地球惑星圏物理学
第7回 惑星間空間(2)
担当:黒川 宏之
1
訂正
誤) 前回の板書
2.4. 太陽の活動現象正) 講義ノート
31式 (2.26) を式 ( 2.25) に代入して、次式を得る。
v dv dR
!1 − c2T v2
"
= 2c2T
R − vesc2
2R . (2.27)
この式が太陽風の加速を記述する式である。
式 (2.27) の特徴を考える。コロナの典型的な物理量を用いると、cT = 130 km s−1, vesc = 620 km s−1 となる。cT < vesc となることは、コロナのプラズマが太陽の重力に束縛されて いることを表している。このことから、式 (2.27) の右辺はコロナの底 (R = 1) において負で ある。一方、式 (2.27) の右辺第一項は R の −1 乗、第二項は R の −2 乗を含んでいることか ら、十分大きい R では第一項が優勢となり、式 (2.27) の右辺全体は正に転じることがわかる。
式 (2.27) の右辺が 0 になる点を臨界点 (critical point) と呼び、その太陽からの距離 Rc は、
Rc = vesc2 /4c2T となる。上述の数値を代入すると、R ∼ 6 となり、太陽半径の約 6 倍に相当
する。式 (2.27) の解を図 2-6 に示す。曲線 ACB が太陽風に対応する解である。この解は臨界点で
v = cT という音速に達し、その後も加速され続けていく。S1 のように臨界点で音速に達しな い場合、式 (2.27) より dv/dR が負になるため、速度は減速に転じる。臨界点で音速となる解 だけが、亜音速から超音速となる構造をとることができる。超音速となった太陽風は太陽圏 の終端で星間ガスの影響により衝撃波を形成し、急激に減速されることとなる。
図 2-6.式 (2.27) の解の種類。オーム社『宇宙環境科学』より
2.4 太陽の活動現象
太陽コロナの磁場は複雑な構造をしており、磁力線が開いている領域と、磁力線がループ 状に閉じている領域がある。磁力線が開いている領域からは太陽風が吹き出している一方、
磁力線が閉じた領域では、太陽フレアやコロナ質量放出 (coronal mass ejection) と呼ばれる 爆発的活動減少が生じる。
太陽フレアは太陽大気における爆発的なエネルギー解放現象であり、γ 線、X 線領域から 電波領域に至る波長域で電磁波を放射する。太陽フレアは磁力線の変形によって蓄えられた エネルギーが、磁気再結合によって開放されて生じる。
コロナ質量放出はコロナのプラズマの塊が突発的に惑星間空間に放出される現象である。
太陽の磁気エネルギーが解放され、電磁放射エネルギーに変換されるのが太陽フレア、力学 的な運動エネルギーに変換されるのがコロナ質量放出である。
2.4. 太陽の活動現象 31
式 (2.26) を式 ( 2.25) に代入して、次式を得る。
v dv dR
! 1 − c
2Tv
2"
= 2c
2TR − v
esc22R . (2.27)
この式が太陽風の加速を記述する式である。
式 (2.27) の特徴を考える。コロナの典型的な物理量を用いると、 c
T= 130 km s
−1, v
esc= 620 km s
−1となる。 c
T< v
escとなることは、コロナのプラズマが太陽の重力に束縛されて いることを表している。このことから、式 (2.27) の右辺はコロナの底 (R = 1) において負で ある。一方、式 (2.27) の右辺第一項は R の − 1 乗、第二項は R の − 2 乗を含んでいることか ら、十分大きい R では第一項が優勢となり、式 (2.27) の右辺全体は正に転じることがわかる。
式 (2.27) の右辺が 0 になる点を 臨界点 (critical point) と呼び、その太陽からの距離 R
cは、
R
c= v
esc2/4c
2Tとなる。上述の数値を代入すると、 R ∼ 6 となり、太陽半径の約 6 倍に相当
する。 式 (2.27) の解を図 2-6 に示す。曲線 ACB が太陽風に対応する解である。この解は臨界点で
