No.160/2019.10.31 発行:西日本社会学会事務局
〒819-0395 福岡市西区元岡744 九州大学文学部社会学・地域福祉社会学研究室 TEL & FAX 092-802-5287 郵便振替口座 01750-3-23994 http://www2.lit.kyushu-u.ac.jp/~sociowest/
Ⅰ. 第77回大会報告 ‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥ 1 1.大会概要 ‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥ 1 2.シンポジウム報告要旨「災害研究と社会学」 ‥‥‥‥‥ 1 3.2019年度総会報告 ‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥ 2
Ⅱ. 第78回大会について ‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥ 4
Ⅲ. 会員異動‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥ 5
Ⅳ. 理事会からのお知らせ‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥ 5
Ⅴ. 追悼文‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥ 6
Ⅵ. 研究室めぐり‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥ 7
Ⅶ. 資料‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥ 8
Ⅷ. 事務局からのお知らせ‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥ 11
Sociological Society of West Japan
西日本社会学会ニュース
去る2019年5月25日・26日、佐賀大学にて開催された西日本社会学会第77回大会は、参加者80名を かぞえ、盛会のうちに終了いたしました。
今大会の自由報告部会は25日に4部会、26日午前に2部会が開かれ、計28名の会員が登壇されました。
また、シンポジウムとして26日午後に「災害研究と社会学」が開催されました。
総会では、報告事項として庶務報告、2018年度決算、監査報告が行われました。審議事項では14名の新 入会員の入会承認の後、2019年度予算案承認が行われました。ついで、来年度第78回大会をノートルダム 清心女子大学にて開催することが決定いたしました。総会終了後の懇親会は学内生協食堂(かささぎホール)
で開催され、今年も多くの会員のみなさまにご参加いただきました。このように佐賀大学での第77 回大会 は、無事に終了いたしました。
災害研究と社会学
司会 三隅一人(九州大学)
討論者 西村雄郎(大谷大学)・松本貴文(下関市立大学)
報告者
室井研二(名古屋大学) 方法としての災害社会学―理論的系譜の再検討―
田中重好(尚絅学院大学) 社会学から災害をどう研究するのか、
社会学は災害研究の成果をどうフィードバックするのか 牧野厚史(熊本大学) 災害と農林漁業―「やはり」と「まさか」の災害論―
本シンポジウムのテーマは、災害研究の理論的課題とは何かということである。阪神大震災から東日本大 震災を経て、災害研究は社会学の中で一定の地歩を確立したものの、研究成果は依然として現場報告的なも のが多く、今ひとつ社会学の中に内部化されていないのではないか、というのが敢えてこうしたテーマを取 り上げた理由である。報告者の発表は各々の立場からこうした問題提起に応えるものであった。
第1報告の室井研二は内外の災害研究の学説史的レビューを内容とするものであった。そこで主張された ことは、災害研究は災害を研究対象とする研究領域であるだけでなく、災害という観点から平時の社会の構 造や矛盾を捉え直す方法論としての意義をもちうるということである。とりわけ、従来の社会学的研究で等 閑視されがちであった、社会的不平等の空間論的な捉え直しや、社会生活の自然生態学的な存立規定に関心 を促すという点で重要性をもつとされた。また日本の災害研究では特定の事例のモノグラフ的な研究が大半 を占め、災害のマクロな発生機構の解明や、災害復興過程の地域間比較を視野に入れた研究が不足している ことが問題点として指摘された。
