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自己ホモトピー同値群とその部分群

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Academic year: 2024

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自己ホモトピー同値群とその部分群

丸山 研一 千葉大学・教育学部

1 Notation など

Xを空間とし、写像はbase pointを保つものを考える。

Definition 1.1 E(X) ={f [X, X]|f はホモトピー同値写像}

例 E(Sn) =Z2, E(K(π, n)) = Aut(π),E(RPn) =Z2, E(CPn) =Z2

ここにAut(π)は群πの自己同型群を表す。

Definition 1.2 hをホモトピー関手とするとき

E(X)Aut(h(X))の核をEh(X)と書く。特に、E(X)n

1Aut(πi(X))の核をE#n(X)と書く。

2 有限表示性に関連して

Sullivan[S],Wilkerson [W]の定理。

定理2.1 Xが有限冪零空間であればE(X)は有限表示可能である。

定理2.2 [HU][M2]X,Y を有限冪零空間とする。写像の結合から得られる自然な作用

E(X)×[Y, X][Y, X]

E(X)×[X, Y][X, Y]

に対しその等方部分群E(X)Sは有限表示可能なE(X)の部分群。ここにSは[Y, X]または[X, Y]の有限 部分集合で、S={s1,· · ·, sr}のときE(X)SiE(X)siを表すとする。

2.3 Xを有限冪零空間とするとき、E#n(X)は有限表示可能である。

定理2.4 [M2]X を有限冪零空間とするとき、E(X)の冪零部分群は有限表示可能である。

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3 代表的な冪零部分群

E#dimX(X)をE#(X)と書くことにする。

定理3.1 [DZ]Xが有限次元ならE#(X)は冪零群。さらにXが有限冪零空間ならEH(X)も冪零群。

注。実際はもう少し一般的な形で定理が述べられている。

Definition 3.2 E(X) ={f ∈ E(X)|f '1},EΣ(X) ={f ∈ E(X)| Σf '1}. 定義からそれぞれ

E(X)⊂ E#(X), EΣ(X)⊂ EH(X)

となっているので上の定理の条件の下でこれらの部分群も冪零群である。E(X)はFelixとMurilloが研究 しはじめた部分群で、E#(X)に同型かという問題があるが(Arkowitz)、今のところ未解決である。部分 的な結果としては、Xが球面の積空間[P]のときや、更に一般にΣΩXが球面の積となるようなXのとき にもE(X)=E#(X)が成立することも知られている[AOS]。 別な方向では、次もある。

定理3.3 [M3] X はホモトピー結合的な有限H-空間で単連結とする。Xp-regularならE(X)(p) = E#(X)(p)

問題 X が(co)H-spaceのときEH(X)とE#(X)の間の関係は?

4 群のランク

Definition 4.1Gが有限のランクであるとは次のような部分群の列があることである。

G=G0 BG1B· · ·BGt= 0

ここにGi/Gi+1 は無限巡回群であるかまたはすべての元が有限位数であるという条件をみたす。

Gが有限のランクであるとき無限巡回群の個数をGのランクと呼びρ(G)と書く。H-空間やcoH-空間の時 にはランクρ(E(X))を求めることは可能であるが、一般の空間に対しての公式はないようである。

問題X任意の空間とするとき、ρ(E(X)) = ?

5 実現問題

定理5.1 [O]nが8の倍数ではない,またはn≡16 mod 32である、のいずれかが成立すればある有限複 体XE(X) =Z/nZとなるものがある。

無限巡回群ZはKahn[K]によって無限次元空間での実現が示されたが、さらに[M1]では有限複体X

E(X) =Zであるものが作れる。

定理5.2 [M1]胞体構造X=S4∪e8∪e8を持つ空間でE(X) =Zとなるものがある。

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問題 階数2以上の有限生成自由アーベル群は有限複体のE(X)で実現できるか。

またランクを利用するとさらに次のような(negativeな)結果が得られる。

定理5.3 Xを有限複体とする。Es(X)が有限のランクであればそれは有限群でなければならない。ここ で、Es(X) =E(ΣNX),N 十分大。

したがって有限生成のアーベル群は有限群のときを除いてEs(X)では実現できない。

参考文献

[AOS] M. Arkowitz, H. Oshima and J. Strom. Homotopy classes of self-maps and induced homomorphismss of homoyopy groups. J. Math. Soc. Japan.58, 401-418, 2006.

[DZ] E. Dror and A. Zabrodsky. Unipotency and nilpotency in homotopy equivalences. Topology18, 187-197, 1979

[HU] S. Hurvitz. The automorphism groups of spaces and fibrations. Pacific J. Math.96, 371-388, 1981.

[K] D. W. Kahn. Realization problems for the group of homotopy classes of self-equivalences. Math. Ann.230, 37-46, 1976.

[M1] K. Maruyama. Finite complexes whose self-homotopy equivalence groups realize the infinite cyclic group.

Canadian Mathematical Bulletin,37, 534-536, 1994.

[M2] K. Maruyama. Finitely presented subgroups of the self-homotopy equivalences group. Math. Z.221, 537-548, 1996.

[M3] K. Maruyama. Localization and completion of nilpotent groups of automorphisms. Topology,46, 319-341, 2007.

[O] S. Oka. Finite complexes whose self-homotopy equivalences form cyclic groups. Mem. Fac. Sci. Kyushu Univ.

Ser A, 171-181, 1980.

[P] P. Paveˇsi´c. On self-maps which induce identity automorphisms of homology groups. Glasgow Math. J.43, 177-184, 2001.

[S] D. Sullivan. Infinitesimal computations in topology. Pub. Math. IHES47, 269-331, 1977.

[W] C. Wilkerson. Applications of minimal simplicial groups. Topology15, 115-130, 1976.

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