 を超え、巨大なキャラクタービジネス市場の3分の1を占めています。ポケモンが初めて 世の中に姿を見せたのは 1996 年の2 月で、それからたったの 3 年あまりで日本最強のキ ャラクターに成長したのです。

 ポケモンとはもともとゲームボーイ(携帯型ゲーム機)用のソフトとして生まれました。

ゲームの内容は 151 匹のモンスターを戦いに勝つことによって集めていくというもので、

対戦ケーブルを使って他のプレーヤーとモンスターを交換できるという特徴があります。

さらに集めたモンスターには身長、体重、生息地、鳴き声などのプロフィールがあり、最 終的には「モンスター図鑑」を完成させるというのがこのゲームの目的です。ポケモンは 最初、それぞれモンスターの出現率を変えた「赤」「緑」という2バージョンが同時に発 売されました。このゲームは発売開始から小学生の間に口コミでじわじわと広がって行き

「赤」「緑」合わせて 20 万本以上を売り上げます。その後もいくつか続編が作られ、「ニ ンテンドー64」でのソフトを合わせると現在までに約1千万本売れています。

 ポケモンは雑誌との連携で人気の基礎を作りました。毎月 200 万部を売り上げる月刊コ ミック誌「コロコロコミック」(小学館)はポケモンがまだ開発段階のころからコミック 化の準備を行い、「赤」「緑」が発売するのとほぼ同時にポケモンの連載を開始しました。

コロコロコミックは企画段階の商品やゲームソフトなどといち早く手を組み、それをコミ ック化することで商品とコミックの相乗効果でブームを作って行くという特徴があり、い ままでにミニ四駆ブームやヨーヨーブームなど数多くのブームを生み出しながら部数を伸 ばしてきた子供にとってのバイブルともいえる雑誌なのです。コロコロコミックではポケ モンの連載と平行してゲームのポケモンの最新情報を細かく掲載したり、ゲーム大会など のイベントを主催したりとポケモンを強くバックアップしてきました。

 雑誌との相乗効果で人気が出始めたポケモンはその後もコロコロコミックの協力を得て ポケモンのカードゲームを発売、合計 3 億枚売れ、ゲームボーイとは一味違ったゲームが ポケモンの世界を広げて行きます。

 コロコロコミックの編集部は「キャラクターを消費してしまうようなモノつくりはした くない」という。そしてただキャラクターがついているだけの商品ではなく、それを使っ て遊ぶことによって子供たちがよりいっそうキャラクターの持つ世界に入り込み、さらに

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友達どうしのコミュニケーションを深めていけるような商品を提案していきたいと考えて います。こうした商品はキャラクターの陳腐化、短命化を防ぎ、さらにキャラクターの活 躍の場を広げます。キャラクタービジネスの中でも最も重要なポイントの一つをコロコロ コミックはしっかりと理解しているのです。ポケモンはこうしたすばらしいパートナーに 支えられ、さらに躍進して行きます。

 ポケモンはオリジナルキャラクターとしてゲームの世界から生まれました。その後コミ ック、カードゲームと活躍の幅を広げキャラクターとしては十分価値のあるものになって いました。しかしポケモンはここで終わらなかったのです。さらなる飛躍を求めてテレビ の世界に飛び込んだのです。

 オリジナルキャラクターはアニメキャラクターに比べ人気が長続きするという特徴を持 っています。それはキャラクターがじっくり大切に育てられキャラクターマーチャンダイ ジングの戦略が計画的に行われるからです。しかしアニメキャラクターの場合人気が出た とたんにその人気にあやかろうと様々な企業が一斉にライセンスを求め、キャラクターの 世界はどんどん壊されて行くのことが多いのです。

 しかしポケモンにはそうした心配は無用でした。テレビアニメ「ポケットモンスター」

(テレビ東京系)は大ヒット、アニメとしては珍しく平均で 20%近い視聴率を獲得してい ます。97年の4月に放映が開始され、途中に光が点滅するシーンを見た子供が倒れるとい ういわゆる「ポケモン事件」で中断されたこともありましたが、99 年の今になってもテレ ビの人気は衰えず、関連のキャラクター商品市場は拡大を続けています。ポケモン事件に よるアニメ放映の一時中断はキャラクター商品の売り上げを大きく下げると見られていま したが、特に変化は見られませんでした。早く放映を再開してほしいという子供たちの願 いの中、ポケモンを見れない欲求不満が逆にポケモン再開後に売上増としてあらわれて行 ったのです。ポケモンはテレビが終わるとキャラクターも終わるというアニメキャラクタ ーのジンクスをあっさり破ってしまいました。