第2報告の田中重好氏も同様に、従来の災害研究がともすれば特定の災害、特定の被災地の個別研究にと どまり、社会学への理論的フィードバックが欠如していたため、研究成果が蓄積されないことを問題点とし て指摘した。災害研究の論点としては緊急対応に偏る傾向があり、長期的な復興過程や都市計画を視野に入 れた研究が不足していることが指摘された。災害研究の理論化に関しては、既存の連字符社会学の諸理論を 災害研究に適用する「第一次理論化」だけでなく、社会・自然関係にフォーカスした学際的研究を通して社 会学の理論枠組そのものを問いなおす「第二次理論化」があるとされ、とりわけ災害研究が後者の第二次理 論化に果たす役割の重要性が強調された。
第3報告の牧野厚史氏は、環境社会学の立場からみれば、阪神・淡路大震災は「まさかの災害」であった
Ⅰ.第 77 回大会報告 1 .大会概要
2 .シンポジウム報告要旨
の安全神話が崩壊したという意味で想定外であったが、東日本大震災は津波常襲地の災害であり、それなり の必然性をもった災害であったという。この点で牧野が強調するのが、自然が、禍と同時に恵みとしての側 面を併せ持つことである。三陸地方では、海の恵みに支えられながら災害と共生する独自の災害文化が歴史 的に形成されてきた。むしろ「まさか」であったのは、災害後の復興政策が農林漁業における自然の恵みと 禍の関係を捨象し、防災に特化したことである。そのことが地域の持続可能性に負の影響をもたらした。こ うした観点から見ると、熊本地震による災害への見方も変わる。それは、都市災害と見なされがちなこの震 災を、被災地のなかで広大な面積を占める農村での自然利用を視野に入れて見直すという視点の切り替えで ある。
討論者の西村雄郎氏は都市社会学の立場から、災害研究を社会学に内部化するためには土地の所有・利用・
管理といった観点が本質的な重要性をもつのではないか、換言すれば、都市計画の社会学的な捉え直しの中 から災害予防の方途を探るような研究が重要なのではないかという意見が出された。松本貴文氏からは農村 社会学の立場から、災害の発生が既存の社会の仕組みの相対化を促し、社会の自省的、創発的変動を促す契 機になる側面をもつのではないか、そうした意味で、災害研究は社会変動論の文脈で示唆的なインプリケー ションをもつのではないかという意見が出された。その他、フロアからも興味深い質問をいくつも頂いたが、
紙面の関係で省略させていただく。
振り返るに、当初このシンポジウムがどういった展開になるのか全く読めなかったのであるが、3報告の 内容が思ったより一体性をもったものであったことによい意味で驚かされた。また、特に第1報告、第2報 告は通常の社会学にとって馴染みのない内容を含んでいたため、フロアから関心をもってもらえるか心配し たが、少なくとも「冷たい」反応はなかったことにホッとした次第である。最後に、個人的な見解を申し述 べて結びとしたい。災害が起きると人道的な関心から研究の実践的な貢献が問われがちである。それは当然 のことで、健全なことでもあるが、社会貢献の優先が研究成果の理論的な抽象化を阻害している側面がある としたらそれはそれで問題であろう。本シンポジウムが防災への貢献には災害の経験を共有財産化するため の理論の構築が必要であることに注意を喚起し、災害研究を本当の意味で公共性をもった社会学へと昇華さ せるきっかけを提供できたとすれば、企画者としてこれに勝る喜びはない。
(文責:室井研二)
総会では、牧野厚史会員が座長に推挙され、下記の事項が報告、承認、決定されました。
報告事項
① 庶務報告(高野和良 庶務理事)
ⅰ 理事会
第1回 2018年7月14日
・ 第76回大会報告、学会ニュース第157号について
・ 第77回大会について(シンポジウム・コーディネーター選定など)
・ 学会費未納者・宛先不明者・退会者について
・ 海外在住会員の会費納入について ・ 名誉会員の推薦について 第2回(常任理事会) 2019年4月6日
・ 大会プログラムの決定 ・ 新入会員の申し込み状況について
・ 学会費未納者の退会について ・ 名誉会員・特別会員の推薦について
・ 入会促進について ・ シンポジストの旅費について 第3回 2019年5月25日
・ 2018年度庶務報告、2018年度会計報告、2018年度会計監査報告
・ 2019年度予算案審議 ・ 学会費未納者・宛先不明者・退会者について
※ その他にも、Eメールで適宜話し合いを設けた
3.2019 年度総会報告
ⅱ ニュース発行
2018年 7月23日 学会ウェブサイトに第76回自由報告要旨を公開