v = c
Tという音速に達し、その後も加速され続けていく。 S
1のように臨界点で音速に達しな い場合、式 (2.27) より dv/dR が負になるため、速度は減速に転じる。臨界点で音速となる解 だけが、亜音速から超音速となる構造をとることができる。超音速となった太陽風は太陽圏 の終端で星間ガスの影響により衝撃波を形成し、急激に減速されることとなる。
図 2-6 .式 (2.27) の解の種類。オーム社『宇宙環境科学』より
2.4 太陽の活動現象
太陽コロナの磁場は複雑な構造をしており、磁力線が開いている領域と、磁力線がループ 状に閉じている領域がある。磁力線が開いている領域からは太陽風が吹き出している一方、
磁力線が閉じた領域では、 太陽フレア や コロナ質量放出 (coronal mass ejection) と呼ばれる 爆発的活動減少が生じる。
太陽フレアは太陽大気における爆発的なエネルギー解放現象であり、 γ 線、 X 線領域から 電波領域に至る波長域で電磁波を放射する。太陽フレアは磁力線の変形によって蓄えられた エネルギーが、磁気再結合によって開放されて生じる。
コロナ質量放出はコロナのプラズマの塊が突発的に惑星間空間に放出される現象である。
太陽の磁気エネルギーが解放され、電磁放射エネルギーに変換されるのが太陽フレア、力学 的な運動エネルギーに変換されるのがコロナ質量放出である。
2
第1回 :地球惑星物理学概論
第2回 :太陽系の構造と元素組成 第3回 :太陽系形成論
第4回 :太陽の構造と太陽活動(1) 第5回 :太陽の構造と太陽活動(2) 第6回 :惑星間空間(1)
第7回 :惑星間空間(2)
第8回 :惑星大気の構造(1) 第9回 :惑星大気の構造(2) 第10回:惑星の磁気圏(1) 第11回:惑星の磁気圏(2)
第12回:惑星の内部構造と表層環境の進化 第13回:系外惑星
第14回:生命の起源と存在条件
3
講義資料は
https://members.elsi.jp/~hiro.kurokawa/lecture.html
4
荷電粒子の運動
サイクロトロン運動
電荷が正の場合 電荷が負の場合
荷電粒子は磁力線のまわりを円運動する
※導出は板書 Larmor半径
3.2. 惑星間空間磁場 35
である。式 (3.7) を変形すると、
d
2v
xdt
2= −
! qB
m
"
2v
x, d
2v
ydt
2= −
! qB
m
"
2v
y, (3.8)
と調和振動子形で書くことができる。これらの解は、旋回中心 (x
0, y
0) を磁場と垂直な面に おいて回転周波数 ω
cでまわる、
x − x
0= r
Lsin(ω
ct),
y − y
0= ± r
Lsin(ω
ct), (3.9)
という回転運動である ( ± は q の符号に対応 ) 。ただし、
ω
c= | q | B
m , (3.10)
である。回転半径は、回転速度 v
⊥( 初期条件に依存 ) を用いて、
r
L≡ v
⊥ω
c= mv
⊥| q | B , (3.11)
となる(図 5-2 )。この回転運動の半径は Larmor 半径 と呼ばれる。磁場の方向 (z 方向 ) には 力が働かないため、初期条件に応じた等速直線運動をする。
図 3-2. 磁場中のサイクロトン運動 (Larmor 軌道 ) 。丸善『プラズマ物理入 門』より。
3.2.2 電磁流体力学の基礎方程式
電離したプラズマ流体では、電気伝導度が大きくなり、流体中を容易に電流が流れるようにな る。その際、磁場があると流体中に電流が生じ、磁場との相互作用で電磁気的な力を受けること になる。そのような流体を 電磁流体 と呼ぶ。ここでは電磁流体力学 (Magnetohydrodynamics, MHD) の基礎方程式を導出する。
磁場の有無に関わらず質量保存は成り立つため、流体力学の質量保存の式 (2.8) は変わらず、
∂ρ
∂ t + ∇ · (ρv ) = 0, (3.12)
rL
平均自由行程とLarmor半径
惑星間空間におけるプラズマ粒子(H+)
2.3. 太陽風 27
図 2-3 .太陽の放射強度スペクトル。オーム社『宇宙環境科学』より