 ポケモンはそのコレクター性が人気の鍵といわれています。151匹のモンスターはそ れぞれの特徴が綿密に設定されていることは述べましたが、これらのキャラクターはもと もとゲームから生まれていてそのゲームの特徴から、開発の段階では「主役」「脇役」と いう区別がありませんでした。つまりどのキャラクターも手を抜かれることなく開発され て行ったのです。ですからどのキャラクターもそれぞれ個性的で魅力を持っているので、

人によって好きなモンスターが違うのです。自分の好きなモンスターが「主役」になるわ けです。そしてゲームにしてもアニメにしても151匹のうちできるだけ多く集めるとい うのがメインテーマになっています。さらに集めたモンスターを使って対戦し、成長して いくというストーリーなのです。

 テレビアニメになってもゲームの特徴はしっかりと引き継がれています。確かにアニメ では「ピカチュウ」と数匹のモンスターが主役になっています。しかし「ピカチュウ」と いうのは固有名詞ではなく種類の名前なので世界中にたくさんいるのです。ですから主役

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といっても他のアニメほど主役と脇役がはっきりしていません。こうすることによってゲ ームで自分の好きなポケモンを決めてプレーしていたポケモンファンを失望させることな くアニメに取り込み、アニメから入ったポケモンファンは今度は自分の好きなポケモンを 選んでゲームを始めるのです。さらに本来持つコレクター性が作用してキャラクターグッ ズも一人が何種類も購入するのです。こうしたテレビアニメとテレビゲームという新しい 組み合わせは、予想を超える相乗効果を生んでいるのです。

 ポケモンビジネスの特徴は一言でいうと「メディア・ミックス」ということになります。

ゲーム、テレビ、雑誌の三つの「メディア」の相乗効果によってポケモンの人気は保たれ ているのです。しかしこれは商品を PR するときに宣伝媒体として複数のメディアを組み 合わせるというものではなく、ポケモンの場合ゲーム、テレビ、雑誌のそれぞれのコンテ ンツになっており、どの媒体のポケモンに出会っても必ず残りの2つの媒体にたどり着く ような仕掛けが出来上がっているのです。先にも述べましたが、ゲームでポケモンに出会 った子供は、アニメも見ます。それは自分の好きなモンスターが生き生きと表現されてい るからです。アニメでポケモンに出会った子供はゲームに向かいます。なぜならポケモン の世界に主人公として参加したいと思うからです。コロコロコミックでポケモンに出会っ た子供はまずアニメかゲームのどちらかに行くはずです。小学生の4人にひとりが読むと いうコロコロの影響力は並大抵のものではありません。こうして一度入るとなかなか抜け 出せない「ポケモンワールド」が作られています。そしてさらにこの三つの媒体のそれぞ れから次々に様々な業種にライセンスされポケモンの露出はどんどん増えて行くのです。

そうすると今度は子供だけでなく中高生から若者まで「ポケモンワールド」に入ってくる のです。

 ポケモンビジネスとはまさに「蟻地獄」なのです。キャラクタービジネスはこのポケモ ンの例のようにいかに蟻地獄に追い込むかがライセンサーの究極の目的なのです。

ディズニーやサンリオがショップやテーマパークなどを組み合わせ囲い込みに成功した のとは違い、ポケモンはテレビ、ゲーム、コミック雑誌という今子供たちが日常最も目に するメディアによって子供たちを完全に囲い込んでしまいました。しかしこの成功もポケ モンがすぐれたコンテンツでありキャラクターであったということが大前提で、さらにラ イセンスの問題でも極力イメージを守るよう努力するなどキャラクタービジネスに必要な ポイントをひとつづつ確認しながら戦略が立てられていたのです。こうしたメディアミッ クス戦略はこれからもますます私たちを気づかぬうちに囲い込んで行くのではないでしょ うか。

なぜキャラクタービジネスは巨大な産業に成長したのか?

ここまではキャラクタービジネスとして実際に企業がとっている戦略を見ることによっ てキャラクターの力を様々な角度で分析しました。ここではそうしたキャラクター戦略の

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