2018年 11月27日 ニュース157号発行(第76回大会報告号)
2019年 2月27日 ニュース158号発行(第77回大会案内号)
2019年 4月23日 ニュース159号発行(第77回大会プログラム号)
② 会員数に関する報告(高野和良 庶務理事)
ⅰ 現在の会員数(2019年5月25日現在)
2018年度の最終会員数 208名
新入会員申し込み数 14名 計222名 ※ 会員異動(5頁)参照
③ 学会誌編集委員からの報告(速水聖子 編集委員長)
ⅰ 『西日本社会学会年報』17号(2019年3月29日)発行について ※ 資料① 参照
ⅱ 2018年度編集委員会決算報告 ※ 資料② 参照
ⅲ 学会誌のJ-STAGE登載について
ⅳ 『西日本社会学会年報』第18号の発行について ※ 資料③ 参照
④ 2018年度決算報告(加来和典 会計理事) ※ 資料④ 参照
⑤ 2018年度会計監査報告(徳野貞雄 会計監査) ※ 資料⑤ 参照
審議事項
① 新入会員の承認(山本努 会長)
―――14名の新入会員すべてが承認を受けました。 ※ 会員異動(5頁)参照
② 2019度予算案の承認(加来和典 会計理事) ※ 資料⑥ 参照
③ 2019年度編集委員会予算案の承認について(速水聖子 編集委員長) ※ 資料⑦ 参照
④ 名誉会員・特別会員の承認(高野和良 庶務理事)
―――木下謙治会員、小川全夫会員の名誉会員への会員資格変更、篠原隆弘会員の特別会員への会員資格 変更が承認されました。
⑤ 来年度大会開催校の決定と承認(山本努 会長)
―――ノートルダム清心女子大学での開催が承認されました。
⑥ 理事の指名(1名)・事務局長の委嘱(山本努 会長)
―――二階堂裕子会員が理事に指名され、承認されました。井上智史会員が事務局長を委嘱されました。
1.大会案内
第78回大会は、2020年5月23日(土)・24日(日)にノートルダム清心女子大学(岡山市)にて開催 いたします。スケジュールの詳細につきましては、次号ニュース(2020年2月発行予定)をご覧下さい。
2.シンポジウム
「移民受け入れ」時代の社会学―1990年入管法改正から30年後の今―
西日本社会学会事務局から、「アジアとの関係を意識した形での人の移動のグローバル化」「民族関係のト ランスナショナルな展開」といった論点を中心とするシンポジウムの企画について打診を受けました。過去 において、西日本社会学会のシンポジウムで民族関係・エスニシティがテーマとされたのは、2003年のみで あったとのことです。学会事務局からは、民族・エスニシティを社会学的なフレームとして用いながら、昨 今の新しい動向、新たな在留資格が設けられ、日本において実質的な「移民」社会が到来しつつあるという 動きを踏まえた議論ができるのではないかとの提案を受けました。
2019年4月、日本政府は、実質的な「移民」受け入れに舵を切る法改正を行いました。しかし実際には、
すでに日本社会には多様な背景を持つ外国人が定住しています。そして2020年は、1990年の入管法改正か ら30年という節目の年にあたります。
本シンポジウムでは、「移民受け入れ時代」にあたって、すでに進行してきた日本への人の移動と社会の 内なる多様化とはなんだったのかをとらえなおし、社会学はどのようにそれと向き合い、有効性を発揮して きたのか、残されてきた課題はどこにあるのかを議論します。
登壇者のナディ氏は、自著『ふるさとって呼んでいいですか 6歳で「移民」になった私の物語』に述べら れている「移民」の子どもとしての経験と、生い育った日本社会への思いを、ひとりの当事者として語りま す。高畑幸会員は、フィリピン系住民を中心に、ニューカマーの動態とその研究について論じます。山本か ほり氏は、現代における在日朝鮮人の位相を、社会学的な視点から議論します。野入直美は、沖縄からの視 点で「移民」受け入れ時代を論じます。報告者が話題提供を行った後にはフロアに議論をひらき、「移民」
受け入れ時代における社会学の課題や可能性について、多様な専門領域をもつ学会員諸氏による活発な議論 を行います。どうぞご参加ください。
報告者
ナディ(『ふるさとって呼んでもいいですか 6歳で移民になった私の物語』大月書店 2019年 著者)
高畑幸(静岡県立大学)
山本かほり(愛知県立大学)
野入直美(琉球大学)
コメンテーター 稲月正(北九州市立大学)
企画・進行 野入直美(琉球大学)
(文責:野入直美)
Ⅱ.第 78 回大会について
※ 変更後のご住所・ご連絡先は事務局までお尋ねください。
1.所属の変更(順不同)
