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【 2 】 古 文 書 辞 典 の 使 い 方 を お ぼ え よ う
(1)辞典を開いて見てみよう
古文書を解読するためには、まずは辞書をうまく使いこなせなければなりません。
辞書には、古文書のくずしの用例が載せられています。読めない字を調べる時には、辞
書の存在が重要となります。
このテキストで使用する辞書は、林英夫若尾俊平『増訂・近世古文書解読字典』(柏
書房一九七二年)です。古文書学習の基本は、辞書の使い方をおぼえることから始まり
ます。
※辞書は、古文書検定すべての級のテキスト学習に必要となりますので、購入して
ください。購入方法については、こちら(「古文書検定ホームページ」の「古文書
検定とは」準備するもの)を参照してください。
それでは、学習に入ります。
①まずは、辞書を箱から出してください。
②
(1)頁~
(2)頁の〈序〉を開けて、読みましょう。
③次に、
(3)頁~
(24)頁の目次をみてください。この辞書が、
Ⅰ史料編と
Ⅱ用例編、
Ⅲ文
字・熟語編と
Ⅳ参考資料編で構成されていることを確認してください。
④
Ⅰの史料編(3~
68ページ)をひらいてみてください。そこには、古文書の写真と解読
文、解説が載っています。
難しい古文書がたくさんあって、不安になりましたか?
大丈夫です。
©2012神戸女子大学文学部史学科古文書検定委員会
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まずは、古文書への恐怖感を無くすことが重要です。
今から、
10分程かけて
Ⅰの史料編に載っている古文書の写真の一つ一つにゆっくりと
目を通してみてください。
この時、古文書を解読することが出来なくても全く気にしないようにしてください。
まずは、自分の目に古文書を慣れさせることが大切です。
さあ、目を通してみましたか?
⑤では、もう一度
Ⅰの史料編に載っている古文書を見てみましょう。
今度は、古文書と解読文を照らし合わせながら、ゆっくり見ていきます。
(2)辞書の使い方の基本をおぼえよう
古文書を読むために必要なこと、それは、「文字のくずれ方」=「くずし字」のパターンを
おぼえることです。でも、すべての漢字やひらがなの「くずし字」をおぼえることは、簡単
なことではありません。
そこで、必要となるのが、辞書です。辞書には、様々な漢字の代表的な「くずし字」のパ
ターンが載っています。「代表的な」と書いたのには、理由があります。今、私達が見ること
のできる古文書は、江戸時代に様々な人の手によって書かれたものです。私達がそれぞ
れ字の書きぐせに個性があるのと同じく、江戸時代の人々の書く文字にも個性があるの
です。辞書に載っている「くずし字」のパターンがすべてというわけではないということをお
ぼえていてください。
辞書の使い方に慣れていきましょう!
①辞書の何ページを見ればいいの?
漢字のくずし字は、辞書の
Ⅲ文字・熟語編(127頁~290頁)に載っています。はじめ
に、128頁~129頁の「例言」を読んでください。読み終わったら、次の頁をひらいてく
ださい。131頁の最初に、「一」という漢字が載っていますね。くずしの2つのパターンが
載っています。そして、それと同時に5種類の単語のくずし字もありますね。このような
形ですべての漢字が載っているのです。
②文字の検索のしかた
では、具体的に自分が調べたい漢字をどのように検索すればいいのでしょうか?
辞書の377頁をひらいてください。「音訓索引」と、書いてありますね。350頁~377
頁には、探している漢字が何頁に載っているのかが書いてあります。
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試しに、一文字調べてみましょう!
では、初めての古文書なので…「始」を調べてください。
「音訓索引」の357頁をひらいてください。そこで「はじめる」を探してみましょう。16
9と書いてありますね。では、169頁をひらいてみましょう。
169頁の上段に「始」という漢字のくずし字が載っていますね。そうです、このようにし
て、調べるのです。
③文字の検索に挑戦!
では、次に文字の検索に挑戦してみましょう!
次のカギカッコの中に、自分の名前を書いてください。
「 」
そして、それぞれの漢字のくずし字を調べてみましょう。
いかがでしたか?
うまく調べることができたでしょうか?
あせらなくても、大丈夫!
これからゆっくり辞書の使い方に慣れていきましょう。
(3)辞典の様々な利用方法をおぼえよう
次に、基本的な辞書の使い方に加えて、様々な利用方法をおぼえましょう。
①扁と旁りの特徴をおぼえる
辞書を使って漢字のくずし字を調べる方法については、(2)で、学習しました。でも、そ
の検索方法は、実際に古文書を見て、「これは…あの漢字かなあ?」と予想をたてること
ができて、はじめて役立つものです。まずは、古文書を見たときに、その字が何扁の字なの
か、旁りは何かという予想する力を持つことが必要になります。では、どうすれば予想で
きるようになるのでしょうか?
答えは簡単です。扁と旁りのくずしの特徴をおぼえてしまえばいいのです。
辞書の291頁~307頁をご覧ください。ここには、漢字の部首、扁と旁りのくずし方
の特徴がわかりやすく載っています。なかには、「にんべん」と「さんずい」のように、よく似
たくずしになっているものもあります。ですが、だいたいの特徴は、ここでおぼえることが
できます。
それでは試しに一つ、漢字を読んでみましょう!
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この漢字の扁は何でしょうか?
291頁~307頁に載っている扁と旁りの中から探してみてください。
見つかりましたか?
そう、答えは、「にんべん」ですね。292頁に載っています。
では、扁が「にんべん」だということがわかりましたので、それを手がかりに、辞書でこの
漢字について調べてみましょう。
辞書の目次6頁をひらいてください。そこには、【】の中に漢字の部首が書いてあります
ね。その項目の【人】というのが、「にんべん」のことです。【人】の項目を見てみると、136
頁以降にたくさん「にんべん」を部首にもつ漢字が載っていることがわかります。まずは、
136頁をひらいてみましょう。ひらけてみると、右上ところに人(人介今什寄仍仁仏内)
と書いてありますね。それは、その頁にそれらの漢字のくずしが載っているという意味で
す。
次に、144頁をひらいてみましょう。「にんべん」が部首の漢字が144頁まで載っている
ことがわかります。
では、ここからが漢字を探す作業です!
137頁~144頁に載っている「にんべん」が部首の漢字のくずしをひとつひとつ、確認
しながら、 と同じくずしになっている漢字を探しあててみてください。
いかがですか?
はじめはどれもよく似た漢字に見えるかもしれません。面倒に思うかもしれませんが、
この作業の繰り返しによって、私達は多くの漢字のくずし字のパターンを頭に記憶するこ
とができるのです。
さて、答えは…そうです、「佐」です。
139頁で確認してみましょう!
☆辞書の使い方の基本を学習しました。
これから古文書を学習していく上で、辞書を使うことは多くあります。最初は使い慣
れないかもしれませんが、少しずつ慣れていくと思います。
あせらず、少しずつ辞書と仲良くなりましょう。
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