2.3 太陽風
2.3.1 流体力学の基礎方程式
太陽風を記述するための道具として、ここで流体力学の基礎方程式を導出する。
平均自由行程 :微視的には粒子の集合体である気体や液体 ( 総称して流体と呼ぶ ) を、流体 力学では巨視的に平均化して連続体として取り扱う。粒子の 平均自由行程 ( 他の粒子との衝 突の間に移動できる距離 ) を l とし、対象とする現象の典型的大きさを L とする。このとき、
l ≪ L ならば連続体と近似できる。逆に、 l ≫ L もしくは l ∼ L ならば連続体ではなく粒子 として取り扱わなければならない。
平均自由行程 l は、粒子密度 n 、粒子の衝突断面積 σ を用いて、
l ∼ 1
nσ , (2.4)
と見積もることができる。地球大気の平均自由行程を見積もると、 n = p/k
BT ∼ 10
5/(10
−23· 10
2) m
−3∼ 10
26m
−3, σ ∼ 10
−19m
2より、 l ∼ 10
−7m となる。これは人体の大きさ ( ∼ 1 m) に対して十分小さいため、人間の感じるスケールでは大気は流体として振る舞う。太陽風の 場合、地球軌道付近で平均自由行程が 1 AU 程度であり、連続体近似が成り立たないように 思える。実際には、太陽風が電離したプラズマで構成されているため、太陽磁場の磁力線と ともに運動することにより、連続体的な振る舞いをする ( 次章参照 ) 。
ここでは簡単のため、粘性を無視した流体 ( 理想流体 ) を考える。流体力学の方程式は、流 体の速度 v(r, t) 、密度 ρ(r, t) 、温度 T (r, t) 、圧力 p(r, t) についての方程式であり、質量保存 の式 ( 連続の式 ) 、運動量保存の式 ( オイラーの式 ) 、エネルギー保存の式、状態方程式から成 る。ここで、 r は位置ベクトル、 t は時間である ( 太字はベクトル ) 。
平均自由行程: ~ AU
Larmor半径:
3.2. 惑星間空間磁場 35
である。式 (3.7) を変形すると、
d
2v
xdt
2= −
! qB
m
"
2v
x, d
2v
ydt
2= −
! qB
m
"
2v
y, (3.8)
と調和振動子形で書くことができる。これらの解は、旋回中心 (x
0, y
0) を磁場と垂直な面に おいて回転周波数 ω
cでまわる、
x − x
0= r
Lsin(ω
ct),
y − y
0= ± r
Lsin(ω
ct), (3.9)
という回転運動である ( ± は q の符号に対応 ) 。ただし、
ω
c= | q | B
m , (3.10)
である。回転半径は、回転速度 v
⊥( 初期条件に依存 ) を用いて、
r
L≡ v
⊥ω
c= mv
⊥| q | B , (3.11)
となる(図 5-2 )。この回転運動の半径は Larmor 半径 と呼ばれる。磁場の方向 (z 方向 ) には 力が働かないため、初期条件に応じた等速直線運動をする。
図 3-2. 磁場中のサイクロトン運動 (Larmor 軌道 ) 。丸善『プラズマ物理入 門』より。
3.2.2 電磁流体力学の基礎方程式
電離したプラズマ流体では、電気伝導度が大きくなり、流体中を容易に電流が流れるようにな る。その際、磁場があると流体中に電流が生じ、磁場との相互作用で電磁気的な力を受けること になる。そのような流体を 電磁流体 と呼ぶ。ここでは電磁流体力学 (Magnetohydrodynamics, MHD) の基礎方程式を導出する。
磁場の有無に関わらず質量保存は成り立つため、流体力学の質量保存の式 (2.8) は変わらず、
∂ρ
∂ t + ∇ · (ρv ) = 0, (3.12)
~ km
31
第3章 宇宙流体力学
我々にとって身近な地表近くの地球大気はガスつまり「流体的」に扱うことができる。太陽 も大局的な惑星間空間の物理も「流体的(電磁流体)」に取り扱うことができる。
3.1 流体の定義
「流体的」である条件
図 3-1.平均自由行程:単純な理解としては単一の種類の気体を考え。
粒子を断面積σ の剛体球とすればよい。