孔英珠 西南学院大学 園井ゆり 広島大学 西村いづみ 広島国際大学 福本純子 下関市立大学
2.新入会員(順不同)
謝雨璇(東呉大学大学院) 紹介人:莊秀美 許宇葳(東呉大学大学院) 紹介人:莊秀美 彭姿瑜(東呉大学大学院) 紹介人:莊秀美 林倖如(国立台湾海洋大学海洋法律研究所) 紹介人:莊秀美
ANDREW NEIL MITCHELL(熊本大学大学院) 紹介人:多田光宏
日髙優介(鹿児島大学大学院) 紹介人:桑原司 伊藤慎吾(鹿児島大学大学院) 紹介人:桑原司 五十川飛暁(四天王寺大学) 紹介人:藤村美穂 黄師佩(九州大学大学院) 紹介人:山下亜紀子 周苹(九州大学大学院) 紹介人:山下亜紀子 坂無淳(福岡県立大学) 紹介人:吉武由彩 林紀歩(熊本大学大学院) 紹介人:山本努
山﨑智慧子(一橋大学大学院) 紹介人:高野和良(庶務理事)
近藤諭(志學館大学) 紹介人:高野和良(庶務理事)
3.退会者(順不同)
焦暁蕾 左貿彬 田口浩継 渡邊伸一 高嶋正晴 鍋山祥子 佐藤洋子 片桐資津子 文屋俊子 武藤桐子 瀬充 吉松摩理子
2019年8月4日(日)に開催されました2019年度第1回理事会におきまして、大会シンポジスト(非会 員の場合)への旅費・謝金の支払いについての申し合わせを下記の通り定めましたのでお知らせします。
・シンポジスト(非会員)への旅費・謝金の支払いについての申し合わせ
(1) シンポジウムで非会員の方に登壇いただく場合、謝金・旅費をお支払いするのは原則として2名以内と する。
(2) 旅費については実費でお支払いし、謝金として報告者には1万円、コメンテーターには5千円をお支払 いする。
(3) ただし、旅費と謝金の合計金額は総額で5万円を超えないものとする。
(4) 科研費など、本学会とは別の費用で旅費をまかなっていただく場合、謝金のみをお支払いする。
なお、この申し合わせについては、第79回大会シンポジウムより適用することとします。
Ⅲ.会員異動
(2019年10月現在)Ⅳ.理事会からのお知らせ
羽江忠彦先生を偲んで
辻正二(保健医療経営大学)
熊本学園大学名誉教授の羽江忠彦氏が3月19日に81歳で逝去されました。羽江氏は、西日本社会学会の 会員で、数々の貢献をしていただきました。
羽江氏は、熊本大学教育学部に在籍中、中村正夫先生の下で学ばれ、中村先生が九州大学教養部に移られ た後に、同大学の教育学部の大学院に入学されました。当時教育社会学の講座がなかったので、恐らく、教 養部の中村正夫・執行嵐の両先生に社会学の多くを学ばれたと思います。卒業後は、九州産業大学、九州歯 科大学、広島修道大学、熊本学園大学で教鞭をとられ、学園大の社会福祉研究所の所長も務められました。
氏の社会学における業績には、執行嵐先生と春日耕夫氏との3人での共訳の『家族と教育』(新評論1972 年)、「看護労働に関する一考察」(『社会学評論』29(3) 1978年)、『看護職は福祉社会のニーズにどう こたえるか』(垣内出版1988年)、狩野俊猷氏との共著の『「六曜」迷信と部落差別』(福岡部落史研究会 1994年)、原田正純他『水俣学研究序説』(藤原書店2004年)などがあります。
羽江氏は、社会学者であり理論も重んじるが、それ以上に実践を重んじる研究者でした。師である中村先 生が晩年部落史の研究に比重を移されたことも影響したのかもしれませんが、修道大学時代からは、それま での家族や看護や教育の研究以上に部落差別の研究に比重を移され、福岡県や熊本県などの被差別部落にお ける実態調査を精力的に行なわれ、差別撤廃への強い意志で研究されました。
羽江氏は安保闘争の 60年世代で、大学時代から三池闘争や大学闘争に活動家としてかかわり、社会問題 や労働や差別の解決のための研究の必要性から学者の道を選択されました。最初は、家族社会学、教育社会 学、看護社会学をライフワークにされるつもりだったと思いますが、広島修道大学時代からは部落差別の研 究に本腰を移されました。熊本学園時代は、人権教育、反差別の社会学などで、調査や講演で精力的に活躍 されました。
残念ながら、10 年前に闘病生活に入られ、それ以後は好きな社会学の研究や後進の教え子との対話が減 った分、御夫婦のあいだの語らいが増えたようです。羽江氏は意志の強い人でありましたが、そればかりか 人への思いやりの強い人でした。
葬式に参列して、追悼の言葉を述べる人々の多さに驚き、今更ながら羽江氏がいかに多くの知人、友人を 持ち、親身になって対応されてきたかを知りました。学者としてばかりでなく、人生に迷う人への温かい眼 差し、そして助言を惜しまない人でした。羽江氏は、戦う闘士の側面もありましたが、悪戯に争う人では決 してありませんでした。差別の根絶に向けて根気よく対話をしていく人でした。一人の社会学者であったと 同時に教育者でもあり、多くの弟子から慕われる教導者の側面を持つ人でした。そして、なによりも平和と 平等な社会を希求し続けた社会学者でした。
70年代の私の院生時代に、10名近くで結成された西日本社会学研究会は、羽江氏の存在なくして存在し えなかったのではないかと思うと、その時の学恩は忘れることができません。羽江氏の弱者や被差別者への 共感的理解の姿勢と差別のない社会の実現への強い精神は、西日本社会学会の若い研究者にも受け継がれて いると思います。羽江さん、ありがとう。
合掌
Ⅴ.追悼文
山口県立大学社会福祉学部「社会学研究室」
中村文哉
山口県立大学社会福祉学部は、1993年、山口女子大学の共学化という組織改革の中で、山口県の福祉的課 題を担う人材育成という使命を享けて創設され、今年で四半世紀を超えます。社会福祉学部発足当時は、「社 会学原論・社会調査法」の科目を配置された「社会学Ⅰ研究室」(山田富秋)、「デスエデュケーション・福 祉社会学」を配置された「社会学Ⅱ研究室」(岩田啓靖)の体制から始まりました。「社会学Ⅰ研究室」は、
社会福祉学/福祉実践において必要になる社会学的な素養を、理論的な面から、そして「社会学Ⅱ研究室」
は、それを、経験的・実証的な面から、それぞれ教授するのが、本学部の社会学研究室の教育・研究のスタ イル・スタンスでした。その後、「社会学Ⅰ研究室」は、1998 年、山田氏の他出により、中村が所属を得、
「社会学Ⅱ研究室」は、2006年、岩田氏から高野和良氏へ引継がれましたが、高野氏が 2009 年に他出し、
「社会学Ⅱ研究室」は一時、消滅します。その後、2011年に、故・志村哲郎氏が「福祉文化研究室」から「社 会学Ⅱ研究室」に異動し、2015年、志村氏の定年後、坂本俊彦氏が、「地域共生センター」から社会福祉学 部に異動、同研究室に所属する流れとなりました。
現在の科目配置をみると、「社会学Ⅰ研究室」は変わらず、「社会学Ⅱ研究室」は、「デスエデュケーショ ン」が抜け、「社会老年学」「福祉社会学」「福祉統計」の科目配置となっています。「社会老年学」は、少子 高齢社会の社会的課題を主題とする点で、社会福祉学部における社会学教育・研究の、ターミナルの一つに なっています。そして、「社会学Ⅰ研究室」は、こうした課題をはじめ、個々の福祉現象・福祉的課題を読み 解くための理論的枠組みを提供する立ち位置にあります。現在も、学部開設当時の、社会学理論と社会福祉 の現実とをつなぐ体制が維持されています。この点は、社会福祉現象が社会現象であること、社会福祉実践 には社会学者や社会調査者の視線が必要であることを、経験的に、裏づけていると考えられます。
本学部は、一学年の定員105名と、公立大学では岩手県立大と高知県立大にならぶ、〈公立大手の社会福 祉学科〉になりますが、その中で、本学の特徴は、社会学が、心理学とともに、二つの研究室を構えている 点であると考えられます。「社会福祉士受験資格」という厚労省の規程枠に縛られる社会福祉学科は、同「受 験資格」指定科目群が「準」必修科目となる制約により、関連科目や履修指導、更には在籍教員の属性によ る研究室特性の面で、学部・学科の個性を創る以外にない実状があります。この点で、本学部は、社会福祉 学に特化させる途と、それから幾分かは距離を置ことができる途との二つの選択肢を、学生に提供できる点 で、「より幅のあるマチをもった社会福祉学部」になっているといえるでしょう。取り分け、「社会学Ⅱ研究 室」が「社会老年学」を配する点は、本学部の姿を象徴していると考えられます。「地域共生センター」時 代、実際に学生と地域を歩き、ワークショップや福祉事業の中に身を置く取り組みにより培われてきた坂本 氏のキャリアが、毎年新たに入学してくる学生に、大切なメッセージを伝え続けている点は、学部創設時以 来の「社会学Ⅱ研究室」の営みを継承しており、こうした展開に支えられることにより、「社会学Ⅰ研究室」
の理論的な営みが、意味をもつことになります。
尚、本学の西日本社会学会の会員には、本学部「医療福祉研究室」で農村福祉をテーマにしておられる高 木健志氏、国際文化学部では学校の怪談をテーマにしておられる吉岡一志氏、看護栄養学部では百寿者研究 をテーマにしておられる田中マキ子氏がおられ、本学での社会学教育・研究の一翼を担っています。
地方の小さな公立大学の社会福祉学部ではありますが、学部と地域社会との境を持たず、福祉的な実践と その経験的な省察を可能ならしめる一役を担うのが、本学部の二つの「社会学研究室」の使命といえましょ う。