1. 構成粒子の平均自由行程(mean free path)l が考える系のスケール Lに比べて十分に 小さい。つまり、
l (≃ 1
nσ) << L (3.1)
である。平均自由行程lとは粒子が散乱されることなく直進できる距離の平均値であり、
個数密度 nと相互作用断面積σ を用いておおよそl ∼ 1/(nσ)となる。l << Lでないと きは「粒子的」と言う。
2. 流体には形が無い。すなわち外力に抵抗して元の形に戻ろうとする弾性力がない。
「流体的」であるときは、十分な粒子数を含む微小な体積素片を定義できる。特定の形を持た ないその体積素片の運動を記述する物理が流体力学である。
例1) 地上の空気と人間のスケール(1m)
地上空気の 78.08%は窒素分子であるので窒素分子の単一気体として考える。
・ 典型的な個数密度: n = 2.5×1025 m−3 (米国標準大気モデル 1976)
・窒素分子の相互作用半径: r = 3.7 ×10−10 m
⇒ l ≃ 9×10−8 m << L = 1 m
例2) 星間分子ガス雲(暗黒星雲)と星形成の母体ガスのスケール(1 ×1015m)
星間分子ガス雲の約70%は水素分子であるので水素分子の単一気体として考える。
・典型的な個数密度: n = 1000cm−3 (= 1×109 m−3)
・水素分子の相互作用半径: r = 3×10−10 m
⇒ l ≃ 3×109 m << L = 1×1015m
3.2. 惑星間空間磁場 35
である。式(3.7)を変形すると、
d2vx dt2 = −
!qB
m
"2 vx, d2vy
dt2 = −
!qB
m
"2
vy, (3.8)
と調和振動子形で書くことができる。これらの解は、旋回中心(x0, y0)を磁場と垂直な面に おいて回転周波数ωcでまわる、
x−x0 = rLsin(ωct),
y−y0 = ±rLsin(ωct), (3.9)
という回転運動である(±はqの符号に対応)。ただし、
ωc = |q|B
m , (3.10)
である。回転半径は、回転速度v⊥(初期条件に依存)を用いて、
rL ≡ v⊥
ωc = mv⊥
|q|B, (3.11)
となる(図5-2)。この回転運動の半径はLarmor半径と呼ばれる。磁場の方向(z方向)には 力が働かないため、初期条件に応じた等速直線運動をする。
図3-2. 磁場中のサイクロトン運動(Larmor軌道)。丸善『プラズマ物理入 門』より。
3.2.2 電磁流体力学の基礎方程式
電離したプラズマ流体では、電気伝導度が大きくなり、流体中を容易に電流が流れるようにな る。その際、磁場があると流体中に電流が生じ、磁場との相互作用で電磁気的な力を受けること になる。そのような流体を電磁流体と呼ぶ。ここでは電磁流体力学(Magnetohydrodynamics, MHD)の基礎方程式を導出する。
磁場の有無に関わらず質量保存は成り立つため、流体力学の質量保存の式(2.8)は変わらず、
∂ρ
∂t +∇·(ρv) = 0, (3.12)
星間空間や天体のスケールにおいて、
太陽風プラズマはサイクロトロン運動によって流体的に振る舞う
5
プラズマの集団的振る舞い
6
52 第 5 章 プラズマと電磁流体力学
に影響を与える。このようなことを指して「集団的振る舞いと呼ぶ」2
・準中性気体
何か荷電した物がプラズマ気体中に置かれると、逆の符号を持つプラズマ粒子が集まり その静電ポテンシャルを遮蔽しようとする(図 5-1)。しかし、静電ポテンシャルの深さ が運動エネルギー程度の場所では、プラズマ粒子を留めておく事ができなくなり、遮蔽 は不完全なものとなる。
+
‑
‑
‑
‑
‑
‑
‑ ‑
‑
‑
‑
‑
‑
‑
‑
‑
‑
‑
図 5-1.プラズマによる荷電粒子の静電ポテンシャル遮蔽(Debye 遮蔽)。
電荷 Q がプラズマ中に置かれた際の Debye 遮蔽 (静電ポテンシャル遮蔽) を調べる。そ の際、イオンは慣性が大きいので実験的時間では動かないとする。つまり、一様な正電 荷のバックグラウンドの中で、電子だけが遮蔽のために移動する(集まる or 減る)。