Ⅵ.研究室めぐり
資料①『西日本社会学会年報』第17号(2019年3月29日)発行について
・特集:「観光の社会的効果へのアプローチ」(解題1本、論文3本)
・一般投稿論文(投稿数5本)3本掲載、研究ノート(投稿数1本)1本掲載、現場レポート1本、書評6本 資料② 2018年度 編集委員会決算
資料③『西日本社会学会年報』第18号の発行について
・『西日本社会学会年報』投稿規定の一部改定(抜粋、下線が変更部分)
5.論文、研究ノート、書評論文については、編集委員会が委託した匿名の審査を行い、投稿の採否は編集 委員会において決定する。各種レポート、書評についての掲載の採否は編集委員会において決定する。
6.原稿および執筆者情報の電子ファイルを、7月31日(必着)までに、下記の編集事務局宛に電子メー ルにて送付すること。
資料④ 2018年度 西日本社会学会決算
2018 5 10
50,000 50,600
543,895 543,895
450,000 450,000
10 8
0 0
1,043,905 1,044,503
2018 5 10
350,000 291,600
5,000 1,414
45,000 35,475
40,000 29,180
40,000 40,000
J-STAGE 47,520 91,000
0 0
516,385 555,834
1,043,905 1,044,503
1,111,532 1,111,532
955,000 1,120,000 101%
0 20,000
10 7
1,000 5,000
2,067,542 2,256,539 20,000 20,000 15,000 15,000 25,000 25,000 70,000 65,206
100,000 98,038 17 157-159
70,000 49,075 157-159
5,000 2,522
20,000 20,000 100,000 100,000 450,000 450,000 10,000 10,000
0 0
885,000 854,841 1,182,542 1,401,698 77
77
Ⅶ.資料
資料⑤ 2018年度 会計監査報告
資料⑥ 2019年度 西日本社会学会予算
資料⑦ 2019年度 編集委員会予算
1,401,698
960,500 85%
10 1,000 2,363,208 20,000 15,000 25,000 70,000
100,000 18 160-162
70,000 160-162 5,000
20,000 100,000 450,000 10,000 0 885,000 1,478,208 78
78
2018 2018 2019
50,000 50,600 50,000
543,895 543,895 555,834
450,000 450,000 450,000
10 8 10
0 0 0
1,043,905 1,044,503 1,055,844
2018 2018 2019
350,000 291,600 350,000
5,000 1,414 5,000
45,000 35,475 45,000
40,000 29,180 40,000
40,000 40,000 40,000
J-STAGE 47,520 91,000 51,500
0 0 0
516,385 555,834 524,344
1,043,905 1,044,503 1,055,844
* 2019年度までの会費が未納の方には、振込用紙を同封させていただいております。なお、西日本社会学 会では、会則第8条において、「本会所定の会費を3年以上未納の会員は、原則として会員の資格を失 う」としておりますので、どうぞよろしくお願い申し上げます。
* 西日本社会学会のホームページを、下記URLにて運用しております。ご意見等ございましたら事務局 までご一報下さい。
http://www2.lit.kyushu-u.ac.jp/~sociowest/
〈編集後記〉
* 学会ニュース160号をお届けします。今回は第77回大会の報告号です。お忙しいなか、玉稿をお寄せ いただいた先生方には深くお礼申し上げます。また、大会開催にあたりましては、佐賀大学の藤村美穂 先生ならびに佐賀大学の学生の皆様には、たいへんお世話になりました。厚くお礼を申し上げます。
* 次回ニュースの発行は、来年2月中旬の予定です。住所・電話番号・所属機関などの変更がございまし たら事務局までご一報下さい。よろしくお願い申し上げます。
(事務局:井上智史)