静電ポテンシャル φ(x, y, z) を考慮した −e の電荷を持つ電子の分布関数は、マクスウェ ル=ボルツマン分布 (5.1) を拡張して
f(vx, vy, vz) = n∞
! m
2πkBT
"3/2
exp #−{1
2me(vx2 + vy2 + vz2) − eφ}/(kbT)$ (5.3) となる。ただし、n∞ は電荷による静電ポテンシャル場が無い場合の電子密度であり n∞ = nion である。速度空間で積分すれば、電子密度 ne が得られ
ne = n∞ exp ! Qφ kBT
"
(5.4) となる。静電ポテンシャル分布は静電場の式 (3.21) から、
∆φ = − 1
ϵ0 e(nion − ne) (5.5)
を満たす必要がある。これに電子数密度 (5.4) を代入して、Taylor 展開すると、
∆φ = d2φ
dx2 = en∞
ϵ0 [ Qφ
kBT + 1 2
! Qφ
kBT
"2
+ · · ·] (5.6)
となる。一次の項だけとると、
d2φ
dx2 = Qen∞
ϵ0kBT φ (5.7)
2プラズマという名はギリシャ語の組み立てられて作られたものという意味を持つπλασµα,´ −ατovarsigma, τo´ という単語が語源たが、プラズマはむしろ集団的振る舞いをする (プラズマ入門 内田岱二郎訳)。
プラズマ粒子は互いの静電ポテンシャルを打ち消し合う
Debye長より大きいスケールでは、
個々の粒子の静電ポテンシャルは遮蔽される
5.1. プラズマの定義 53
典型的電荷を Q = e とおいたときの、静電ポテンシャルの減少の長さスケールを Debye 長 と呼び、
λ
D= ! ϵ
0k
BT ne
2"
(5.8) となる。
まとめると、 1. 準中性気体として扱うためには系のサイズを L とすると、 λ
D<< L であ る必要がある。 2. 「集団的振る舞い」をするためには Debye 球の中に十分の数の電子があ ることが必要である。 3. 荷電粒子の集団の性質を出すためには中性粒子同士の衝突タイムス ケールに比べて電気磁気的なプラズマ運動のタイムスケールが十分小さい必要がある。
5.1.2 荷電粒子のサイクロトン運動
プラズマ中の荷電粒子の運動として、もっとも典型的なものがサイクロトン運動である。外 部からの電場を無いものとする( E = 0 )と運動方程式は、
m dv
dt = q v × B (5.9)
となる。 B を z 方向とすると (B = B z ˆ ) m dv
xdt = qBv
ym dv
ydt = − qBv
xm dv
zdt = 0 (5.10)
であるが、これは、
d
2v
xdt
2= −
! qB
m
"
2v
xd
2v
ydt
2= −
! qB
m
"
2v
y(5.11)
と調和振動子形にまとまる。解は、旋回中心 (x
0, y
0) を回転周波数 ω
cでまわる x − x
0= r
Lsin(ω
ct)
y − y
0= ± r
Lsin(ω
ct) (5.12)
という形でかける。ただし、
ω
c= | q | B
m (5.13)
である。回転半径は、回転速度 v
⊥を与えれば r
L≡ v
⊥ω
c= mv
⊥| q | B (5.14)
と決まる(図 5-2 )。これを Larmor 半径 と呼ぶ。
1/2
太陽風@1AUにおけるDebye長 ~ 10 m
星間空間や天体のスケールでは、
太陽風プラズマは磁場と相互作用する準中性流体とみなすことができる
7
磁場の凍結
荷電粒子は磁力線に巻き付くように 運動するため、
プラズマと磁場は一緒に運動する これを磁場の凍結(froze-in)とよぶ
38 第 3 章 惑星間空間
・ Maxwell 方程式
∇ · B = 0 (3.35)
・誘導方程式
∂ B
∂ t = ∇ × (v × B ) + 1
σµ ∆B (3.36)
3.2.3 磁場の凍結
dl v dt
B
図 3-3 .磁束の凍結。
図 3-3 のように流体の流れに乗った閉曲線を考える。この閉曲面を貫く磁束は、微小時間 dt の間に
dΦ = dt
!
S
( ∂ B
∂ t )dS +
"C
(v dt × dl) · B (3.37)
だけ変化する。右辺第1項と第2項は、それぞれ磁束の時間変化、第2項は移流により閉曲 面を貫く磁束が増減する影響である。ストークスの定理を使うと
dΦ
dt =
!S
( ∂ B
∂ t )dS +
!S
∇ × (v × B ) dS (3.38)
となる。これは、誘導方程式 (3.31) により、
dΦ
dt =
!S
( 1
σµ ∆B ) dS (3.39)
となる。これは拡散方程式と呼ばれる形をしており、時間とともに磁束が空間的に拡散する
(広がる)ことを意味している。
我々が対象としている太陽、惑星間空間、地球磁気圏また星間分子ガス雲では、流体の典 型的なタイムスケールに比べ、拡散は無視できるほど小さく、
dΦdt∼ 0 と考えられる
1。つま り、流体とともに動く閉曲面内の磁場はおおよそ保存される。これを、「 磁場がプラズマに凍 結されている (frozen-in) 」と言い、電磁流体のもっとも大切な特徴の1つである。
1磁場が空間スケール L で δB 変化する場合、∆B ∼ δB/L2 と近似できる。磁場が δB だけ変化する時間 τ は、(3.39) より、τ = σµL2 となる。太陽の磁場では、τ ∼ 1010 年、星間分子ガス雲の磁場では、τ ∼ 1020 年と なる。また、流体が完全導体であると σ = ∞ なので τ = ∞ となる。
(参 「宇宙流体力学」坂下志郎、池内了著 培風館)
実際は、プラズマ中の面Sをつらぬく磁束Φは以下の式に従って時間変化する
電気伝導度透磁率
太陽の磁場では、
この式から見積もられる変化の時間スケールは 100億年ほどであり、
惑星間空間磁場はプラズマに凍結されている とみなしてよい
http://www.pp.teen.setsunan.ac.jp/lecture/diamag.html
惑星間磁場の構造
8
http://www.ice.tohtech.ac.jp/~nakagawa/outreach/spiralfield̲0.htm
スパイラル構造
太陽の自転によって、太陽風の 磁場は巻き込んだ構造を持って いる
巻き込みは太陽系の外縁部にい くほどきつくなる
地球軌道では45 程度
※導出は板書
9
太陽圏
3.2. 惑星間空間磁場 41
となる。つまり、太陽圏の半径は 100AU 程度である ( オールトの雲まで含めると太陽系はこの 太陽圏の外まで広がっていることに注意 ) 。図 3-6 のように境界で 終端衝撃波 (Termination Shock) が形成される。亜音速になった太陽風は最終的に ヘリオポーズ (Heliopause) で完 全に星間ガス・星間磁場と混ざる。
図 3-6 . 太陽圏 (Heliosphere) 。銀河内の星間ガス空間と衝突している様子の想像図。
NASA ボイジャーミッションのページより http://www.nasa.gov/vision/universe/solarsystem/voyager-interstellar-terms.html
約100AU
第1回 :地球惑星物理学概論
第2回 :太陽系の構造と元素組成 第3回 :太陽系形成論
第4回 :太陽の構造と太陽活動(1) 第5回 :太陽の構造と太陽活動(2) 第6回 :惑星間空間(1)
第7回 :惑星間空間(2)
第8回 :惑星大気の構造(1) 第9回 :惑星大気の構造(2) 第10回:惑星の磁気圏(1) 第11回:惑星の磁気圏(2)
第12回:惑星の内部構造と表層環境の進化 第13回:系外惑星
第14回:生命の起源と存在条件
10
講義資料は
https://members.elsi.jp/~hiro.kurokawa/lecture.html